

システムヘルメットは「チンガードを開けたまま高速走行すると、50km/h超えで首がもげそうな力がかかります。
SHOEI(ショウエイ)のネオテックシリーズは、2012年の初代登場以来、ツーリングライダーに支持されてきたシステムヘルメットの最高峰モデルです。2023年12月に登場した最新作「NEOTEC 3(ネオテック3)」は、フルフェイスに匹敵する安心感と、ジェットヘルメットのような開放感を両立させた意欲作です。
フルフェイスとの根本的な違いは、チンガード(あご部分)が上方向に跳ね上げられる点にあります。走行時はフルフェイス形状で顔全体を保護しながら、停車中や休憩時にはチンガードを開けてジェット型のような開放感が得られます。つまり、二つのヘルメットの役割を一つで担える設計です。
静粛性に関しては、実際に試用したインプレッション記事でも「驚くほど静か」と評価されています。100km/h以下での巡航では風切り音がほぼ気にならず、耳栓が不要と感じるライダーも多くいます。一般的なフルフェイスと比較しても遜色のないレベルであり、これはシールドの気密窓ゴムや帽体形状の最適化によって実現しています。
つまり、静粛性が最大の武器です。
帽体はAIM+(高機能複合素材)を採用した3シェルサイズ構造で、軽量化と強度を高次元で両立させています。Lサイズの実測重量は約1,778g(防曇シート込み)で、サンバイザー付きシステムヘルメットとしては「軽い部類」に入ります。一般的なサンバイザー付きシステムメットは1,800gを超えることが多いため、この差は長距離ライダーにとって無視できないメリットです。
ライダーにとって重いヘルメットは、100km走る頃には首の疲れとして蓄積されます。たとえばヘルメットが100g軽くなることは、1時間のツーリング中に何百回も支える首への負担が少しずつ減る効果があります。軽さが条件です。
価格はソリッドカラーモデルで7万9,200円〜と高額ですが、装備の充実度を考えると多くのライダーが「払う価値あり」と評価しています。
参考:SHOEIネオテック3の公式スペック(重量・サイズ・規格など)
NEOTEC 3 スペック|SHOEI公式
ネオテック3の内装は、先代ネオテック2からの大きな進化ポイントのひとつです。ネオテック3専用設計のチークパッドは、先代よりもヘルメット後方側に延長されており、頬から首回りまでの隙間を少なくして防音・防風性を高める構造になっています。
被り心地はソフト系で、頬パッドはやや締め付けしっかり目ですが、後頭部を含めた全体的な包まれ感は快適です。内装表面には、汗をかきやすい部分に吸水速乾素材を、ヘルメットの脱着時に肌と擦れやすい箇所には柔らかな素材を使い分けるなど、細部まで丁寧に作られています。
これは使えそうです。
センターパッドには専用のポケットが設けられており、オプションの調整用パッドを追加することでフィッティングを微調整できます。頭の形が標準より丸め・長めという方でも、細かく合わせやすい設計です。サイズ展開はS(55cm)からXXXL(65cm)までと幅広く、頭が大きい方にも対応しています。
メガネユーザーへの配慮も特徴的です。内装が柔らかいため、ツルの圧迫感が少なく抑えられています。ただし、形状によっては眼鏡のフレームが浮き上がることもあるため、全国のSHOEIギャラリーやオンラインストアで提供している「眼鏡スリット加工」を活用するとより快適になります。これはメガネライダーにとって見逃せない選択肢です。
内装の耐久性も考慮すると、内装は取り外して洗濯できるため、長期間清潔を保つことができます。夏場の汗や臭いが気になるライダーにとっても、この洗えるインナーは大きなメリットです。洗える内装が原則です。
注意点として、ネオテック・ネオテック2・ネオテック3の内装に互換性はありません。旧モデルの内装をネオテック3に流用することはできないため、内装を別途購入する際は機種確認が必要です。
参考:ネオテックシリーズの内装互換性に関するよくある質問
NEOTEC II よくある質問|SHOEI公式
システムヘルメットの最大の魅力であるチンガードの開閉機構ですが、ここには多くのライダーが見落としがちな重要な注意点があります。
ネオテック3のチンガードは、先代比でさらに使いやすく改良されました。2段階のロック機構を採用しており、開けた状態でしっかり固定できるため、ちょっとした飲食や会話、パーキングでの作業時に非常に便利です。各スイッチもシンプルな設計で、厚手のグローブを着けていても問題なく操作できます。
ただし、開けたまま走行することについては、製品説明でも明確に「停車時・休憩時のみの使用を想定」と記載されています。これは法的な問題ではありませんが、安全上の問題として非常に重大です。実際に速度が50km/hを超えてから首を横に振ると、開いたチンガード部分に掛かる風圧が急増し、首に強い負荷がかかることが複数のインプレ記事で報告されています。
首の痛めに注意が必要です。
メーカーのSHOEIも、シールドを開けた状態での走行について「大変危険です。緊急時以外は閉めて走行してください」と安全マニュアルで明記しています。なお、ネオテック3は欧州でフルフェイス(P)とジェット(J)の「ダブルホモロゲーション」を取得しているモデルですが、これはあくまでチンガードを閉じた状態でのフルフェイスとして安全性を認証しているものです。チンガードを開けたまま高速走行することは、安全性を著しく損なう行為であることを理解しておく必要があります。
つまり、開口機能はあくまで停車時限定と覚えておけばOKです。
ツーリング中に信号で止まるたびにさっとシールドを上げて飲み物を飲めたり、観光地で写真を撮る際にヘルメットを脱がずに顔を見せられたりと、この機構の利便性は日常のツーリングシーンで確実に活きてきます。
参考:SHOEIヘルメット安全マニュアル(チンガード・シールドの取り扱い)
SHOEI安全マニュアル|SHOEI公式(PDF)
ネオテック3には「SHOEI COMLINK(コムリンク)」という専用インカム装着システムが搭載されています。これはインカムをヘルメット内部に収める専用の規格で、外付け感のないスマートな見た目と、空力性能を損なわないという大きなメリットがあります。
対応機器として、SENA SRL3とSygn House(サインハウス)のB+COM SX1が代表的です。これらを装着すると、ヘルメットと一体化したかのようなフラットなシルエットになり、通話・音楽再生・グループ通話が可能になります。ロングツーリングでのグループライドや、ナビ音声の確認にも大活躍します。
これは快適なツーリングに必須です。
ただし、インカム本体は別売りです。SENA SRL3やB+COM SX1はそれぞれ単体で数万円する製品ですので、ネオテック3本体の7万9,200円〜と合わせると、インカムを含めたトータルコストは10万円を超えることも珍しくありません。高額な買い物ではありますが、快適性・安全性・利便性をすべて同時に手に入れられると考えると、多くのツーリングライダーにとって価値ある投資と言えます。
B+COM SX1については、SHOEI COMリンクに対応した「B+COMアタッチメント3」という専用アタッチメントを使うことで、より精度高くフィットさせることができます。ヘルメット側のインターコムベースカバーを交換するだけで取り付けでき、工具不要で装着できる点も嬉しいポイントです。
インカムを使う場合は、対応機種の確認が条件です。
また、ネオテック3ではインカムを装着した状態でも、ヘルメットを平置きしたまま充電できる設計になっています。帽体後方側にバッテリースペースを切り欠いた形状とすることで、充電ケーブルが干渉しない設計が施されています。この細部へのこだわりが「大人のヘルメット」と称される理由のひとつです。
参考:SHOEIコムリンク対応のB+COM SX1レビュー
B+COM SHOEIアタッチメント3のレビュー|Webike
現在、ネオテック2とネオテック3はどちらも現行モデルとして流通していますが、実際の違いはどこにあるのでしょうか。
最も大きな変化はシルエットです。ネオテック2は「チンガードが前方に出た、いかにもシステムヘルメット」という外観でしたが、ネオテック3ではアゴ部分が引き込まれ、後頭部の形状にメリハリが生まれたことで、フルフェイスに見間違えるほどスマートなシルエットになりました。この変化はシステムヘルメット特有の「ゴツさ」が苦手だったライダーに刺さる進化です。
意外ですね。
重量についてはカタログ値で見るとネオテック3の方が若干重くなっています。EU規格のMサイズ比較で、ネオテック2は約1,615g、ネオテック3は約1,700gと、約85gの増加です。ただし、静粛性やフィット感の向上によって「重く感じない」という評価も多く、数値よりも実使用感では差が小さい印象です。
機能面ではシールドが従来のCNS-3からCNS-3C(センターロック式)に変わり、装着・脱着がよりスムーズになっています。サンバイザーはQSV-1からQSV-2へと拡大され、防眩エリアが広がりました。対応インカムもSRL2からSRL3へと新世代に対応しています。
結論は「予算が許すならネオテック3一択」です。
ただし、ネオテック2が現在セールや中古で大幅値下がりしているケースでは、コスト優先のライダーにとってはネオテック2も依然として有力な選択肢です。内装の互換性がないため、消耗品の補充は各モデル専用品を用意する必要がある点は注意が必要です。
ネオテック3を選ぶ理由をまとめると以下のとおりです。
| 比較ポイント | ネオテック2 | ネオテック3 |
|---|---|---|
| 価格(ソリッド) | 約71,500円 | 約79,200円 |
| シールド | CNS-3 | CNS-3C(センターロック) |
| サンバイザー | QSV-1 | QSV-2(5mm拡大) |
| 対応インカム | SRL2 | SRL3・B+COM SX1 |
| 静粛性 | 高い | さらに高い |
| シルエット | システムらしい形状 | フルフェイスに近い形状 |
| 重量(M)概算 | 約1,615g | 約1,700g |
フルフェイスに近い見た目で、静粛性と快適性をトップレベルで求めるなら、7,700円の差はネオテック3に払う価値があります。一方、コストを抑えつつ実績あるシステムヘルメットを手に入れたいなら、ネオテック2も十分に現役です。どちらが条件かは、自分のツーリングスタイルと相談して決めましょう。
参考:ネオテック3の正式スペックと新機能の詳細
NEOTEC 3 製品ページ|SHOEI公式

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