

バイクがコーナーを曲がる仕組みの中心にあるのが「キャンバースラスト」という物理現象です。これはタイヤが傾いた際に、その傾いた方向に力が働く現象を指します。
参考)🆓-「傾けて曲がる乗りもの」-なぜバイクは傾けると曲がるのか…
タイヤの断面は大まかに半円形をしており、直進時は外径が最大です。バンク角が深まるほど接地面の外径は小さくなります。円すいを倒して転がすと頂点側に曲がる原理と同じですね。
この現象により、ハンドルを大きく切らなくてもバイクは自然に旋回方向へ曲がろうとします。
つまり内向きの力が生じるということです。
ただしラジアルタイヤの場合、サイドウォールが柔軟なため、バンクさせてもサイドウォールが潰れるのが先になります。そのため接地面の位置変化が外径の縮小に反映されにくく、キャンバースラストの効果が弱まるという特性があります。
タイヤの種類によって旋回特性が変わるため、バイアスタイヤとラジアルタイヤでは乗り味が異なるのです。
バイクのコーナリング中には、遠心力とバンク角と速度の3つの要素がバランスを取り合っています。このバランスが崩れるとスリップダウンにつながります。
参考)【タイヤと路面の接点を感じる”感じるグリップ”】コーナリング…
遠心力はコーナリング時のスピードが増せば増すほど大きくなります。ある程度のコーナリングスピードで遠心力を得ているほうが、車体は安定するしタイヤのグリップも引き出しやすい状態です。
レース用の車両とタイヤであれば、バンク角の限界は55°程度が一般的です。
普通のバイクはそれ以下になります。
車両の重心、タイヤのグリップ力、出している速度や旋回半径による遠心力などの力のバランスが、バンク角の限界に影響してきます。
参考)バイクのバンク角の限界は?バンクさせるメリットとコツ!
バンクセンサーが地面を擦ったら、それ以上はバンクさせてはいけません。
これが物理的な限界のサインです。
ライダーが正しい操縦によりスピードとバンク角と遠心力をバランスさせることで、安全なコーナリングが実現します。
全ライダーの7~8割は、ご自身の認識とは別に、無意識にリーンアウトのフォームになっています。しかしリーンアウトには大きなリスクが潜んでいます。
参考)7割以上が間違えている!?リーンアウトの注意点・危険性
リーンアウトは上体が地面と垂直でバイクだけを傾けるフォームです。通常のフォームに比べ車体が傾斜しバンク角が深くなる特徴があります。
参考)【リーンインで上手くなる!】|奥本雅史/二輪ライディングアド…
バンク角が深いことに加え、ライダーの荷重方向が車体の荷重方向と一致せず、傾いている車体を上からつぶしてしまうような形になってしまいます。タイヤのグリップに依存した走りになり、タイヤがスリップする一つの原因となります。
参考)https://ameblo.jp/touring-riders/entry-11315408259.html
不用意なアクセル操作をすると、途端にスリップダウンする危険性が高いのです。ハーレーのようにもともとバンク角が深くないバイクでは、リーンアウトを使ってしまうと車体の一部を擦りやすくなります。
速度のわりにステップや車体の一部が接地しやすいフォームということですね。
簡単かつ恐怖心が少ないフォームなので無意識に取ってしまうライダーが多いのですが、リスクを理解しておく必要があります。タイヤ接地面左右の摩耗跡を見ることで、自身のフォームや乗り方を推測することができます。
リーンインは3つのフォームの中で最もバンク角を浅くすることができます。雨の日など滑りやすい路面でバンク角を抑えてコーナリングをすることができるのがメリットです。
気温が10℃以下になるとタイヤのグリップはガタ落ちします。タイヤのゴムは暖まると柔らかくなりますが、硬いと路面の小さな凸凹に追従しにくくなります。
参考)気温が10℃以下なら浅いバンク角で曲がれるメソッド!【ライド…
寒い時期のキーワードは、タイヤのグリップが落ちるのを前提にした、バンク角に頼らず曲がるライディングです。この傾けるバンク角が深いと、何かの拍子にタイヤがスリップする危険性があるわけです。
ただし注意点もあります。リーンインでバイクをバンクさせまいと上半身を大きくイン側へズラすと、上半身が横へ移動している時間、タイヤから体重が抜けやすくなります。曲がりはじめるのもタイムラグを生じることになり、タイミングによってはドキッとするリスクも生じやすいのです。
路面状況を見極めて適切なフォームを選ぶ判断力が求められます。
凍結した路面や雪道、マンホールや側溝の蓋、路面にペイントされた白線も滑りやすい場所として挙げられます。これらの場所ではバンク角を浅く保つことが転倒回避につながります。
参考)対処法はある? バイクがスリップダウンする主な原因を徹底解説…
バンク角の深さや重心の乗せ方、ライディング姿勢によってタイヤのグリップ力が発生する位置が外側もしくは内側へと変動します。バイクが動いている状態で地面へ掛かる力があって初めて、タイヤがしっかりと地面を捉える力が生じるのです。
バンク角を深めれば深めるほど、グリップ力の作用点はタイヤの内側へと移動します。体を地面へ向けて倒すだけでなく、重心が乗りやすい腰をやや内側に入れることを意識すると、より安定感が増しやすくなります。
しかし車体やライダーの重みによっても異なるため、極端にバンク角を深めて腰を入れすぎると、スリップや転倒の可能性が高まってしまいます。コーナリング時のスピードをコントロールして、遠心力とグリップ力のバランスをとる工夫が必要です。
傾ける角度で曲がれる能力が左右される要素と、タイヤへの荷重、つまりタイヤを路面にしつけているチカラでも曲がれる能力は左右されます。
両方を意識する必要がありますね。
スリップダウンの主な原因は、タイヤのグリップ不足、バンキング中のブレーキ操作ミス、アクセルの開け過ぎなどです。フルバンク時にリヤタイヤが滑る時は、アクセル開度に対してタイヤのグリップ力が伴っていない場合です。
タイヤの空気圧チェックも忘れずに行いましょう。気温で大幅に低くなる時期は特に注意が必要です。
グー バイク&くるま - バンク角とグリップ力の関係を理解してコーナリングを安定させる
バンク角とグリップ力のバランスについて、コーナリング時のスピードコントロールと遠心力の関係が詳しく解説されています。
RIDE HI - 気温が10℃以下なら浅いバンク角で曲がれるメソッド
寒い時期のタイヤグリップ低下に対応するための、バンク角に頼らないライディング技術が紹介されています。

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