

アンダーガードなしで林道を走ると、石1個でエンジンケースに穴があき修理費5万円超になることがあります。
アンダーガードは、バイクのエンジン下部(クランクケースやオイルパン周辺)を飛び石・岩・倒木などの障害物から守るためのプロテクターパーツです。スキッドプレートとも呼ばれ、オフロードバイクやアドベンチャーバイクでは特に重要な装備です。
林道や未舗装路では、前輪が巻き上げた小石がエンジン下部に直撃します。これを放置していると、クランクケースの下端に小さな傷が蓄積し、最終的にオイル漏れや最悪の場合はケースに穴があく事態になります。エンジンケースの割れが起きた場合、バイク屋に依頼すると修理費が5万円以上、場合によっては10万円を超えることも珍しくありません。
短い距離の林道走行でも、段差1つでエンジン下部が地面と接触することはよくある話です。
アンダーガードは「壊れてから付けるもの」ではなく、「走り始める前に装着する保険」だということを覚えておきましょう。また、オフロード用途だけでなく、舗装路でのツーリング中に縁石を踏んだり、立ちゴケした際のエンジン保護にも役立つのがポイントです。エンジン自体が無傷でも、アンダーガード本体ならば数千円〜3万円程度で交換できるため、コストの観点からも装着メリットは大きいといえます。
ダートバイクプラス:オフロードバイクのカスタム方法とアンダーガード(スキッドプレート)の必要性について解説
アンダーガード選びの核心は「素材選び」です。主に樹脂(プラスチック)、アルミ合金、チタンの3種類があり、それぞれに明確な長所と短所があります。素材が条件です。
まず樹脂製は、数百グラム台という圧倒的な軽さが最大の武器です。バイク自体の重量増加を最小限に抑えられるため、サスペンションの動きを妨げにくく、特に取り回しの軽快さを重視するライダーに向いています。飛び石による軽い打撃の衝撃吸収は得意ですが、角の立った岩への「点当たり」や冬場の低温環境では割れやすいというデメリットがあります。また、排気管(エキゾースト)に近い箇所に装着する場合、熱によって素材が軟化・変形するリスクも考慮する必要があります。
次にアルミ製は、板厚が3〜5mm程度のものが多く、強度と軽さのバランスに優れた定番素材です。岩場や倒木越えのような、下回りに強い打撃が入る場面でも「へこみ」として衝撃を受け止め、走行継続できる可能性が高いのが魅力です。ただし、金属板は音を反射しやすく、装着することでエンジン音が反響して大きく聞こえる場合があります。ゴムブッシュやカラーを正しく組み込み、適正トルクで締めることで振動と共振を抑えられます。
チタン製は最上位の選択肢です。比重で見るとチタンはアルミよりも重いですが、強度が非常に高いため、同じ保護性能ならアルミ製よりも薄く・軽く作ることができます。つまりチタン製品は「アルミより軽い」という結論になります。価格は3万円前後〜と高めですが、長期使用を想定するライダーや競技ライダーには投資価値があります。
| 素材 | 重量 | 耐衝撃性 | 騒音 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 樹脂 | ◎ 超軽量 | △ 点荷重に弱い | ◎ 静か | 5,000〜15,000円 |
| アルミ | ○ 軽量 | ○ 安定 | △ 共振あり | 10,000〜30,000円 |
| チタン | ◎ 薄く軽い | ◎ 最高強度 | ○ 比較的静か | 25,000〜50,000円 |
これが素材ごとの基本です。重要なのは、どの素材が「最強か」ではなく、どの素材が「自分の走行スタイルに最適か」という視点です。フラット林道や街乗りメインなら樹脂、ガレ場・岩場を攻める走りならアルミかチタンが条件になります。
BikeBros:チタン・アルミ製アンダーガードの素材特性比較と実際の装着レビュー
アンダーガードは「どこを走るか」によって、最適な製品が大きく変わります。同じオフロードバイクでも、フラットな林道ツーリングと本格的なガレ場エンデューロでは求められるスペックが全く別物です。
🌲 林道ツーリング・ライトオフロード向け
フラット林道や砂利道が中心の場合、最大の課題は「飛び石による傷」と「走行時の騒音」です。この用途には樹脂製またはアルミ薄板(3mm厚程度)が適しています。重量増加が少なく、サスペンションの動きへの影響が小さいのが理由です。エンジン音の反響が気になるライダーであれば、静粛性の高い樹脂製から検討するといいでしょう。ZETA(ジータ)のEDスキッドプレートは価格が14,520円〜24,200円で、アルミ製でありながら適度な厚みと整備性(ドレンホール付き)を確保しており、ツーリングライダーからも支持されています。
🪨 本格ガレ場・エンデューロ向け
岩や倒木越えが多い本格的なオフロード走行では、点荷重に強いアルミ4mm以上の厚板、またはチタン製が推奨されます。プラスチック製では割れてしまうリスクが高いため、メタル素材を選ぶのが原則です。リンクガード一体型のモデルを選ぶと、サスペンションのリンク機構も同時に保護できます。YZ250X用のEXEDスキッドプレートのように、業界最厚クラスの樹脂8mm厚(UHMW素材)という選択肢もあります。
🏍️ アドベンチャー・ツアラー向け
長距離ツーリングをこなしながら多少のオフロードも走る「アドベンチャーバイク」には、4〜5mm厚のアルミ製が主流です。GIVIの「RP1191」は5mm厚アルミ製で、各車種専用設計のボルトオン仕様が多く、整備性が高いのが特徴です。走行距離が長いため、オイル交換のたびにアンダーガードを脱着しなくて済む「ドレンホール付き」モデルを選ぶことで、整備の手間を大幅に削減できます。
選び方の要点は走行スタイルを正直に見極めることです。「年に数回だけ軽い林道を走る」という使い方なら、価格が高く重い本格ガレ場仕様は必要ありません。適材適所の視点で選びましょう。
アンダーガードの取り付け自体は、基本的にボルト4〜6本で固定するだけです。専用品なら工具さえあれば初心者でも対応可能なケースがほとんどです。とはいえ、いくつかの注意点を守らないと、共振・振動・緩みといったトラブルの原因になります。
取り付けに必要な工具の例
- ソケットレンチ(車種ごとのボルトサイズに合ったもの)
- トルクレンチ(適正トルク管理のため推奨)
- 中強度のネジロック剤(緩み防止)
- 細めのワイヤーブラシ(取付面の清掃用)
取り付け手順のポイント
まず仮組みから始めることが大切です。いきなり本締めすると位置がずれた状態で固定されてしまいます。全てのボルトを仮止めしてから、プレート全体の位置を確認した上で「対角線順」に均等トルクで本締めしてください。これがプレートの歪みを防ぐ基本です。
付属のカラーとゴムブッシュを必ず使います。これが原則です。カラーは締結部の面圧を均一化し、ゴムブッシュは走行中の振動を吸収する役割を持っています。省略したり、古くなったゴムブッシュをそのまま使い続けると、高回転時に「ビビり音」や金属共振音が発生する原因になります。経年で硬化したブッシュは早めに交換しましょう。
走行1〜2回後の「増し締め点検」も忘れずに行いましょう。新品装着直後は、走行による「初期馴染み」が起きてボルトが少し緩む傾向があります。ネジロック剤との併用で長期間の緩み防止効果が高まります。
ドレンホールの有無を確認する
アンダーガードを装着した状態でオイル交換をする際、ドレンホール(排油用の開口部)がないモデルではオイル交換のたびにアンダーガードを脱着しなければなりません。これは意外と手間がかかります。オイル交換を頻繁に行うライダーや整備好きのライダーは、購入前に「ドレンホール付き」かどうかを必ず確認しましょう。
洗車・メンテナンス
走行後はアンダーガード内側に堆積した泥・砂利を洗い流すことを習慣にしましょう。内側に詰まった石が走行中に打音を発したり、局所的な摩耗を引き起こすことがあります。定期的な清掃で、パーツ本来の寿命を延ばすことができます。
Webike:XR230用アンダーガードのユーザーインプレッション(ドレンホール・取り付けの実例レポート)
アンダーガードのメリットはエンジン保護だけではありません。知っておくと損しない副次的な効果があります。一方で、デメリットについても正直に整理しておきます。
メリット
エンジン下部の保護という本来の目的以外に、転倒時の「引き起こしやすさ」が向上するというメリットがあります。これは意外ですね。アンダーガードを装着すると、転倒時にバイクと地面の間に隙間ができます。この隙間があることで腕を入れやすくなり、特に重量級のアドベンチャーバイク(200kg超)や体力に自信がない方にとっては引き起こしの難易度が大幅に下がります。
また、転倒時にライダーの足がバイクと地面の間に挟まるリスクを軽減する効果もあります。隙間が生まれることで、足を引き抜きやすくなるのです。それから、アンダーガードを装着したバイクはアドベンチャー感・武骨感が増し、ドレスアップ効果も期待できます。
初心者ライダーにとっては「転んでもエンジンが守られている」という安心感が生まれ、ライディングに余裕が出るという心理的効果も見逃せません。
デメリット
主なデメリットは以下のとおりです。
- 車両重量の増加:樹脂製で数百グラム、アルミ製で1〜3kg程度の重量が加わります。取り回しを重視する方には考慮が必要です。
- バンク角の制約:ガード自体が車体から張り出すため、コーナリング時に深くバンクするとアンダーガードが地面に擦れることがあります。特にアメリカンタイプで大型ガードを付ける場合は注意が必要です。
- アルミ製の騒音問題:アルミは音を反射しやすいため、装着後にエンジン音が大きく聞こえると感じる場合があります。これはブッシュの正しい装着とトルク管理で改善できます。
- 完全な保護は保証されない:あくまでダメージを「軽減」するパーツです。強い転倒ではエンジンやフレームにダメージが及ぶこともあります。
つまり、デメリットを上回るメリットが存在するパーツです。特に林道や未舗装路を走るライダーにとっては「付けない理由を探す方が難しい」レベルの必需品といっても過言ではありません。
Bike Life Lab:バイクのエンジンガード・アンダーガードのメリット・デメリットと選び方の徹底解説

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