

低速でもプロテクターなしの転倒で足首骨折は普通に起こります。
林道ツーリングを始めようとしたとき、「大きいバイクの方が安定するんじゃないか」と考えるライダーは少なくありません。しかし、これは林道においては真逆の発想です。
不安定な砂利や泥、岩のゴロゴロしたガレ場では、バイクの軽さがそのまま安全性に直結します。一般的な中型スポーツバイク(例:Ninja250やYZF-R25)でも車重は約170kgほどありますが、250ccのオフロードバイクの車重はだいたい140kg前後です。小型オフロードのKLX125に至っては112kgしかありません。コンビニ袋30個分くらいの差が、転倒時のバイクの起こしやすさや疲労感に大きく影響してくるのです。
軽いが基本です。
林道でバランスを崩したとき、140kgのバイクを片足で支えるのと170kgを支えるのとでは、体感的にまったく違います。アドベンチャーバイク(ホンダ アフリカツインやBMW GS系)は見た目はオフロード向きに見えますが、車重が230kg前後になる車種も多く、初心者が林道に持ち込むと取り回しで消耗しきってしまいます。
では、具体的にどんなバイクが初心者向けでしょうか? 代表的なのはヤマハ「セロー250」(生産終了・中古人気)やホンダ「CRF250L」、カワサキ「KLX230 SHERPA」などです。これらはいずれも250cc以下で、ハンドガードとアンダーガードが標準装備されているものも多く、そのまま林道デビューできる仕様になっています。
中古車を選ぶ場合は「製造年から5年以内・走行距離1万km以下」を目安にしましょう。電波が届かない山中でエンジンがかからなくなるリスクを少しでも減らすためです。年式が新しいモデルはほぼインジェクション式なのでキャブトラブルも起きにくく、安心感が段違いです。
林道初心者向けオフロードバイクの選び方(250cc以下がおすすめな理由)
「最初からフル装備にするのは大げさかな」と感じるライダーもいると思います。ただ、林道における怪我のリスクは、オンロードとはまったく異なります。
最も怪我をしやすいのは足首と膝です。低速(時速10〜20km程度)での立ちごけでも、バイクに足が挟まれた際にプロテクターがないと骨折に直結します。これはスピードの問題ではありません。足が滑りやすい地面・バイクの重さ・石やバイクのフレームとの挟み込みの3拍子が揃うことで、あっけなく骨折に至るのです。
| 装備 | 優先度 | おおよその費用 |
|---|---|---|
| オフロードブーツ(ロングタイプ) | 🔴 必須 | 2〜4万円 |
| ニーシンガード(膝〜脛まで) | 🔴 必須 | 5,000〜1.5万円 |
| 胸部プロテクター(CE規格) | 🔴 必須 | 1〜2万円 |
| オフロードヘルメット+ゴーグル | 🔴 必須 | 3〜7万円 |
| オフロードグローブ | 🟡 推奨 | 3,000〜7,000円 |
| レインウェア(透湿防水) | 🟡 推奨 | 1〜2万円 |
ブーツとニーシンガードのセットが命綱です。
特にニーシンガードは、膝だけを覆う薄いインナータイプではなく、膝から脛まである硬質プラスチック製のロングタイプを選んでください。オフロードブーツと組み合わせて使う前提で設計されており、下半身全体をユニットとして守る構造になっています。「膝プロテクター入りのジーンズ」や「街乗り用くるぶし保護シューズ」では代替になりません。
胸部プロテクターも見逃せない部分です。転倒しなくても、前走車が跳ね飛ばした石が胸に直撃することがあります。オンロード用のライディングジャケットに胸部パッドが入っていれば、初期はそれでも十分にスタートできます。
ヘルメットについては、オフロード専用品でなくてもフルフェイスなら使えますが、山の中での激しい動きで呼吸が苦しくなることがあります。口元が張り出したオフロードヘルメットは息を取り込みやすい設計になっており、長時間走るほどその違いが実感できます。なおヘルメットは「SG規格適合」の公道走行可能なものを必ず選びましょう。競技専用品は公道NGです。
「空気圧はメーカー指定値で走ればいい」と思っているライダーが多いですが、林道では事情が異なります。これはオンロードとオフロードで路面の性質がまったく違うからです。
舗装路向けに設定されたメーカー指定の空気圧(一般的に前後1.5〜2.0kgf/cm²程度)のまま砂利道に入ると、タイヤがカチカチに張った状態で岩の上を弾くように走ることになります。グリップが弱く、バイクが滑りやすくなるため転倒リスクが上がります。
空気圧を落とすのが原則です。
林道に入る前に、タイヤの空気圧を0.8〜1.2kgf/cm²(約80〜120kPa)まで下げるのが一般的です。これはもとの空気圧の約半分〜3分の2程度。タイヤが路面に「貼り付く」ようにたわみ、接地面積が広がることでグリップ力が向上します。感覚的には、タイヤを軽く指で押したときに少しへこむくらいが目安です。
ただし注意点があります。空気圧を下げすぎると(0.5kgf/cm²以下)、コーナリング時にタイヤがヨレて逆に不安定になるうえ、チューブタイヤの場合はリム打ちパンクのリスクも出てきます。
林道から出て一般道に戻る前に、必ず指定空気圧に戻しましょう。低圧のまま高速道路に乗ると、タイヤが発熱・変形して危険な状態になります。そのため、携帯ポンプとエアゲージをセットで持参するのが鉄則です。エアゲージは2,000円前後から手に入り、リュックに入れても邪魔になりません。
「どこに林道があるのかわからない」というのは、初心者が最初にぶつかる壁です。林道は交通量の少ない山奥にあることが多く、看板も目立たないため、知らないと入口さえ見つけられないことがあります。
代表的な探し方を3つ挙げます。まず1つ目は「ツーリングマップル」(昭文社)の活用です。ライダー専用の紙地図で、走り抜けられるダート林道が赤い破線で示されています。林道名とダート区間の距離が記載されているので、難易度の見当もつきます。初心者はダート区間が5km以内のフラットな場所から始めるとよいでしょう。
2つ目はGoogleマップのストリートビューです。ストリートビューの撮影車は砂利道に出くわすと引き返す特性があります。山奥でどん詰まっているストリートビューをたどっていくと、意外な場所でダート林道の入口を発見できることがあります。この方法は知る人ぞ知るテクニックです。
3つ目は「林道ツーリングガイドブック」などの専門書籍の利用です。実走取材に基づいた情報が掲載されており、アプローチ方法や路面の荒れ具合も記載されています。ただし、林道の状況は雨一つで大きく変わります。情報はあくまで参考として、現地では慎重に判断してください。
これが条件です。
林道では携帯電話の電波が届かないエリアも多くあります。オフラインで使えるナビアプリの「MAPS.ME」やツーリングマップルのアプリ版「Route! by ツーリングマップル」は電波なしでも地図が使えるため、出発前にダウンロードしておくと安心です。
装備とルートが揃っても、走り方を間違えると転倒リスクは上がります。林道では「オンロードと同じ走り方は通用しない」と認識しておくことが大前提です。
まずスピードについてです。林道の法定速度は場所によって時速20km前後に制限されていることが多いですが、それ以上に重要なのは「いつでも止まれる速度」で走ることです。見通しの悪い林道では、カーブの先に倒木、工事車両、ハイカー、さらには野生動物が突然いることがあります。ガードレールがない区間も多く、止まりきれなければ崖下に転落する危険もあります。
スタンディングで走るのが基本です。座ったまま走ると路面の凹凸がダイレクトに体に伝わり疲れやすく、バランスも取りにくくなります。ペダルの上に立つようにしてニーグリップでタンクを挟み、腕の力を抜いてハンドルに体重をかけないようにする走り方が、林道では圧倒的に安定します。
転倒は「起きるもの」と割り切って走ることも重要です。転倒したとき、バイクを巻き込んで倒すよりもバイクから離れて転がる方が怪我が少なくなります。焦って手をつくと手首骨折に直結するので、転ぶときは肩か腰から落ちるイメージで。これはオフロードライダーの基本的な「転び方」です。
初心者は経験者と一緒に走ることが理想です。ベテランのペースに無理に合わせる必要はありませんが、立ちごけ時にバイクを起こす手伝いをしてもらえること、万一の事故やバイクトラブルの際にサポートしてもらえることは、精神的な安心感として非常に大きいです。
一方でソロで行く場合は、「無事に帰ること」を行動の第一原則に据えてください。難しそうな区間は無理に進まず引き返す判断が、林道では最も賢い選択です。
クラッチレバーの予備1本は必ず携行しましょう。林道では立ちごけ程度でもレバーが根元から折れることがあります。クラッチが使えなくなるとその場で動けなくなるリスクが高く、スペアレバー1本とレバー交換に必要な工具があるだけで状況が一変します。事前に自宅で交換練習をしておくと、現地でパニックになりません。
安全な林道ソロツーリングの心得・転倒を防ぐ走行テクニック(ヤングマシン)

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