

JMCA認証なしのフルエキで走ると、違反点数2点を取られます。
バイクのマフラー交換を検討し始めると、まず目にするのが「フルエキ」と「スリップオン」という2つの言葉です。この違いをきちんと理解しておかないと、交換後に「思っていたのと違う」という結果になりかねません。
フルエキゾーストマフラー(フルエキ)とは、エンジンの排気口から出るエキゾーストパイプ(エキパイ)+集合管+サイレンサーまで、排気系全体をまるごと交換するタイプです。一方のスリップオンは、エキパイはそのままにしてサイレンサー部分だけを交換します。たとえるなら、スリップオンは建物のドアだけを取り替えるリフォームで、フルエキは玄関から廊下、ドアまで全部一新するフルリノベーションのようなイメージです。
つまり排気系全体を交換するのがフルエキです。
この構造の違いがそのまま性能差に直結します。スリップオンはサイレンサーのみの交換なので、音質・音量の変化や軽量化は体感できますが、エンジン特性の大きな変化は期待しにくいのが実情です。対してフルエキは、エキパイの径や長さ・集合方式まで変わるため、排気効率が根本から改善されます。結果として高回転域でのレスポンスが向上し、車種によってはパワーカーブ全体が変化する場合もあります。
パワーを求めるならフルエキが基本です。
価格面では、スリップオンが2万円〜10万円前後であるのに対し、フルエキは5万円〜20万円以上が相場です。さらに取り付け工賃も、スリップオンの5,000円〜12,000円前後に対してフルエキは8,000円〜24,000円前後と大きく変わります。高排気量のスポーツバイクではカウルやラジエーターまで脱着が必要になるケースもあり、工賃だけで総額が大幅に増えることを念頭に置いて予算設計するのが賢明です。
| 種類 | 交換範囲 | 価格目安 | 工賃目安 | 性能変化 |
|---|---|---|---|---|
| スリップオン | サイレンサーのみ | 2万〜10万円 | 5,000〜12,000円 | 音・軽量化中心 |
| フルエキ | エキパイ〜サイレンサー全体 | 5万〜20万円以上 | 8,000〜24,000円 | パワー・レスポンス・音すべて変化 |
バイク用マフラーの基本的な種類や交換時の選び方について、整備士監修の詳細情報が掲載されています。
バイク【マフラー交換】選び方や作業の注意点と工賃相場 – パッション横浜本店
フルエキを選ぶ際、性能と並んで重要なのが「素材」です。素材によって重量・耐久性・価格・見た目がまったく異なるため、自分の使い方に合ったものを選ぶことがポイントになります。
主な素材はステンレス・チタン・カーボンの3種類です。それぞれに特徴があります。
まずステンレス製は、3素材の中で最も手ごろな価格帯です。錆びにくく強度もあり、コストパフォーマンスに優れています。重量は純正鉄製よりは軽いものの、チタンやカーボンと比べると重め。日常的なツーリング用途や、初めてフルエキに挑戦するライダーに向いています。価格は3万円台から流通しており、入門ラインとして選びやすい素材です。
チタン製は軽さと高級感が最大の魅力です。純正の鉄製マフラーと比べると重量が約半分、車種によっては7〜8割の軽量化が実現できるケースもあります。ハンドリングの軽快さや車体バランスの改善を求めるライダーに人気があり、特に走りへのこだわりが強い中〜上級者に支持されています。ただし、使用年数が経過すると熱による硬化(焼き入れ状態)でクラックが入る可能性があり、排気漏れに発展するリスクがある点は知っておくべきです。クラックのサインは音の変化として現れることが多く、異音を感じたら早めに点検するのが賢明です。
クラックは早期発見が条件です。
カーボン製は現状では最も軽い素材で、主にサイレンサーのカバーや外殻に使用されます。カーボンクロスの織目による独特の外観は、見た目のカスタム感でも群を抜いています。ただし、繊維に対して直角方向の衝撃には弱いため、転倒時のダメージがチタンやステンレスより大きくなりやすい点がデメリットです。価格は3素材中で最も高価になる傾向があります。
素材の強度順は「チタン > ステンレス > カーボン」が目安です。ただし実際の耐久性は使用状況によって変わるため、走行スタイル・保管環境・予算を総合的に考慮して選ぶのがベストです。
「フルエキに替えたら走りが悪くなった」という声がネット上に散見されます。その原因の多くが、燃調(空燃比)のズレです。
現代のバイクはFI(フューエルインジェクション)仕様が主流で、純正ECUが吸気量と燃料噴射量のバランスを精密に管理しています。純正マフラーを前提に最適化されたこのセッティングは、フルエキに交換して排気効率が大きく変わると、最適状態からズレが生じることがあります。具体的な症状としては、低回転域でのトルク不足・アフターファイヤー(マフラーからのバックファイア音)・燃費の悪化などが挙げられます。
これが放置するとエンジンへのダメージになります。
対策として活用されるのが「サブコン(サブコンピューター)」です。純正ECUはそのままに、配線へ割り込む形で燃料噴射マップを補正できるデバイスで、代表的な製品にはPowaer Commander(パワーコマンダー)やFCR-miniなどがあります。ECUの書き換えに比べて費用が抑えられ、万一の際に純正状態に戻しやすいのがメリットです。
スリップオンであれば、エキパイの排気特性がほぼ変わらないため、現代の純正ECUが持つO2センサーによる自動補正(クローズドループ制御)でカバーできるケースが多いです。一方フルエキは排気系全体が変わるため、特に4気筒以上の高排気量車ではサブコンまたはECU書き換えを検討することが推奨されています。費用の目安はサブコンが2万〜4万円程度、ECU書き換えが3万〜8万円程度です。
フルエキ導入時はセッティングもセットで考えるのが原則です。
マフラー交換と燃調の関係について、バイク向けに詳しく解説されている記事です。
マフラー交換などのカスタムで、キャブセッティング変更が必要なのはどんな場合? – ヤングマシン
フルエキへの交換で見落とされがちなのが、法規制への対応です。これを軽視すると、車検の不合格だけでなく、公道走行中の取り締まりで直接ペナルティを受けることになります。
JMCA(全国二輪車用品連合会)が認証したマフラーには、所定の騒音基準と排ガス基準を満たした証明として「JMCAプレート」が付いています。このプレートがないマフラーを装着して公道を走ると、道路交通法の「整備不良(消音器不備)」に該当し、違反点数2点・反則金7,000円(二輪)が科せられます。さらに悪質と判断された場合は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が課される場合もあります。
反則金だけでなく点数も消えない点が痛いところです。
また、JMCA認証プレート付きでも、年式や適合車種が合っていなければ意味がありません。近年の騒音規制は段階的に厳しくなっており、平成22年規制車では二輪自動車の近接排気騒音基準が94dBに設定されています。さらに注意が必要なのは「相対値規制」で、新車時の近接排気騒音が89dBを超える二輪自動車に対してアフターマフラーを使用する場合、新車時の値に対して一定量以上の騒音増加が認められなくなっています。
もう一つ見落とされやすい落とし穴が、消音材の経年劣化です。新品時はJMCA認証を通過していたフルエキでも、グラスウールなどの消音材が劣化・減少することで、数年後には近接排気騒音が基準を超えてしまうケースがあります。車検のたびに「前回は通ったのに今回は通らない」という事態を防ぐためにも、消音材の定期的な確認・交換が必要です。
JMCA認証の確認と消音材管理が条件です。
JMCA認証マフラーの法的な意味と車検時の音量基準を詳細に解説しています。
近接排気騒音相対値規制導入 – JMCA 全国二輪車用品連合会
マフラー騒音違反の罰則・反則金・違反点数について、ライダー向けに具体的にまとめられています。
バイク車検に通るマフラー音量は?年式別の基準や静音対策 – motobacks
フルエキ交換をDIYで行うライダーも少なくありません。「工賃を節約したい」という気持ちは当然ですが、実際には交換後の二次費用が膨らんでしまうケースが一定数あります。ここでは、他の記事ではあまり取り上げられていないDIY交換での現実的なリスクを3点整理します。
① スタッドボルトの折れ込みによる修理費の発生
エキパイをエンジンに固定しているスタッドボルトは、高温と錆びにより焼き付いていることが多いです。無理に外そうとすると折れてしまい、折れ込んだボルトの除去はプロ工賃とは別に「ボルト抜き作業費」として5,000円〜3万円以上かかる場合があります。最悪の場合はエンジンヘッドの加工・交換が必要になり、修理費がマフラー本体を上回ることもあります。スタッドボルトを外す際は、焼き付き防止剤(スレッドコンパウンドやカッパーグリス)を必ず使うことと、熱を加えてから外す手順を守るのが原則です。
② ガスケットの交換忘れによる排気漏れ
フルエキ交換時にガスケット(エンジン排気口とエキパイの接合部のシール材)を再利用してしまうと、排気漏れが発生することがあります。排気漏れは走行性能の低下だけでなく、一酸化炭素の漏れという安全面のリスクにも直結します。ガスケットの単価は数百円〜2,000円程度で決して高くないため、フルエキ交換のたびに必ず新品に換えるのが基本です。
排気漏れは必ず新品ガスケットで防ぐことが基本です。
③ 新品マフラー表面への不要な焼け色
交換作業後にエンジンを始動するとき、マフラー表面に手の油分・指紋・梱包材の残りカスが付着したままだと、初回の熱入れで変色・焼け色が定着します。特にチタン製は熱による変色が顕著で、せっかくの新品が初日から見た目を損ねてしまう結果になります。エンジン始動前にパーツクリーナーで表面を丁寧に脱脂する、この一手間を惜しまないことが長く綺麗に使うコツです。
DIYで節約したつもりが、後から5万円以上の修理費が発生した—というのはバイクカスタムの世界では珍しくない話です。作業に自信がない場合は、工賃をショップに支払ってでも確実な施工を選ぶ方が、トータルコストで見て安心です。これは使えそうです。

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