スリップオンマフラーとバイクの選び方と交換の注意点

スリップオンマフラーとバイクの選び方と交換の注意点

スリップオンマフラーとバイクの選び方・交換で知っておくべきこと

JMCA認証マフラーでも、使い続けると消音材の劣化で車検に落ちて違反点数2点が加算されます。


この記事でわかること
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スリップオンマフラーとは?

サイレンサー部分だけを交換する手軽なカスタム方法。フルエキとの違いや効果・限界を正確に理解できます。

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素材と車検の選び方

チタン・カーボン・ステンレスなど素材ごとの特徴とJMCA認証・騒音規制のポイントを解説します。

⚠️
交換時に見落としがちな注意点

「車種専用なのにエラーが出た」「JMCA認証なのに車検に落ちた」、そういったトラブルを未然に防ぐ知識が身につきます。


スリップオンマフラーとバイクのフルエキの違いと効果の実態


スリップオンマフラーとは、バイクの排気系のうち「サイレンサー(消音器)」部分だけを交換するタイプの社外マフラーです。エキゾーストパイプ(エキパイ)はノーマルのまま流用するため、取り付けが比較的簡単で、バイクカスタムの入門パーツとして根強い人気があります。


一方、フルエキゾースト(フルエキ)はエキパイからサイレンサーまですべてを交換するタイプで、排気効率の根本的な改善が期待できます。この構造の違いが、性能変化の幅に大きく影響します。


バイク屋のライダーたちが口をそろえて言うのが、「スリップオンだけでのパワーアップはほぼ体感できない」という事実です。マフラーメーカーの謳い文句に「全域でトルクアップ」と書かれていても、スリップオンタイプでは純正エキパイが排気の流れを制限しているため、劇的な変化は期待しにくい。これは知っておくべき現実です。


では、スリップオンに交換してもまったく意味がないのかというと、そうではありません。意外と体感しやすい変化として挙げられるのが「軽量化」です。


たとえばCB1300スーパーフォアのような2本出しマフラーのバイクで、カーボン製スリップオンに交換すると、左右合わせると純正比で数キロ単位の軽量化が可能です。車体後部が軽くなることで、コーナリング時の取り回しに差が出ることをライダーが実感するケースは少なくありません。軽量化の効果は大きいです。


もう一つの大きな変化は「音質」と「見た目」です。スリップオンの主目的は、実はほとんどこの2点に集約されます。純正マフラーは隔壁構造で消音性を優先した設計ですが、社外品はストレート排気構造が多く、排気音に迫力が増します。「走るたびにエンジン音が楽しみになった」というライダーが多いのも、この音質変化が理由です。







































項目 スリップオン フルエキゾースト
交換部位 サイレンサーのみ エキパイ+サイレンサー
価格目安 1〜8万円台〜 5〜20万円超
取り付け難度 低め(DIY可) 高め(専門店推奨)
パワーアップ 限定的 比較的大きい
軽量化 素材次第で可能 大きく軽量化可能
音質・見た目変化 十分な変化あり 大きな変化あり


まとめると、スリップオンはドレスアップと音質変化、軽量化を手軽に楽しむためのカスタムというのが正確な位置づけです。「性能を劇的に上げたい」という目的なら、フルエキとキャブインジェクションのセッティング変更まで含めて検討することをおすすめします。


スリップオンマフラーの素材をバイクのスタイルで選ぶ方法

スリップオンマフラーを選ぶ際、見た目や価格だけで決めてしまうと「思ったより重かった」「思ったより音が違った」という後悔につながります。素材ごとに重量・音質・耐久性・価格が大きく異なるため、自分の乗り方と目的に合わせて素材から絞り込むのが正しい順序です。


チタンは、重量・強度・耐熱性のバランスに最も優れたプレミアム素材です。走行熱で青や紫、金色に変化する「焼けチタン」の美しさに魅せられるライダーが多く、スーパースポーツや大型バイクとの相性が抜群です。音質は中低音寄りで締まりがあり、長距離ツーリングでも耳に優しい特性があります。ただし加工が難しいため価格は高め(8万円超〜)で、万一クラックが入った場合のリペアも容易ではありません。


カーボン(カーボンファイバー)は、素材の中で最も軽量という点が最大の強みです。同サイズのステンレス製と比べて半分以下の重量になることもあり、取り回しやコーナリングを重視するライダーには魅力的な選択肢です。中高音域の抜けが良く、乾いたスポーティサウンドを好む人に向いています。ただし紫外線による劣化があるため、屋外保管が多いライダーには注意が必要です。これは意外な弱点ですね。


ステンレスは、コストと耐久性のバランスが最もよい定番素材です。錆びにくく、雨天走行の多いライダーや通勤用バイクにも向いています。価格帯も3〜6万円台が多く、最初のスリップオン交換に選ぶ人が多い素材でもあります。音質はやや落ち着いた低音系で、派手さは控えめです。


アルミは軽量性とコストパフォーマンスを両立した素材で、オフロードバイク向けに使われることが多いです。音質は高音傾向で、シャープでキレのあるサウンドが特徴です。耐熱性や耐腐食性がやや劣るため、長期間使用すると表面が変色することがあります。定期的なメンテナンスが条件です。


スチール(鉄)は、クラシックバイクや旧車に似合う重厚感のある外観と独特の音質が魅力です。錆びやすいというデメリットがある反面、価格はリーズナブルで、レトロな雰囲気を重視するライダーには選択肢の一つになります。



  • 🏍️ ツーリング中心・長距離派 → チタン(軽量×高耐久×音質良好)

  • 🏎️ スポーツ走行・見た目最優先 → カーボン(最軽量×レーシーな見た目)

  • 🌧️ 通勤・雨天走行が多い実用派 → ステンレス(耐腐食×コストバランス)

  • 🏕️ オフロード・ダート走行派 → アルミ(軽量×コスパ良好)

  • 🎸 旧車・クラシック愛好派 → スチール(重厚感×レトロサウンド)


マフラーの音質は、素材だけでなく形状(ストレート構造か隔壁構造か)や開口径にも影響されます。重低音が好みなら、チタンまたはカーボン製で内径の大きめのモデルを選ぶと狙ったサウンドに近づきやすくなります。素材と形状の両方を見るのが基本です。


スリップオンマフラーのバイク車検・JMCA認証と騒音規制の正しい知識

スリップオンに交換する際、多くのライダーが「JMCAプレートさえついていれば安心」と思いがちです。しかし実際には、JMCA認証品でも車検を通らないケースが2つ存在します。これを知らずに中古マフラーを購入すると、思わぬ出費と手間が生じます。


① 消音材の劣化による音量オーバー


サイレンサー内部のグラスウール(消音材)は、走行を重ねるうちに少しずつ劣化・圧縮します。新品時にはJMCA基準をクリアしていたマフラーでも、数年使用すると音量が基準値を超えてしまい、車検ラインで不合格になるケースがあります。


バイクの車検では、検査員が1台ずつ近接排気騒音をデシベル計で測定します。「JMCAプレートがある=無条件にパス」ではないのです。特に中古でマフラーを購入する際は要注意で、フリマサイトで安く売られているマフラーの中には、消音材劣化で車検に通らなくなったために売りに出されたものが含まれている可能性があります。これは痛いですね。


② 対応年式のズレ


同じ車名・同じ見た目のバイクでも、製造年式が1年違うだけで内部の排ガス触媒やO2センサーの有無が異なることがあります。年式に対応していないマフラーを取り付けると、エラーランプが点灯したり、排ガス試験に通らないトラブルが起きます。


「車種専用品だから大丈夫」と思っていたのに、年式が合っていなかったというミスは実際に多く報告されています。購入前に必ず「車名・型式・年式」の3点を確認するのが原則です。


また、2010年(平成22年)4月1日以降に生産されたバイクについては、加速走行騒音基準の適合が義務化されています。この年式以降のバイクにスリップオンを装着する場合は、JMCA認証マフラーでないと車検を通すことができません。


騒音規制違反の罰則も把握しておきましょう。
























違反の種類 罰則内容 違反点数
消音器不備(整備不良) 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金 2点
騒音運転等(空ぶかし等) 反則金6,000円(二輪) 2点
不正改造(マフラー切断等) 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金


整備不良で摘発された場合、15日以内に整備して車検を受けなければ、さらにナンバープレートや車検証の没収という事態になります。違反点数2点は免許の累積にも影響しますので、軽視できません。


合法的にスリップオンを楽しむには、JMCA認証マフラーを新品で購入し、自分のバイクの年式に対応しているものを選ぶのが最も確実な方法です。JMCA認証が条件です。


参考:バイクの騒音規制・消音器不備の罰則についての公式情報(警視庁
警視庁:交通違反の点数一覧表|消音器不備は2点


参考:JMCA認証の仕組みと加速走行騒音規制についての詳細
JMCA 全国二輪車用品連合会:騒音規制値について


スリップオンマフラーのバイクへの取り付け手順と見落としやすいポイント

スリップオンの大きな魅力の一つは、バイクの整備に慣れたライダーであればDIYで交換できる点です。ただし、手順を間違えると排気漏れや振動による緩みが発生するため、正しい順序で作業することが重要です。


基本的な取り付けの流れは次のとおりです。



  1. 🔩 エンジンが完全に冷えた状態で作業を開始する(熱いマフラーへの接触によるやけど防止)

  2. 🔩 純正サイレンサー側のボルト・バンドを緩めて取り外す

  3. 🔩 接続部のガスケットを確認し、劣化していれば新品に交換する(再利用による排気漏れ防止)

  4. 🔩 新しいスリップオンを仮組みし、位置・角度を調整する

  5. 🔩 カウルタンデムステップ、ナンバープレートとの干渉がないか確認する

  6. 🔩 メーカー指定のトルクで本締め(過不足なく)する

  7. 🔩 エンジンを始動して排気漏れ・異音がないかチェックする


取り付けで特に見落とされやすいのが「ガスケットの再利用」です。エキパイとサイレンサーの接続部には、排気漏れを防ぐためのガスケットが使われています。純正マフラーを外す際にガスケットが傷むことがあり、そのまま再利用すると排気漏れが発生します。排気漏れは音量増加(=騒音規制違反リスク)とトルク低下の原因になるため、できるだけ新品に交換するのが鉄則です。


もう一つの注意点は、マフラーの熱が周囲のパーツに影響しないかの確認です。社外スリップオンは純正品より排気温度が高くなることがあり、隣接するナンバープレート、ウインカー、リアフェンダーなどに熱ダメージを与えることがあります。取り付け後、数回走行してから熱変色や変形がないか点検する習慣をつけましょう。


DIYに不安がある場合は、バイク用品店に持ち込んでプロに取り付けてもらうのも賢い選択です。工賃の目安は5,000〜15,000円程度で、安心を買えると考えれば決して高くはありません。これは使えそうです。


参考:社外マフラーの取り付け時の注意点と消音材の仕組みについて
元バイク屋が解説|社外マフラーの謎・交換で後悔しないために


スリップオンマフラーのバイクへの独自視点:消音材のリパッキングで寿命を延ばす方法

スリップオンマフラーを使い続けるうちに、音が大きくなってきたと感じたことはないでしょうか。これはサイレンサー内部のグラスウール(消音材)が劣化・圧縮したサインです。消音材が機能しなくなると騒音規制違反リスクが高まるだけでなく、中高音域の耳障りな音が増えて快適性も低下します。


多くのライダーはこの段階でマフラーごと買い替えを考えますが、実は「リパッキング(消音材の詰め替え)」を行うことで、大幅なコスト節約が可能です。この点は意外に知られていません。


リパッキングの費用は、材料費だけなら1,000〜3,000円程度です。専用のグラスウールマットがバイク用品店やネット通販で販売されており、マフラーを分解して古い消音材を取り出し、新しいものを巻き直すだけで作業は完了します。


リパッキングの目安時期の参考指標:



  • 🔊 排気音が明らかに大きくなってきた

  • 📅 走行距離が1万〜2万km以上に達した

  • 🔍 サイレンサーの出口からグラスウールの繊維がわずかに見える

  • ⚠️ 車検前に音量をチェックしたら基準値ギリギリだった


ただし、サイレンサーの構造によってリパッキングが難しいモデルも存在します。エンドキャップが溶接で固定されているタイプは分解できず、バイク用品店にリパッキングを依頼するか、サイレンサーの交換が必要になります。購入前に「リパッキング対応か」を確認しておくと、長期的なコストを抑えられます。


また、リパッキングのついでにサイレンサー内部の焼け汚れや錆も清掃すると、排気の流れが改善されてサウンドがさらにクリアになります。年に1度の定期整備として取り入れるとよいでしょう。定期的なメンテが基本です。


チタン製スリップオンは高価なマフラーだからこそ、リパッキングで長く使い続けることがコストパフォーマンスの面でも理にかなっています。8万円以上するチタン製スリップオンを3〜4年で廃棄するよりも、2,000円のグラスウールで復活させる方が賢明なのは明らかです。


参考:マフラーのリパッキングの方法と素材の違いについて
Webike News|チタン?カーボン?ステンレス?マフラーの材質の特長について




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