

エキパイに触れた瞬間に3度熱傷になります
バイクの排気ガスは想像以上の高温になります。エキゾーストパイプのエンジン付近では700~800℃、排気ガス自体も最高730℃まで上昇することが確認されています。この温度は、一般的な家庭用オーブンの最高温度(約250℃)の3倍以上です。
参考)バイクのエキゾーストパイプは通常運転でどのくらいまで温度が上…
町乗りでも500~600℃程度まで上がります。レースなどで全開走行を続けた場合、表面温度は600~700℃に達し、ターボ車では1000℃近くになることもあります。
つまり常に高温状態です。
この熱は排気管を通過する間に徐々に下がっていきます。マフラー出口付近では触媒を通過後、60℃以下まで低下しますが、それでもエンジン停止後しばらくは熱を持ち続けます。特にツーリングモデルでは触媒が太もも付近に配置されているため、ライダーの右脚が熱くなりやすい構造になっています。
参考)ツーリングモデルは右脚が熱い!マフラー交換で軽減!ハーレーの…
排気ガスが高温になる理由は、燃焼室内で400~600℃の高温ガスが生成されるためです。2ストロークエンジンでは混合気の燃焼が圧縮行程と作動行程で同時に発生するため、排気温度が特に高くなります。
参考)ガソリン 2 サイクル エンジンの排気温度は何度ですか? -…
エキゾーストパイプやマフラーに触れると、深刻な火傷を負うリスクがあります。実際の事例では、バイクで転倒してマフラーの下敷きになった39歳男性が、ふくらはぎに3度熱傷を負いました。この患者は自力で脱出できず、助けが来るまで高温のマフラーに接触し続けた結果、通常なら皮膚移植が必要なレベルの重症となっています。
3度熱傷は皮膚の全層が損傷する状態です。
夏場は特に危険で、真夏のエキゾーストパイプは数百度になることもあります。乗り降りの際やバランスを崩した際に誤って触れると、一瞬でもひどい火傷になってしまいます。地肌が露出していると、高温部分に触れた瞬間に受傷するためです。
参考)夏のバイクは火傷に注意!熱くなりやすいポイントは(バイクのニ…
対策としては、地肌の露出を避けることが基本です。レザー製のウェアや厚手の生地を着用すれば、衣類を一枚隔てるだけで火傷しにくくなります。また、マフラー側に布製のヒートシールドを取り付ける方法も効果的です。金属製のものはマフラーの熱ですぐに熱くなってしまうため、布製がおすすめです。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/491/
もし火傷してしまった場合は、すぐに流水で冷やす応急処置を行い、必ず病院で医師の診察を受けてください。火傷は深さによって深刻なダメージになるため、自己判断は禁物です。
参考)昨日バイクのマフラーに手が当たってしまい火傷しました。病院に…
バイクが走行すると、排気ガスだけでなくタイヤとブレーキも熱を帯びます。
これは摩擦による物理現象です。
タイヤがグリップ力を発揮するためには路面との摩擦が必要で、この摩擦によって摩擦熱が発生します。特に駆動輪である後輪は常に路面を蹴り続けており、駆動力がかかると後輪の荷重が増えるため路面との摩擦が増え、温度が高くなります。
参考)走行するバイクをサーモグラフィーで撮影したら?「エンジンだけ…
ブレーキはさらに顕著です。
ブレーキの温度上昇は、バイクの運動エネルギーを熱エネルギーに変換する物理現象によるものです。ディスクブレーキではパッドとローター、ドラムブレーキではライニングとドラム内壁の摩擦によってタイヤの回転力を落とします。ストップ&ゴーを繰り返すと、ブレーキをかける頻度が多くなり、温度がさらに上昇します。
フロントブレーキをかけて前輪に荷重がかかる場合、パッドとローターの摩擦が大きくなるだけでなく、タイヤのトレッドと路面との摩擦も増えるため、両方の温度が上がります。サーモグラフィーカメラでの計測により、走行中は前後のブレーキとタイヤが明確に温度上昇していることが確認されています。
過度な温度上昇は「フェード現象」や「ベーパーロック現象」を引き起こす危険があります。フェード現象はブレーキパッドが過熱して摩擦係数が低下し、ブレーキが効かなくなる状態です。ベーパーロック現象は、ブレーキフルードが沸騰(200℃以上)して気泡が発生し、ブレーキ圧力を吸収してしまうことでブレーキが効かなくなります。
参考)バイクのブレーキが突然効かなくなる?!フェードとベーパーロッ…
バイクのエンジンは、ガソリンのエネルギーをどれだけ動力に変換できるかを示す「熱効率」という指標があります。実は、最も熱効率が良いとされるHONDAシビックのハイブリッドエンジン(最大熱効率41%)でさえ、ガソリンの半分以上は動力に変換されていません。つまり、燃料の約6割は熱として排出されているということです。
バイクはさらに効率が低いです。
CB400の場合、燃料消費率は国土交通省届出値で31.0km/L(60km/h走行時)、WMTCモード値では21.2km/Lとなっています。この数値から逆算すると、熱効率はさらに低いことがわかります。
エンジンの熱効率を上げるためには、いくつかの対策があります。圧縮比を上げると熱効率は向上しますが、ノッキングが発生しやすくなるため、燃焼室形状や冷却性の最適化が必要です。HONDAは「アトキンソンサイクル」という技術を開発し、12.2:1の圧縮比に対して膨張比を17.6:1まで拡大させることで、少ない燃料から最大限のエネルギーを得ることに成功しました。
また、ノッキングの発生を防ぐために燃焼室壁面の冷却性を確保することも、熱効率を上げるための重要な対策です。冷却EGRや筒内燃焼の最適化(ガス流動)によって、エネルギーのロスを軽減することが可能です。
バイクの暖機運転は、エンジンやオイルが適切な温度に達していない状態で走行することを避けるために行われます。特にキャブレター車では、気温が低いと空気の密度が高くなり、純粋な物理現象によって混合ガスの濃度が変化します。このため、冬場は暖機運転がより重要になります。
参考)【Q&A】走る前の「暖機」は必要?不要?【バイクトリビア01…
適切な温度域が性能の鍵です。
バイクは適切な温度域に達してこそ性能を発揮できる部分があります。エンジンまわりはもちろん、ブレーキやタイヤもその例です。これらの3つは温度の上昇幅が大きく、走り出してすぐにアクセルを全開にすると、タイヤが適温に達していないため転倒のリスクがあります。
暖機をせずに走行すると、エンジンオイルの粘度が高い状態で各部に負担がかかり、エンジンの寿命を縮める可能性があります。また、混合ガスが適正でない状態で走行すると、燃焼効率が悪くなり、エンジンに不要なストレスを与えます。
現代のインジェクション車では、ECU(エンジン制御ユニット)が自動で混合比を調整するため、キャブレター車ほど神経質になる必要はありません。それでも、エンジンオイルやその他の潤滑油が適温に達するまでは、急激な加速や高回転での走行は避けるべきです。
暖機運転の目安としては、水温計がある場合は正常範囲に入るまで、ない場合はアイドリングで1~2分程度待つのが基本です。その後も最初の数kmは控えめな走行を心がけると、エンジンやその他のパーツへのダメージを最小限に抑えられます。
夏場の炎天下や渋滞時に脚が熱くて我慢できない場合、マフラーの熱対策が必要です。特にフルカウルのバイクは排熱的に超不利で、走っていることが前提の設計になっています。フルカウルのバイクで渋滞にはまると、冷却方式に関係なくメチャメチャ熱くなります。
対策は大きく2種類あります。
1つ目はサーモバンテージ(マフラーバンテージ)です。これはエキゾーストパイプに巻きつける耐熱性の帯で、1200℃まで耐えられる製品もあります。サーモバンテージを巻くことで、マフラー表面からの放熱を抑え、ライダーへの熱の伝わりを軽減できます。さらに、排気ガスの熱を保持することで排気効率が向上し、わずかながらパワーアップも期待できます。
参考)マフラーバンテージ サーモバンテージ 耐熱 1200℃ 50…
2つ目はヒートシールドです。これはマフラーとライダーの脚の間に取り付ける遮熱板で、直接的に熱の伝達を遮断します。金属製と布製がありますが、金属製はマフラーの熱ですぐに熱くなってしまうため、布製のヒートシールドがおすすめです。
ツーリングモデルで特に熱が気になる場合は、触媒無しのエキゾーストに交換する方法もあります。触媒は排気ガスを浄化する際に非常に高温になり、冷めにくい特性があります。触媒がサイレンサー部分(後ろの方)にあるスポーツスターやソフテイルは気になりませんが、ツーリングモデルは触媒がちょうど太ももの位置にあるため、エンジンを切ってもしばらく熱いです。
マフラー交換の際は排気効率の向上も見込めますが、保安基準に適合した製品を選ぶ必要があります。また、定期的なメンテナンスで排気系統の詰まりやエンジンのオーバーヒートを防ぐことも、熱対策として重要です。
バイクの熱に関する詳しい解説はこちら
マフラー温度と熱対策の具体的な方法はこちら

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