

前輪ブレーキだけで急停止すると、あなたは前方へ投げ出されます。
慣性の法則は、ニュートンが定義した運動の第一法則です。止まっている物体は力を加えない限り止まり続け、動いている物体は力を加えない限り動きを続けるという性質を表します。バイクに乗ると、この法則が常にライディングに影響を与えているのです。
これが基本です。
バイクを走らせることは物体を運動させることですから、バイクの走りはニュートン力学の法則にしたがいます。例えば、時速30km/hで巡航している場合、もし空気抵抗と路面との摩擦がまったくなければ、いったん加速したらあとはペダルを漕がなくても慣性でそのまま巡航できるはずです。
参考)ロードバイクと慣性の法則 (1) - ロードバイクの理科的考…
実際の走行では空気抵抗が存在します。
体重とバイクの質量が大きいほど、慣性質量が大きくなります。慣性質量が大きいと、空気抵抗力の影響を受けにくいため、平地の定速巡航時にはライダーはより小さな力で速度を維持できるのです。
急ブレーキをかけると、バイク本体は減速しますが、ライダーの身体は元の速度を保とうとして前方に移動し続けます。時速20kmで走行中に急ブレーキをかけた場合、前輪が急停止すると同時に、ライダーの体重が前輪を支点として前方に倒れ込む力が働くのです。
参考)自転車の急ブレーキで前転する原因とは?|危険な事故を防ぐ正し…
前方投げ出しが起こるということですね。
前輪ブレーキは動いているものを制止させる働きが非常に強く、急ブレーキをかけると慣性の問題によりドライバーが前方に投げ出されたり、タイヤがロックし転倒につながったりする恐れがあります。フロントブレーキを強くかけ過ぎると慣性が働いてライダーが前方に放り出されてしまうため、かけすぎないことが大切です。
参考)https://www.zurich.co.jp/motorbike/guide/cc-whatis-lessons-types/
ライダーは耐えるために腕を突っぱねて慣性に耐えることになります。
参考)https://www.goobike.com/magazine/knowledge/beginner/22/
そうなるとバイクが前のめりとなり、最悪の場合は前に投げ出されることもあるのです。急制動の時は腕をリラックスしておくほうが良いのですが、難しい場合もあります。
安全な急ブレーキには前後ブレーキの適切な配分が必要です。初期制動ではリアブレーキで速度を落とし始め、その後フロントブレーキを段階的に強めていきます。緊急時の配分比率はフロント6:リア4が理想的とされています。
二輪車のブレーキのかけ方や種類 - チューリッヒ保険会社
ブレーキの種類と正しいかけ方について詳しく解説されており、安全な制動技術の参考になります。
旋回時には重心の他に遠心力という力が働きます。ライダーはコーナーの内側に向けて車体を倒していくので、重心も内側に移動します。接地線からずれるとバイクは転倒するはずですが、旋回中は遠心力が働くので遠心力と釣り合った状態で車体は安定して、コーナーを抜けていくことができるのです。
参考)バイクの走行性能【No.1】〜二輪車が走る為の基本と慣性力〜…
つまり力のバランスです。
車速に対してバイクを倒し過ぎれば、遠心力と釣り合わずに内側に倒れます。逆に倒し込みが浅いとコーナーの外側に膨らんでいってしまうでしょう。物体がカーブを曲がるとき、外側へ飛び出そうとする力(遠心力)が働きます。
参考)肘が地面に!?バイクの衝撃動画から学ぶ「遠心力」の凄まじさ …
スピードが出れば出るほど、そしてカーブが急であればあるほど、この力は強くなります。
コーナリングスピード、バンク角、遠心力(コーナリングG)の3つを、うまくバランスをとっていくことが大事です。コーナーRに対してコーナリングスピードが低いのにバンクさせても、遠心力が働かないから成り立ちません。
参考)https://ameblo.jp/hizasuri-riding/entry-11984857366.html
バイクを傾けて遠心力に身を任せる状態が二次旋回です。フロントタイヤにしっかりと荷重をした後、フロントブレーキをリリースしてタイヤのグリップ力を100%旋回力に使う状態にします。バンクしてコーナリングするから遠心力が働き、シートからもタイヤを路面に押しつける方向で荷重されるため、タイヤのグリップ力も引き出せるのです。
慣性質量とは、静止時の重さである「質量」に対し、動いている時の重さを指します。車の前後重量バランスが50:50でも、部品が重心から離れていたり、前後端に偏って配置されていると、慣性質量が大きくなり、回頭性(操縦安定性)が悪化します。
参考)クルマの動きを決める「慣性質量」とは? - クルマの大辞典
これは重要なポイントですね。
同じ1kg減らすにしても、慣性質量に影響する部品を軽くする方が、加減速性能の向上、振動や騒音の低減に効果的です。慣性質量が小さいほど、少ない力で動かすことができるため、エンジンやモーターの負担を減らし、燃費向上につながります。
バイクの走行性能を考える際に重要なのが3つの車体慣性です。
ロール慣性は、バイクを正面に見た時、タイヤの接地点を軸にした左右に触れるときの慣性力をいい、これが大きいと切り返しが重くなってしまいます。ヨー慣性は、バイクを真上から見たとして、車体の重心を中心として回転する時の慣性力をいい、バイクが旋回する時の回頭性(ハンドルを切った時の向きの変えやすさ)に影響してきます。ピッチング慣性は、バイクを真横から見た時、車体の重心を中心としてバイクの前後が上下にふれるときの慣性力を言い、主にバイクの乗り心地に影響します。
体重が重いとタイヤへの負荷が増加し、通常より早く摩耗する傾向があります。ブレーキ時の摩擦力が大きくなり、タイヤの寿命が短くなるため、タイヤ交換が早まる可能性が高いです。
参考)原付に体重制限はある?100kg以上の人が乗車するリスクと対…
バイクに乗る際、慣性の法則とブレーキの関係を理解することは非常に重要です。この理解に基づいた正しいブレーキの使用法を身につけることで、事故のリスクを減らし、より安全にバイクを楽しむことができます。
参考)慣性の法則と自転車ブレーキの関係 - 50th linlyn…
日頃からの練習が欠かせません。
適切なブレーキのかけ方を練習し、万が一の状況に備えましょう。片手での急制動練習は、慣れないと前方へ体が投げ出されてしまいそうになりますから、十分に注意をしつつ初めはゆっくりめのスピードから始めることが推奨されます。
ブレーキング中は重心移動が発生します。
急ブレーキをかけると、慣性の法則によって車体は前方に進もうとする力が働き、前輪への荷重が増加します。一気にブレーキペダルを戻すとフロント荷重が抜けてしまい、前輪のグリップが不足してアンダーステアになります。
参考)ブレーキングによる適切な荷重移動でコーナリング速度を向上させ…
前後ブレーキを同時に使い、慣性の影響を考慮した上で、適切なバランスで減速します。
コーナリング時の安全運転では、ブレーキングしながらコーナーに進入する場合、前方向に荷重がかかった状態で遠心力が加わります。その遠心力を打ち消す為にはバイクを傾ける必要があり、さらに前方向へ荷重がかかり過ぎない様にブレーキ力を弱める必要と体が前のめりにならない様に頭を起こす必要もあります。
スリップダウンを避けるには、バンキング中にフロントブレーキを握り過ぎないことが重要です。
初心者の方は特にこの点に注意しましょう。
バイクの急ブレーキ・急制動のコツ - グーバイク
急制動時の正しい体勢とブレーキング技術について、実践的なアドバイスが掲載されています。