

MotoGPマシンは公道走行禁止です。
MotoGPは、国際モーターサイクリズム連盟(FIM)が公認する世界最高峰のバイクレースです。1949年にスタートしたFIMロードレース世界選手権の最高峰クラスとして、世界一のライダーを決定する選手権になります。2001年までは500ccクラスという名称でしたが、2002年から現在のMotoGPという名称に変更されました。
世界各国のトップレーサーが集まります。
レギュレーションの範囲内であれば自由に開発できるため、激しい開発競争が繰り広げられています。ホンダやヤマハといった日本メーカーがワークスチームとして参戦し、最先端技術を投入しているのが特徴です。四輪モータースポーツにおけるF1と同様に、二輪モータースポーツではMotoGPが頂点に位置するカテゴリです。
スペインのDorna Sports(ドルナ・スポーツ)がFIMロードレース世界選手権を統括し、商用権やテレビの放映権などを管理しています。日本では毎年モビリティリゾートもてぎで日本グランプリとして開催されており、国内のバイクファンにとって最大のイベントになっています。
MotoGPクラスのマシンは排気量1000cc、4ストローク4気筒エンジンを搭載しています。これは3つのクラスの中で最大の排気量であり、最もパワフルなマシンが走るカテゴリです。ただし2027年からは新レギュレーションが導入され、排気量が850ccに変更される予定になっています。
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各クラスの排気量は明確に区分されます。
参考)MotoGP、Moto2、Moto3のカテゴリー別エンジンの…
中間クラスのMoto2は765cc、3気筒のトライアンフ製エンジンをワンメイクで使用します。2019年からトライアンフがエンジンを供給しており、それ以前の2010年から2018年まではホンダがCBR600RRの改良エンジンを供給していました。共通エンジンを使うため、各車のタイムが拮抗し激しいレースになりやすい特徴があります。
Moto3は250cc、4ストローク単気筒エンジンを使用します。小排気量ながら若手ライダーの育成に注目が集まるクラスであり、将来のMotoGPスターを輩出する登竜門的な位置づけです。排気量の違いがパワーや速度に直結するため、各クラスでレース展開が大きく異なる様子を楽しめます。
MotoGPの史上最高速記録は、2023年イタリアGPでKTMのブラッド・ビンダーが記録した366.1km/hです。ムジェロ・サーキットの1km以上ある長いホームストレートで達成されたこの記録は、それまでのホルヘ・マルティンの363.6km/hを3km/h近く更新するものでした。
参考)新幹線も置き去り!? バイク世界最高峰MotoGP、KTMが…
新幹線も置き去りにする速度です。
この速度は東海道新幹線の最高速度285km/h(のぞみ)を大きく上回り、北陸新幹線の最高速度260km/hと比較しても圧倒的に速いことがわかります。
ビンダーは「このバイクはロケットだよ。
最高速の記録を手中に収めることができて嬉しい。まだ数km/h伸ばせる余地があると思っている」とコメントしています。
参考)MotoGP最高速度記録:360km/hの壁はもはや問題では…
最高速の大幅な更新には、テストライダーのダニ・ペドロサが使用した新しいエアロフェアリングの存在も関係している可能性があります。空力性能の向上により、さらなる速度向上が期待されており、今後も記録更新が続く見込みです。市販車で有名なカワサキNinja H2Rが時速400kmに到達した事例もありますが、これは特別な挑戦での記録であり、レース中の実測速度としてはMotoGPの366.1km/hが世界最速レベルです。
参考)Ninja H2R 最高速の秘密に迫る 世界最速バイクの性能…
MotoGPクラスに参戦するライダーは18歳以上である必要があります。また参戦できるのは50歳に達したシーズン終了時までと定められており、時速300km以上で戦う世界であることから安全性を考慮した年齢制限が設けられています。
50歳が上限という規定は珍しいですね。
参考)https://www.honda.co.jp/WGP/spcontents2016/regulations/moto3/age.html
Moto2クラスは2023年シーズンから最低年齢が18歳に引き上げられました。それまでは16歳以上でしたが、安全性への配慮から変更されています。上限年齢はMotoGPと同じく50歳に達したシーズン終了時までです。
Moto3クラスは16歳から参戦可能ですが、上限年齢は28歳に設定されています。新規参戦選手とワイルドカードの上限年齢は25歳とさらに厳しく制限されており、若手育成クラスとしての性格が明確になっています。ほかのスポーツではあまり例のない年齢規定ですが、バイクレース特有の危険性と身体的負担を考慮した結果です。
参考)https://www.honda.co.jp/WGP/spcontents2009/studies/13/
MotoGPマシンは公道を走行できません。理由は複数ありますが、最も大きいのは騒音規制です。多くの国では公道での騒音制限が95デシベル以下に設定されていますが、MotoGPマシンは常時130デシベル近い音を発するため、この基準を大きく超えています。
騒音だけが理由ではありません。
ウインカー、ヘッドライト、ミラーといった保安部品が一切装備されていないため、公道での走行に必要な法定装備を満たしていません。さらにスリックタイヤを使用しているため、公道走行に必要な溝付きタイヤの基準も満たしていません。これらの部品を追加したとしても、騒音規制をクリアできないため公道走行は不可能です。
MotoGPマシンはサーキット専用に設計された純粋なレーシングマシンであり、数億円規模の最先端技術が結集されています。公道での使用を前提としていないため、街中で見かけることは絶対にありません。もしバイクでMotoGP気分を味わいたいなら、サーキット走行やレーシングスクールへの参加が唯一の方法です。
参考)衝撃、モトGPが850cc化で市販車ベースのSBKより遅くな…
2027年からMotoGPは大きく変わります。排気量が現行の1000ccから850ccへ削減され、マシンの性能がコントロールされる予定です。ライドハイトデバイスやホールショットデバイスといった全てのデバイスが禁止され、よりシンプルなマシン構成になります。
市販車ベースのSBKより遅くなる可能性があります。
850cc化により、1000ccクラスの公道市販車をチューニングしたマシンで戦うスーパーバイク世界選手権(SBK)よりラップタイムが遅くなる懸念が出ています。数億円規模で最先端技術を結集したMotoGPマシンよりも、一般人が購入できる公道モデルをベースにしたSBKマシンの方が速くなってしまう逆転現象が起きかねません。
この問題に対してドルナやFIMも認識しており、SBKにも制限を厳しくした新レギュレーションを導入する方針です。MotoGPを最高峰レースとして維持し続けるため、SBKマシンのタイムも遅くするよう性能を調整することになっており、二輪レース全体のバランス調整が進められています。2027年以降のMotoGPがどのような形に進化するのか、世界中のバイクファンが注目しています。