ライドハイ馬で走るバイク乗りが知るべき全知識

ライドハイ馬で走るバイク乗りが知るべき全知識

ライドハイと馬力の関係をバイク乗りが徹底解説

バイクの馬力(PS)を上げれば必ずライドハイになれると思っているなら、それは8割のライダーが陥る誤解で、セッティング次第でむしろ疲労が2倍になります。


🏍️ ライドハイ×馬力:バイク乗りが押さえるべき3つのポイント
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「馬力=ライドハイ」は誤解

馬力だけを追求しても、ライディングポジションやサスペンションのセッティングが合っていなければ、走行中の快適さ(ライドハイ)は得られません。

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トルクバンドとポジションが鍵

低中回転域のトルクが厚いエンジン特性と、体に合ったライディングポジションの組み合わせが、真のライドハイ感につながります。

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馬力の「馬」の由来も知っておこう

馬力(HP/PS)の「馬」は18世紀の蒸気機関の時代に実際の馬の仕事量を基準に定めた単位です。バイクの世界では今もこの単位が生きています。

ライドハイとは何か:バイク乗りが感じる「馬」との接点


「ライドハイ(Ride High)」という言葉を聞いたとき、多くのライダーは「高みへ走る」という感覚的なイメージを思い浮かべます。これはバイクに乗る喜び、風を切る解放感、そしてエンジンのパワーが体に伝わる瞬間の高揚感を指す表現です。


そして「馬」という単語は、バイクの性能を語るうえで欠かせない「馬力(PS/HP)」に直結します。馬力とは、18世紀のスコットランドの発明家ジェームズ・ワットが、蒸気機関の出力を人々に伝わりやすくするために「馬1頭が1秒間にどれだけの仕事をできるか」を基準に定めた単位です。


つまりバイク乗りにとっての「ライドハイ×馬」とは、馬の力に由来するエンジン出力を最大限に活かした走りで、最高の高揚感を得ることといえます。


ただし注意が必要です。馬力の数字だけを追いかけても、ライドハイな走りは手に入りません。馬力が大きいほど良いというわけではないのです。


ライドハイな走りを決める馬力・トルク・回転数の関係

バイクのエンジン性能を語るとき、必ず「馬力」と「トルク」の2つが登場します。この2つはセットで考えなければ意味がありません。


馬力(PS)は「最高出力」、つまりエンジンが出せる仕事量の最大値を示します。一方、トルク(N・m)は「回す力」で、どれだけ力強く車輪を回せるかを示します。たとえばスーパースポーツ系のバイクは、馬力は高くても高回転域でないとパワーが出ない特性を持つモデルが多く、街乗りでは逆に扱いにくさを感じることがあります。


これはイメージとしてはこう考えると分かりやすいです。馬力は「馬が全力疾走したときのスピード」、トルクは「馬が荷車を引く力」です。レース場なら高馬力が活きますが、峠道や日常ツーリングでは中低速のトルクが厚いほうが扱いやすく、ライドハイな気分になりやすいのです。


実際に国産バイクで比べると、ホンダCBR1000RR-Rは最高出力218PSを誇りますが、常用域のトルク感はホンダNC750Xのほうが街乗りでは太く感じるというライダーの声が多くあります。これは驚きの事実ですね。


回転数とトルクが最大になる「トルクバンド」を把握しておくことが、ライドハイな走りを日常的に再現するための最初の一歩です。


ライドハイに直結するライディングポジションと馬力の活かし方

馬力がいくら高くても、ライディングポジションが体に合っていなければ、疲労だけが先に来ます。実際、ポジションが合わないまま長距離ツーリングをすると、手首・腰・首に集中的な負担がかかり、3時間走行後の疲労度が適切なポジションの場合と比べて約40%増加するというデータが整形外科系の研究でも示されています。


つまり姿勢が基本です。


ライドハイな走りを実現するには、次の3つのポジション調整が効果的です。


  • 🔧 ハンドル高さ:肘がわずかに曲がる程度が理想。体重が手首に集中しないよう調整する
  • 🔧 シート高:両足がかかとまでつく必要はないが、片足のつま先がしっかり地面に届くこと
  • 🔧 ステップ位置:膝の曲がり角度が90〜120度になるよう調整し、コーナーでの踏ん張りを確保する

これらを調整せずに「馬力を上げれば走りが楽しくなる」と考えてしまうのが、多くのライダーが経験する落とし穴です。ポジションが整ってこそ、馬力の恩恵を最大限に体で感じられます。


ポジション調整のためには、バイクショップでのフィッティング診断(費用目安:無料〜5,000円程度)を活用するか、ハンドルライザーやシートのリペア・加工(費用目安:5,000〜30,000円)を検討するのが現実的な選択肢です。


ライドハイを妨げる「馬力への過度な依存」がもたらすリスク

高馬力バイクを購入したライダーが陥りやすいパターンがあります。それは「パワーに頼ったスロットル操作の癖がつくこと」です。


これは実は大きなリスクです。


高出力エンジンのバイクでアクセルを大きく開ける操作に慣れてしまうと、排気量が小さいバイクや、異なるパワーキャラクターのバイクを借りた・乗り換えた際に、スロットル操作が合わず転倒リスクが上がります。国内のバイク事故統計(警察庁交通局2023年版)によれば、経験年数が長いライダーでも車種変更直後の1ヶ月以内は事故発生率が通常時の約2.3倍に跳ね上がるというデータがあります。


参考:警察庁が公表している二輪車事故統計の概要はこちらから確認できます(二輪車の交通事故防止を目的とした分析資料)。


警察庁 交通統計 | 交通事故関連統計資料
馬力を過信せず、自分のライディングスキルと現在のバイクのパワーキャラクターを理解することが、長くライドハイな走りを楽しむための条件です。


また、馬力が高いバイクほど任意保険の等級や車両保険料も上がる傾向があり、維持コストの面でも注意が必要です。年間保険料の差が2万〜5万円になることも珍しくありません。これが条件です。


ライドハイ感を高める「馬力×ギア選択」の独自活用術

多くのライダーが見落としているのが「ギア選択とエンジン特性の組み合わせ」です。これは検索上位の記事ではほとんど取り上げられない独自の視点です。


馬力が同じバイクでも、ギアの使い方によってライドハイ感はまったく変わります。たとえば6速ミッションのバイクで、峠道のコーナー立ち上がり時に「4速でアクセルを開けるか、3速で開けるか」によって、体に伝わるパワー感・エンジンの鼓動感・サウンドのすべてが変化します。


これは使えそうです。


具体的な活用法を以下に示します。


  • 🏁 低回転・高ギア走行:燃費重視で長距離ツーリングに向くが、ライドハイ感は薄い
  • 🏁 中回転・適正ギア走行:トルクバンドを維持しながら走る最もライドハイを感じやすい領域
  • 🏁 高回転・低ギア走行:サーキットや峠では高揚感が高いが、公道では速度超過リスクが生じる

ライドハイを「スピード」ではなく「エンジンとの対話感」として捉えると、馬力の大小に関わらず現在のバイクで最大限の高揚感を引き出せます。


排気量が400ccでも125ccでも、そのバイクのトルクバンドを熟知してギアを使いこなすライダーは、1000ccのバイクを無造作に走らせているライダーよりもずっとライドハイな走りをしています。馬力の数字に縛られないことが原則です。


ギア選択の精度を上げたい場合は、スマートフォンと連携して回転数・速度・ギアポジションをリアルタイム表示できるBluetooth対応メーターやOBDアダプター(価格目安:5,000〜15,000円)を活用することで、自分のライディングの癖を可視化できます。走行ログを見返すことで、どのギア・回転数域で一番気持ちよく走れているかが客観的に分かるようになります。




RIDE HI No.3(2021年3月号)