

街乗りで使うとタイヤ温度が上がらず、雨の日は普通のタイヤより滑りやすくなります。
セミスリックタイヤは一般的なラジアルタイヤと比較して、路面に接する溝が極端に少ない構造になっています。タイヤ表面の大部分が平滑で、最小限の溝だけが刻まれているのが特徴です。
この設計により、タイヤと路面の接地面積が通常のタイヤより大幅に広くなります。接地面積が広いということは、それだけ多くのゴムが路面を捉えることを意味します。
結果として、乾いた路面では強力なグリップ力を発揮できるわけです。高速コーナーで強力なG(重力)が掛かっても滑ることなくグリップします。
接地面積の広さが強みということですね。
ただし、この構造は雨天時には逆効果になります。溝が少ないため、タイヤと路面の間に入った水を排出する能力が低いのです。
セミスリックタイヤは、特定の温度域でグリップ力を発揮する設計になっています。タイヤのコンパウンド(ゴムの配合)によって、S(ソフト)、M(ミディアム)、H(ハード)などの種類があり、それぞれ最適な温度帯が異なります。
S(ソフト)タイヤは低温時からグリップを発揮しますが、高温になると摩耗が早くなります。H(ハード)は低温時はグリップ力が出ませんが、高温になるとグリップを発揮し摩耗が少ない特徴があります。
一般道での使用では、タイヤ温度が適切な範囲まで上がらないケースが多いのが実情です。特に街乗りでは、タイヤが温まる前に信号で止まることが繰り返されます。
温度が上がらないとグリップが弱いんです。
サーキット走行では連続的な高速走行でタイヤが適温に達しますが、一般道ではその状況を作り出すことが難しいのです。そのため、街乗りでセミスリックタイヤを使用すると、本来の性能を発揮できず、むしろ危険な状態になる可能性があります。
参考)「公道使用」OKだけど実際に使うのはヤメるべき! 一応「溝」…
セミスリックタイヤの新品時の溝深さは、一般的なタイヤと比較して極端に浅く設定されています。一般的なラジアルタイヤの溝深さが7~8mm程度あるのに対し、セミスリックタイヤは新品時でも5mm程度しかありません。
この浅い溝設計には理由があります。タイヤを軽量化するため、そしてサーキット走行に最適化するためです。
しかし、この設計は寿命に直結します。もともと溝が浅いため、摩耗するとすぐにスリップラインが出てしまうのです。
サーキット走行では、数十分から数時間で交換が必要になることもあります。一般道で使用した場合でも、通常のタイヤより明らかに寿命が短くなります。
寿命が短いのが欠点です。
タイヤの内部構造も軽量化のため、トレッド面の強度が一般ラジアルタイヤより少なくなっています。そのため、摩耗だけでなく、路面の状態によってはダメージを受けやすいという特性もあります。
雨で濡れた路面でセミスリックタイヤを使用すると、制動性能が大幅に低下します。溝が少ないため、タイヤと路面の間に水が入り込んだときに排水できないのです。
この状態で速度を出すと、ハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に水の膜ができて摩擦力が失われ、車両の制御ができなくなる現象です。
完全な溝なしスリックタイヤの場合、公道走行は道路運送車両法により禁止されています。公道でスリックタイヤを使用すると、整備不良とみなされます。
違反点数は2点です。
バイクの場合、反則金は7000円、原付には6000円が科せられます。セミスリックタイヤは最小限の溝があるため法律上は公道走行可能ですが、雨天時の安全性は著しく低いことを理解しておく必要があります。
雪や氷上での走行は極めて危険で、冬場の使用は避けるべきです。濡れた路面での使用ができないため、天候に大きく左右されるタイヤといえます。
サーキット走行においてセミスリックタイヤは、その真価を発揮します。乾いた路面での高いグリップ力と、連続コーナーでの軽快な操舵性が最大の強みです。
通常のタイヤよりも接地面積が広いため、コーナリング時に車体を大きく傾けても路面をしっかり捉えます。ハンドリング性能が向上し、ライダーの意図通りに車両を操ることができるのです。
ブリヂストンのRACING BATTLAX V02などの製品は、ソフトスペックのコーナリンググリップとミディアムスペックの摩耗耐久性を兼ね備えた設計になっています。マルチコンパウンド採用で、さらなるワイドレンジ化を実現しているモデルもあります。
参考)https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/products/detail/pr150/
サーキット専用なら最強です。
タイムアタックやジムカーナ競技では、セミスリックタイヤの使用が一般的になっています。ラップタイムを縮めるには、タイヤのグリップ力が直接的に影響するためです。
ただし、サーキット走行では摩耗が非常に早いため、タイヤの状態を走行距離ではなく走行時間で管理する必要があります。溝がない部分が多いため、減り具合を把握することが難しく、高難易度なタイヤ管理が求められます。
参考)https://magazine.cartune.me/articles/4356
サーキット走行と街乗りを兼用する場合は、2セットのホイールとタイヤを用意して使い分けるライダーが多いのが実情です。セミスリックタイヤを街乗りで使用すると、タイヤ温度が上がらず本来の性能を発揮できないだけでなく、摩耗も早まってしまうためです。
参考)サーキット走行をしたいのですが、普段使いとサーキット用で、タ…
ブリヂストン RACING BATTLAX V02 製品情報
ソフトとミディアムスペックを兼ね備えたセミスリックタイヤの詳細スペックが確認できます。
コスモ石油 セミスリックタイヤの特徴解説
メリット・デメリットや使用上の注意点について、具体的な解説があります。

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