コンパウンド(ゴム配合)バイクタイヤ性能と選び方で寿命が変わる

コンパウンド(ゴム配合)バイクタイヤ性能と選び方で寿命が変わる

コンパウンド(ゴム配合)バイクタイヤの基本

ハイグリップタイヤは街乗りでは逆効果です。


この記事の3つのポイント
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コンパウンドがタイヤ性能を決める

天然ゴムと合成ゴムにカーボンブラックやシリカを配合したゴム素材で、硬さによってグリップ力と寿命が変化します

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温度依存性を理解する

タイヤは20~30℃で安定したグリップを発揮し、冬場の低温時は性能が大幅に低下します

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用途に合わせた選び方

街乗りはハードコンパウンド、サーキットはソフトコンパウンドと使い分けることで安全性と経済性を両立できます

バイクタイヤのコンパウンドとは何か


コンパウンドとは、タイヤのトレッド部分(路面に接する部分)に使われるゴムの配合設計のことです。天然ゴムや合成ゴム(スチレンブタジエンゴムやポリブタジエンゴム)に、カーボンブラックやシリカなどの補強材、硫黄などの薬品を混ぜ合わせて作られます。


参考)コンパウンドとは?(バイクの豆知識)


バイク用タイヤは車重が小さく負担が少ないため、合成ゴムが主流です。カーボンブラックはゴムの強度を確保する効果があり、硫黄は弾力を出す効果があります。タイヤが黒いのはカーボンブラックを混ぜているからです。


参考)タイヤの性能を示す指標のひとつ「コンパウンド」ってなに?


コンパウンドの配合比率や硬さによって、タイヤの性質が大きく変わります。


これが基本です。



参考)302 Found


各メーカーは独自のコンパウンドを開発しており、共通するコンパウンドがあるわけではありません。そのため、同じ「ソフト」という表記でも、メーカーによって実際の硬さや特性が異なる場合があります。


バイクタイヤのコンパウンドの種類と硬さ

バイクタイヤのコンパウンドは、基本的にソフト・ミディアム・ハードの3つのタイプに分類されます。どのタイヤもこの3種類のいずれかに当てはまると考えて良いでしょう。


ソフトコンパウンドはグリップが良い分、タイヤの摩耗が早く耐久性がないため長期間の使用には向きません。一方、ハードコンパウンドの場合はソフトと比べグリップは劣りますが、その分耐久性があります。


つまりトレードオフの関係です。


コンパウンドが柔らかいほど、路面のわずかな凹凸にも密着しやすいためグリップ性能は高まりますが、その分摩耗も早くなります。砂消しゴムと普通の消しゴムを想像すると分かりやすく、砂消しゴムは硬くて滑りやすく削りカスが少なく、普通の消しゴムは柔らかくてよく食いつき削りカスが多く出ます。


参考)タイヤの性能を左右する「トレッドコンパウンド」とは? - ク…


一般に粘着摩擦の大きい柔らかいゴムは摩耗が早く、ヒステリシス摩擦の大きいゴムは発熱が大きいと言えます。


バイクタイヤのデュアルコンパウンド構造の特徴

デュアルコンパウンドとは、2つの異なる硬さのコンパウンドでタイヤが作られている構造です。対してシングルコンパウンドは、1つのコンパウンドでタイヤが作られています。


参考)タイヤのコンパウンドのお話。 - モトクロスインターナショナ…


デュアルコンパウンドでは、タイヤの中央部分に硬めのコンパウンドを使い、サイド部分に柔らかめのコンパウンドを配置するのが一般的です。センター部分は固めのコンパウンドで転がり抵抗を軽減し、コーナーリング時は柔らかいコンパウンドでグリップ力を確保しようという設計です。


参考)TPIとコンパウンド。これを知っておくとタイヤ選びが捗ります…


オールマイティに使えますね。


例えばTERAVAILのオフロード向けタイヤには52A/42Aコンパウンドが使われており、優れたコーナーリングパフォーマンスを備えながらハイスピード域での転がり抵抗を維持したコンパウンドとなっています。


デュアルコンパウンドは、スピードも乗り心地もグリップも犠牲にしたくない方に適した選択肢です。


バイクタイヤのコンパウンドに使われるゴムの種類

タイヤには主に天然ゴムと合成ゴムが使われます。天然ゴムは反発弾性が大きく、転がり抵抗が少なく、耐疲労性及び強度があるためトレッドゴムやカーカスゴムなどに使用されます。


参考)タイヤの基礎知識


合成ゴムには複数の種類があります。SBR(スチレンブタジエンゴム)は天然ゴムと共にメインで使用されるタイヤ素材で、高グリップ力が得られ、耐老化性、耐熱性にも優れています。BR(ブタジエンゴム)は耐摩耗性に優れ、反発弾性が高く、転がり抵抗が少ないためトレッドゴムなどに使用されます。


種類が多いですね。


IR(イソプレンゴム)は天然ゴムに似た性質を持つ合成ゴムで、弾性率は天然ゴムに劣りますが、耐候性、耐老化性は勝ります。IIR(イソブチレン・イソプレンゴム)は気体透過性が小さく、衝撃性に優れるためチューブやインナーライナーに使用されます。


参考)【Q&A】バイクの「タイヤ」について知っておきたい10のこと…


これらのゴムに、カーボンブラックやシリカなどの配合剤を混ぜることでタイヤの性能が調整されます。カーボンブラックはゴムの強力や硬さ、耐摩耗性などを向上させる炭素からできた粉体で、シリカは二酸化ケイ素からなる白い粉体で転がり抵抗を下げ、ウエット性能を向上させます。


バイクタイヤのコンパウンドとグリップ性能の関係

コンパウンドがグリップ力を発揮するのは、ゴムが粘弾性体であるためです。ゴムがこうした性質を示すのは、ゴムに分子間運動があるからで、ある程度タイヤの温度が高くならないと分子間運動も活発にならず、グリップ力を発揮できません。


通常のタイヤの適正温度は20℃から30℃でグリップが安定するといわれ、ハイグリップタイヤなどのスポーツタイヤの適正温度は50℃から80℃で安定する設計です。路面温度が0℃近くになる冬場ともなると、低温ゆえにゴムが硬化してグリップが大幅に低下しがちです。


10℃以下は要注意です。


高グリップなタイヤほど、グリップ力を発揮できる温度域は狭くなります。ハイグリップな性能を安心して使えるのは気温がおよそ20℃を超える条件下で、東京の平均気温でいえば5月から10月までの5ヶ月間だけです。


参考)タイヤのグリップ性能とグレードで陥りやすい勘違い!【ライドナ…


冬場の早朝出発後すぐに転倒した事例では、寒い季節でタイヤの温度が下がり、後輪がまったくグリップせず空転からの転倒に至りました。気温が10℃を下回ったら、ワインディングコーナリングしようなどと思わないことです。


バイクタイヤのコンパウンドと寿命の関係性

タイヤの交換目安となる走行距離は、一般的に10,000km~20,000kmと言われています。ただし、これはあくまでも目安であり、バイクの種類や乗り方、路面状況、タイヤの種類によって大きく異なります。


スポーツバイクのように高性能なタイヤを装着している場合は、より早く摩耗する傾向があります。ソフトコンパウンドのタイヤは、グリップ力が高い反面、ハードコンパウンドに比べて寿命が短くなります。


走行距離だけでは判断できません。


タイヤは走行距離に関わらず、経年劣化によってゴムが硬化し、グリップ力が低下します。製造から3~5年を目安に、ひび割れや硬化がないかを確認しましょう。


参考)|お知らせ|オートショップタニカワ


寒い時にコンパウンドを爪で押すと固いことが分かりますが、こうした状況では要注意です。タイヤの寿命は走行距離だけでなく、保管状況やメンテナンスによっても大きく変化します。ヒビ割れや硬化などの劣化が見られる場合も、安全のため早めの交換を検討しましょう。


一般的には5,000km~10,000km毎にローテーションするのがおすすめです。


バイクタイヤのコンパウンド選びで街乗りに最適なのは

街乗りで最も重要なのは、安定したグリップと長寿命の両立です。ハードコンパウンドまたはミディアムコンパウンドのタイヤが街乗りには適しています。


ハイグリップタイヤは、気温が20℃を超える条件下でないと安心して性能を発揮できないため、年間を通して使う街乗りには不向きです。特に冬場の早朝や夜間など、気温が低い時間帯に走行する場合、ハイグリップタイヤは逆にグリップ力が低下してしまいます。


年間使用を考える必要があります。


温度依存性を改善するため、最近の高性能タイヤはコンパウンドにシリカを配合するものがほとんどになっています。ゴムの分子の補強材にカーボンブラックに加えシリカを用いることで、低温時から分子間の動きに柔軟性が出て、低温時やウェット時のグリップも良くなっています。


シリカ配合のタイヤなら安心です。


街乗りでは耐久性も重要な要素です。ソフトコンパウンドのタイヤは10,000km未満で交換が必要になることもありますが、ハードコンパウンドなら20,000km近く使える可能性があります。通勤や買い物など日常的に使う場合、コストパフォーマンスを考えるとハードコンパウンドが有利です。


低温環境下でも性能を発揮しやすいタイヤを選ぶには、温度依存性が低いことを謳っている製品や、シリカ配合を明記している製品を確認すると良いでしょう。こうしたタイヤはコンパウンドの配合やトレッドパターンが異なり、低温環境下でのグリップ力を確保しやすくなっています。


バイクタイヤのレース用コンパウンドを街乗りで使う危険性

レース用タイヤ(スーパーコルサやレーステックなど)のコンパウンドは、高温で最大のパフォーマンスを発揮するよう設計されています。サーキット用タイヤの場合、高いグリップ性能が求められるため、高温に耐えられる特殊なコンパウンドが必要で、タイヤが150度まで上昇しても高い性能を維持できます。


参考)ソフトかミディアムか? スーパーコルサやレーステックなどレー…


しかし、これは街乗りでは逆効果です。レース用タイヤは適正温度が50℃から80℃、またはそれ以上に設定されており、街乗りの通常走行ではこの温度に達することがほとんどありません。


温度が上がらないとグリップしません。


冬場はさらに危険性が増します。外気温が10℃を下回る環境では、レース用のソフトコンパウンドタイヤは極端にグリップ力を失います。タイヤウォーミングラップの時間が少なくイキナリ高いグリップを引き出さないといけないパターンでは、冬の場合はタイヤが温まりにくいのでソフトコンパウンドの方が欠けやすくなります。


街乗りでレース用タイヤを使うと、寿命も大幅に短くなります。ソフトコンパウンドは摩耗が早いため、通勤などの日常使用では数千キロで交換が必要になることもあります。これに対して街乗り用のハードコンパウンドタイヤなら、10,000km~20,000kmの使用が可能です。


コストが2倍以上になりますね。


タイヤの温度が限度を超えた高温状態になると、ゴムは溶けてペースト状になり、この限度を「リバージョンポイント」と呼びます。レース用タイヤは150℃まで耐えられるよう設計されていますが、街乗りではそこまでの温度管理は不要であり、むしろ低温での安定性が重要です。


路面温度が低い冬に最適なおすすめのタイヤ10選! - ナップス
このリンクでは、冬場の低温環境でも性能を発揮する温度依存性の低いタイヤの選び方と具体的な製品が紹介されています。


バイクタイヤのコンパウンド表示の読み方と注意点

タイヤのコンパウンドは、硬さを示す数値で表示されることがあります。例えば「60A」「52A/42A」といった表記がそれです。この数値はデュロメータという硬度計で測定したゴムの硬さを示しており、数値が小さいほど柔らかいコンパウンドです。


参考)ケーシングとコンパウンド - モトクロスインターナショナル


TERAVAILのタイヤを例に挙げると、舗装路~グラベル向けのタイヤには60Aコンパウンドが使われ、これはシングルコンパウンドで、グリップ力を重点に置きながら耐摩耗性を維持したコンパウンドです。一方、オフロード向けタイヤには52A/42Aコンパウンドが使われ、これはデュアルコンパウンドです。


数値だけでは判断できません。


同じ「ソフト」という表記でも、メーカーによって実際の硬さや特性が異なることに注意が必要です。各メーカーはそれぞれ独自のコンパウンドを開発しているため、共通するコンパウンドがあるわけではありません。


タイヤのカタログやインプレッション、製品紹介を見る際は、コンパウンドの数値だけでなく、そのタイヤの想定用途(ツーリング用、スポーツ用、サーキット用など)も確認することが重要です。想定用途と実際の使い方が合っていないと、本来の性能を発揮できないばかりか、安全性が低下する可能性もあります。


タイヤメーカーのウェブサイトや製品カタログには、各タイヤの適正温度範囲や推奨用途が記載されていることが多いので、購入前に確認しておくと良いでしょう。特に温度依存性が低いことを謳っている製品は、年間を通して使いやすいタイヤです。


コンパウンドとは?(バイクの豆知識) - ゆるふわ劇場
このリンクでは、コンパウンドの基本的な意味と、ソフト・ハードの特徴が初心者にも分かりやすく解説されています。


📊 タイヤコンパウンドの比較表

コンパウンド種類 グリップ力 耐久性 適正温度 適した用途
ソフト ⭐⭐⭐⭐⭐ ⭐⭐ 50~80℃ サーキット・スポーツ走行
ミディアム ⭐⭐⭐⭐ ⭐⭐⭐⭐ 30~50℃ ツーリング・ワインディング
ハード ⭐⭐⭐ ⭐⭐⭐⭐⭐ 20~30℃ 街乗り・通勤
デュアル ⭐⭐⭐⭐ ⭐⭐⭐⭐ 20~50℃ オールマイティ

この表から分かるように、用途に合わせた選択が重要です。


💡 コンパウンド選びのチェックリスト

  • 年間を通して使うか、シーズン限定か?
  • 主な走行環境は市街地か、ワインディングか?
  • 走行距離は月に何キロか?
  • 気温が低い時間帯に走ることが多いか?
  • タイヤ交換の頻度をどの程度にしたいか?

これらの質問に答えることで、最適なコンパウンドが見えてきます。


🔧 タイヤの温度管理のコツ
冬場にタイヤを安全に暖めるには、直線での加減速を繰り返すのが効果的です。人肌36度あれば安心と言われ、30度以上なら手で触って暖かく、20度前後なら少し暖かみを感じる程度、10度前後だと暖かみを感じません。


参考)バイクで冷えゴケしないために冬タイヤが暖まる温度推移を計測|…


タイヤが十分に暖まるまでは、急なコーナリングや急ブレーキを避けることが転倒リスクを減らすポイントです。特に外気温が10℃以下の場合は、タイヤが適正温度に達するまでに通常より長い時間がかかるため、慎重な走行が求められます。


冬場の転倒事故の多くは、タイヤが十分に暖まっていない状態でコーナーに進入したことが原因です。出発直後の数キロは特に注意が必要で、直線で徐々にタイヤを暖めてから、カーブに差し掛かるようにルートを計画すると安全性が高まります。


バイクで冷えゴケしないために冬タイヤが暖まる温度推移を計測 - トリップライダー
このリンクでは、実際にタイヤの温度推移を計測したデータが紹介されており、冬場のタイヤ管理の参考になります。




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