

トライアルバイクの新車は、ほとんどのモデルが公道を走れない競技専用車両です。
トライアルバイク競技は、他のモータースポーツとは根本的に異なる採点方法を採用しています。MotoGPやモトクロスのように「速くゴールすれば勝ち」ではなく、いかに正確にバイクを操れるかを競います。これが分かれば、この競技の面白さが一気に見えてきます。
競技は「セクション」と呼ばれる採点区間で行われます。岩場・丸太・急斜面・砂地など自然の地形や人工の障害物を組み合わせて設定されたコースを、バイクから足を着かずに走り抜けることが基本ルールです。MFJの公式ルールによると、減点は以下のように決まっています。
つまり「低得点ほど好成績」が原則です。大会では複数のセクションを複数ラップ走行し、合計減点数を競います。全日本選手権では、8セクション×3ラップ=24セクションを走破し、さらに特別セクション(SS)を加えた合計減点で順位が決まります。
セクション内には「オブザーバー」と呼ばれる審判員が配置されており、足つきの回数・転倒・コースアウトなどを厳格にチェックします。競技中は1セクションあたりの持ち時間も設けられており(国際大会では1分30秒が目安)、この時間をオーバーした場合も5点減点となります。
MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)公式:トライアルのルール解説
トライアルバイクは、他のバイクとは一線を画す独特の設計思想を持っています。「走ること」に特化した構造は、乗ったことがないライダーを驚かせることでしょう。
まず最大の特徴は、シートがないことです。トライアルライダーは常に立ち乗りで競技を行うため、座面がほぼ存在しません。次に車重の軽さ。市販のトライアルバイクは車重65〜75kgほどで、一般的なスポーツバイクが200kg前後あることを考えると、その軽さは驚異的です。体重65kgの成人男性1人分と同じ重さしかない計算になります。
燃料タンクも最小限の容量しかなく、最高速度もトップギアで時速80km程度と、ロードバイクに比べてかなり控えめです。これは競技の性質上、低速でのトルクとコントロール性を最大限に高める設計だからです。
現在日本で入手できる主な競技用トライアルバイクには、HONDA(Montesa Cota 4RT)、BETA、GAS GAS、Sherco、TRSなどのブランドがあります。新車価格は100〜150万円前後と、一般のスポーツバイクと同水準ですが、中古車なら10万円台から見つかる場合もあります。
ただし、重要な注意点があります。現在日本のメーカーから販売されているトライアルバイクのほとんどは「競技専用車両」であり、公道走行ができません。ナンバーの取得もできないため、会場まではトレーラーや軽トラックでの搬送が必要になります。公道走行を希望する場合は、ナンバー取得可能な欧州ブランドの一部モデルを選ぶ必要があります。
How to start Trial〜トライアルバイク購入編(個人ブログ・詳細な購入体験レポート)
「競技に参加したい」と思ったとき、最初に把握しておくべきなのがクラス体系とライセンスです。複雑そうに見えても、実は手順は明確です。
全日本トライアル選手権では、以下のクラスが設けられています。
地方選手権ではさらに「NA(国内A級)」「NB(国内B級)」「エンジョイクラス」も設けられており、初心者でも参加できる間口の広さが魅力です。エンジョイクラスはライセンスなしで参加できるケースもあります。
MFJライセンスを取得するには、MFJ公認の講習会を受講し、筆記試験に合格する必要があります。2023年以降はWEB講習でも受講可能になり、手続きがより簡便になりました。国内B級ライセンスの申請料は約1万円前後で、年間を通じて有効です。
競技会への参加費は大会規模にもよりますが、地方の1日大会で数千円〜1万円程度が目安です。上位の大会になるほど費用は増しますが、MotoGPなどのサーキット系と比べると参加しやすい価格帯です。
ここからが、多くのバイクライダーが知らない「トライアルの意外な価値」です。
警察の白バイ隊員の訓練カリキュラムに、トライアルバイクが正式に採用されています。日本で白バイ全国大会が始まった際、訓練種目のひとつとしてトライアル競技が組み込まれ、新任の白バイ訓練隊員全員がトライアルを必修として行います。この事実は、元世界チャンピオン・藤波貴久選手のチームブログでも言及されているほか、全国白バイ安全運転競技大会でもトライアル種目が設けられています。
なぜ白バイ隊員の訓練にトライアルが採用されているのでしょうか。理由は明快で、トライアルの練習が「低速での精密なバイク操作」「ブレーキ・クラッチ・アクセルの繊細なコントロール」「バランス感覚の徹底的な向上」という3つの能力を短期間で高めるからです。
この3つの要素は、公道を安全に走るためにも直結しています。つまりトライアルを練習することは、日常ライディングの安全性を高めることと同義です。急制動・低速バランス・狭い路地での切り返し……どれもトライアルの練習で磨かれる技術です。
ロードバイクやオフロードバイクに乗っているライダーが、技術向上のためにトライアルスクールへ通うケースも増えています。これは使えそうですね。
バイクブロス:全国白バイ安全運転競技大会でのトライアル種目について
「やってみたい」と思ったとき、どこから手をつければいいかが一番の壁になります。実は全国各地に体験できる環境が整っています。
MFJの公式サイト「トライアルポータル」には、全国のトライアル練習場とスクールの一覧が掲載されています。北は北海道から南は沖縄まで、各地に練習場が存在します。主要な施設としては、埼玉県飯能市の「OragaValley TRIALS」、那須モータースポーツランド(栃木県)、生駒テック(奈良県)などが挙げられます。
初心者向けの体験スクールでは、レンタルバイクを用意しているところも多く、トライアルバイクを所持していなくても参加できます。費用は5,000〜10,000円前後が相場で、座学から実技まで丁寧に指導してもらえます。ヤマハが実施しているライディングスクールでもトライアル体験が組み込まれており、公式のYRA(ヤマハライディングアカデミー)で受講可能です。
スクールを探すときの流れとして、「MFJトライアルポータルの体験スクール一覧でお近くの会場を確認する」という手順が最もスムーズです。
MFJ公式:トライアル体験スクール全国一覧(バイクなし・初心者OKのスクール掲載)
また、全国の練習場情報はこちらで確認できます。
トライアル競技においての日本の実力は、世界でも特筆すべきレベルにあります。バイクに乗るなら、ぜひ知っておきたい日本人ライダーの実績です。
藤波貴久選手は2004年、日本人として史上唯一のトライアル世界選手権チャンピオンに輝きました。1996年から世界選手権に参戦し、ヨーロッパ・アメリカ中心のスポーツだったトライアル界に「日本人」という存在を刻み込んだ先駆者です。2021年に26年間の世界選手権参戦に幕を下ろした後は、後進の育成に力を注いでいます。
小川友幸選手は全日本トライアル選手権で2024年に14回目のチャンピオン・12年連続優勝という前人未到の記録を達成しました。2024年時点で48歳という年齢での更新は、トライアルが「体力だけでなく、技術と経験が積み重なるスポーツ」であることを証明しています。
国際大会「トライアル・デ・ナシオン」(国別対抗戦)においても、日本チームは2019年に2位入賞を果たすなど、常に上位争いを展開しています。2023年には国際トロフィークラスで優勝と、世界の舞台でも結果を残し続けています。
トライアル世界選手権(TrialGP)の日本グランプリはモビリティリゾートもてぎで定期的に開催されており、世界トップライダーの走りを間近で見られる貴重な機会です。入場料は前売券で2,900円前後と、モータースポーツ観戦としてはリーズナブルな設定になっています。これは使えそうです。
Honda公式:小川友幸が全日本14回目チャンピオン・12年連続優勝を達成(2024年11月)
Honda Racing公式:藤波貴久26年の軌跡(日本人唯一の世界チャンピオン)

[LIBRE CO.,LTD.] サイクリングスパッツ 女性用 レディース ロードバイク ツーリング サイクリングパンツ トライアル 競技 パッド付き パット付き ダウンヒル ヒルクライム インナー ハーフパンツ 区分N NP-091 (JP, アルファベット, M, ブラック) [並行輸入品]