

スクールを「自分のバイクが上手い人だけが行く場所」と思うと、参加を先延ばしにして事故に遭うリスクが上がります。
「ライディングスクール(ライスク)」とは、バイクの運転技術を安全な環境で学ぶための講習会です。教習所での免許取得後に自己流で乗り続けるライダーが多い中、スクールではクローズドコースやサーキット・公道を使い、プロのインストラクターから実践的な指導を受けられます。
内容は主催者によって大きく異なります。走る・曲がる・止まるの基本を丁寧に教えてくれる超初心者向けから、サーキットでのスポーツ走行を極める上級者向けまで、幅広いレベルが揃っています。つまり「誰でも参加できる場所」が正確な認識です。
実は、ライディングスクールを受講したライダーの事故率は非受講者の約3分の1になるというデータがあります。これはホンダの安全運転普及活動の実績として報告されている数字です。1回のスクール参加(費用1〜2万円程度)が、修理費・入院費・賠償金に発展しかねない事故を防ぐリスクヘッジになるわけです。
参加するために最低限必要なものは3つです。①二輪免許(多くのスクールは普通自動二輪以上を要求)、②バイク(レンタル可のスクールも多数)、③ヘルメットや装具(レンタル可のスクールもあり)。自分のバイクがなくても、装備を持っていなくても参加できるスクールが増えているのです。
バイクの種類も問われないケースが多いです。ネイキッド・スポーツ・アメリカン・スクーターと何でも可というスクールも存在します。参加条件は事前にしっかり確認しましょう。
以下の参考リンクでは、ライディングスクール参加が交通事故リスクの軽減にどれほど効果的かが詳しく解説されています。
交通事故リスクを避けるためにはバイクレッスンが最も効果的!(MotoInfo / 日本自動車工業会)
スクール選びで最も大切なのは、「自分が何を解決したいか」を明確にすることです。同じライダーでも、「免許を取ったけど公道デビューが怖い」人と「Uターンをスムーズにこなしたい」人では、最適なスクールがまったく異なります。
主に4つの目的軸で分類できます。
- ①公道デビュー・基礎習得:免許取り立て・久しぶりに乗るリターンライダー向け
- ②苦手克服(Uターン・低速バランスなど):特定の操作に課題があるライダー向け
- ③ツーリング技術の向上:グループライドや長距離ツーリングをより安全に楽しみたいライダー向け
- ④サーキット・スポーツ走行:走りのスキルを本格的に磨きたいライダー向け
レベルの自己評価も重要です。免許取得直後・教習所卒業レベルなら「超初心者〜初心者向け」スクールが適切です。公道経験はあるが転倒や接触が心配なら「初中級」、ある程度乗れるが特定の苦手がある場合は「中級」以上を選ぶのが基本です。
費用も目安として知っておきましょう。警視庁や日本二普協が主催するBRL(ベーシックライディングレッスン)は保険料込みで数千円から参加可能です。ホンダのHMSは1回あたり約1万2,000円〜1万6,000円が相場(コースによって異なる)。柏秀樹ライディングスクール(KRS)の通常講習は1回11,000円です。プライベートや小人数制のスクールは1万4,000〜2万円以上になることもあります。
主催者の特徴もスクール選びの重要な基準です。「メーカー系(ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ)」「公的機関主催(警視庁・日本二普協)」「個人・民間主催(KRS・SRTTなど)」の3種類があり、目的や予算に合わせて選べます。
国内で参加しやすい代表的なスクールを紹介します。それぞれの特徴と向いているライダーのタイプをまとめます。
🏅 HMS(ホンダ・モーターサイクリスト・スクール)
国内最大規模のライディングスクールです。栃木(もてぎ)・埼玉・静岡(浜名湖)・三重(鈴鹿)・熊本の全国5か所の交通教育センターで開催されています。初級から上級・オフロードまでコースが細分化されており、年齢層に配慮した「ナイスミドルコース」(食事付き・19,000円〜)もあります。車両はホンダ車のレンタル完備なので、自分のバイクがない方にも最適です。
🏅 YRA(ヤマハ・ライディング・アカデミー)
「安全・楽しさ・役立つ」をコンセプトに、主に初心者・リターンライダーを対象としたスクールです。車両や装具のレンタルが可能で、「手ぶら参加OK」が最大のメリットです。「若者限定コース」や「親子バイク教室」など、多様なプログラムが充実しています。単なる技術習得にとどまらず、「バイクを安全に楽しむマインド」も育てられるのが特徴です。
🏅 KRS(柏秀樹ライディングスクール)
パリ=ダカール・ラリー参戦経験を持つ柏 秀樹氏が校長を務めるスクールです。多くのライダーが苦手とする「Uターン」の克服に定評があります。教習所とは異なる「現実的で実のある」テクニックが学べ、1回の通常講習料は11,000円です。ワインディングツーリングや林道など実践系カリキュラムも充実しています。
🏅 BRL(ベーシックライディングレッスン)
日本二輪車普及安全協会が主催する、全国7ブロックで開催される公的な講習会です。白バイ隊員などが指導にあたり、費用は地域によりますが参加料が非常にリーズナブルです。「走る・曲がる・止まる」の基本を徹底的に反復練習したい方や、まず低コストで体験したい方に最適です。
🏅 HondaGO BIKE LESSON
「免許はあるけどバイクがない」「立ちゴケが怖くて乗れていない」という超初心者に特化したプログラムです。施設内コースだけでなく実際の公道ショートツーリング・ロングツーリングも含まれ、インカムを使ったリアルタイム指導が受けられます。公道デビューの最初の一歩として活用するのに向いています。
🏅 スズキ北川ライディングスクール
元世界耐久選手権チャンピオン・北川圭一氏が直接指導するスクールです。「危険回避能力の向上」をメインテーマとし、講義と実践を組み合わせた構成でビギナーからベテランまで対応します。スズキ車でなくても参加できるコースが多く、スズキのコース(竜洋など)を使った本格的な練習が体験できます。
🏅 警視庁 二輪車交通安全教室
東京都在住・在勤のライダー向けに警視庁が主催する講習会です。現役の交通機動隊員が直接指導してくれ、費用はリーズナブル(保険料等のみ)です。胸部プロテクターの着用が必須で、安全意識の面でも本格的に学べます。都内ライダーにとっての「登竜門」とも言えるスクールです。
以下の参考リンクでは、上記のような目的別スクールをより詳しく比較しています。自分に合ったスクール選びの参考にしてください。
悩み・目的で選ぶ、ライディングスクール(MotoInfo / 日本自動車工業会)
スクールへの参加形式には「自分のバイク持ち込み」と「レンタル車両」の2パターンがあります。どちらを選ぶかでスクールの使い方も変わってきます。
自分のバイクを持ち込む最大のメリットは、「普段乗り慣れた車両でのフィードバックが得られる」点です。インストラクターが愛車の特性も踏まえて指導してくれる場合があり、公道に戻った後も練習内容を即座に活かしやすいです。ただし、転倒リスクがゼロではないため、傷をつけたくない方にとっては心理的ハードルがあります。
一方、レンタル車両でのスクールは「バイクへの傷の心配がない」「バイクを持っていない段階から参加できる」という点が大きなメリットです。HMSではホンダのCB400SFやレブル250・GB350などが用意されています。YRAも同様にレンタル可能で、装具(ヘルメット・グローブなど)まで貸し出してくれるスクールもあります。つまり、手ぶらで参加できます。
車両選びの注意点も押さえておきましょう。スクールによってはレンタル可能な排気量・車種に制限がある場合や、「126cc以上の持ち込みのみ」という条件のスクール(那須MSLライディングスクールなど)もあります。
装具については、ヘルメット・グローブは最低限自分で用意するか確認が必要です。胸部プロテクターはBRLや警視庁教室などで着用が必須(または強く推奨)とされています。胸部プロテクターを未装備のライダーは多く、スクールに参加することで安全装備の重要性を改めて学べる面もあります。
事前の準備として、参加前に公式サイトや電話で「持ち込みorレンタル」「レンタル費用」「胸部プロテクターの要否」を必ず確認することをお勧めします。人気スクールは数週間〜1か月以上前に満席になることが珍しくありません。早めの予約が原則です。
多くのライダーがスクール参加後に直面する課題があります。それは、「スクールで習ったことが、翌週の公道走行で再現できない」という問題です。スクールで感じた「あの感覚」を日常のバイクライフに定着させる方法を知っておくことで、スクールへの投資効果が格段に高まります。
スクールの効果が定着しにくい最大の理由は「反復回数の不足」です。脳科学的に見て、新しい運動パターンを長期記憶に定着させるには、適切なインターバルで同じ動作を複数回繰り返す必要があります。1回のスクール参加で得た感覚は、2〜3週間後に再び似た状況で練習しなければ、急速に薄れていきます。
定着のための具体的な方法を紹介します。
- 🗒️ スクール当日にメモを残す:帰宅後すぐに「今日気づいたこと」「インストラクターに言われたこと」を3つだけでも書き留める。スマホのメモで十分です。
- 🔄 近場の教習所や練習場を活用する:各都道府県の警察署や免許センターが主催する練習会(BRLなど)は低コストで反復参加が可能です。「場所を変えて練習する」ことで感覚が身につきやすくなります。
- 🎥 走行動画を撮影・確認する:ツーリング仲間に後ろから動画を撮ってもらうか、アクションカメラで自分のフォームを記録することで、「教わったフォームと自分の実際の姿勢」のギャップを確認できます。客観視は上達を加速します。
- 📅 3か月以内に次のスクールを予約する:1回のスクール参加よりも、3か月おきに年3〜4回参加するほうが技術の定着率が大きく向上します。
スクール参加を「年1回のイベント」と捉えるよりも、「バイクライフの定期メンテナンス」と位置づけると、費用対効果のとらえ方が変わります。スクール1回の費用(1〜2万円)が、転倒によるバイク修理費(数万〜数十万円)や身体的ダメージを防ぐための投資だと考えると、参加のハードルはずっと下がるはずです。
なお、参加後の自主練習の場として、各地の教習所のコース開放・BRL・警視庁の講習会は費用も低く、継続的な練習の場として最適です。スクールで得た課題を持ち込んで、的を絞った練習ができます。
以下の参考リンクでは、初心者向けのBRLについて開催情報や参加の流れが詳しくまとめられています。スクール後の継続参加の候補として確認してみてください。
雨でも参加する価値あり!初心者のためのライディングレッスン(MotoInfo / 日本自動車工業会)