

族車カスタムのvt250fを「旧車会向けの古くて遅いバイク」と思っているなら、最高速でRZ250を上回っていた事実を知ると考えが変わります。
vt250fが族車・旧車會シーンで支持される背景には、Vツインエンジンが生み出す独特のサウンドと、カスタムしやすい車体設計があります。1982年に登場した初期型(MC08)は、当時としては珍しいビキニカウル+エアロフォルムに赤いフレームという外観で、発売直後から強烈な個性を放っていました。つまり「見た目が族車向き」という要素は、生まれつき備わっていたわけです。
エンジン面では、Vツインは直列4気筒と比べてシリンダーが縦に並ぶため、車体の幅が抑えられます。その結果、族車に多用されるロケットカウルやビキニカウルを取り付けたときのシルエットが非常に決まりやすい。これは使えそうです。
また、VTシリーズはVT250F・VTZ250・VT250スパーダなど派生モデルが多く、部品の流用がしやすい点も族車ビルダーには人気の理由です。1台を組み上げる際に「他のVTシリーズから部品を調達できる」という選択肢の広さが、カスタムの自由度を高めています。
族車として仕上げる際によく使われるポイントは以下の通りです。
特に目を引くのがマフラーカスタムです。Vツインの2気筒を活かした4本出し(2気筒×2本出し)のマフラーは、旧車會イベントで「ビャンビャン鳴く」独特の音として知られており、族車らしさを演出する最重要パーツとなっています。
族車仕様のvt250fで最初に手をつけるのは、ほぼ間違いなくマフラーです。Vツイン2気筒の排気を4本出しや6本出しに加工するスタイルは、「派手さ」と「音量」の両方を一気に上げられるため、旧車會イベントでの存在感が別格になります。ただし、公道走行での違法改造には厳重な注意が必要です。
保安基準では、二輪車の排気音量は近接排気騒音で94dB(2000年以降の登録車)以内と定められています。族車カスタムのマフラーは、この基準を大幅に超えるケースがほとんどです。
公道で違法マフラーを使用した場合、道路交通法違反として取り締まりの対象となり、整備不良(騒音)で反則金6,000円〜、悪質なケースでは車両使用停止命令も下されます。罰則だけで終わらず、車検対応の純正またはJMCA認定品に戻す費用も発生します。
カスタムのステップを整理すると次のようになります。
カスタムを進める前に、公道走行可能な範囲と、イベント限定仕様(ナンバー無し・自走不可)の仕様を明確に分けて計画することが原則です。特に旧車會イベントへの持ち込みを目的とするなら、トランポ(トランスポーター)での輸送を前提にしたフルカスタム仕様として作り込む方が、法的トラブルを回避できます。
vt250fの中古相場は、他の旧車と比べて全体的に低い水準で推移しています。その理由はシンプルで、「現在もVTRシリーズなど後継・現行モデルが存在するため、プレミアが付きにくい」からです。旧車として希少価値が高騰しているCB系やGS系と比べると、手が届きやすい価格帯です。
ベース車両としての相場感はこのようになっています。
| 状態 | 価格帯の目安 |
|---|---|
| 部品取り・不動車 | 1万〜5万円程度 |
| 走行可能な素車 | 10万〜25万円程度 |
| 族車仕様カスタム済み | 20万〜50万円以上(カスタム内容による) |
注意点として、族車カスタム済みの個体を購入する場合は、保安基準適合状態かどうかを必ず確認してください。違法改造状態の車両を公道で走らせると、前オーナーではなく現所有者が責任を問われます。これは痛いですね。
入手後に確認すべき箇所は以下の通りです。
旧車個体の維持費として、燃料コック関連の新品部品は現在でも入手可能なケースが多く、整備性は旧車のなかでは優れた部類です。部品調達に関しては、Webikeやキジマなどのパーツ専門サイトを活用するのが現実的な選択肢です。
ホンダ「VT250F」の系譜と後継モデルの解説(autoby.jp)
族車仕様に仕上げたvt250fを長く維持するには、カスタム以前に「素のエンジンコンディション」を保つことが最重要です。旧車ゆえに各部のゴム・樹脂類が経年劣化しており、特に燃料系のダイヤフラムやホースは、ガソリン漏れから始まる複合的な不調の根本原因になりやすいことが確認されています。
「ただのガソリン漏れ」と軽視すると、アイドリング不調・吹き上がり不調・アクセルオフ後の回転落ちの遅れなど、複数のエンジントラブルが連鎖します。原因はシンプルです。
燃料コックのダイヤフラムが破れると、負圧でガソリンをコントロールする仕組みが機能しなくなり、エンジン全体の燃料供給バランスが崩れます。この部品は現在でも新品が入手できるケースがあるため、調子が悪い個体を手に入れた際には最初に確認すべき箇所です。
維持のための定期確認リストは以下の通りです。
旧車の整備は「出てから直す」より「出る前に把握する」スタンスが時間と費用の節約につながります。特に族車仕様でカスタムが多い個体は、電装系の配線が複雑に改造されているケースもあり、購入時には配線図と現状配線の照合を行うことを推奨します。
族車スタイルで長期維持している愛好者のなかには、22年間・15万km以上を同一個体で走り続けた記録も残っており、適切な整備さえ継続すれば高い耐久性を発揮するエンジンであることは証明されています。
vt250fのVツインエンジンの特徴とNRとの関係性(carview)
族車としてのvt250fには、旧車會イベントや走行会という楽しみ方とは別に、「旧車ベースの低予算カフェレーサー」という意外な活用方法があります。族車スタイルと正反対に見えますが、実は共通の文化的背景があります。
vt250fのビキニカウル+Vツインエンジン+細身のフレームという車体構成は、1960〜70年代のヨーロッパ製カフェレーサーと共通点が多く、一部のバイクカスタム愛好家の間では「族車カスタムのフレームをそのまま流用したカフェレーサー仕立て」が静かなブームとなっています。意外ですね。
族車仕様のロングタンクやセパレートハンドルを、カフェレーサー風にまとめ直すだけで、全く別のバイクに変貌します。追加コストはほとんどかかりません。
この「族車×カフェレーサー」スタイルの特徴は次の通りです。
vt250fという1台に「族車仕様」と「カフェレーサー仕様」の2面性を持たせる楽しみ方は、維持費を分散できる点でも実用的です。1台のベース車両に対して外装キットを複数持ち、イベントや気分に合わせて乗り換えるスタイルは、旧車趣味のコストパフォーマンスを最大化する賢い方法といえます。
族車として人気の旧車バイク12選とVTシリーズの位置づけ(バイクマン)