

品番が「150」から始まるヨシムラマフラーを公道で使うと、あなただけでなく取り付けたショップも違法になります。
ヨシムラ(YOSHIMURA)は、1954年に吉村秀雄氏(通称:POP吉村)が福岡で創業したバイクチューニングショップを前身とするブランドです。創業当初から米軍関係者にも慕われ、バイクチューニングの腕は国境を越えて評判になりました。
決定的な転機は1971年のことです。アメリカのAMAオンタリオレースにおいて、世界初となる二輪用集合マフラーを開発・投入しました。当時のバイクは1気筒につき1本の排気管が当たり前でしたが、POP吉村は「4本メガホンより集合管のほうが軽い」という発想でゼロから設計を行い、4-1の集合管を完成させました。意外ですね。
このマフラーを装着したCB750は、レース会場で「4気筒なのにマフラーが1本しかない」と大きな話題を呼び、しかも速かった。そこから「ヨシムラ」の名前は一気に世界に広まりました。
現在のヨシムラジャパンは、創業から70年以上の歴史を持つブランドとして、国内・海外ともにトップクラスの評価を維持しています。製品は「レースで勝てる性能と、公道で安心して使える車検対応」というコンセプトを両立させることを最重要としています。これが基本です。
バイクライダーの中には「音がカッコよければいい」という感覚でマフラーを選ぶ方もいますが、ヨシムラのマフラーはレースフィールドで培った排気設計の技術が市販品にも直接反映されています。単純にサウンドだけでなく、出力特性の改善や軽量化という実走行上のメリットも持ち合わせています。
参考:ヨシムラジャパン公式の沿革ページでは、1971年以降の具体的な歴史が年表で確認できます。
ヨシムラのマフラーラインナップは、サイレンサーの形状によって大きくシリーズが分かれます。それぞれ見た目だけでなく、音の特性や対応車種が異なるため、愛車に合ったモデルを選ぶことが重要です。
まず代表的なのが「R-77シリーズ」です。R-77JはUSヨシムラのデザインをヨシムラジャパンが国内保安基準に適合させたコラボモデルで、丸みを帯びた台形断面が特徴です。R-77Sはそれをさらにコンパクトにした仕様で、250ccクラスなどの中排気量車にもフィットしやすい設計になっています。
次に「R-11シリーズ」です。ヨシムラを象徴するTri-Ovalデザイン(三角おにぎり型の断面)をさらにテーパー形状に進化させたのがR-11で、スポーツライクなサイズ感と音質が特徴です。R-11Sqはレースシーンからのフィードバックを元に消音性能を向上させた進化版です。
「HEPTA FORCE(ヘプタフォース)サイクロン」は、シンメトリーな7角形(ヘプタゴン)形状が特徴で、特にハヤブサなど大型車に向けて開発されたシリーズです。重厚感と高い質感を持ちながら、フルエキ2本出し仕様では重量が純正の20.5kgから8.2kgへと、約60%もの軽量化を実現しています。これは使えそうです。
「RS-4Jサイクロン」もUSヨシムラとのコラボモデルで、比較的コンパクトかつクリアなサウンドが好まれています。主にストリート系の中大型車に人気の高いシリーズです。
以下に各シリーズを整理します。
| シリーズ名 | 形状 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| R-77J / R-77S | 丸みある台形断面 | 全車種対応 | USヨシムラベース・人気No.1 |
| R-11 / R-11Sq | テーパーTri-Oval | スポーツ系 | コンパクト・消音性高め |
| HEPTA FORCE | 7角形コーン形状 | 大型車・隼 | 迫力のルックスと大幅軽量化 |
| RS-4J | ラウンドコンパクト | 中大型汎用 | クリアサウンド・扱いやすさ |
参考:ヨシムラジャパン公式のサイレンサーバリエーションページで全シリーズの形状と対応車種を確認できます。
ヨシムラマフラーには、素材の組み合わせによって複数の仕様が存在します。主な素材は「ステンレス」「チタン」「カーボン」の3種類で、それぞれに性格の違いがあります。
ステンレスは、耐腐食性が高く比較的扱いやすい素材です。価格面でも抑えられており、長期間の使用に向いています。一般的にステンレスカバーモデルはチタンに比べて重量はやや増しますが、初めてヨシムラマフラーを購入するライダーには選びやすい素材です。
チタンは、ステンレスよりもさらに軽量で、独特の焼け色(青〜紫〜金色のグラデーション)が生じることで視覚的な美しさも魅力です。つまり機能美のある素材です。ヨシムラでは「FIRE SPEC(ファイヤースペック)」と呼ばれる職人の手作業による焼き入れ仕上げも展開しており、2本として同じ色が存在しない一点ものの仕上がりになります。
軽量化の数字で見ると、たとえばスズキGSR750の場合、純正マフラーが4.5kgなのに対してヨシムラR-77Jサイクロン(ステンレス)は2.7kgで約1.8kgの軽量化。スーパーカブC125向けのGP-MAGNUMサイクロンでは純正3.9kgに対して2.7kgと約37%の軽量化を実現しています。1.8kgというと、500mlペットボトル約3〜4本分の重量が減るイメージです。
カーボンはサイレンサーエンドキャップなどの部分に使われることが多く、軽量性と見た目のスポーツ感を同時に高められます。チタンエキパイ+カーボンエンドの組み合わせは、最も軽量なヨシムラマフラーの一形態です。
なお、チタンマフラーのメンテナンスには注意が必要です。ステンマジックのような研磨剤を使うと、チタン特有の焼け色が落ちてしまいます。チタンは中性洗剤か石油系パーツクリーナーのみを使うことが原則です。
ヨシムラのマフラーを選ぶ際、法律面の知識は避けて通れません。知らないまま取り付けると、思わぬ出費や法的リスクにつながります。
最も重要なのが品番による車検対応の判別です。ヨシムラジャパン公式のQ&Aによると、品番が「110から始まるマフラーは車検対応」、品番が「150から始まるマフラーはレーシングマフラー(公道使用不可)」と明確に区別されています。レーシングマフラー(品番150〜)は保安基準を満たしていないため、公道で使用すると違法改造となります。しかも、オーナーだけでなく、そのマフラーを取り付けたショップのスタッフも処罰の対象になる点は覚えておきましょう。
次に意識したいのが排出ガス規制とガスレポ(排出ガス試験結果証明書)です。2016年以降に製造された新しいバイクには触媒内蔵マフラーが義務化されており、この触媒を別のものに換える場合は、公的試験機関が発行する「ガスレポ」がなければ車検を通過できません。ヨシムラが販売する車検対応モデル(政府認証マフラー)はこのガスレポが添付されているものが多く、車検時に提示する必要があります。紛失した場合はヨシムラジャパンから有償で再発行可能です。
また、騒音規制(近接排気騒音・加速走行騒音)への適合も必須です。ヨシムラの一般公道向けサイクロンには全てJMCAプレートが装着されており、これが騒音規制適合の証明になります。具体的な音量の例として、ヨシムラR-11サイクロンの近接排気騒音は93dB程度と設定されていますが、これは保安基準の規制値内に収まっています。
なお、「USヨシムラサイクロンマフラー」は日本国内の保安基準を満たしていないため、ヨシムラジャパンは国内での取り扱いを行っていません。海外通販などで購入して国内公道を走ることも違法になるため注意が必要です。
参考:ヨシムラジャパン公式の法律ページでは、騒音規制・排出ガス規制の詳細が確認できます。
ヨシムラマフラーには「手曲げ」と「機械曲げ」という2つの製法があります。これは単に価格の話ではなく、バイクの乗り味や見た目にも直結する要素です。
機械曲げは、機械(パイプベンダー)を使って均一に曲げる製法です。量産性が高く、品質が安定しているため一般的なモデルに広く採用されています。価格が比較的手頃で、ヨシムラサイクロンシリーズの多くが機械曲げです。
手曲げは、熟練職人がバーナーでパイプを炙り、手の感覚で一本ずつ形を作る製法です。機械では作り出せない滑らかなラインが生まれ、見た目の美しさは機械曲げとは一線を画します。価格は同じ車種・シリーズでも手曲げのほうが数万円〜十数万円高い場合があります。厳しいところですね。
性能面で言えば、ヨシムラの手曲げはバンク角の確保にも有利な設計がとられており、コーナリング中にエキパイが地面に当たりにくい設計が施されています。これはレース用途から発展した技術です。ただし、街乗りメインのライダーが機械曲げと手曲げの走りの違いを体感で感じ取れるかというと、必ずしもそうではありません。
以下に簡単な比較を示します。
| 項目 | 機械曲げ | 手曲げ |
|---|---|---|
| 価格 | 比較的リーズナブル | 数万〜十数万円高い |
| 見た目 | 均一・シャープ | なめらか・職人の個性あり |
| 量産性 | 高い | 低い(一本一本異なる) |
| バンク角 | 標準的 | 有利な設計も多い |
| 向いている用途 | ストリート・ツーリング | ストリート・コレクター・レース寄り |
ヨシムラの手曲げモデルとして代表的なのが「手曲ストレートサイクロン Duplex Shooter(政府認証)」で、Z900RSなどに対応しています。純正比約23%の軽量化(純正12kg→ヨシムラ9.6kg)も実現しています。
ヨシムラマフラーを長く使い続けるためには、サイレンサー内部の消音材(グラスウール)のメンテナンスが欠かせません。これを怠ると、排気音が大きくなって騒音規制違反になるリスクが生じます。知らないと損するポイントです。
グラスウールは使用により少しずつ燃焼・圧縮されて消耗します。一般的には走行距離1万km前後が交換の目安とされていますが、峠やサーキット走行が多い場合はそれより早く劣化します。音量が「なんか最近うるさくなった気がする…」と感じ始めたら、グラスウール交換のサインだと考えてください。
ヨシムラジャパンではマフラーリメイクサービスを提供しており、サイレンサーを送付することで有償交換を依頼できます。費用の目安は以下のとおりです。
| 作業内容 | 料金(税抜) |
|---|---|
| グラスウール交換(丸タイプ) | 約10,000円〜 |
| グラスウール交換(R-77、R-11等) | 約12,000円〜 |
| サイレンサーカバー交換(ウール込み) | 約29,000円〜 |
※価格は時期や仕様により変動します。最新情報はヨシムラジャパン公式サービスページでご確認ください。
自分でグラスウールを交換するDIY派のライダーも多く、専用のグラスウールを購入して作業する方法も広まっています。ただし、DIYで分解・組み立てを行う場合はJMCAプレートが外れたり損傷しないよう注意が必要です。JMCAプレートが外れてしまうと車検時に問題になる可能性があります。
レッドバロンとヨシムラジャパンのコラボキャンペーンでは、通常1回1,980円かかる排気騒音測定料金が3回分無料になるサービスが実施されていたこともあります。このような専門ショップと連携したサービスを利用することも、維持コストを抑える選択肢になります。
参考:ヨシムラジャパン公式のアフターサービス詳細はこちらで確認できます。

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