

ZZR1200は乾燥重量236kgあるが、乗ると「軽い」と感じたオーナーが続出している。
ZZR1200(型式:ZX1200C)は2002年に登場したカワサキのスポーツツアラーです。ZZR1100の後継モデルとして開発され、2005年モデルまで生産が続きました。海外向けモデルのため、日本への正規輸入はなく、並行輸入または逆輸入という形で国内に流通しています。
下の表に、ZZR1200の主要スペックをまとめました。
| 項目 | スペック詳細 |
|------|-----------|
| 型式 | ZX1200C(ZXT20C) |
| 全長×全幅×全高 | 2,160mm × 755mm × 1,245mm |
| 軸間距離(ホイールベース) | 1,505mm |
| シート高 | 800mm |
| 最低地上高 | 130mm |
| 乾燥重量 | 236kg |
| エンジン形式 | 水冷4ストローク並列4気筒 DOHC 4バルブ |
| 総排気量 | 1,164cc |
| 最高出力 | 155ps(114kW)/9,800rpm ※ラムエア加圧時:163ps(120kW)/9,800rpm |
| 最大トルク | 13.0kg-m(125N・m)/8,200rpm |
| 燃料タンク容量 | 23L |
| 燃料供給方式 | キャブレター(CVKD40) |
| 変速機 | 常時噛合式6速リターン |
| タイヤサイズ(前) | 120/70ZR17 |
| タイヤサイズ(後) | 180/55ZR17 |
| オイル容量 | 全容量4.2L(交換時3.3L) |
| 車体価格(当時・税別) | 1,150,000円 |
ラムエア加圧時163psが条件です。これはただの数字の話ではなく、走行中に実際に発揮されるパワーですので、スペック表の155psだけを見て判断するのは惜しいところです。
エンジンはZX-12R用の超強力なものではなく、ZRX1200Rをベースに扱いやすくチューニングしたものが搭載されています。これはカワサキが「最速ではなく、最強の万能バイク」を目指した設計思想の表れです。
ZZR1200のエンジンは1,164ccという大排気量にもかかわらず、低回転域から力強いトルクを発揮するキャラクターです。最大トルクが8,200rpmで発生するのに対して、その手前の5,000~6,000rpm域でも十分な引き出しを感じられるという評判が多くのオーナーから寄せられています。
この扱いやすさのカギが「キャブレター仕様」という選択です。意外なことに、ZX-12Rが燃料噴射(インジェクション)を採用したのに対して、ZZR1200はあえてキャブレターを採用しました。これにより、低回転域での細かいスロットルコントロールが自然な感覚でできると評価されています。インジェクションが当たり前の現代から見ると、この判断は非常に独特です。
ラムエアシステムについても見逃せないポイントです。走行風をエアボックスに取り込み、吸気圧を高めることで出力を引き上げる仕組みで、ZZR1200では高速域での使用時に通常の155psから163psへと8psの上昇が得られます。8psという数字はコンパクトカー1台分のエンジン出力に相当するほどの差です。
つまり高速道路での巡航こそZZR1200が最も本領を発揮する場面ということですね。
実際のオーナーからは「6速からのパワーがとにかく気持ちいい」「高速での安定感が圧倒的」という声が多く聞かれます。また、エンジンの耐久性についても「とにかく丈夫」という評価が多く、週1回往復140kmの高速通勤でも不具合なく使い続けているというレビューも存在します。振動も少なく、長距離走行での疲労感が少ない点も高く評価されています。
乾燥重量236kgという数値はクラス内でも重量級です。236kgがどのくらいかというと、平均的な成人男性(約70kg)の約3.4人分に相当します。これを立体駐車場やUターンで扱う場面を想像すると、確かに体力と慣れが必要なことがわかります。
ただし、実際に乗り始めると「思ったより軽く感じる」という声がオーナーの間で目立ちます。これは重心の設計が非常に低く抑えられているためで、跨ってしまえば車体のバランスが安定し、動かすのに必要な力が軽減されます。ZZR1100乗りが友人のZZR1200に試乗して「とにかく軽いの一言」と感じたという口コミも残っているほどです。
シート高は800mmです。ZZR1100の780mmから20mm高くなっています。身長175cm程度あれば、片足がベタリと地面に届くレベルとのことで、大型スポーツツアラーとしては比較的足つきの良い部類に入ります。
ライディングポジションはZZR1100を継承したゆったり系で、前傾姿勢がきつくない設計です。両腕に体重がかかりにくいため、長距離走行でも手首や肩への負担が少ないと評価されています。ZX-12Rが「乗り出す前に気合を入れる」タイプだとすれば、ZZR1200は「玄関を出てそのまま乗れる」タイプと表現したインプレッションがあるほどです。
ポジションが楽なのが基本です。ツアラーとして求められる快適性に真剣に向き合った設計姿勢が、この乗り心地の良さに直結しています。
ZZR1200を他の世代と比較すると、そのポジションがより明確になります。下の表で3モデルのスペックを並べて見てみましょう。
| 比較項目 | ZZR1100 (D型/1993年〜) | ZZR1200 (2002年〜) | ZZR1400 (2006年〜) |
|---------|----------------------|-------------------|-------------------|
| 排気量 | 1,052cc | 1,164cc | 1,352cc |
| 最高出力 | 147ps/10,500rpm | 155ps/9,800rpm | 190ps/9,500rpm |
| 最大トルク | 11.2kgf・m/9,500rpm | 12.7kgf・m/8,200rpm | 14.5kgf・m/7,500rpm |
| タンク容量 | 24L | 23L | 22L |
| シート高 | 780mm | 800mm | 800mm |
| 燃料供給 | キャブレター | キャブレター | インジェクション |
注目すべき点が2つあります。1つ目は、ZZR1200のタンク容量が23Lで3世代の中でほぼ最大水準にあること。2つ目は、最大トルク発生回転数がZZR1100の9,500rpmから8,200rpmへと大幅に下がっていることです。これはより低い回転域でドカンと力が出ることを意味し、日常的な走行での扱いやすさにつながっています。
結論はZZR1200が3モデルの中で最もバランスが良いということです。ZZR1100より確実に進化しながら、ZZR1400ほどの圧倒的なパワーを持つがゆえの神経質さとも無縁な、快適性と性能のスイートスポットに位置しています。
なお、ZZR1100は輸出専用車でタンク容量が16Lのモデルもありましたが、ZZR1200は全モデル23Lで統一されています。長距離ツーリングでの給油間隔が長く保てる点は、ツアラーとしての実用性を考えると見逃せないメリットです。
参考になるZZR1100とZZR1200の詳細比較はこちら。
ZZR1100とZZR1200の違いを比較|バイク売る
ZZR1200の実燃費について、みんカラの給油データ286件の平均ではレギュラー使用時で18.73km/L、ハイオク使用時で18.16km/Lという数字が出ています。大排気量の大型ツアラーとしては優秀な数値です。タンク容量23Lと合わせると、単純計算で1回の給油あたり430km前後の航続距離が期待できます。東京から大阪の距離が約500kmですから、ほぼノンストップで走れるほどの航続距離があります。
ただし走行条件によって燃費は大きく変わります。高速メインのツーリングでは22km/L前後という報告もある一方、街乗りや短距離走行が増えると13〜15km/L程度まで落ちるケースもあります。燃費が大事ということですね、走り方の工夫が維持費に直結します。
維持費の観点では、タイヤ交換コストが一つの注意点です。前120/70ZR17・後180/55ZR17というサイズは大型スポーツバイクでは標準的ですが、1回の前後交換で工賃込み3〜5万円前後かかることが多く、消耗品コストは250ccクラスと比べて明らかに高くなります。
中古市場については、ZZR1200は新車販売台数自体がそれほど多くなかったため、流通量が限られています。程度の良い個体は希少で、整備済みの車両は相場が上がっています。また、経年劣化による電装系のトラブルやゴム部品の硬化は年式的に注意が必要です。購入前には整備記録の確認と、信頼できるショップでの状態チェックを必ず行うことが賢明です。
走行距離が多くても定期整備が行き届いた個体なら問題ありません。エンジン自体の耐久性は高く評価されており、10万kmオーバーの個体でも現役で使い続けているオーナーが存在します。
中古バイクを探す際にスペックや状態を確認できるサービスとして、ウェビックやバイクブロスのカタログページが参考になります。
カワサキ ZZR1200のスペック情報・型式一覧|バイクブロス
ZZR1200が「不人気車」と呼ばれることがあるのは事実です。しかしその理由を正確に理解すると、むしろ一部のライダーにとっては魅力的なポイントが隠れています。
不人気の最大の理由として多く挙げられるのが、ヘッドライト周りのデザインです。4灯丸目のライト形状は、メルセデスの提灯ヘッドライトを参考にしたとも言われますが、好みが大きく分かれました。ヤフー知恵袋やバイクブロスの口コミでも「ライト周りが好きになれない」という意見が散見されます。
しかし、デザインの好みが分かれたことで中古価格が抑えられている側面があります。これは知っていると得する情報です。性能面ではZZR1100を確実に上回りながら、相場がZZR1400より大幅に安い場合が多く、高性能ツアラーをコストを抑えて手に入れたいライダーにとっては狙い目のモデルと言えます。
もう一つの不人気理由は、同時期にZX-12Rというより尖ったフラッグシップが存在したことです。最速を求めるライダーはZX-12Rへ、完全なツアラーを求めるライダーは別の選択肢へと流れ、ZZR1200は「中間の存在」として見られてしまいました。
これは使えそうな視点ですね。ZZR1200の「中間」というポジションこそ、実は日常的な高速ツーリングでの使い勝手において最もバランスが良いという評価につながっています。Reddit(英語圏)でも「過小評価されているスポーツツアラー」という表現で紹介されているほどです。
参考として、ZZR1200の開発背景と設計思想を詳しく解説した記事。
ZZR1200はフラッグシップZZR1100のCD値最優先をライダー本位に刷新したモデル|ride-hi.com