

CBX1000を買う前に、エンジンOHだけで100万円以上かかる事実を知っていますか?
CBX1000が初めて世に出たのは1978年12月、東京・赤坂プリンスホテルでの発表会でした。「The Magnificent Six(偉大なる6気筒)」というキャッチコピーを掲げた、空冷並列6気筒エンジン搭載のフラッグシップモデルです。
当時の新車価格は、初期型(1979年)の海外仕様でUS$3,988(当時の換算で約86万円相当)、国内流通モデルとして扱われた1980年以降の後期型が920,000円(税別)でした。この価格は当時の大型バイク市場では飛び抜けて高額で、ライバルであるCB750Fの約53万円と比べると実に1.7倍以上の差がありました。
高かったのには理由があります。エンジン内部のカムとバルブの合計24本、カムシャフト4本という構成に加え、エンジンパーツのマグネシウム化、当時の量販車初となるジュラルミン製ペダル・ステップなどの素材コストが積み重なった結果です。当時のホンダがカワサキZ1を超えるフラッグシップとして作ったため、コストを惜しまなかったという背景もあります。
130万円超という当時の実勢価格は一般ライダーにとって手が届きにくく、これがセールス不振の一因ともなりました。当時の声として「CBX1000は憧れるけど130万はちょっと」「こんな走るエンジンには乗れない」といった反応が多かったのは、あながち大げさではありません。
| 年式・仕様 | 当時の新車価格(目安) |
|---|---|
| 1979年式(海外仕様) | US$3,988(約86万円相当) |
| 1980年式(海外仕様) | US$4,198(約94万円相当) |
| 1981年式(海外仕様) | US$4,100(約90万円相当) |
| 1982年式 インテグラ(海外仕様) | US$5,600(約140万円相当) |
| 1980年以降 国内流通モデル | 920,000円(税別) |
CBX1000は国内正規販売がなかったモデルです。日本国内に存在する個体は、海外仕様の逆輸入・並行輸入という形で持ち込まれたものがほとんどという点は覚えておく必要があります。
CBX1000のスペックと歴史について詳しく解説されています。
大きすぎた赤い夢 CBX1000 (CB1/SC03/SC06) – バイク系譜
当時92万円前後だったCBX1000の中古相場は、今では驚くほど跳ね上がっています。これは驚くべき数字です。
2026年2月時点の最新データによると、業者間オークションでの平均買取相場は124〜172万円(平均値)、上限は238万円となっています。一方、販売店での実勢価格は平均約350〜370万円超えで、逆輸入車に絞ると375万円程度が相場です。グーバイクやBDSバイクセンサーなどの掲載情報でも300万円台後半から400万円台の個体が多く見られます。
対10年前比で+102%の上昇です。さらに前年比でも+4%のプラストレンドが継続中。これは「10年で価格が2倍以上になった」ということを意味します。原付換算だと、10年前に80万円で買った個体が今160万円以上の買取価格になるイメージです。
高騰の背景にはいくつかの要因があります。
- 🔴 希少性の極端な高まり:CBX1000は1978〜1982年という短期間しか生産されず、国内流通台数が絶対的に少ない。年間の業者間取引はわずか13台程度(過去10年平均)という超希少車
- 🔴 空冷並列6気筒という唯一無二の存在感:現在も量産されている並列6気筒バイクはBMW K1600シリーズのみで、空冷6気筒はCBX1000しか存在しない
- 🔴 旧車ブームと投資目的の購入:絶版車市場全体が盛り上がっており、価値が下がりにくいとして資産保有目的での購入者も増加
- 🔴 カラー・年式による価格差:赤/黒カラーや初期型1979年式にプレミアムがつきやすく、同じCBX1000でも数十万円単位の差が生まれることがある
つまり「乗る」ためだけでなく「所有する」「価値を守る」という意識を持った購入者が増えていることが、相場を押し上げている最大の要因です。
2026年2月時点の最新の買取相場データが確認できます。
CBX1000【1979〜82年式】の買取相場と査定価格 – バイクパッション
CBX1000を手に入れたあとの維持費についても、正確に把握しておくことが重要です。旧車オーナーの実体験をもとに解説します。
まず消耗品についてですが、タイヤやブレーキパッドは気筒数に関わらず2輪なので4気筒のバイクとほぼ変わりません。ただし、プラグ・ジェットニードルなどの交換部品は6気筒ゆえに4気筒比で1.5倍程度のコストがかかります。6本分まとめてそろえる必要があるためです。
CBX専門店「リモーション」の横川氏によると、整備コストの目安は以下の通りです。
| 作業内容 | 費用目安(部品代込み・税抜) |
|---|---|
| エンジンフルオーバーホール | 100万円〜 |
| キャブレターオーバーホール(脱着込み) | 10万円〜 |
| 車体ベアリング全交換 | 8万円〜 |
| フロントフォークオーバーホール | 2万5,000円〜 |
エンジンフルOHで100万円、これは現実です。特に6個のキャブレターは「3連×2」という構成で、1つ1つを調整・分解するだけで作業時間が倍増します。バルブ数も合計24本と、4気筒の16本に対して50%増しです。
もう一つ、多くのオーナーが見落としがちな問題があります。それが「対応してくれる整備店がそもそも少ない」という点です。
旧車を受け付けること自体に消極的な一般バイクショップは多いですが、CBX1000に関しては特にその傾向が強く、タイヤ交換ですら断られるケースも実際に報告されています。実際、CBX1000のオーナーは「ホイールを外して持ち込む」という形で分担し、受け入れてもらいやすい工夫をしているケースがあります。整備を依頼する先は事前に確認が必要です。
CBX1000特有の注意事項として、マニュアル式カムチェーンテンショナーがあります。これは定期的な手動調整が必要で、怠るとエンジン内部にダメージが及ぶリスクがあります。専門店でオーバーホール済みのものを組み込んだうえで定期調整を続けることが、エンジンを長持ちさせるうえでの基本です。
また、空冷6気筒という構造上、中央の2番・5番シリンダーは冷却風が届きにくく、熱ストレスを受けやすいという構造的な弱点があります。エンジンオイルの管理は特に丁寧に行う必要があります。熱対策が原則です。
CBX専門店リモーションのメカニック視点での整備コストと注意点が詳しく記載されています。
ホンダCBX完調メンテ【識者インタビュー:これから買うなら修理費用はある程度の覚悟を】 – ヤングマシン
「CBX1000の相場はこれからも上がり続けるのか?」という疑問を持つ人は多いです。データをもとに整理します。
現在の相場トレンドを見ると、対前年比+4%、対3年前比+8%、対10年前比+102%というデータが示す通り、長期的な上昇トレンドが続いています。特に旧車市場全体が世界的に盛り上がっている中、「空冷並列6気筒リッタークラス」という唯一無二の存在であるCBX1000は、他の旧車が値崩れしても根強い人気を保ちやすい車種です。
一方で、注意すべき点もあります。年間の取引台数は業者間でわずか13台程度と極端に少ないため、1台の取引で相場が大きく動くことがあります。「価格が高い=いつでも高く売れる」とは限らず、タイミングと状態によっては大幅に下がることもあります。
売り時・買い時について具体的な判断軸を整理すると、以下の通りです。
- 💡 高く売れやすいコンディション:軽整備で再販できる状態(評価点4点前後)、赤/黒カラー、走行距離3〜5万km台の個体が最も平均買取額が高い傾向あり
- 💡 高く買いやすいカテゴリ:1979年式の初期型(CB1型)は希少性・人気が高くプレミアムがつきやすい。逆に1981〜82年式のツアラー路線(SC06型)は格差が大きく、カスタム車はむしろ査定額が下がるケースも
- 💡 売却で損をしやすいケース:ノーマルから大きく外れたカスタム車、走行距離5万km超の個体は査定額の上振れが期待しにくい
つまり購入後もノーマルに近い状態をキープすることが、資産価値を守ることに直結します。これは買い方の基本です。
また、CBX1000の購入を検討している場合は、旧車・絶版車に強い専門店や実績のある買取業者を複数比較することが重要です。一般の中古バイク店と旧車専門店では、CBX1000に対する査定額が数十万円単位で変わるケースも珍しくありません。複数社への相談は必須です。
CBX1000を手にするうえで、多くの記事が触れない「総所有コスト」という観点を整理します。これを知らないと、購入後に想定外の出費に苦しむ可能性があります。
本体の購入価格だけを見て「300万円台なら買える」と判断するのは早計です。購入後に発生するコストの全体像を把握することが大切です。
まず、旧車の場合は購入直後に整備費用が発生するケースが大半です。CBX専門店に入庫する個体の多くが「要整備状態」という現実があります。キャブレター不調、充電系・点火系のトラブルが最も多く報告されており、新規入庫後すぐに10〜30万円規模の整備費用が発生することは珍しくありません。購入時の整備費用は別途見ておく必要があります。
次に、保管環境のコストも意外と見落とされがちです。CBX1000のような旧車はキャブレター内のガソリンが劣化しやすく、長期保管時には「フロートチャンバー内のガソリンを使い切るかドレンから抜く」ことが必須のメンテナンスです。屋内保管でないと劣化が加速しやすく、屋外常時保管はそれだけでリスクになります。
車検について補足すると、1978〜1982年式の初期登録から45年以上経過した車両は「初年度登録から25年以上経過した250cc超の二輪車」に該当するため、車検証の有効期間が2年から3年に延長される特例を活用できる場合があります。つまり車検コストは通常の旧車より少し抑えられる可能性があります。これは意外な得点です。
整備店の問題についても改めて確認しておきましょう。前述の通り、一般のバイク店では断られるケースも多いため、購入前に「自分のバイクを診てくれる整備店があるか」を先に確認することを強くすすめます。購入後に困っても遅い、という状況が実際に起きています。購入前の確認が条件です。
最後に、部品調達についてはCBX1000のエンジン以外のパーツは多くがCB-F系(CB750F/900F)と共通部品のため、通常の維持の範囲ではパーツ供給はそれほど深刻ではありません。ただしエンジン内部のパーツについては希少なものもあり、オーバーホール時にはリビルド品や有志によるアフターパーツの存在を確認しておくと安心です。
CBX1000オーナーによる維持費の実態が詳しく記載されています。
CBX1000の維持費について聞かれる事があります – CBX1000.jp

ホンダ用 フルスケール 純正タイプ スピードメーター 240km/h CBX1000 SC03用 SC06用 1979-1980 前期 1981-1982 後期 メーター