

タイム比105%を切っても、昇格できない大会が存在します。
JAGEのリザルト(成績表)を初めて見たとき、数字と記号が並んでいて何が何だかわからないという声は少なくありません。しかし構造を一度理解してしまえば、毎戦の結果を自分の成長指標として活用できるようになります。
まずリザルトには「ゼッケン番号・氏名・クラス・1ヒートタイム・2ヒートタイム・ベストタイム・ペナルティ・総合順位・タイム比」が記載されています。基本はこの9項目です。
中でも特に重要なのが「タイム比(%)」です。これはその日の大会でトップタイムを出した選手のタイムを100%として、自分のタイムが何パーセントにあたるかを示した数値です。例えばトップが100秒、自分が110秒だった場合は110.0%となります。
タイム比が昇格条件の判定に直結するため、単純な順位よりも重要な数値といえます。これが原則です。
ペナルティについても確認しておきましょう。パイロン倒しや、ゴールエリアからのはみ出しには3秒加算、フライングスタートには1秒加算が課されます。この加算後のタイムでタイム比が計算されるため、1本のペナルティが昇格の可否を左右することもあります。痛いですね。
リザルト表内の「P」や「P3」という表記がペナルティを意味しており、ベストタイム欄にその加算後の値が反映される仕組みです。また、参加者数が多い大会では1ヒート終了後に「Heat1リザルト」が速報として公開されることがあり、2ヒート終了後に最終リザルトが確定します。
実際、JAGEのX(旧Twitter)公式アカウント(@JAGE_OFFICE)では、ヒートごとにリザルトのGoogle Driveリンクが投稿されるため、会場にいながらリアルタイムで確認することができます。これは使えそうです。
なおリザルト表のゼッケン色は、そのままクラスを表しています。赤ゼッケンがA級、青ゼッケンがB級、緑ゼッケンがC1級、黄緑ゼッケンがC2級、黄色ゼッケンがノービス(N級)です。リザルトを見る際はゼッケン色でクラスをひと目判別できます。
参考:JAGE事務局公式サイト(大会リザルト一覧)
https://jage.jpn.org/result_idx.html
JAGEジムカーナにおけるクラス制度は、成績の積み上げによってステップアップする「タイム比連動型」の昇格システムです。どのクラスからスタートしても、大会でよいタイム比を出すことで上位クラスへ昇格できます。降格条件はありません。
クラスは上からA級・B級・C1級・C2級・N級(ノービス)の5段階で構成されています。昇格の基準は以下の通りです。
| クラス | 昇格に必要なタイム比 | ゼッケン色 |
|---|---|---|
| A級 | B級でのポイント積み上げ | 赤 |
| B級 | トップより105%以内 | 青 |
| C1級 | トップより110%以内 | 緑 |
| C2級 | トップより115%以内 | 黄緑 |
| N級(ノービス) | スタートクラス | 黄色 |
初参加の選手は全員N級として出走し、その大会のタイム比に応じて翌大会以降のクラスが決まります。つまり初参加でも115%以内を出せれば、次回からC2シード選手として出走できるということです。
一方で注意点があります。タイム比を満たしても、認定大会(JAGE杯・DUNLOP杯)以外の地方大会では「地方シード」扱いとなり、正式なJAGE認定のシードとは区別されます。JAGE認定シードを名乗るには、JAGE CUPまたはDUNLOP杯といった認定大会での達成が必要です。これが条件です。
さらに2025年シーズンからは、DUNLOP杯とJAGE杯のポイント管理が完全に独立しました。両大会のポイントは統合されず、それぞれ別のシリーズポイントとしてカウントされます。以前は合算していたケースもあったため、昔の感覚でいると計算が狂う場合があります。
参加者には1シーズンを通してポイントが付与され、その累計でシリーズランキングが形成されます。2025年のJAGE CUPシリーズでは年間4戦が開催され、各大会で上位15位にポイントが与えられました。なお同ポイントの場合は出走回数の多い選手が上位となる仕組みです。
参考:JAGE杯2025年シリーズポイントランキング一覧
https://jage.jpn.org/y_25serise.html
「B級に昇格したのにA級になれない」という状況に陥るライダーは少なくありません。実はB級からA級への昇格条件は単純なタイム比のクリアではなく、JAGE認定大会でのポイント積み上げが必要です。この仕組みを知らないまま大会を消化してしまうライダーが一定数います。
A級昇格の条件として「SB級ポイントシステム」というルールがあります。これは700ccを超えるビッグバイクに乗るシード選手を対象にした独自のポイント制で、SBクラスの1位〜15位にポイントが付与されます。ただしポイント獲得はトップタイムより107%以内の選手に限られています。107%が条件です。
この「107%の壁」は一般ライダーにも関係があります。過去のJAGE杯・DUNLOP杯のリザルトを分析すると、C1級入賞ボーダーラインがおおむね107%前後となっており、この数値を安定して切れるようになると次のクラスへの昇格が視野に入ってくることがわかります。
具体的に数字で考えてみましょう。その日のトップタイムが100秒だった場合、107秒以内に収めることが「107%切り」です。東京ドームのグラウンドをバイクで一周するような感覚で、コンマ数秒の積み重ねが結果を大きく変えます。
2025年シリーズのリザルトを見ると、A級上位勢のシリーズポイント争いは非常に僅差で推移しました。年間4戦のうち1戦でもノーポイントになると年間順位が大きく下がるため、全戦に安定してエントリーすることが重要です。つまり継続出場が基本です。
A級昇格に向けた練習としては、認定大会を模した本番に近い環境での走り込みが有効です。会場となるトミンモーターランドのようなサーキット系コースと、筑波サーキットのような広大なパイロンコースでは走り方が変わるため、どちらの認定大会を狙うかによって練習環境を選ぶことも戦略のひとつといえます。
参考:JAGE昇格基準についての公式説明ページ
http://jage.jpn.org/announce1.html
大会後にリザルトを確認しておしまい、という使い方をしているライダーは多いですが、リザルトはそこから先の練習に活かせる貴重なデータです。順位と総合タイムだけでなく、複数の数値を組み合わせて読むことで自分の弱点が見えてきます。
まず確認すべきは「ポイント獲得圏(上位15名)との差」です。例えば2025年JAGE杯第2戦では、総合15位のタイムが1分31秒205、16位が1分31秒232で、その差わずか0.027秒でした。コンビニのレジを打つ時間の半分にも満たない差が、ポイントの有無を分けることになります。
次に「1ヒートと2ヒートのタイム差」を見てください。理想は2ヒートでタイムアップすることですが、逆に2ヒートでタイムが落ちた場合は体力面・集中力・路面温度変化・セッティング変化など複数の原因が考えられます。差が0.5秒以上あるなら、ライン取りの再現性に問題がある可能性が高いといえます。
さらに重要なのが「タイム比の推移をシリーズで追うこと」です。1戦ごとのタイム比をメモしておくと、自分の成長曲線や停滞期が数値として浮かび上がります。103%台で安定してきたら昇格が近い、という目安も作れるようになります。
自己分析に役立つのがYouTubeに公開されている大会の走行動画です。JAGEカップ各戦の映像は公式・非公式問わず毎戦アップロードされており、上位選手の走りと自分の走りを見比べることで、どのセクションで差がついているかを視覚的に確認できます。
たとえば「4連270°ターン」や「フリーターン」などのタイトセクションで遅れているなら、フロントサスペンションのプリロード調整や突き出し調整が有効な場合があります。フロントのバネ変更だけなら2万円程度で対応可能です。一方で「高速セクションでの立ち上がり加速」で差がついているなら、乗り方の問題かエンジン特性の問題かを切り分ける必要があります。
データ分析の手間を減らしたい方には「JAGEサイト監視くん」(個人運営のサービス)が便利です。JAGE公式サイトの更新を自動通知してくれるため、リザルト公開のタイミングを見逃しません。
参考:過去のJAGE杯リザルトを分析した記事(ライテク図書館)
https://riding-technic-library.com/625/
JAGEの認定大会には「JAGE CUP(JAGE杯)」と「DUNLOP・月刊オートバイカップ!ジムカーナ大会(DUNLOP杯)」の2種類があります。どちらも昇格資格を得られる認定大会ですが、コース特性が大きく異なります。この違いを知らずに参加大会を選ぶと、自分の得意・不得意と噛み合わない場合があります。
JAGE杯の会場はトミンモーターランド(神奈川県)のBコースです。教習所のような「道」が存在する中に、パイロンやトラ棒を設置してコースを組みます。そのためスピードレンジは比較的低く抑えられ、タイトなターンや回転セクションを正確に処理する技術が求められます。
対してDUNLOP杯の会場は筑波サーキットのジムカーナ場(茨城県)です。広大なアスファルトエリアにパイロンだけでコースを構成するため、スピードレンジが高くなりやすく、ハイスピードを維持したまま広いコーナーを処理する能力が重視されます。
車種選びにも影響します。過去のリザルト分析(2022〜2025年のD杯・J杯データ)によると、JAGE杯ではNSRやDR-Z400SMが107%切り率が高く、DUNLOP杯ではGSX-R1000やDR-Z400SMが高い傾向が見られました。ただしC2・C1クラスではCB250RやGROMのような扱いやすい車種が幅広いレベルで結果を出しています。
両大会の参加者数にも差があります。DUNLOP杯は一回あたり150名前後の参加者が集まることが多く、JAGE杯は140名前後です。規模の違いはポイント争いの厳しさにも直結します。どちらも年間4〜5戦のシリーズ戦で運営されているため、全戦に出場すること自体がシリーズポイント戦略の基本となります。
自分が普段練習している場所がどちらに近いかを考えることが、大会選びのひとつのヒントになります。広い駐車場でのフリー練習が多ければDUNLOP杯型、教習所やサーキットの「道」を活用しているならJAGE杯型の対策が活きやすいです。これは意識しておくべき点です。
参考:JAGE杯とDUNLOP杯の特徴を詳細に解説している記事
https://riding-technic-library.com/625/
ジムカーナ競技は雨天決行が原則のため、ウェット路面での走行を余儀なくされることが珍しくありません。実際2025年JAGE杯開幕戦では、1ヒート途中から雨が降り始め、B級出走時点で完全にウェット路面となりました。このとき、ウェット路面をものともせず圧巻の走りを見せたB級の江間選手が総合優勝を獲得しています。
リザルトで見えてくるのは「ウェット時にタイム比が大きく悪化する選手」と「ほとんど変わらない選手」の二極化です。前者はドライでの攻めたラインをそのままウェットに持ち込んでいる傾向があり、後者はウェットでもリスクを最小化するライン選択と荷重コントロールができています。
ウェット対応でまず意識すべきは「ボトムスピードを落とし、スロットル開けを遅くする」ことです。いつもより0.5秒ほど遅らせてスロットルを開けるだけで、リヤのスライドを大幅に抑えられます。特に回転セクションでのアクセルワークは、ウェット時の転倒原因第1位ともいえます。
タイヤ選択もリザルトに直接影響します。ジムカーナではレーシングタイヤは使用できませんが、ハイグリップ系の公道タイヤ(例:ブリヂストン BATTLAX RS11、ダンロップ α-14など)を選ぶことで、ウェット・ドライ両方でのグリップを高められます。タイヤウォーマーが使える練習環境なら、本番前のタイヤ温度管理も有効です。
また、知っておくと差が出る情報として「慣熟歩行(コースウォーク)の活用」があります。JAGEの大会では当日の朝に初めてコースが公開され、出走前にライダーが徒歩でコースを確認する時間(慣熟歩行)が与えられます。このとき単にパイロンの位置を確認するだけでなく、路面の状態・亀裂・勾配・ウェットになりやすい箇所を把握しておくと、当日のリザルトに実際の影響が出ます。
コースウォーク中に「自分がどこでスロットルを開けるか」を具体的にイメージしながら歩く選手と、なんとなくルートを確認するだけの選手では、2ヒートのタイム差として0.5〜1秒以上の開きが出ることもあります。上位選手は1ヒートの走行データを2ヒートのライン修正に即座に反映できており、この「コース攻略率と再現率」の高さがリザルトの安定につながっています。
なお、大会中にリザルトを速報で確認するには、JAGE事務局のX(@JAGE_OFFICE)をフォローしておくのが最も手軽な方法です。ヒートごとにGoogle Driveのリンクが投稿されるため、出走前に他クラスのタイムを確認し、自分が何秒を目標にすれば昇格圏内に入れるかを逆算することができます。
参考:モトジムカーナの基本ルールとタイム比の詳細解説
https://note.com/tanbo_san/n/na54ef7e0bb0e