

チェッカーを受けた順位がそのままリザルトにならないことがあり、知らずにいると観戦の楽しみを半分以上損しています。
「リザルト」という言葉は英語の "result"(結果)そのままで、モータースポーツの世界ではレースの正式な順位表・競技結果票を指す専門用語として定着しています。サッカーや野球では試合終了の笛が鳴った瞬間に結果が確定しますが、バイクレースではそう単純ではありません。
チェッカーフラッグが振られてからも、レース終盤の接触・違反行為に対する映像審議が続けられます。審議の結果としてペナルティが確定した場合、フィニッシュタイムに秒数が加算されたり、完走周回数が差し引かれることで順位が大きく変動することがあるのです。
これが「暫定リザルト」と「正式リザルト」の2段階が存在する理由です。
暫定リザルトが発行されてから30分間は抗議期間が設けられており、この間に他チームからの技術違反指摘や不服申し立てが認められた場合には再審議に入ります。30分間の抗議期間に何も問題がなければ、暫定リザルトがそのまま正式リザルトとして確定します。正式結果が確定した後はいかなる抗議も受け付けられません。
国内の場合、日本自動車連盟(JAF)や日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)が公認する競技では、この流れが競技規則によって明文化されています。
つまり「チェッカーを受けた=確定」ではない、ということです。
リザルトには順位・ライダー名・完走周回数・総タイム・各ラップのベストタイムなど複数の情報が記載されています。「Lap Chart(ラップチャート)」と「Lap Time Chart(ラップタイムチャート)」という別表も合わせて発行されることが多く、各ライダーが周回ごとにどの位置にいたか、どのラップで最速タイムをマークしたかを時系列で把握できます。
鈴鹿サーキットや筑波サーキットなど、主要サーキットでは公式サイト上でこれらのPDFを無料公開しています。自分が応援するライダーのパフォーマンスを細かく追いたいなら、公式PDFリザルトを読む習慣をつけることで観戦の質が大きく変わります。
参考:モータースポーツにおけるリザルト発行の流れについて詳しく解説されています。
レース結果『リザルト』の発行 | わかりやすいモータースポーツ規則解説
MotoGPを観戦しているライダーの多くは「優勝が25ポイント」という基本ルールは知っていても、2023年から導入されたスプリントレースのポイント体系まで正確に把握している人は意外と少ないです。これを知らないと、シーズン終盤のランキング争いの緊張感が半分しか伝わりません。
MotoGPの決勝レース(日曜グランプリ)では、上位15名にポイントが付与されます。付与される点数は1位から順に「25・20・16・13・11・10・9・8・7・6・5・4・3・2・1」です。ポイントを獲得できるのはこの15名だけで、16位以下は0ポイントです。
これが決勝の基本です。
2023年シーズンから追加されたのが「スプリント」です。毎大会の土曜日に決勝の半分の距離で争われ、上位9名のみにポイントが付与されます。点数は1位から「12・9・7・6・5・4・3・2・1」で、優勝でも12ポイントと決勝の約半分に設定されています。1大会ごとの最大獲得ポイントは、スプリント優勝(12P)と決勝優勝(25P)を合算した37ポイントとなります。
2025年シーズンのマルク・マルケス(ドゥカティ)の強さは、この新フォーマットを最大限に活用したところにあります。スプリント14勝・決勝11勝を挙げ、年間合計541ポイントで圧倒的な2025年チャンピオンに輝きました。2位のアレックス・マルケスに201ポイント差をつけた圧勝でした。
これは使えそうな知識ですね。
同じシーズンに小椋藍(トラックハウス・レーシング/アプリリア)がMotoGPにルーキーとして昇格し、デビューレースのスプリントで4位・決勝で5位という衝撃的な走りを見せました。年間ランキングは16位でしたが、ルーキーとして数多くのポイント圏内フィニッシュを達成しています。
スプリントが導入されたことで、1シーズンのポイント差が以前より大きくなりやすくなりました。かつては全戦優勝でも年間最大375ポイントでしたが、現在は最大814ポイント(スプリント全勝+決勝全勝の理論値)に達します。ランキング争いの流れを正確に読むためには、スプリントのリザルトも決勝と同じ重みで追うことが欠かせないのです。
参考:MotoGPスプリントの仕組みと導入背景が詳しく解説されています。
MotoGPが2023年導入のスプリントレース、一体どんな背景? | motorsport.com
リザルトの「順位と名前だけ見て終わり」という読み方は、実はかなりもったいないです。リザルトには複数の表が付属しており、それぞれ読み解くことでレースの展開や各ライダーのペース変化が見えてきます。ここでは押さえておきたい3つの表を整理します。
まず「決勝結果(Race Result / Classification)」が基本の表です。ゴール順位・ライダー名・車両番号・所属チーム・完走周回数・総レースタイム・トップとのタイム差・ポイント獲得数が一覧で確認できます。「DNF(Did Not Finish=リタイア)」「DSQ(Disqualified=失格)」「DNS(Did Not Start=出走せず)」といった略称もここで確認できます。
次が「Lap Chart(ラップチャート)」です。これは周回ごとの順位変動を示す一覧表で、横軸に周回数・縦軸にライダーを並べ、各ライダーが何周目に何位を走行していたかが一目でわかります。レース中盤にどこで大きな順位変動が起きたかを調べるときに非常に役立ちます。
これが最も面白い表です。
最後が「Lap Time Chart(ラップタイムチャート)」で、各ライダーが周回ごとに記録したタイムがすべて記録されています。スタート直後の混戦でタイムが遅くなっていないか、終盤にペースが落ちていないか、ピットイン周はどの程度タイムロスがあったか、などが分析できます。この表から「本当に速かったライダー」は誰かが浮かび上がり、レース展開のドラマをより深く楽しめます。
| 表の種類 | 確認できる主な内容 |
|---|---|
| 決勝結果 | 最終順位・タイム差・ポイント・DNF/DSQ |
| Lap Chart | 周回ごとの順位変動 |
| Lap Time Chart | 周回ごとの走行タイム |
鈴鹿サーキットのサンデーロードレースや筑波サーキットの公式サイトでは、これら3種類の表をすべてPDFで無料公開しています。国内レース観戦をしているなら、レース後に公式サイトにアクセスしてみるのが習慣としておすすめです。
参考:鈴鹿サンデーロードレースの各クラス公式リザルトPDFがシーズンごとに掲載されています。
リザルト 鈴鹿サンデーロードレース 2025年 | 鈴鹿サーキット公式
「ゴールした順番がそのまま正式な順位」と思っているライダーは多いですが、それは間違いです。バイクレースではペナルティによってリザルトが大きく変わることが制度上認められており、実際に上位の選手がペナルティで順位を落としたり、チェッカー後に失格が確定したりする事例が何件も記録されています。
ペナルティには主に以下の種類があります。
2019年の鈴鹿8時間耐久レースはその代表的な事例です。赤旗終了のタイミングとトップ車両の転倒が重なり、一度はヤマハチームが優勝と発表されたリザルトが覆り、カワサキワークスの優勝に変更されました。EWC(世界耐久選手権)の規則解釈をめぐって長時間の審議が行われ、26年ぶりのカワサキ鈴鹿8耐優勝という歴史的な結果が生まれた出来事です。
厳しいところですね。
MotoGPではライドスルーペナルティやロングラップペナルティも設定されており、レース中にピットレーンを通過したり、特定のコーナーで外側の遅いライン(ロングラップエリア)を走ることで消化します。これらはレース中にリアルタイムで消化するため、リザルトへの影響はペナルティ消化後の順位変動として直接反映されます。
リザルトを読む際は「DNF」「DSQ」「Pen.(ペナルティ)」などの略記に注意することが大切です。特にMotoGP公式サイト(motogp.com)のリザルトページでは、ペナルティが適用されたライダーに対して注記が入るため、これを確認することで順位変動の理由まで把握できます。
参考:国内競技でのペナルティ種別と順位変動の仕組みを詳しく解説されています。
MotoGPに目が向きがちですが、国内最高峰の全日本ロードレース選手権(JRR)のリザルトを読み解くことで、日本のバイクレース界の今が見えてきます。特に最高峰クラス「JSB1000」のシリーズランキングには、日本のロードレースファンにとって外せない情報が詰まっています。
全日本ロードレースのポイントシステムはMotoGPと同様に、シリーズ各戦の順位に応じてポイントが付与される方式です。1位から15位までにポイントが入り、年間を通じたシリーズランキングがチャンピオンを決定します。1戦につき複数のレースが組まれるため、シーズンが進むほどリザルトの積み重ねがランキングに効いてきます。
2025年のJSB1000では浦本修充がシリーズチャンピオンに輝きました。注目すべきはBMW M1000RRによる制覇という点で、日本のロードレース最高峰でヤマハYZF-R1・ホンダCBR1000RR・スズキGSX-R1000が長く覇権を争ってきた歴史に対して、欧州メーカーが割って入った意味は非常に大きいです。
これは意外ですね。
長年にわたりJSB1000のリザルトを塗り替えてきた中須賀克行(ヤマハ)は、2025年もシリーズ上位争いに絡み続けました。ランキング1位の浦本とランキング2位の水野涼(ヤマハ)、3位の中須賀の顔ぶれは、いずれも複数のサーキットでそれぞれ異なる強みを見せており、単純なポイントリーダーの追いかけ方だけではレースの本質が見えません。
リザルトを「今の順位」だけで読むのではなく、どのサーキットで誰が強いか・どのレースで大きなポイントを落としたか、という視点で読むと全体の流れが見えてきます。これがシリーズランキングの本当の楽しみ方です。
全日本ロードレースのシリーズランキングと各戦リザルトはMFJ公式サイトおよびブリヂストンモータースポーツ情報ページで確認できます。見方に慣れてくると、「誰が今シーズン本当に速いか」「タイトル争いは何ポイント差か」が瞬時に判断できるようになります。
参考:全日本ロードレース選手権 JSB1000クラスの最新ポイントランキングが確認できます。
ポイントランキング2025 全日本ロードレース選手権 | ブリヂストンモータースポーツ
参考:全日本ロードレース各クラスのシリーズランキングをMFJ公式で確認できます。
SERIES RANKING 全日本選手権シリーズランキング | MFJ公式