

ファミリー走行でも革ツナギがないと当日走れず帰宅するライダーが実際にいます。
筑波サーキットでバイクを走らせるには、まず「スポーツ走行」と「ファミリー走行」という2種類の走行枠の違いを正確に把握しておく必要があります。この区分を誤解したまま当日を迎えてしまうと、いざ走れなかったというトラブルにつながります。
ファミリー走行は、基本的に車検対応範囲内のナンバー付き登録車両(125cc以上)を対象としており、初心者や趣味としてサーキット走行を楽しみたい方向けの枠です。必要なライセンスは「ファミリー限定ライセンス」で、筑波サーキットが独自に発行しています。スクール形式のビギナークラス(Vクラス)や、中・上級のLクラス・Jクラスが用意されています。
一方、スポーツ走行はレース参戦を目的とするライダーや、本格的なサーキット走行を追求する方の枠です。競技専用車両や市販車ベースの競技車両が主な対象で、「筑波ライセンス」の取得が必須となります。クラスはC・A・B・S・Rの5クラスに分かれており、タイムや排気量・車種によって振り分けられます。
つまり、公道走行可能なナンバー付きバイクで楽しみたいならファミリー走行が基本です。
注意すべき点として、一般的な走行会(外部主催者が開催するもの)と、筑波サーキット自体が設けるスポーツ走行(会員走行)は別物です。走行会はライセンス不要で参加できるものもありますが、スポーツ走行は必ずライセンス所持が条件になります。この区分を理解しているだけで、当日のトラブルをほぼゼロにできます。
| 区分 | 対象車両 | 必要ライセンス | 主なクラス |
|---|---|---|---|
| ファミリー走行 | ナンバー付き登録車(125cc以上) | ファミリー限定ライセンス | V・G・L・Jクラス |
| スポーツ走行 | 競技車両・市販車ベース競技車 | 筑波ライセンス | C・A・B・S・Rクラス |
筑波サーキット公式の走行枠・クラス詳細はこちらで確認できます。
筑波サーキット公式|コース2000 2輪の走行クラス一覧(スポーツ走行・ファミリー走行の詳細)
ライセンスの取得は、思ったよりも難しくありません。
筑波サーキットの2輪ライセンスには主に2種類あります。初心者・趣味ライダー向けの「ファミリー限定ライセンス」と、本格的なスポーツ走行・レース志向の「筑波ライセンス」です。どちらも入会金・年会費・保険料などが必要で、以下がおおよその費用の目安となります。
| 項目 | ファミリー限定ライセンス | 筑波ライセンス |
|---|---|---|
| 入会金 | 10,000円 | |
| スポーツ安全保険料 | 1,850円(高校生〜64歳) | |
| 事務手数料 | 1,100円 | |
| ライセンス作成料 | 2,200円 | |
| 年会費(4月入会の場合) | 6,000円 | |
| 合計(4月入会・高校生〜64歳) | 約21,150円〜 |
年会費は入会月によって変動します。月額500円×残り月数で計算されるため、4月に入会すると最大6,000円ですが、途中月に入会した場合はその分少なくなります。入会する月をうまく選ぶことが節約のポイントです。
取得の流れは3ステップです。
筑波ライセンスと異なり、他サーキット(MFJ公認)のライセンス所持者は「1DAY走行」という制度を使って、講習会を受けずにお試しでスポーツ走行に参加することもできます。鈴鹿・もてぎ・岡山国際などのライセンス保有者は、1走行5,000〜7,000円で参加でき、終了後にそのまま筑波ライセンスを取得できます。これは知る人ぞ知る制度です。
ライセンスの有効期限は毎年3月31日で、更新時期は毎年1月上旬〜4月25日となっています。更新費用は高校生〜64歳の場合で年額約8,650円(年会費6,000円+スポーツ安全保険料1,850円など)です。うっかり失効した場合でも、10年未満であれば再取得の入会金が半額(5,000円)になる制度があります。
筑波サーキット公式|ライセンスの取得方法(講習会の内容・必要書類・手続きの流れ)
クラス分けのルールは最初に押さえておくべき重要事項です。
2輪スポーツ走行には、C・A・B・S・Rの5クラスがあります。クラスの基準は「平均的に連続走行できるアベレージタイム(ベストラップではない)」と車種・排気量の組み合わせで決まります。
| クラス | 走行基準タイム(アベレージ) | 主な対象車両 |
|---|---|---|
| Cクラス | 1分08秒〜1分19秒999 | 2スト125〜400cc / 4スト200〜400cc(登録車・競技車) |
| Aクラス | 1分08秒〜1分19秒999 | 250cc以上(登録車・競技車) |
| Bクラス | 1分02秒〜1分07秒999 | 競技車500cc以上(一部認定者) |
| Sクラス | 0分59秒〜1分07秒999 | 全日本・地方選手権のJ-GP3など |
| Rクラス(認定者のみ) | 〜1分01秒999 | JSB1000 / ST600 / ST1000など |
初めてスポーツ走行に挑戦する場合、大型バイクで本格的なチューニングを施していても、タイムが1分08秒より遅ければAクラスやCクラスからのスタートとなります。ここで注意が必要なのは、「ベストラップではなく連続してアベレージで刻めるタイムで判定される」という点です。1周だけ速くても、次のラップで大幅に遅くなるようであれば、安全面からオフィシャルに走行を中断させられる場合もあります。
走行料金は平日と土日祝で異なります。L・Jクラス(ファミリー走行)は平日2,300円/1枠(20分)、土日祝2,900円/1枠という設定で、スポーツ走行の2輪Aクラスも同様の体系です。これはコーヒー1杯ほどの差ですが、年間を通じて通うなら平日を選ぶほうが走行コストをしっかり抑えられます。
なお、走行枠の予約はウェブ上で行います。原則として前月に翌月分を予約する仕組みで、人気の土日枠は早めの予約が必要です。当日券も販売されていますが、別途1走行につき1,000円の手数料が発生します。予約を事前に確保しておくのが基本です。
筑波サーキット公式|各走行料金表(2輪・4輪の走行枠別料金一覧)
装備を揃えずに行くと、当日走れません。これが原則です。
筑波サーキットのバイク走行では、装備規定がクラスごとに細かく定められています。ファミリー走行・スポーツ走行を問わず、以下が最低限の必須装備となります。
チェストガード(胸部プロテクター)とヘルメットリムーバー(転倒時にヘルメットを安全に外すためのインナー)は推奨事項ですが、MFJ公認レースに出る場合は義務となります。最近は転倒時に膨らむエアバッグベスト(Alpinestars・HITAIRなど)を装着するライダーも増えており、筑波サーキット側でも推奨しています。
装備にかかる費用の目安は、全部揃えると総額15〜30万円程度になることが多いです。革ツナギ単品でも5〜15万円程度のレンジが一般的です。いきなり高額品を揃えにくい場合、初心者向けの走行会ではレンタルを提供している主催者もいますが、筑波サーキット公式のスポーツ走行・ファミリー走行ではレンタル車両・装備の用意がないため注意が必要です。
車両側の準備としては、ヘッドライト・ウインカー・バックミラーのレンズ類を外さず持ち込む場合は、割れて飛散しないよう養生テープでテーピングすることが必要です。養生テープはホームセンターで300円程度で購入でき、走行中も剥がれにくい優秀なアイテムです。
また、マフラーを交換している場合は走行中の音量チェックが重要です。ファミリー走行では100dB超は走行禁止で、ビギナークラスでも110dBが上限となっています。当日、音量規定で走れないライダーも実際に存在します。事前にバイクショップで騒音計測しておくと安心です。
タイヤの空気圧は、公道の指定値より約10%落とした設定がサーキット走行では一般的です。たとえばホンダCBR650Rの指定値はフロント250kPa・リヤ290kPaですが、サーキット走行時はフロント230kPa・リヤ250kPa程度に調整するライダーが多いです。これは高速走行でタイヤ内部の空気が熱膨張し、適正グリップが出にくくなるためです。自走組は帰路のために空気を戻す空気入れも忘れずに持参してください。
走行当日は、想定外の出費を防ぐためにも費用感を把握しておくことが重要です。
1日の費用はざっくり以下のようなイメージになります。
平日に2枠走る場合、走行料金+保険料+タイム計測レンタルだけなら6,600円程度です。ゴルフの半ラウンドとほぼ同じ価格帯です。これは多くのバイク乗りが「意外と安い」と感じるポイントで、月1回通ったとしても走行費用だけなら年間約8万円程度に収まります。
当日の受付の流れは以下の通りです。
走行前ブリーフィングへの参加は必須です。どんな理由があっても不参加では走れない仕組みになっています。当日ギリギリに到着すると受付時間を逃す可能性があるため、余裕をもって出発することが大切です。
転倒したときの修理費用も頭に入れておくと安心です。バイク本体の軽微な転倒修理(ハンドルウエイト・ステップ交換・カウル補修程度)で1〜2万円台が目安です。エンジンスライダー(クランクケースガード)を事前に装着しておくと、転倒時のダメージを大幅に抑えられます。ストライカーやR&G、OVER製など1〜2万円台から選べます。走行前の投資として非常に費用対効果が高いアイテムです。
筑波サーキット公式|走行受付の手順と必要書類(当日の流れ詳細)
速くなるための最初の一歩は、レコードラインを覚えることです。
筑波サーキット(コース2000)は全長約2kmで、1周のうちストレートが短く、連続するコーナーで構成されるテクニカルなレイアウトです。このため、コーナリング中の立ち上がりタイミングと、ブレーキングポイントの精度が、タイムに直結します。
初心者がもっとも効率よくタイムを縮めるポイントは3つです。
ビギナークラスは料金こそ平日14,500円(土日20,000円)とやや高めですが、このクラスでしっかりと基礎を固めたライダーは、その後のLクラス・Jクラス移行後のタイム短縮スピードが明らかに違います。あるCBR650Rライダーは、ビギナークラスを4回受講した後、1分20秒台だったタイムが1分18秒台に短縮されたと報告しています。1回の参加でのタイム短縮が2秒というのは、サーキット走行においては非常に大きな進歩です。
さらに知られていない上達のコツとして、タイヤの温め方があります。走り始めの1〜2ラップはタイヤがまだ冷えており、本来のグリップ力を発揮できていません。ここで飛ばしすぎるとフロントからのスリップダウンを起こすリスクが高まります。「3ラップ目以降に本来のグリップが出てくる」と覚えておくだけで、転倒リスクを大きく減らせます。
タイム計測にはトランスポンダーが必要です。レンタルは1,000円(計測代込み)で、データを毎周確認できます。自分の弱いセクターを把握し、そこを集中的に改善するという理系的アプローチが上達を加速させます。
サーキットアドバイザー制度(経験豊富なプロライダーによるアドバイス)は、コース2000の2輪会員走行日に設けられています。走行後に直接フィードバックをもらえる機会なので、積極的に質問することをおすすめします。
筑波サーキット公式|サーキットアドバイザー制度(プロライダーによる2輪走行サポートの詳細)

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