ライセンス取得でサーキットをバイクで走る完全ガイド

ライセンス取得でサーキットをバイクで走る完全ガイド

ライセンス取得からサーキットをバイクで走るまでの全ステップ

サーキットライセンスを取らなくても、実は年9回以上走るならライセンス走行の方が1回あたりの費用が安くなります。


この記事でわかること
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ライセンスの種類と選び方

サーキット独自ライセンス・MFJライセンス・走行会の3パターンを整理。初心者が最初に選ぶべき選択肢がわかります。

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取得にかかる費用の実態

筑波・鈴鹿・もてぎなど主要サーキット別の年会費・走行料金を比較。年何回走れば元が取れるかも解説します。

🛡️
装備・準備・当日の流れ

ヘルメット・革ツナギ・タイヤの空気圧まで、サーキット走行当日に必要な準備を具体的に紹介します。


ライセンス取得前に知るべき「サーキット独自ライセンス」と「MFJライセンス」の違い


バイクでサーキットを走りたいと思ったとき、最初に混乱しやすいのが「どのライセンスを取ればいいのか」という点です。大きく分けると、各サーキットが独自に発行するサーキットライセンスと、MFJ日本モーターサイクルスポーツ協会)が発行する競技ライセンスの2種類があります。この2つは目的がまったく異なります。


サーキット独自ライセンスは、その名の通り特定のサーキットでのスポーツ走行(練習走行)に参加するための「会員証」のようなものです。筑波サーキットの「筑波ライセンス」や鈴鹿サーキットの「SMSCライセンス」がこれに当たります。公認レースへの出場はできませんが、普段の練習走行目的であればこちらを取得するのが最初の一歩です。


一方のMFJライセンスは、MFJ公認の競技会やレースに出場するための資格です。ロードレースの入門レベルである「フレッシュマンライセンス」から始まり、国内ライセンス、国際ライセンスと段階的に上位を目指せます。つまりレースに出たいならMFJライセンスが必須ということです。


取得条件も異なります。


- サーキット独自ライセンス:講習会(座学のみ・約2.5時間)を受講するだけで取得可能。バイクの免許(16歳以上)があれば申請できます。


- MFJフレッシュマンライセンス:有効なMFJ公認サーキットライセンスを持っていること、16歳以上であることが条件。


MFJライセンスが必要ない段階であれば、まずはサーキット独自ライセンスを取る流れが一般的です。つまり「段階的に取得」が原則です。


MFJライセンスの種類と取得条件(MFJ公式):フレッシュマンから国際ライセンスまで、競技ライセンスの全体像を確認できます。


ライセンス取得の費用:筑波・鈴鹿・もてぎを比較して初期コストを把握する

サーキットライセンスは「一度取れば終わり」ではなく、毎年更新が必要な有期ライセンスです。初年度は入会金+年会費+共済会費がかかり、翌年以降は年会費と共済会費の支払いが続きます。主な3サーキットの費用を整理すると以下のようになります。


| サーキット | ライセンス区分 | 初年度総費用(税込) | 走行料金(30分) |
|---|---|---|---|
| 筑波サーキット | ファミリー限定ライセンス(2輪) | 約18,650円 | 平日2,300円/20分 |
| 鈴鹿サーキット | ライドオンクラブ(2輪フルコース) | 50,000円 | 5,000円/30分 |
| モビリティリゾートもてぎ | 2輪レーシングコース(一般) | 48,000円 | 3,400〜3,700円/20分 |


筑波サーキットの「ファミリー限定ライセンス」は、入会金3,000円+年会費6,000円+スポーツ安全保険料2,650円+事務手数料2,000円+予約金5,000円の計約18,650円が初期費用です。鈴鹿や茂木と比べると、敷居がかなり低いですね。


年会費が安いサーキットほど走行料金も安く設定されている傾向があります。ただし、MFJロードレースのフレッシュマンライセンス取得を同時申請する場合は、別途申請料として約9,350〜11,010円(2025年度実績)が追加になります。


更新費用は、筑波サーキットのファミリー限定ライセンスの場合、年会費6,000円+スポーツ安全保険料(高校生〜64歳:2,650円)の合計8,650円程度です。年会費だけで換算すると、月あたり750円ほどの維持費ということになります。


鈴鹿サーキット SMSC 入会区分・料金・資格(公式):2輪・4輪別のライセンス区分と詳細費用が確認できます。


バイクのサーキットライセンス取得手順:講習会から当日走行まで

実際にライセンスを取るまでの流れは、サーキットによって多少異なりますが、筑波サーキットを例にとると以下のステップになります。


① 講習会の予約
受講希望日の4日前までにWebフォームまたは電話で予約します。定員は2輪15名と少ないため、早めの予約が重要です。筑波サーキットでは毎月3回程度の現地講習会に加え、Zoom形式のリモート講習会(毎月1回、18:30〜)も開催されています。遠方の方やスケジュールが合いにくい方でも受講しやすくなっています。


② 講習会の受講(約2時間30分)
内容は実技走行なし。サーキットの概略、走行ルール・マナー、フラッグの意味、会員制度・走行予約方法などの座学のみです。試験はなく、受講すれば全員が取得できます。


③ 必要書類と費用を持参
当日は身分証明書(運転免許証または健康保険証など)・写真(3×2.5cm)1枚・筆記用具・ライセンス取得料金を持参します。16歳の方は普通自動二輪免許がなくても身分証明書があれば取得可能です(2輪の場合)。


④ ライセンス発行・その日から走行OK
取得当日に走行する場合は走行料金と当日のみの保険料(2輪:1,000円)が別途かかります。講習会終了後、そのままコースを走り始めることができます。


以前、別のサーキットライセンスを持っていたり、MFJロードレースライセンスを保持している場合は、書類申請だけで講習会を免除できるサーキットもあります。過去10年以内に筑波サーキットのライセンスを持っていた方は再取得の申請だけでOKで、入会金も半額(5,000円)になります。


筑波サーキット ライセンス取得方法(公式):2026年の講習会日程・リモート講習会の詳細が確認できます。


ライセンスなしでもバイクでサーキットを走れる「走行会」との賢い使い分け

実はライセンスを持っていなくても、バイクでサーキットを走る方法があります。それが「走行会」への参加です。走行会はショップや主催団体がサーキットのコースを一定時間貸し切って行うイベントで、ライセンスなし・運転免許証さえあれば参加できる場合がほとんどです。


走行会とライセンス走行(スポーツ走行)の主な違いは以下のとおりです。


| 比較項目 | 走行会 | ライセンス走行 |
|---|---|---|
| ライセンス | 不要 | 要(サーキット独自ライセンス) |
| 参加費用 | 1回15,000〜25,000円程度 | 年会費+走行料金(1枠3,000〜8,000円) |
| 日程 | 主催者が決定 | 自分の好きな日に予約可 |
| 混雑 | 多め | 平日なら少ない |
| レッスン | プロ指導が付く場合あり | 基本なし(自走) |


費用面だけで比較すると、岡山国際サーキットの例では土日に年間7回以上走るなら、ライセンス走行の方が1枠あたりの費用が安くなります(岡山国際サーキットRCの年会費:30,800円で試算)。走行回数が少ない段階では走行会の方がコストを抑えられます。


初めてサーキットを走る場合は、まず走行会でサーキット走行の感覚をつかみ、「もっと頻繁に走りたい」と感じたタイミングでライセンス取得を検討するのが合理的な順序です。ライセンスなしで走れる場合もある、という点は見落とされがちです。


走行会のハードルの低さを体験したい方には、ブリヂストンが主催する「BATTLAX FUN & RIDE MEETING」のようなメーカー主催の走行会も選択肢の一つです。公式サイトで最新の開催情報を確認してみてください。


サーキット走行当日に必要なバイクの装備と準備:見落としがちなポイント

ライセンスを取得したら、次は装備と車両の準備です。サーキット走行では公道とは異なる準備が必要で、ここを怠ると当日走れない場合があります。


ウェア・装備(必須)
- ヘルメット:フルフェイス必須。半キャップ・ジェットヘルメットは不可
- スーツ:レーシングタイプの革ツナギ(レザー製)が基本
- グローブ・ブーツ:レーシングタイプが推奨
- 脊髄パッド:必須装備。チェストガードも推奨


ウェアの総費用は用意するグレードによりますが、フルセット新品で揃えると20〜25万円程度が目安です。中古品やネット購入でコストを抑えることも可能です。


バイクの準備(必須・推奨)
- ヘッドライトウインカーミラーのレンズ類を養生テープでテーピング(割れ防止)
- 音量チェック:走行中100dB以下(ファミリー走行の場合)。マフラー交換済みの方は要確認
- タイヤの空気圧:公道指定値より約10%低めに設定(例:フロント250kPa→230kPa)


タイヤの空気圧については意外に見落とされやすいポイントです。サーキットの全開走行ではタイヤが高温になり、空気が膨張します。公道の指定値のまま走ると、タイヤ本来のグリップ力が発揮されず、思わぬスリップにつながります。走行前に空気圧を調整し、公道に戻る前には必ず指定値に戻すことが大切です。


自走でサーキットに行く場合、出発時は公道扱いなので車体の保安部品(ヘッドライト・ウインカー・ミラー)は適法状態が必要です。コース走行中は取り外すか、テーピングで対処できます。エアゲージと携帯型空気入れをバッグに一本忍ばせておくと、帰路の調整がスムーズです。


走行後のメンテナンスとして、サーキット走行ではエンジンを高回転域まで使うため、エンジンオイルの消耗も早まります。走行1,000〜1,500kmごと、または走行会に参加した後には早めのオイル交換を検討してください。バイクのコンディション維持がタイムアップと安全につながります。