

8の字ばかり練習すると、かえってタイムが縮まらなくなります。
モトジムカーナは、舗装された駐車場などにパイロン(カラーコーン)を並べてコースを作り、バイク1台ずつがタイムアタックをするモータースポーツです。日本発祥の競技で、現在は世界中にライダーがいます。最高速度はおよそ60km/h前後で、平均速度は30km/h程度。つまり、街中の公道走行とほぼ同じ速度域で技術を磨ける競技です。
サーキット走行との大きな違いは「他車と直接競わない」という点です。レースのように集団で走るのではなく、1人ずつ走ってベストタイムを競います。接触リスクがなく、モータースポーツの中でも安全性が高いとされています。
コースは毎回異なるレイアウトで設定されます。順位の決め方も独特で、1位のタイムを100%として、自分のタイムが何%かで判定します。そのため、他者と競う以上に「昨日の自分よりどれだけ成長したか」を確認する場として参加するライダーが多いのも特徴です。
いいことですね。初心者でも自分のペースで楽しめます。
また、車両の制限がほとんどないのも魅力の一つです。スクーターでも大型アドベンチャーモデルでも、公道を走れるナンバー付きのバイクであれば基本的に参加可能です。80ccのKSRと1000ccのGSX-R1000が同じコースで走るという、他競技では考えられない光景が普通に見られます。これは、モトジムカーナが「極低速でのバイクコントロール能力」を競う競技であり、排気量よりも人間の技量の差が直接タイムに出るためです。
| 項目 | モトジムカーナ | サーキット走行 |
|---|---|---|
| 最高速度 | 60km/h前後 | 100〜200km/h超 |
| コース | 駐車場規模(毎回異なる) | 固定の専用コース |
| 競い方 | タイムアタック(1台ずつ) | レース or タイムアタック |
| 参加車両 | 原則ナンバー付きなら何でもOK | 車種制限あるケース多い |
| 初期費用目安 | 低〜中(既存バイク+装備) | 高(スポーツバイク+装備) |
参考:モトジムカーナの競技説明と速度域について詳しく解説されています。
モトジムカーナとは〜人生で一番長くて一番短い100秒間〜(モトジムカーナチャレンジカップ)
「まず8の字を練習すれば上達できる」というのは、多くの初心者が持つ思い込みです。つまり、順番が大切ということです。
モトジムカーナの現役選手が口を揃えて「最初にやるべきは目標制動」と言います。目標制動とは、「あそこで止まろう」と決めた地点で、狙い通りにバイクを止めるスキルのことです。教習所の急制動が「なるべく短く止まる」練習なのに対して、目標制動は「狙った地点にぴったり止める」練習です。
なぜこれが重要なのか。モトジムカーナのコースは、全てのパイロン手前で速度を落とし、旋回し、また加速するという繰り返しです。パイロンを最速で回るためには、手前で「ちょうど10km/hになる地点」まで速度をコントロールしながら進入する必要があります。これは「止まる」のではなく「特定の速度に合わせる」という高度な目標制動に他なりません。
目標制動を繰り返し練習すると、「接地感」が育ちます。接地感とは、タイヤが路面をしっかりつかんでいる感覚のことです。消しゴムを机に押しつけると「グッとした抵抗感」があるように、タイヤも荷重が増えると路面に食い込む感覚が生まれます。これが感じられるようになると「あとどのくらいブレーキをかけても大丈夫か」がわかるようになり、転倒・怪我のリスクが大きく下がります。
接地感が身につくのが基本です。
参考:モトジムカーナ初心者が最初に練習すべきことを詳しく解説しています。
【ジムカーナ超初心者向け】最初に練習すべきは8の字ではなく〇〇!!(ライテク図書館)
回転ができないと、まともにコースを走れません。これは少し厳しいですね。しかし見方を変えると、回転を習得した瞬間に「コースが走れる」状態に変わるということでもあります。
回転とは、バイクをほぼその場で1回転させる技術です。モトジムカーナのコースレイアウトには、ほぼ必ず回転セクションが含まれています。公道では必要ない技術ですが、この技術こそが「バイクを自在に操る感覚」を育てます。
超初心者がまず試すべきは「定常円」です。1本のパイロンの周りを円を描くようにグルグル回り続ける練習で、広い場所があれば今日からでも始められます。
ポイントは3つに絞られます。
リアブレーキが条件です。低速でのバイクコントロールは、リアブレーキの使い方が全てと言っても過言ではありません。リアブレーキを引きずりながら旋回すると、後輪に荷重がかかって車体が安定します。これはUターンや低速スラロームにも直結する感覚で、習得後は公道走行の安心感が別次元になります。
参考:回転の初心者向け練習法をわかりやすく解説しています。
【回転】初心者でもできる!ジムカーナの回転をやってみよう(magamo.biz)
「ジムカーナ専用の車両が必要では」と思う方は多いですが、それは大きな誤解です。今乗っているバイクでそのまま参加できます。
ただし「楽しく、安全に、思い切り走る」ためには、最低限の準備があると大きく変わります。優先順位をつけると以下の通りです。
これが基本の準備です。全部揃えると費用がかかる印象を持つかもしれませんが、まず最初は「今の装備で練習会に1回参加してみる」という姿勢が大切です。実際に走ってみて「もっと本気でやりたい」と思ってから装備を揃えるほうが、無駄な出費を防げます。
参考:モトジムカーナを始めるための装備と準備について、選手目線で詳しく解説されています。
ジムカーナ準備 バイクについて(モトジムカーナチャレンジカップ)
練習会を探す方法は、大きく3つあります。
まず最も情報量が多いのが「MotoGymkhana Calendar(モトジムカーナカレンダー)」です。全国の練習会・大会情報がマップ付きで掲載されており、北海道から九州まで網羅されています。自分の住まいに近い会場を見つけるのに最適です。
MotoGymkhana Calendar — 全国の練習会・大会マップ
次に「JAGE(二輪ジムカーナ主催者団体協議会)」の公式サイトです。JAGEは日本で最も権威あるモトジムカーナ団体で、公式の認定大会を主催しています。JAGEが関わる練習会は全国各地で開催されており、初心者向けのスクール形式の練習会も多数あります。
3つ目はSNS検索です。各地の練習会は、XやInstagramで案内を発信していることが多く、「モトジムカーナ 練習会 ○○(都道府県)」で検索するとヒットしやすいです。初めて見学・参加する場合は「初参加です」と一言伝えれば、先輩ライダーが丁寧に案内してくれる文化があります。
意外ですね。参加費は練習会によって異なりますが、1回あたり2,000〜5,000円程度が相場です。サーキット走行と比較すると、圧倒的にリーズナブルです。
参加時の心構えとして一点だけ覚えておいてほしいことがあります。モトジムカーナの練習会の多くは「主催者のご厚意で成り立っている自主練形式」です。参加者はお客様ではなく、運営を共に支える仲間という位置づけです。マーシャル(コース監視役)を担当する時間があったり、コース整備に協力したりすることも普通にあります。この文化を理解した上で参加すると、周囲との関係がスムーズになります。
ある程度練習を続けているのにタイムが伸びない、という状態に入るライダーには共通したパターンがあります。これは見逃しやすい視点です。
最も多いのが「8の字を速く回ることを練習のゴールにしてしまう」ケースです。8の字は基礎を確認するための練習ですが、8の字を速く回ることとコース全体を速く走ることは別の話です。8の字で学んだ「旋回の形」を、コースのさまざまな場面に応用できるかどうかが本当の課題です。
つまり「応用できる基礎」を磨くことが条件です。
次に多いのが「自分の走りを映像で確認していない」ことです。自分では「うまく走れている」と感じていても、スマートフォンで撮影した動画を見ると「思ったより腰がインに入っていない」「目線が下を向いている」といった修正点が一目瞭然になります。ヘルメットに取り付けられる小型アクションカメラ(GoPro等)1台で、練習の質が大きく上がります。
もう一つ見落とされがちなのが「タイヤの空気圧管理」です。スイングアームや車体に貼ってある指定空気圧は、公道走行を前提とした数値です。モトジムカーナのようなスポーツ走行では、若干低めの空気圧でより接地面積を増やすセッティングをするライダーが多くいます。ただし下げすぎるとバーストリスクがあるため、最初は前後とも指定値から10kPa(0.1kgf/cm²)ほど下げるところから試し、感触を確かめながら調整するのが安全です。
これは使えそうです。
バイク以外の練習という発想も効果的です。具体的にはロードバイク(自転車)やスポーツジムでの体幹トレーニングが挙げられます。モトジムカーナは1〜2分間のコースを何本も走るため、意外なほど体力を消耗します。また、バイクの操作に関わる体幹・内ももの筋力を平時から鍛えておくと、後半の走行でも集中力が維持しやすくなります。バイクに乗れない悪天候の日も、体を鍛えることで競技力を維持できます。
参考:タイムが縮まらない人の原因と改善策を詳しく解説しています。
【まだ8の字してるの?】上達が遅いジムカーナライダーがやりがちなこと(ライテク図書館)