

実は、スラロームや一本橋より「安全確認の忘れ」で落ちるライダーが圧倒的に多い。
大型二輪免許を取得するルートは、教習所と運転免許試験場での一発試験(飛び込み試験)の2種類があります。教習所ルートの費用は普通二輪免許保有者で通学なら約15〜17万円が相場ですが、一発試験なら1回あたりの費用は受験料2,600円+試験車使用料1,450円+免許証交付料2,050円(合格時のみ)の合計約6,100円という水準です。仮に5〜6回受験しても3〜4万円台に収まることが多く、費用的な優位性は明確です。
ただし、合格率は決して高くありません。警察庁の統計によると、大型二輪(MT)の一発試験の合格率は約15.4%とされており、平均受験回数は4〜10回と言われています。合格率15%という数字は、受験100人のうち85人が不合格になるということです。これは難しさというより、試験の採点基準が独特であることに起因しています。
試験は平日の午前中のみで、多くの試験場では週2〜3回しか実施されていません。そのため、社会人であれば有給休暇を使う必要があることも頭に入れておきましょう。受験のためには事前に試験場での予約と適性検査が必要です。使用バイクはHonda CB750が主流で、クセが少なく扱いやすい車両です。
費用だけを見て飛び込むと、何度も落ちて結果的に教習所より高くなるケースもあります。正しい準備と対策をしてから受験に臨むことが、最終的な総費用を抑える近道です。
▶ 大型二輪免許の取得は難しい?合宿免許・一発試験の費用や流れを解説(ziplus)
一発試験の採点は100点満点スタートの減点方式で、70点以上が合格基準です。つまり、30点までなら減点されても合格できます。この「30点の壁」を理解しているかどうかが、合格を左右する最初のポイントです。
減点は大きく4段階に分かれています。
- 5点減点:ウィンカー消し忘れ・付け忘れ、ミラー調整忘れ、エンスト1回
- 10点減点:安全確認(目視)不足、運転姿勢不良(ニーグリップ不足など)、加速不良、急ハンドル
- 20点減点:大きなふらつき、パイロン接触小、速度超過(5km/h以上)
- 試験中止:転倒、パイロン衝突・接触大、スラローム失敗(コーン接触・足つき)、一本橋落下、急制動オーバー、一時不停止
注目すべきは10点減点の「安全確認不足」です。右左折・進路変更・一時停止・発進・踏切など、試験コースには安全確認が必要なポイントが十数か所あります。そのたびに目視確認を怠ると1回10点の減点。3回見落とすだけで30点に達し、そこで不合格確定です。
さらに見落とされがちなのが、カーブ1か所での複合減点です。例えば右折1回で「ウィンカーオン忘れ5点・後方確認忘れ5点・幅寄せ忘れ5点・ウィンカーオフ忘れ5点」と合計20点が一気に消えることもあります。走行技術よりも法規走行の習熟が合否を決めるといっても過言ではありません。
つまり試験中止に直結する課題走行の失敗は当然避けるべきですが、「安全確認の徹底」こそが合格への最重要コツです。
一発試験で多くの受験者がつまずく最大の原因は、実は走行技術ではなくコースミスです。試験コースはAとBの2種類が用意されており、どちらが出題されるかは当日の朝まで分かりません。コースを間違えると「ウィンカーを出さず曲がった・後方確認なしで方向変換した」といった減点が連鎖し、あっという間に30点が消えます。
コース暗記の有効な方法として、下記のステップを押さえておきましょう。
- 📌 試験場のコース図を事前に入手する(多くの試験場はウェブ公開またはコース内掲示あり)
- 📌 コースを歩いて下見する(試験前の朝と昼休みに見学できる場合が多い)
- 📌 ウィンカー・安全確認のタイミングを「どのランドマーク」で行うかをセットで覚える
- 📌 頭の中で映像が流れるまでイメージトレーニングを繰り返す
特に重要なのが3番目の「ランドマーク連動暗記」です。「信号のある交差点の30m手前でウィンカー→3秒後に後方目視→幅寄せ→巻き込み確認→左折」というように、各動作を場所と紐付けて一連の流れとして覚えてしまうことが合格者共通のコツです。
これが身についていれば、試験中に次の動作を考える余裕が生まれます。余裕があれば課題走行にも集中でき、走行技術のミスも減ります。コースを覚える努力こそが、一発試験最大の投資対効果を生みます。
イメトレは当日の朝にも行うと効果的です。試験会場で待機中、両手でハンドルを握るポーズをとりながら頭の中でコースを走るシミュレーションをすることで、実際の試験でも頭に流れる映像をなぞるだけで走れるようになります。
課題走行は合格の必要条件ですが、完璧を目指す必要はありません。試験中止にさえならなければ、多少の時間オーバーは減点で済みます。重要度の高い順に各課題のコツを押さえましょう。
🔶 スラローム(7秒以内)
スラロームは4.5m間隔のパイロン6本の間を7秒以内に通過します。1秒超過で5点減点、足つき・コーン接触は即試験中止です。コツはリアブレーキを活用した速度調整と、パイロン間の「4分の1ライン」を意識したラインどりです。パイロンの中間点を通過するのではなく、少し手前でバイクを倒し込み、加速しながら車体を起こすリズムをつかむことが重要です。2速で走行し、アクセルのON/OFFとリアブレーキで速度を細かくコントロールします。
🔶 一本橋(10秒以上)
大型二輪の一本橋は幅30cm・長さ15mで、10秒以上かけて通過します。普通二輪の7秒より明らかに難易度が上がります。1秒不足で5点減点、落下・足つきは即試験中止です。重要なのが「落ちるより減点を選ぶ」という判断です。8秒台なら10点減点で済み、他の項目を押さえれば十分合格圏内に入ります。
技術的なコツとしては、遠くへ視線を向けること、リアブレーキで速度を微調整すること、ハンドルを左右に小刻みに動かすこと(いわゆる「キコキコ操作」)が有効です。橋に乗り込む際は一直線に進入することが大前提で、斜め進入は即バランス崩壊につながります。
🔶 波状路(5秒以上)
波状路は大型二輪試験のみに存在する課題です。長さ9.5mの凸凹した路面をスタンディングで5秒以上かけて通過します。5秒未満は10点減点、着座したまま通過すると10点減点です。コツは半クラッチの活用で速度を一定に保つこと、そして進入時に必ずまっすぐ入ることです。動画でよく見かけるアクセルの強いON/OFFは、かえってバランスを崩す原因になるため注意が必要です。
🔶 急制動(40km/h→11m以内で停止)
3速で加速することが重要です。2速だとアクセルオフ後のエンジンブレーキが強すぎ、速度調整が難しくなります。ブレーキは前後同時にかけ、徐々に強くしてリアがロックしないよう注意します。
▶ 大型自動二輪 一発試験 その②(技能試験のコツ等)(みんカラ)
合格者が口をそろえて言うのは「走行技術よりも安全確認が合否を決めた」という事実です。これは感想ではなく、採点の構造上の必然です。安全確認を怠ると1か所10点が消え、ほぼすべての交差点・発進・車線変更で繰り返し求められるためです。
安全確認が必要な主なシーンは下記の通りです。
- 🚦 発進前:左後方→右後方の全周目視確認
- 🚦 右左折・進路変更30m前:ウィンカー→3秒後に目視→幅寄せ開始
- 🚦 交差点通過:左右・横断歩道の歩行者確認(20点減点対象)
- 🚦 踏切:停止後に窓(バイクはヘルメット越し)で音を聞き、左右目視で2回確認してから発進
- 🚦 一時停止後の発進:左右確認→後方確認→発進
- 🚦 車線変更:ウィンカー→ミラー確認→目視(3点セット)
試験官が見ているのは「確認しているかどうかの事実」ではなく、「確認していると伝わる動作」です。頭の動きが小さすぎると「確認なし」と判断されます。試験中は普段より1.5〜2倍大きく首を動かして目視するくらいがちょうどよいと実際の合格者が証言しています。
踏切は特に要注意です。踏切では左右目視だけでなく、警報機の鳴動確認が必要で、万が一通過中に遮断機が下りれば試験中止です。踏切では停止線手前1m以内に止まり、必ず左右を2回以上確認してから発進する習慣をつけましょう。
普段のバイク通勤・ツーリングから安全確認を意識的に行うことで、試験本番でも自然に体が動くようになります。実際に走行技術には問題がないのに4〜5回落ちる人の多くは、法規走行の習熟不足が原因です。試験対策は「乗り方」より「法律通りに走れるか」の練習に重きを置くことが近道です。
▶ 一発試験対策:目視確認をマスターしよう(brush-up-life)