

ドライ路面では溝が減ったほうがグリップするとあなたは思っていませんか?
バイクのタイヤには、グルーブと呼ばれる太い溝とサイプと呼ばれる細い溝が刻まれています。サイプはトレッド面のブロックの硬さをコントロールし、路面に爪を立てるエッジ効果で路面とのグリップ力(摩擦力)を高める役割を担います。これは単なるデザインではなく、タイヤの性能を左右する重要な要素です。
参考)タイヤを変えると何が起きるの?タイヤの機能から見える重要性と…
サイプの数と配置は、タイヤの用途によって異なります。舗装路や悪路で高速走行を行う際には、トレッド面のヨレ(歪み)を防ぐため、サイプは少なくなる設計です。一方、スタッドレスタイヤでは、アイスバーンを踏みつけた際に溶ける氷の水を吸収する重要な役割を吸水ゴムと共に担うため、多くのサイプを持つのが一般的です。
参考)スタッドレスタイヤには意味がある!ノーマルとの違いや必要な場…
サイプには路面の水を取り込む吸水性も求められます。氷は凍っていればそれほど滑りませんが、氷上の水の膜は極端に滑るため、吸水によりそれを避ける効果があります。水を吸われむき出しになった氷へのある程度のエッジ効果も期待できます。
ミシュランの特許取得済みサイプテクノロジーでは、濡れた路面やマンホールなどの滑りやすい路面コンディションにおいてスリップの抑制に貢献します。日常よく使うバンク角域で、サイプの数がもっとも多くなるように配置し、排水性能を強化しているのです。つまりライダーが最も頻繁に使う角度で最大の効果を発揮する設計です。
参考)https://www.michelin.co.jp/motorbike/technologies-motorbike/michelin-tread-patterns-technologies
サイプは毛細管現象を利用してタイヤと路面の間の水分を強力に排水します。毛細管現象とは、細い管の中を液体が自然に吸い上げられる現象のことです。サイプという細い溝が水を吸い取ることで、タイヤが路面に密着しやすくなり、滑りにくくなります。
参考)タイヤの溝【サイプ】滑らない!?: バイク用品店ナップス-練…
ブリヂストンでは、路面の水膜を除去する効果のあるサイプを、グルーブ(主溝)と同じ深さまで刻むことで、タイヤの摩耗が進んでも変わらないよう、耐スリップ性能の向上を追求しています。新品時だけでなく、ある程度摩耗した状態でも排水性能を維持するということですね。
参考)ミシュラン スクーター
ウエット路面を走行した時、タイヤは路面上の水を周囲に排水しながら進むことで路面とのグリップを確保できます。この排水がうまく行えないと、水がタイヤと接地面の間に残り、スリップしやすくなります。一般的にはハイドロプレーニング現象として知られる状態です。
参考)https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/special/post-17.html
サイプのエッジに面取りを施すことで、極端な条件下での異常摩耗を抑制する技術も開発されています。これは長期間にわたって安定した性能を維持するための工夫です。雨天走行が多いライダーにとって、サイプの充実したタイヤは必須条件です。
モーターサイクル用タイヤの溝深さの法定限度は残溝0.8mmです。スリップサインは摩耗レベルを知る目安であると同時に、タイヤが法定限度に達している可能性を知らせる指標でもあります。スリップサインが露出する前に、安全性を考慮して、早めに新しいタイヤに交換してください。
スリップサインは、タイヤの溝の底にある盛り上がった部分を指します。この盛り上がりが路面と接触するまで摩耗が進むと、タイヤの摩耗具合が限界に達したことを意味します。タイヤ側面(ショルダー部)の小さな三角マークの延長線上に3〜6カ所程度設けられているので、確認は比較的簡単です。
バイクのタイヤの交換目安となる走行距離は、10,000km〜20,000kmと言われています。ただし、これはあくまでも目安であり、バイクの種類や乗り方、路面状況、タイヤの種類によって大きく異なります。スポーツバイクのように高性能なタイヤを装着している場合は、より早く摩耗する傾向があります。
タイヤは走行距離に関わらず、経年劣化によってゴムが硬化し、グリップ力が低下します。製造から3〜5年を目安に、ひび割れや硬化がないかを確認しましょう。使用開始時期が不明な場合は、タイヤのサイドウォールに刻印されている製造週を確認できます。例えば、「2223」とあれば、2023年の22週目に製造されたことを示します。保管状態が良い場合でも、5年を過ぎたら交換を検討することをおすすめします。
タイヤのトレッドにあるグルーブと呼ばれる溝は、雨が降ったウエット路面で水はけを良くして、水幕によるスリップを抑える役割があります。しかし、グルーブの役割はそれだけではありません。ドライ路面でも路面追従性で柔軟性を高める大きな役割があるのです。
参考)「グリップが増すんじゃないの?」タイヤが減って溝が浅くなると…
グルーブはまずトレッドの厚みに変化をもたらします。溝が刻まれている部分は変形しやすくなります。ただ柔らか過ぎると腰砕けのような状態に陥り踏ん張るグリップ性能を得られません。この柔軟性と踏ん張れる強さとを調整しているのが、グルーブの幅などの形状や溝の深さなのです。
グルーブの縁の部分も、グリップ性能を支える柔軟な路面追従性をかなり左右しています。この縁の部分は荷重で折れ込むため、微小な凹凸への追従にかなりの効力があるからです。つまり、路面の小さな凸凹にもタイヤが密着しやすくなるということですね。
太い溝はグルーブ、細い溝はサイプと呼ばれますが、この2種類の溝の組み合わせにはちゃんと理由があります。グルーブが主に排水とブロックの独立性を確保するのに対し、サイプはブロックの硬さ調整とエッジ効果を担当します。両者が協力して、タイヤの総合性能を高めているのが基本です。
溝があっても古いタイヤは転びやすいという事実があります。タイヤの表面に細かなヒビ割れを起こすこともありますが、見た目にほとんど変化がない場合も多いため劣化に気づきにくいのが実情です。しかし劣化するとゴムが硬くなり、路面の密着性が低下します。
飛ばしたり急ブレーキでなくても、タイヤのダンピング性能が落ちると普通の街中の信号停止でも制動距離が伸びてしまいます。これは日常的な運転でも危険につながる可能性があります。
ブレーキの効きが悪化した状態です。
雨天時の濡れた路面は、古くて硬くなったタイヤだとスリップの危険大です。溝があっても想像以上に滑るので要注意だ、という警告がなされています。ゴムの柔軟性が失われると、サイプやグルーブがあっても本来の性能を発揮できなくなります。
痛いですね。
タイヤの溝が減ると、タイヤと接地面の間に水幕が残留しやすくなり、グリップが失われます。公道走行可能な溝のあるタイヤであっても、およそ60km/h以上でハイドロプレーニング現象という、「ハンドルはもちろんブレーキもアクセルも効かない」という恐怖の現象が発生すると言われています。この状況では車体のコントロールを完全に失います。バイクの場合、これは転倒に直結する危険性があります。雨天走行を避けられない場合は、溝の深さを定期的にチェックする習慣をつけましょう。
参考)自転車のタイヤの溝の考察 - 京都の自転車専門店 サイクルど…
参考リンク:クシタニのライテクマナボウでは、タイヤの劣化がもたらす具体的な危険性について詳しく解説されています。
ライテクをマナボウ 「溝があっても古いタイヤは転びやすい!」
参考リンク:ミシュランの公式サイトでは、タイヤの交換時期と摩耗の判断基準について権威ある情報が提供されています。