

全日本ジムカーナの開幕戦を「走る4輪のサーキット競技」だと思っているなら、それは少し惜しいです。実は入場料1,500円で、プロと同じコースに立てる体験イベントが同日開催されています。
2026年の全日本ジムカーナシリーズは、筑波サーキット コース1000からスタートします。正式な競技名称は「2026年 JAF全日本ジムカーナ選手権 第1戦 GYMKHANA IN TSUKUBA」で、JAF公認No.は2026-1202です。開催は2日間にわたり、土曜日(3月7日)が公開練習・前日イベント、日曜日(3月8日)が本番の競技となっています。
オーガナイザーはモータースポーツサークルスピリッツ(T-SPIRIT)です。埼玉県川越市を拠点に活動するチームで、筑波ラウンドを長年運営してきた実績があります。大会事務局への問い合わせはTEL 049-235-4886で対応しています。
2026年の全日本ジムカーナは全8戦で構成されています。開幕戦の筑波を皮切りに、第2戦はスピードパーク新潟(4月4日〜5日)、第3戦は赤門自動車テストコース(宮城県、4月25日〜26日)と東日本を巡ります。夏場は北海道・奥伊吹・鈴鹿と移動し、最終第8戦はハイランドパークみかわ(愛媛県、10月3日〜4日)で開催されます。
| 戦 | 開催日 | 会場 |
|---|---|---|
| 第1戦 | 3月7日〜8日 | 筑波サーキット コース1000(茨城) |
| 第2戦 | 4月4日〜5日 | スピードパーク新潟(新潟) |
| 第3戦 | 4月25日〜26日 | 赤門自動車テストコース(宮城) |
| 第4戦 | 5月16日〜17日 | スポーツランドTAMADA(広島) |
| 第5戦 | 6月27日〜28日 | オートスポーツランドスナガワ(北海道) |
| 第6戦 | 7月25日〜26日 | 奥伊吹モーターパーク(滋賀) |
| 第7戦 | 9月5日〜6日 | 鈴鹿サーキット 南コース(三重) |
| 第8戦 | 10月3日〜4日 | ハイランドパークみかわ(愛媛) |
この開幕戦は「筑波ジムカーナの聖地」として競技者からも観客からも長く親しまれています。つまり、シリーズ全体の流れを把握するうえで最初に現地を訪れるならここが最適です。
参考:2026年全日本ジムカーナ選手権 公式日程(JAFモータースポーツ)
https://motorsports.jaf.or.jp/calendar/2026/gymkhana/jgc
全日本ジムカーナでは、車両の改造範囲と性能によって複数のクラスに分かれて競います。第1戦筑波の競技車両として設定されているのは「PN・SC・AE・B・P・D」の各クラスです。初めて観戦する方にとって、どのクラスが何を意味するのか分かりにくいかもしれません。クラスの基本だけ覚えておけばOKです。
最もポピュラーなのが「PNクラス」(プロダクションノーマル)です。市販状態に近い車両で争われるため、チューニング幅が限られています。普段街中で見るような車が「そのまま出ている」に近いイメージで、観客にも親しみやすいクラスです。PN1・PN2・PN3・PN4といったサブクラスに分かれ、排気量や駆動方式が異なります。
「SCクラス」はスーパークラスの略で、改造範囲がPN車両より広くなります。タイヤ選択の自由度が高く、エンジンや足回りへの手も入れられることから、タイムがぐっと上がります。「AEクラス」(オールジャパンエクセレント)は電気式パーキングブレーキ(EPB)が装着された車両が対象の比較的新しいクラスです。近年急増する電動パーキングブレーキ搭載車に対応した区分として注目されています。
「Bクラス」はいわゆる改造車クラスです。車検対応を基本としつつも改造範囲が広く、特殊なタイヤや専用チューニングが施された競技専用車両が集まります。見た目からして迫力が違います。「Pクラス」と「Dクラス」はさらに改造範囲が広い上位カテゴリと見てください。
2026年から注目されているのが「PNAT」(2ペダル=AT車両対応)クラスの整備です。これはAT限定免許所持者や、AT車でモータースポーツに挑戦したい人向けに設けられた枠組みです。意外ですね。MT車が当たり前の世界に、AT車専用クラスが存在するのは、競技の裾野拡大という観点からとても重要な取り組みです。
参考:JAFによる2026年選手権クラス区分の解説
https://motorsports.jaf.or.jp/calendar/2026/gymkhana/jgc
バイクで筑波サーキットを訪れる場合、入場ゲートに注意が必要です。コース2000などで行われる2輪ロードレース系イベントのときは「Bゲート」からの入場が一般的ですが、コース1000でのジムカーナ観戦はゲート位置が異なります。ジムカーナ場側の通路から入場するのが基本です。コース1000のメインゲートから入ろうとしても入場できないため、初めて来る場合は事前に案内図を確認しておくことが条件です。
観戦入場料は、2025年実績で1,500円/名となっています。駐車場は1日1,000円/台(2輪・4輪共通)で利用できます。ロードレースの3,500円〜5,800円と比較すると、ジムカーナ観戦のコストパフォーマンスは非常に高いです。これは使えそうです。
アクセスについては、車の場合は常磐自動車道「谷和原IC」から国道294号線経由で約30分です。圏央道を使う場合は「常総IC」を降りてからさらにアクセスできます。電車の場合は、秋葉原駅からつくばエクスプレスに乗り、守谷駅で関東鉄道常総線に乗り換え、宗道駅下車となります。宗道駅からサーキットまでは約6kmあり、タクシーで15分ほどかかります。バイクで行くほうが断然便利です。
バイクで訪れる際の駐車場所は、2輪専用エリアへの誘導が基本です。ロードレース系イベントでは「ジムカーナ場が2輪駐車エリア」になるケースが多いですが、今回はジムカーナ場自体がコースとして使用されているため、当日の案内・係員誘導に従ってください。
筑波サーキット公式サイトのガイドマップと入場案内(アクセス・駐車場詳細)
https://www.tsukuba-circuit.jp/guide/access.html
全日本ジムカーナの開幕戦前日(3月7日・土曜日)には、「ビギナーズオートテストin筑波」が同じ筑波サーキット ジムカーナ場で開催されます。これはただの体験イベントではありません。完走すると「BライセンスRライセンス」の取得条件をクリアできる、JAFクローズド競技として正式に認定されたイベントです。
参加費はJAF会員で8,000円、非会員で9,000円です。参加台数の上限は原則90台となっています。
タイムスケジュールは以下の通りです。
注目は表彰式後のエキシビションです。MTレギュラークラスの上位者が全日本ジムカーナのプロ選手と直接対決できるという、普通のモータースポーツイベントでは考えられない演出が用意されています。「8,000円で全日本チャンピオンクラスの選手と同じコースを同じ日に走る」という体験は、他の競技ではほぼ実現できません。
さらに、参加者全員に翌日(3月8日)の全日本ジムカーナ開幕戦の入場チケットが無料でプレゼントされます。つまり、8,000円の参加費でオートテスト体験・Bライセンス取得条件・翌日観戦チケットの3つがついてくる計算です。開幕戦を観戦に来るだけのつもりだったバイク乗りでも、前日から参加してしまうほうが得することが多いです。
参考:ビギナーズオートテストin筑波(Zummy Racing Family公式)
https://www.zummyracing.jp/archives/19213
全日本ジムカーナは「4輪の競技」と思って敬遠しているバイク乗りが多いですが、実はライダー目線で見ると発見が多いジャンルです。ジムカーナとバイクのスラローム走行は、その本質が非常に近いからです。
ジムカーナは「舗装された広場にパイロンを設置したコースを1台ずつ2回走行してベストタイムを競う」という競技です。スピードだけでなく、旋回・スラローム・ターンの精度が求められます。バイクのジムカーナ(二輪ジムカーナ)と考え方がほぼ同じで、ライダーの方はコーナリングの踏ん張りや車両のコントロール技術を直感的に読み取れる素地があります。
たとえばPNクラスの車両を観察してみると面白いです。タイヤを限界まで使いながらパイロンをかすめるようにターンするシーンは、バイクのスラロームとほぼ同じ感覚です。「自分がバイクで曲がるときの荷重移動と同じだな」と気付けば、観戦がぐっと楽しくなります。
コース1000は全長約1,000mのオールフラットコースで、コース全体に観客スペースがあります。ブラインドコーナーがないため、どこからでも車両の動きを見通しよく観察できます。これは普通のサーキットにはない利点で、コース脇ギリギリまで近づいて「パイロンを倒さずにどうやって曲がっているのか」を目の前で確認できます。
撮影スポットについても一言触れておきます。コース1000のターン区間正面は、車両が大きく向きを変える動きを正面から捉えられる絶好の位置です。スマートフォンでも十分に撮影できますが、連写機能を使うと一連の動きを記録できます。望遠レンズを持っているライダーカメラマンには、ターンと立ち上がりを狙うアングルが特におすすめです。
当日のYouTubeライブ配信についても触れておきます。Zummy Racing Familyチャンネルが公開練習から競技本番まで無料ライブ配信を行う予定です。現地観戦後に自宅で見返すことができるため、撮り逃したシーンを確認する際に便利です。
Zummy Racing Family YouTubeチャンネル(ライブ配信・アーカイブ)
https://www.youtube.com/@zummy0/streams
全日本ジムカーナは「観て感動する」競技でありながら、8,000円から「参加して走る」ことができるという稀有なモータースポーツです。バイク乗りが初めてモータースポーツの「参加側」に踏み出すきっかけとして、これほど間口の広いイベントはなかなかありません。2026年筑波開幕戦を、観るだけでなく「参加体験」という新しい軸でとらえると、モータースポーツとの関わり方がガラッと変わるかもしれません。