

カフェレーサーカスタムに本気で取り組むなら、セパハンに交換するだけで車検が通らなくなることがあります。
XSR700は、MT-07と同じエンジン・シャシーをベースに持つヤマハのスポーツヘリテイジモデルです。270度クランクの並列2気筒エンジンが生み出す688ccの鼓動感は、カフェレーサーが持つ「エンジンの躍動感を楽しむ」というコンセプトと非常に相性が良いといえます。
このバイクの面白いところは、外装を変えるだけでガラリと印象が変わる点です。フレームやスイングアームのデザインがすっきりとしており、余計な突起物が少ないため、社外パーツを組み合わせやすい構造になっています。
XSR700は2016年に欧州で発売され、2018年から日本でも正規販売がスタートしました。現在の中古相場は年式や走行距離によって異なりますが、2018〜2020年式で走行1万〜2万kmのものが55〜65万円前後で流通しています。つまり、程度の良い中古車を手に入れてからカスタムに投資するというルートが現実的です。
カフェレーサーとしての完成度を高めるには、ハンドル・シート・カウルの3点を軸に考えると整理しやすいです。それぞれの役割と選択肢を次のセクション以降で詳しく解説していきます。
カフェレーサースタイルの最大の特徴は、低く前傾姿勢をつくるセパレートハンドル(セパハン)にあります。ノーマルのXSR700はバーハンドル仕様なので、セパハンへの交換がカフェレーサーカスタムの第一歩になります。
ここで注意したいのが保安基準です。セパハンに交換する際、ハンドル端がシートよりも低くなる場合や、ミラーの取り付け位置が基準を外れる場合は、そのままでは車検に通りません。取り付け前に「端部の位置がシート基準面から上方にあるか」「後写鏡が正しく装着できるか」を必ず確認しましょう。これが原則です。
ハリケーンやアントライオンなど国内メーカーがXSR700専用のセパハンキットを展開しており、価格は1万5,000〜3万円程度が相場です。専用設計品はケーブル類の取り回しも考慮されているため、汎用品よりトラブルが起きにくいというメリットがあります。これは使えそうです。
セパハンと同時にステップも交換すると、前傾姿勢のバランスがより取りやすくなります。バックステップ化すると膝の角度が変わり、長距離走行では疲労感が変わってくる点もあわせて覚えておきましょう。
| ハンドルタイプ | 費用目安 | 前傾度 | 車検対応 |
|---|---|---|---|
| セパハン(専用品) | 1.5〜3万円 | 強め | 取付位置による |
| コンチネンタルハンドル | 8,000〜1.5万円 | 中程度 | 比較的通りやすい |
| クリップオンハンドル | 2〜4万円 | 最も強め | 要確認 |
カフェレーサーの「顔」を作るのはロケットカウル(ビキニカウル)です。XSR700に装着するタイプはヘッドライト周辺を包む小ぶりなデザインが多く、取り付けもボルトオンで対応できる製品が増えています。
価格帯は樹脂製で2〜4万円、FRP製やカーボン製になると5〜10万円前後まで上がります。塗装済みのものを選べば取り付けてすぐに完成度が高まる一方、無塗装品は自分でカラーをカスタムできる楽しさがあります。結論はどこまでこだわるか次第です。
シートまわりも大きな印象変化をもたらします。シングルシートカウルを装着すると、タンデムシートを省略したストイックなカフェレーサールックになります。ただし、シングルシート化した場合はタンデムが法的に禁止されるわけではなく、乗車定員の変更が必要になるケースがあるため、陸運局への届け出が必要かどうかを事前に確認する必要があります。
タンクは基本的にノーマルのままでも違和感が少ないのがXSR700の強みです。元々レトロライクなデザインなので、外装パーツとの統一感が出やすい構造になっています。意外ですね。
カフェレーサーらしさを音で演出したいなら、マフラー交換は外せない選択肢です。XSR700用のスリップオンマフラーはアクラポヴィッチ、ヨシムラ、SCSなど多くのメーカーが展開しており、価格は4〜12万円の幅があります。
注意すべきなのは騒音規制です。2016年以降に製造された車両には「加速走行騒音規制」が適用されており、街中での近接排気騒音だけでなく加速時の騒音も規制対象になっています。JMCAの認証プレートがついているマフラーを選べば、車検対応と規制クリアを同時に満たせます。これだけ覚えておけばOKです。
社外マフラーに交換すると排気効率が変わるため、インジェクションのセッティング変更が必要になる場合があります。パワーコマンダーやフュールインジェクションコントローラーを併用するとエンジンのツキが改善され、より官能的な走りになります。費用は2〜4万円の追加投資になりますが、効果を体感できる変更の一つです。
フルエキゾーストへの交換は迫力ある見た目と音質の変化が大きい一方、触媒が外れた状態では車検非対応になるケースがほとんどです。ストリートユースがメインなら、まずはスリップオンから試すのが賢明な進め方です。
カフェレーサーカスタムを突き詰めると、「格好よくなったけど乗りにくい」という状態に陥るライダーが一定数います。これはセパハン化による前傾姿勢と、サスペンションのセッティングが追いついていないことが主な原因です。
XSR700のフロントサスペンション(KYB製倒立フォーク)は、プリロード調整のみ可能なタイプです。カフェレーサースタイルで前傾姿勢が強くなると、フロント荷重が増えるためサスが沈みやすくなります。プリロードを1〜2段締め込むだけで接地感とコーナーでの安定感が明確に変わるため、ハンドル交換後は必ずサス調整とセットで行うのが基本です。
リアはリンクレスのモノショック構造で、プリロードと伸側減衰の2段階調整が可能です。シングルシートカウル装着でタンデム荷重がなくなった場合は、プリロードを標準より緩めに設定すると一人乗りでの乗り心地が向上します。厳しいところですね。
長距離ツーリングを視野に入れるなら、グリップ交換も見逃せないカスタムです。振動吸収性の高いゲル素材や、バーエンドウェイトを追加することで長時間走行時の手の疲労を大幅に軽減できます。価格は3,000〜8,000円と比較的安価で、コスパが高い改善の一つです。
カフェレーサーカスタムは「見た目の完成度」と「走りの満足度」を両立させてこそ、長く愛着を持って乗り続けられる一台になります。まず予算とゴールイメージを固め、ハンドル→シート・カウル→マフラーの順で段階的に進めることが、後悔しないカスタムへの近道です。bikelog-blog+2