

ツーリングメインのあなたがバックステップを付けると、逆に腰痛が悪化して100km走れなくなることがあります。
バックステップとは、バイクに標準で装着されている純正ステップの位置を、後方かつ上方に移動させるためのカスタムパーツです。もともとはサーキットのレーシングマシン向けに開発されたもので、ライダーが前傾姿勢を深く取れるよう設計されています。その後、スポーツ志向のストリートライダーにも広まり、現在では各メーカーからさまざまな車種対応品が販売されています。
純正ステップとの最大の違いは「位置の調整ができること」です。純正ステップは140cmの小柄なライダーから190cm以上の大柄なライダーまで、幅広い体型に対応できるよう設計された「万人向け」の設定になっています。これはメーカーが多くのテストを重ねて決定したものですが、裏を返せば誰にとっても完璧にフィットするとは言えません。
バックステップの多くは複数のポジション(たとえばストライカー製品では「10mmバック/10mmアップ」「20mmバック/20mmアップ」など4段階)から選べる調整式を採用しており、自分の体型やライディングスタイルに合わせた微調整が可能な点が大きな強みです。
素材面では、純正ステップが鋳造(金型に溶けた金属を流し込む製法)で作られることが多いのに対して、社外品のバックステップのほとんどはアルミブロックからの削り出し(切削加工)で製造されています。これにより軽量かつ高強度を実現しており、バイクとのカチッとした一体感につながります。価格帯は1万円以下の安価なものから、BABYFACEやOVER RacingなどのレースブランドだとCBR400R用で3〜8万円程度と幅があります。
参考:Webikeが解説するバックステップの売れ筋ブランドと車種適合情報
バックステップ取り扱いブランド一覧 | Webike
バックステップを装着したときに最初に実感できる変化が、ライディングポジションの変化です。ステップが後方・上方に移動することで、自然と上体が前傾姿勢になり、スポーツライディングに適したフォームが作りやすくなります。
これはどういうことでしょうか? 人間が自転車に乗るとき、サドルが高くなるほど前傾が深まる原理と同じです。バイクの場合もステップ位置が上がると膝が曲がり、その分、腰と上体が前に倒れ込む形になります。その結果、腕がハンドルに向かって自然に伸び、荷重を均等にかけやすいフォームが生まれます。
特に体格的な問題を抱えているライダーに効果が大きいです。たとえば身長175cm以上のライダーが純正ステップのままのバイクに乗ると、膝が窮屈に曲がり過ぎてタンクのホールドが難しくなることがあります。バックステップで「10〜20mmバック・10〜20mmアップ」程度に調整するだけで、膝の折れ角が適正化され、ニーグリップがしやすくなります。
注意したいのはポジション調整の「やり過ぎ」です。ストライカーのCBR650R用バックステップを実際に使用したライダーのインプレッションによれば、「ステップのみ変更するなら『ちょい後方・やや上』程度が公道とサーキットを両立できるちょうどいいカスタム」とされています。ハンドルやシートはそのままで大幅にステップを変えると、上半身と下半身のバランスが崩れ、逆に乗りにくくなるケースもあります。つまりハンドル・シート・ステップの三点バランスが原則です。
参考:ストライカー製バックステップの実使用レポート(Motor-fan.jp)
バックステップをスポーツ走行目的で装着するライダーにとって、最大の恩恵となるのがバンク角の増加です。純正ステップの多くは、ステップの先端に「バンクセンサー」と呼ばれる小さなバー状のパーツが付いています。これは「これ以上倒すと危険ですよ」とライダーに知らせるためのもので、路面に触れると「ガリッ」という感触が伝わります。
バックステップにはこのバンクセンサーがなく、さらにステップ自体の位置が路面から遠ざかるため、コーナリング中にステップが路面に接地するリスクが大幅に低下します。実際に筑波サーキットなどを走るライダーの間では、純正ステップのままではブレーキペダルの先端が路面に接触してしまうというケースが多く報告されています。これはカウルの削れにもつながり、転倒リスクにも直結します。
バンク角が深く取れるということは、コーナーへの進入速度を上げることができ、旋回中の安定感も増します。コーナーで車体を思い切り寝かせたいスポーツ志向のライダーや峠を楽しむライダーにとっては、その効果は実感しやすいでしょう。
ただし、コーナリング向上の恩恵は主にサーキットや峠でのスポーツ走行時に限られます。公道で「フルバンク」に近い状態で走ることは安全上の問題があり、バンク角向上をそのまま公道で活かすのはあくまで緊急回避的な話に限ります。これが原則です。
ローレット加工によるグリップ向上も、コーナリングと密接に関係します。ローレット加工とは、ステップバーの表面に細かいギザギザの溝を切削する加工のことで、ブーツのソールに食い込む形で滑り止め効果を発揮します。純正ステップよりも深く細かく刻まれていることが多く、雨天時でも踏ん張りがきかせられるため、ニーグリップと合わせて体重移動がしやすくなります。意外ですね。
参考:ローレット加工の仕組みと効果を詳しく解説(Webikeプラス)
ローレット加工とは?どんな効果があるの? | Webikeプラス
バックステップの良い面ばかりが語られがちですが、導入前に必ず把握しておくべきデメリットも複数あります。知らないと損します。
まず最も多く聞かれるのが「長距離ツーリングが辛くなる」という問題です。前傾姿勢が強くなることで腰や手首への負担が増し、1〜2時間の走行でも疲労を感じやすくなります。特にアップハンドルのバイクにそのままバックステップを取り付けると、上半身と下半身のポジションがちぐはぐになり、余計に疲れるという声が多くのライダーから上がっています。街乗りやツーリングがメインなら、ハンドルとのバランスを慎重に検討することが条件です。
次に「価格の高さ」です。BABYFACEやOVER Racingなどの国産ブランドのバックステップは3〜8万円程度が相場で、これに工賃(バイクショップ依頼の場合は1万円程度)が加わります。中国製の安価な製品(1万円以下)も存在しますが、操作精度や剛性の面で信頼性が担保されていないことも多く、スポーツ走行には向かないケースがあります。
「固定式ステップによる転倒時のダメージ増大」も見落とされがちな問題点です。純正ステップの多くは可倒式(転倒時にステップが折りたたまれる構造)ですが、バックステップの多くは固定式です。転倒した際に遊びがなく衝撃をそのまま受けるため、ステップ本体だけでなく、取り付けフレームごと曲がってしまうリスクがあります。街乗りがメインのライダーは可倒式タイプを選択するのが無難です。
また、車検との関係も重要です。基本的にバックステップは「シフト操作とリアブレーキ操作に問題がなく、ステップバー先端の形状が保安基準を満たしている(曲率半径2.5mm未満の尖った形状でないこと)」であれば車検に通ります。ただし、2名乗車登録のバイクでタンデムステップが一体になったステップホルダーを外すタイプのバックステップを選ぶと、タンデムステップがなくなって車検に通らなくなる場合があります。「レース専用品(公道使用不可)」と明記された製品を公道で使用すれば、不正改造として6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることもあるため、購入時の確認は必須です。
| チェックポイント | 確認内容 |
|---|---|
| 操作性 | シフト・リアブレーキが正常に機能するか |
| ステップ先端形状 | 尖っていないか(曲率半径2.5mm以上) |
| タンデムステップ | 2名乗車登録バイクはタンデムステップの有無を確認 |
| 公道使用可否 | 「レース専用品」表記がないか確認 |
参考:カスタムと保安基準の関係を詳しく解説(Webike NEWS)
【違法?合法?】カスタムを楽しむための保安基準ガイド | Webike NEWS
バックステップを選ぶ際に重要なのは、価格よりも「自分のライディングスタイルと用途に合っているか」という視点です。ここでは実績のある国産メーカーを中心に、用途別の特徴を整理します。
BABYFACE(ベビーフェイス)は、Webikeのブランド別インプレッション件数で461件と最多を誇り、口コミ評価4.4という高い満足度を得ている国産ブランドです。アルミニウム合金削り出しのCNC加工で操作性と剛性を両立しており、18ポジション対応など調整幅が非常に広いのが特徴です。初めてのバックステップ導入にも対応しやすいモデルがあり、取扱説明書も丁寧でDIY取り付けにも向いています。スポーツ走行からツーリングまで幅広く対応したいライダーに適しています。
OVER Racing(オーヴァーレーシング)は、三重県鈴鹿市を拠点とする日本を代表するレーシングパーツブランドです。レーシングマシンの開発経験から生まれた剛性感と、アルミ削り出しによる美しい造形が強みで、機能美を重視するライダーから高い支持を受けています。インプレッション件数238件、評価4.5と品質への信頼度が高く、本気のスポーツカスタムを求めるライダーにおすすめです。
STRIKER(ストライカー)は、スポーティさと公道での快適性のバランスを最も意識したブランドと言えます。新開発のSports Touring Concept(STC)ステップキットでは、足の接地面を「点」ではなく「面」で捉える設計を採用し、長時間ツーリングでの足疲れを軽減します。峠からツーリング、走行会まで「ちょうどいいスポーツ感」を求めるライダーにフィットします。ジュラルミン製でCBR650R用は税込6万500円と参考価格も明確です。
YOSHIMURA(ヨシムラ)の「X-TREAD」シリーズは、航空宇宙グレードのアルミ合金を採用した最上位クラスのステップキットです。GSX-R1000のヨシムラレーサーから直接受け継いだヒールプレート形状、ベアリング入りのペダル軸、シリアルナンバー刻印など、プレミアム感と機能性を両立しています。「本物」にこだわるライダーに適しています。
用途別のおすすめをまとめると以下のとおりです。
取り付けをバイクショップに依頼する場合は、工賃として1万円程度を見込んでおきましょう。また、車種によってはマフラーやスイングアームとの干渉が生じる場合もあるため、購入前に適合確認を行うことが大切です。これが条件です。
参考:バックステップ各ブランドの詳細情報と購入先(Webike)
バックステップ取り扱いブランド一覧 | Webike
バックステップを取り付けただけで効果が出るとは限りません。正しくセッティングすることで初めてその恩恵を最大化できます。これはあまり語られない視点です。
まず「自分のライディングスタイルを明確にする」ことが出発点です。サーキット専用ならステップを後方・上方に大きく移動させ、前傾を深めた攻撃的なポジションが有効です。一方、週末ツーリングメインであれば「10〜15mmバック、10mmアップ」程度の小幅な変更から始めるのが賢明です。ちょっとした変更でも効果は十分に出ます。
ペダルの高さ調整も忘れてはいけません。ステップ位置を変更しても、シフトペダルとブレーキペダルの高さが体に合っていないと操作性が著しく落ちます。土踏まずをステップに乗せた状態でつま先をペダルの上に置いたとき、足首が無理に上を向かない位置が理想です。motor-fan.jpのCBR650Rユーザーの体験談では「足首が上へ曲がる問題が解消され、ロングツーリングの疲れが大幅に減った」とのことで、ペダル調整の重要性が実証されています。
ヒールガードの活用も、セッティングの仕上げとして重要な要素です。ハングオフ(コーナリング時に体を内側に落とす動作)をする際、かかとをステップにかけてホールドすることで上半身が安定します。ヒールガードが付属するバックステップを選ぶと、この動作がさらにしやすくなります。
最後に、バックステップを装着したら必ず「慣らし走行」を行うことをおすすめします。ポジションが変わると反射的な操作感も変わるため、最初の50〜100kmは無理なペースで走らず、体とバイクの感覚をすり合わせる時間を取ることが大切です。特にシフトチェンジのタイミングと体重移動の感覚は、しっかり体に染み込ませてから峠やサーキットに臨むのが安全です。
| ライディングスタイル | 推奨ポジション | 注意点 |
|---|---|---|
| サーキット専用 | 20〜30mmバック / 20〜30mmアップ | ハンドルもあわせて前傾姿勢を調整 |
| 峠+サーキット兼用 | 10〜20mmバック / 10〜20mmアップ | ハンドルは純正のままでも対応しやすい |
| ツーリング+峠 | 10mmバック / 10mmアップ(小幅調整) | ペダル高さ調整とヒールガード装備で快適性を維持 |
| 街乗りメイン | 純正に近い設定推奨 | 可倒式ステップを選ぶと転倒時のリスクが低い |
参考:ステップへの正しい足の置き方とバイクコントロールの基礎(Motor-fan)

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