

廃車手続きをせずにバイクを捨てただけだと、翌年も税金の請求が届きます。
「バイクをスクラップに出したから廃車した」と思っていませんか。それは大きな誤解です。
バイクの廃車とは、正確には「抹消登録」という行政手続きのことを指します。車体をスクラップ業者に引き渡すことや、ゴミとして処分することは「解体(廃棄)」であり、廃車手続きとはまったく別の行為です。
解体してもナンバープレートが登録されたままであれば、市区町村や国土交通省のデータベース上ではそのバイクはまだ存在していることになります。つまり翌年以降も軽自動車税の課税対象であり続けるのです。これは基本原則です。
廃車の種類は主に2つあります。
- 永久抹消登録:事故や故障で完全に乗れなくなり、二度とそのバイクを使用しない場合に行う手続き
- 一時抹消登録:一時的に使用をやめる・売却・譲渡をする場合に行う手続き(再登録で公道復帰が可能)
自動車(4輪)の場合は永久抹消と一時抹消で必要書類が異なりますが、バイクの場合は永久抹消・一時抹消ともに必要書類はほぼ同じという意外な特徴があります。手続きの選択で準備物が変わるわけではないので、目的に合わせてどちらにするかだけ決めれば問題ありません。
原付バイクの場合、一時抹消という概念は存在せず、廃車申告のみとなります。なら問題ありません。
バイクの廃車手続きとは(チューリッヒ)|永久抹消・一時抹消の違い、排気量別の手続きを詳しく解説
廃車手続きで最も重要なのは、「どこで手続きするか」と「何を持って行くか」の2点です。
排気量によって手続き先がまったく異なるため、間違えると二度手間になります。以下の表で自分のバイクの区分を確認してください。
| 排気量 | 区分 | 手続き場所 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 50cc〜125cc以下 | 原付(原付一種・二種) | お住まいの市区町村役所(税務課) | 無料 |
| 126cc〜250cc以下 | 軽二輪 | 管轄の運輸支局(陸運局) | 無料 |
| 251cc以上 | 小型二輪 | 管轄の運輸支局(陸運局) | 一時抹消:350円+用紙代約100円 |
原付(125cc以下)の必要書類と手順
| 必要なもの | 備考 |
|---|---|
| ナンバープレート | 自分でドライバーを使って外す |
| 廃車申告書兼標識返納書 | 役所の窓口で無料配布 |
| 標識交付証明書 | 紛失していても手続き可能(ない場合は申告) |
| 本人確認書類 | 免許証・マイナンバーカードなど |
手続き自体は窓口で書類に記入しナンバープレートを提出するだけなので、慣れれば5〜10分程度で完了します。
軽二輪(126cc〜250cc)の必要書類
| 必要なもの | 備考 |
|---|---|
| ナンバープレート | 車体から外して持参 |
| 軽自動車届出済証 | 紛失時は「理由書」が必要 |
| 軽自動車届出済証返納届 | 陸運局窓口で入手 |
| 本人確認書類 | ー |
小型二輪(251cc以上)の必要書類
| 必要なもの | 備考 |
|---|---|
| ナンバープレート | 車体から外して持参 |
| 自動車検査証(車検証) | 紛失時は「理由書」が必要 |
| 申請書(OCRシート第3号様式の2) | 運輸支局で入手可 |
| 手数料納付書 | 窓口で入手 |
| 印鑑(認印) | ー |
251cc以上のバイクの廃車手続きには350円の手数料が必要です。これが条件です。また、ナンバープレートや書類を紛失している場合でも、「理由書」を提出することで手続きを進められます。書類がないからと諦める必要はありません。
原付やバイクの廃車(ナンバー返納)手続き方法(バイクリサイクルジャパン)|排気量別の流れと郵送・オンライン申請も解説
廃車手続きを急ぐべき「4月1日ルール」はご存知でしょうか。
バイクの軽自動車税は、毎年4月1日時点でナンバーが登録されている所有者に対し、その年度分が一括で課税されます。月割りや日割りの考え方はありません。つまり、4月1日を1日でも過ぎて廃車しても、その年の税金は全額納める義務があります。
たとえば原付(50cc〜90cc)の場合、軽自動車税は年額2,000円です。4月2日に廃車したとしても、2,000円分の課税は消えません。「1日の差で1年分払う」という状況になるのです。
排気量別の軽自動車税の年額は以下のとおりです。
| 区分 | 排気量 | 年額 |
|---|---|---|
| 原付一種 | 50cc以下 | 2,000円 |
| 原付二種(小型) | 50cc超〜90cc以下 | 2,000円 |
| 原付二種(小型) | 90cc超〜125cc以下 | 2,400円 |
| 軽二輪 | 125cc超〜250cc以下 | 3,600円 |
乗らないバイクのために毎年2,000〜3,600円を支払い続けるのは、当然ながら無駄です。しかも、廃車後に税金の還付は一切ありません。自動車(4輪)の場合は月割りで自動車税の還付がありますが、バイクの軽自動車税には還付制度がないのです。これは意外ですね。
税金を止めるには3月中に手続きを完了させることが鉄則です。3月末は役所が混み合うことも多いため、できれば2月〜3月上旬には動き出しておくことをおすすめします。3月31日厳守が原則です。
乗らないバイクは「廃車」手続きを(Bike Life Lab)|4月1日ルールと税金の仕組みをわかりやすく解説
廃車手続きが終わったら、見落としがちな「自賠責保険の解約手続き」も必ず行いましょう。
自賠責保険は、廃車後に解約手続きをすれば残存期間が1ヶ月以上ある場合に解約返戻金(還付金)が受け取れます。返金額は月割り計算で算出されるため、残り期間が長ければ長いほど受け取れる金額は多くなります。
解約返戻金の目安は以下のとおりです(原付の場合)。
| 残存期間 | 受け取れる解約返戻金の目安 |
|---|---|
| 12ヶ月 | 約1,700円 |
| 24ヶ月 | 約3,400円 |
| 36ヶ月 | 約5,000円 |
| 48ヶ月 | 約6,700円 |
手続きをしなければ、返金はゼロです。これは損ですね。
解約手続きに必要なものは、廃車証明書(廃車申告受付書など)と自賠責保険証明書が基本です。保険会社によりますが、郵送または電話での手続きが一般的で、窓口に直接行く必要はないケースも多いです。
注意点が一つあります。書類に不備があると月をまたいでしまい、受け取れる金額が減る可能性があります。月割り計算のため、手続きが遅れるほど損をする構造になっています。廃車が完了したら、できるだけ早めに保険会社に連絡を取りましょう。
また、複数年加入タイプの自賠責保険に入っていた場合、残存期間が長く数千円〜1万円近くの返金になることもあります。「どうせ少額だから」と手続きをサボると、確実に損をします。1ヶ月以上残っているなら手続き必須です。
廃車したら戻ってくる?バイクの自賠責保険の手続きについて解説(バイク処分.com中国)|解約に必要な書類と返金の流れを詳解
バイクを廃車する際、自賠責保険の解約と同時に、任意保険の手続きも見落とさないでください。
任意保険を解約するとき、多くのライダーが知らないまま損をしているのが「中断証明書」の存在です。
通常、任意保険を解約して何年か後に新しいバイクで再加入する場合、等級は6等級からのリスタートになります。しかし、廃車時に中断証明書を発行しておけば、解約時点の等級を最長10年間保存できます。
たとえば20等級の状態で廃車・解約した場合、中断証明書があれば5年後・10年後に新しくバイクを購入したときも20等級からスタートが可能です。これは使えそうです。
6等級と20等級では保険料に数万円の差が生まれることもあります。等級を守ることは、長期的に見てかなり大きな節約につながります。
中断証明書が発行できる主な条件
- 廃車・譲渡・返還などでバイクを手放している
- 次回適用される等級が7等級以上
つまり等級が低い場合は発行できないので注意が必要です。
中断証明書の発行手続きは、任意保険を契約している保険会社に電話一本で対応してもらえるケースが多いです。廃車のバタバタした時期に忘れてしまいがちですが、後になってから「もらっておけばよかった」という後悔をしやすい手続きの一つなので、廃車と同日に依頼することを強くおすすめします。中断証明書は必須です。
バイク保険を途中解約する方法(チューリッヒ)|中断証明書の発行メリットと必要書類を詳しく解説
廃車手続き(抹消登録)が完了したら、次はバイク本体の処分です。
「廃車」という言葉は行政手続きを指しますが、本体を実際にどう処分するかは別問題です。処分方法を間違えると、数万円の費用が発生することもあります。
費用を抑えて処分したいなら、「二輪車リサイクルシステム」の活用がおすすめです。これはホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキなど主要バイクメーカーが参加している自主的なリサイクルの取り組みで、対象車両であれば指定引取場所への持ち込みが無料です。
バイク本体の主な処分方法と費用目安
| 処分方法 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 二輪車リサイクルシステム(指定引取場所持込) | 無料 | 対象車両の条件あり |
| バイク買取専門業者 | 無料〜収入になる | 動かなくてもOKな場合あり |
| 廃棄二輪車取扱店に持ち込む | 無料 | 店舗によって条件あり |
| 不用品回収業者に依頼 | 2,000〜10,000円 | 自宅まで来てもらえる |
| フリマアプリ・オークション | 無料〜収入になる | 売れる状態が条件 |
二輪車リサイクルシステムには対象外の車両も存在するため、利用前に車台番号で確認することが大切です。
動かない不動車や書類がないバイクでも、専門業者であれば無料で引き取り・廃車代行を行ってくれるケースが多いです。「乗れないからどうにもならない」と諦める前に、買取業者や専門業者に相談してみましょう。買取査定が思わぬ金額になることもあります。
二輪車リサイクルシステムの指定引取場所や廃棄二輪車取扱店の検索は、公益財団法人自動車リサイクル促進センターのウェブサイトから確認できます。
二輪車リサイクルの紹介(公益財団法人 自動車リサイクル促進センター)|指定引取場所の検索や対象車両の確認方法