

マイクをどこに付けても声が相手にしっかり届くので、配線をチークパッドの中に隠せます。
B+COM SB6X(ビーコム エスビーシックスエックス)は、大阪に本社を置く株式会社サイン・ハウスが開発・販売するバイク用インカムのハイエンドモデルです。2017年8月に発売されてから後継機のSB6XRが登場するまでの数年間、同ブランドの最上位機種として圧倒的な人気を誇りました。
国内のバイクライダーのうちおよそ7割がB+COMシリーズを装着していると言われており、マスツーリングへ参加する際には「B+COMを持っていることが当たり前」という雰囲気すらあります。これは単なるブランドイメージではなく、接続の安定性や日本語音声ガイダンスなど、国内ライダーの声を丁寧に拾い続けた製品づくりの結果です。
主なスペックをまとめると以下の通りです。
| 項目 | スペック |
|------|---------|
| Bluetooth | Ver.4.1 / Class1 |
| バッテリー | Li-Po 3.7V 800mA |
| 連続使用時間 | インカム通話 最大約16時間 / 音楽再生 最大約18時間 |
| 最大通話人数 | 最大6人(V3.0以降) |
| 本体重量 | 53g |
| 防水性能 | IP67相当 |
| 価格(シングルUNIT) | 40,700円(税込) |
重量53gはiPhone 1台(約200g)の約4分の1程度。ヘルメット側面に装着しても走行中にバランスを崩すほどの重さではありません。
本体サイズはW106×H45.7×D24.9mmと、ヘルメットのサイドに収まりよくフィットする縦長のフォルムです。SB5Xから引き継いだシャープなデザインは視覚的な完成度も高く、ヘルメットをかぶる前の「準備」の気分を少し高揚させてくれます。
価格は40,700円(税込)と決して安くありませんが、同クラスのSENAや他社ハイエンドと比較しても飛び抜けて高いわけではありません。つまり価格帯としては妥当なポジションです。
📌 参考:B+COM SB6X 公式製品ページ(SYGNHOUSE)
SB6Xの音質面で最も評価されているのが、大出力D級アンプと高磁力ネオジムマグネットを採用した40φスピーカーの組み合わせです。インカムという性質上「音楽をきれいに聴ける製品」とは思われにくいですが、実際に使うと1万円クラスのヘッドフォンに近いレンジの広がりを感じられます。
特にありがたいのが「音割れしない音量の余裕」です。高速走行中は時速100kmを超えると風切り音がヘルメット内に入り込み、音楽が聴きづらくなります。SB6Xはアンプ出力に余裕があるため、音量を最大まで上げても音が歪まず、風切り音の中でもBGMが楽しめます。これは実走行でのストレスに直結する部分です。
通話音質については、SB6Xが本体側でノイズキャンセリング処理を行う点が特徴的です。多くのインカムは「マイクを口元の正面に置き、指向性で雑音を拾わないようにする」という設計ですが、SB6Xは本体が電気的にノイズを除去するため、マイクを額や頬パッドの裏に隠した状態でも相手には声がクリアに届きます。配線を外から見せたくないライダーには実用的な恩恵です。
実際の通話可能距離は、公称値で見通し1.4kmですが、実際の公道では街中の下道で100〜200m前後、郊外の高速道路で300〜500m前後が目安とされています。信号待ちで距離が離れてしまっても、電波圏内に戻れば「自動復帰機能」が働き、操作なしで再接続されます。
📌 参考:B+COM 通話可能距離についてのFAQ(SYGNHOUSE公式)
3人以上でグループ通話する場合、2人では全く聞こえなかったノイズが「コンコン」「カンカン」と現れることがあるという報告もあります。これは電波の干渉によるもので、多人数ツーリングでは発生しうる点として覚えておくとよいでしょう。
つまり通話品質は2〜3人規模では申し分なしです。
SB6X最大の差別化ポイントが「聴きトーク」機能です。これはB+COMシリーズの中でSB6Xにのみ搭載されている機能で、2つのBluetoothチップを同時稼働させることで「インカム通話をしながら音楽やナビ音声をバックグラウンドで流し続ける」ことができます。
どういうことでしょうか?
通常のインカムは、仲間と通話を始めると音楽やナビが止まります。会話が終わったらまた音楽が再開される、という断続的な体験になります。SB6Xの聴きトークでは、通話中もナビの案内が同時に耳に届くため、「右折の案内を聞き逃した」「話しながらルートを確認できない」というストレスがなくなります。
| 状態 | SB6X(聴きトーク) | 通常のインカム |
|------|-------------------|--------------|
| 通話中の音楽 | ✅ 再生継続 | ❌ 止まる |
| 通話中のナビ音声 | ✅ 聞こえる | ❌ 止まる |
| バックグラウンド音量調整 | ✅ 個別に調整可 | ❌ 不可 |
ただし聴きトーク使用時のバッテリー持続時間は最大約10時間となり、音楽再生のみの18時間と比較すると約44%も減ります。2つのBluetoothチップが同時稼働するためです。1泊2日のキャンプツーリングなど、充電機会が少ない環境では使い方の工夫が必要です。
また、聴きトークはあくまで「B+COM SB6X同士」または「SB6Xとスマートフォンの間」での話です。他社インカムのメンバーと通話する場合、聴きトークと同じ快適さを保てる保証はありません。これは条件が条件だけに仕方ありません。
これは使えそうです。特に長距離ツーリングでナビを常時聴きたい方にとっては、SB6Xを選ぶ明確な理由になります。
📌 参考:B+COMがペアリングに強い理由(バイク王公式メディア)
バッテリー性能は、インカムの中でも非常に優秀な部類に入ります。音楽再生のみで最大約18時間、インカム通話で最大約16時間という数値は、日帰りのロングツーリングなら余裕でカバーできます。朝7時に出発して夜11時まで走り続けても、電池切れを心配する必要がほとんどありません。
防水性能はIP67相当で、これは「粉塵が内部に侵入せず、1m・30分水中浸漬しても有害な影響がない」という規格です。突然の雨でも使い続けられますし、充電端子であるUSB Type-Cポートも防水設計になっています。実際に豪雨の中6時間以上走行しても問題なく動作した事例も報告されています。
頼もしいですね。
一方で、充電まわりには少し注意が必要です。SB6Xはスピーカーケーブルと充電ケーブルが同じUSB Type-Cポートを共用する設計になっています。充電のたびにスピーカーケーブルを抜き差しする必要があり、さらにマイクのmicroUSBケーブルも別途あるため、ヘルメットから本体を完全に取り外して充電しようとすると毎回2本のケーブルを抜かなければなりません。
この充電方法の手間を最小限にするには、「本体をヘルメットに装着したまま、USB Type-Cケーブルだけを繋いでモバイルバッテリーで充電する」方法がユーザー間で推奨されています。充電のたびにヘルメットを逆さにして、ヘルメットスタンドや安定した場所に置いて充電する習慣をつけるとよいでしょう。
ヘルメットごと充電が基本です。
また、アンテナ部分はもげやすいという指摘も見られます。公式HPにも「アンテナがもげた場合」のQ&Aが掲載されており、取り扱いには丁寧さが求められます。グローブをしたままバッグからヘルメットを乱暴に出し入れする習慣がある方は特に注意が必要です。
マスツーリングで特に重要になるのが、複数人での接続安定性です。SB6Xは独自の「B+LINK」接続方式を採用しており、グループの全員が同じボタン操作(30秒ペアリング)をするだけで最大6人まで自動的に繋がります。「誰かだけ繋がらない」「ホストが操作を指示しながら設定しなければならない」という他社でありがちなトラブルを大幅に減らせます。
他社インカムを持つ仲間がグループにいる場合、SB6Xは「ユニバーサルインターコール・レシーブ」機能により、他社インカムからの通話を受け取る側として機能します。B+COM同士の接続を保ちながら、他社製インカムのメンバーとも同時に話すことが可能です。他社インカムの仲間がいてもB+COMユーザーが排除されない設計は、グループの規模が大きくなるほど重要なポイントです。
ただし、他社インカムとの接続は通話品質・安定性の保証外であることをメーカーも明示しています。「繋がるが音質が落ちた」「SB6X側で他社2台を同時接続しようとしたら1台が切れた」という事例もあります。メーカー混在のグループで通話する際は、LINEグループ通話を保険として使っておくと安心です。
📌 参考:B+COMと他社インカムの接続方法と注意点(SYGNHOUSE公式FAQ)
グループ内に他社インカムユーザーが1〜2人混ざる程度なら問題ありません。SB6Xは接続のハブとして非常に優秀で、「自分がB+COMを持っていることで仲間の繋がり方がスムーズになる」という実感を持てます。これは価格に見合った価値の一つです。
インカムを選ぶときに意外と見落とされがちなのが「グローブをしたまま操作できるか」という視点です。SB6Xのボタンは3つ構成で、「上下のインカム専用ボタン」と「真ん中の丸いデバイスボタン」に機能が明確に分かれています。感触だけでどのボタンを触っているか判断できるため、走行中にヘルメット側面を手探りで操作しても「誤ってリセットした」ということが起きにくい設計です。
取り付けはベースプレートをヘルメット側面に固定し、そこに本体をスライドさせて装着するクリップ式が使えます。クリップ式にすればヘルメットに粘着テープの跡が残らず、インカムを取り外した後もヘルメットがきれいな状態を保てます。取り付け時間はバイクショップに依頼した場合で約30分程度です。
設定はスマートフォンアプリ「B+COM U」からが圧倒的に楽です。本体ボタンの長押しや同時押しの組み合わせを覚える必要がなく、アプリの画面で音量バランスや聴きトークのON/OFFが視覚的に管理できます。初回のペアリング後は次回起動時に自動接続されるため、毎回設定し直すような手間もありません。
🎯 取り付けのポイントまとめ
- 粘着テープよりもクリップ式のベースプレートを選ぶとヘルメットが傷まない
- スピーカーの配線はチークパッド裏に入れ込むとすっきり収まる
- マイクはアームタイプ(フルフェイス向け)とワイヤータイプ(ジェット・半帽向け)の2種が同梱されている
- ベースプレート組み立てに精密ドライバーが必要(付属なし)
最後の点は多くのレビューで指摘されています。精密ドライバーが手元にない場合は、取り付け前にホームセンターで用意しておくか、バイクショップで作業を依頼するのが現実的です。
ビーコムSB6Xの取り付けや設定に迷ったときは、SYGNHOUSE公式サイトのサポートページやYouTubeの公式動画が参考になります。ヘルメット別の取り付け例も掲載されているため、自分のヘルメットとの相性を事前に確認しておくとスムーズです。
📌 参考:B+COM SB6X 公式マニュアル・取り付け手順(SYGNHOUSE)

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