

マフラーを社外品に換えると、公道走行で50万円以下の罰金刑になるケースがあります。
CB125Rをスクランブラー化する際、最初にして最大の壁となるのが「タイヤ選び」です。その理由は、このバイクが前後17インチというロードスポーツ標準の規格を持っているからです。本格的なオフロードバイクは、フロント21インチ・リア18インチが基本であり、大径ホイールほど障害物への進入角度が浅くなり、走破性が高まるという物理的な理由があります。CB125Rの17インチは小石ひとつでも深くタイヤが落ち込みやすく、未舗装路ではライダーへの衝撃もそのまま伝わります。ホイールを変えない前提でスクランブラーを目指すなら、タイヤ選びは慎重に行う必要があります。
ここで多くのライダーが陥りやすいのが「引っ張りタイヤ」の罠です。CB125Rのリアホイールのリム幅は4.00インチと太めの設計になっています。リム幅に対して細すぎるタイヤを無理に装着すると、タイヤの断面形状が台形に潰れ、コーナリングで腰砕け感が出たり、段差でリム打ちを起こしたりするリスクが格段に増えます。これは「お金が節約できた」どころか、走行中の転倒につながる危険な状態です。
現在、CB125Rの純正サイズ(フロント110/70 R17、リア150/60 R17)に完全対応するオフロード系タイヤとして、実用的な評価を得ているのが「ピレリ MT60 RS」です。このタイヤはドゥカティのスクランブラーシリーズに純正採用されており、スチールベルトのラジアル構造を持つため、純正タイヤと同じように高速道路やワインディングでも「ヨレ」や「振動」をほとんど感じません。ブロックタイヤながら燃費や乗り心地の変化が少ないのが特徴です。前後セットで3.5〜5万円前後(相場による)と決して安くはありませんが、命を乗せて走るパーツとしての投資対効果は非常に高いと言えます。
ブロックタイヤに換えた瞬間から、見た目は劇的に変わります。CB125Rのシャープなフレームラインに、ゴツゴツとしたブロックパターンが加わると、まるでハスクバーナの「スヴァルトピレン」を彷彿させるアグレッシブな印象になります。スクランブラーらしさを演出する最も費用対効果の高いカスタム、それがタイヤ交換です。これが基本です。
なお、林道に入る際は空気圧を指定値から20〜30%程度抜く(例:2.0kgf/cm²→1.5kgf/cm²程度)と、接地面積が増えてグリップ力が向上します。ただしキャストホイールのため抜きすぎはリム打ちの原因になります。舗装路に戻ったら、必ずすぐに規定値に戻すことを忘れないようにしましょう。
参考:CB125Rオフロードカスタムにおけるタイヤ選定と走行インプレッションについて詳しく解説されています。
CB125Rオフロードカスタム!タイヤとパーツでスクランブラー化 | デジタルバイクライブラリー
マフラー交換は、スクランブラースタイルを完成させる上で欠かせないカスタムのひとつです。見た目の印象を大きく変えるだけでなく、純正比で最大40〜48%の軽量化による走りの変化も体感できます。ただし、CB125Rのマフラー選びには「型式の混同」という大きな落とし穴が存在します。見落とすと、数万円の製品が取り付けすらできないという悲劇が待っています。
CB125Rには、2018〜2020年モデルの「JC79型(SOHC)」と、2021年以降の「JC91型(DOHC)」という2種類の型式が存在します。外観上の違いはわかりにくいですが、エンジンが根本から異なるため、排気ポートの位置やフランジのボルト間隔も違います。つまり、JC79用のマフラーはJC91には物理的に装着できません。フリマアプリなどで中古品を安く入手しようとする際は、必ず車検証(標識交付証明書)に記載の型式を確認してから購入しましょう。「2BJ-JC79」なら旧型、「8BJ-JC91」なら2021年以降モデル用です。型式確認が条件です。
また、公道使用については「JMCA(全国二輪車用品連合会)認証」の有無が絶対的な判断基準になります。インターネット上では「レース専用・公道使用不可」と小さく記載されたアジア製の格安マフラーが出回っています。これらは日本の道路運送車両法の保安基準を満たさない触媒なし・爆音仕様が多く、装着して公道を走れば「整備不良(消音器不備)」として違反点数と反則金が課されます。悪質と判断された場合は50万円以下の罰金という刑事罰の対象にもなり得ます。CB125Rは125ccで車検不要ですが、「車検がない=何でもOK」ではありません。
スクランブラースタイルとの相性が良いおすすめマフラーを整理すると、以下のようになります。
| ブランド | 製品名 | 重量削減(純正比) | こんな人に |
|---|---|---|---|
| モリワキ | NEO CLASSIC | 約40%減(2.4kg) | スタイルと迫力の重低音重視 |
| BEAMS | R-EVO | 約13%減(3.5kg) | 通勤・日常使いで近隣配慮重視 |
| SP武川 | テーパーコーンマフラー | 中程度 | スクランブラー特有のビンテージ感 |
SP武川のテーパーコーンマフラーは、スクランブラーを代表するクラシックなコーン形状を持っており、価格は約7.5万円(税込)前後です。JMCA政府認証取得済みで、ヴィンテージ感あふれる外観は他の2ブランドとは一線を画したスタイルを作り出します。これは使えそうです。
取り付け作業をDIYで行う場合、必ず守ってほしいのが「O2センサーの取り外し手順」です。配線カプラーを接続したままセンサー本体をスパナで回すと、配線がねじれて内部で断線します。O2センサーは新品で数万円する精密部品で、断線するとエンジンチェックランプが点灯し燃調が狂います。先に車体側のカプラーを抜いて配線をフリーにしてから回す、これだけで防げます。また、エキゾーストガスケットは必ず新品に交換しましょう。数百円の部品をケチって排気漏れが起きては元も子もありません。
参考:CB125Rマフラー選びにおける型式確認・JMCA認証・メーカー比較の詳細情報はこちら。
CB125Rマフラーおすすめ!失敗しない選び方と音質比較 | デジタルバイクライブラリー
タイヤとマフラーが決まったら、次はライディングポジションと操作系に目を向けましょう。スクランブラーらしいスタイルと走行機能を両立させる上で、ハンドル周りのカスタムは非常に重要な役割を担っています。見た目と実用性が同時に改善される珍しいカスタム箇所です。
CB125Rの純正ハンドルはスポーツ走行を想定したやや前傾ポジションで、高さが低く前に遠い設定になっています。これはワインディングでは有効ですが、林道や砂利道で立ち乗り(スタンディング)をしようとすると、ハンドルが遠すぎて腕が突っ張ってしまいます。そこで活躍するのが「ハンドルライザー(バーライザー)」です。P&Aインターナショナルなどからは30mmアップ・21mmオフセットのCB125R専用品が出ており、価格は1万円台前後から入手できます。ヘプコ&ベッカーなどの欧州ブランドからも専用品が用意されています。取り付け自体は工具があれば1〜2時間のDIYで完結します。
さらに機能的なカスタムとして強くおすすめしたいのが「アーマーハンドガード(ナックルガード)」の装着です。林道では草木がブレーキレバーに当たる場面があります。プラスチックだけの風防タイプと異なり、ZETA(ジータ)社製などのアルミ芯入りタイプは転倒時にハンドルバーエンドとクランプの2点で衝撃を受け止め、ブレーキ・クラッチレバーの根元折れを防ぎます。レバーが折れると変速も停止もできなくなります。ソロツーリングでは命に関わる事態です。価格は7,000〜15,000円程度が相場で、スクランブラースタイルへの見た目的な貢献度も高いパーツです。
ハンドルバー自体を交換する場合は、バーエンドの「テーパーハンドル」も選択肢に入ります。ハリケーンのBMコンチ3型などはCB125Rオーナーに人気で、純正よりわずかに高めの位置にグリップが来るため、市街地での取り回しが自然な姿勢で行えます。ただし、ハンドル幅が変わると車幅も変わり、ミラーの位置調整が必要になる場合があります。ケーブル類(スロットルワイヤー、ブレーキホースなど)の長さも確認してから購入しましょう。これが原則です。
また、スクランブラーのアイコンとも言えるのが「ヘッドライトガード」です。H2C(ホンダ純正アクセサリー)やGIVI、海外のK-SPEED製品などから、丸目ヘッドライトを囲むメッシュタイプやバーガードが出ています。飛び石からLEDユニットを保護する実用性に加え、無骨なルックスがスクランブラーらしいキャラクターを強調します。価格は5,000〜15,000円程度で、コスパよくスタイルを変えられる優秀なアイテムです。
「見た目のスクランブラー化」と「実際に走れるスクランブラー化」の間には、大きな差があります。その差を埋めるのがエンジンガードとアンダーガードという2種類の防御パーツです。カスタムの予算を削りやすい部分ですが、林道を走ることを考えるなら投資価値は非常に高い項目です。
CB125Rはエンジンをフレームの構造部材として利用する設計になっており、クランクケースやウォーターポンプが車体の外側に露出しています。林道の奥深くで転倒し、クランクケースが割れてオイルが漏れたら、その場で「走行不能」になります。携帯電波も届かない山奥でバイクを押して帰る経験は、誰もしたくないでしょう。厳しいところですね。
おすすめはイタリアのGIVI社製エンジンガード「TN1199」です。直径25mmの極太スチールパイプで作られており、エンジンの左右を広くカバーします。転倒時に車体と地面の間に空間を作るため、エンジン本体へのダメージだけでなく、ライダーの足が挟まれるリスクも軽減します。価格は約22,000円(税込)前後です。ホンダ純正アクセサリーブランドのH2Cからもガード類が出ており、よりコンパクトなデザインで街乗りメインのライトなカスタムに人気があります。
次に見ておきたいのがCB125Rの最低地上高:約140mmという低さです。一般的なオフロードトレール車の最低地上高は250mm以上あり、CB125Rはそれより10cm以上も低い設定です。こぶし大の石が転がる河原や雨で削れた轍をまたぐ際、高確率でエンジン下部やエキゾーストパイプが地面にヒットします。特にCB125Rのマフラーはダウンタイプでエンジン真下を通っているため、岩での強打でパイプが凹むと排気効率が悪化し、最悪の場合は排気ポート付近のクラックにもつながります。
現在、CB125R専用の本格的なアルミスキッドプレートは大手メーカーからほとんど販売されていません。兄弟車のCB150R用や、エンジン形状が近いGROM用のアンダーカウルを加工・流用したり、アルミ板からワンオフ製作したりするオーナーが多いです。完全なガレ場への侵入を避けるか、アンダー保護を何らかの形で行うか、どちらかの判断が必要になります。腹下は無防備、という認識が条件です。
エンジンガードには副次的なメリットもあります。GoPro等のカメラをマウントできる点です。サスペンションの動きを正面から撮影した動画は、SNSでも非常に好評です。防御とドキュメントの一石二鳥と言えます。
CB125Rのカスタムを楽しむ上で、「知らなかった」では済まされない法的な知識があります。スクランブラー化に伴うカスタムの中には、気づかないうちに保安基準違反になるものが含まれている場合があります。特に125ccは車検がないため、チェックが甘くなりがちですが、警察による街頭検査は排気量に関係なく行われます。
保安基準で特に注意が必要なカスタム箇所は以下の通りです。
カスタムにかかる費用感を現実的にまとめると、スクランブラー化の基本構成は次のようになります。
| カスタム箇所 | おおよその費用(部品代のみ) |
|---|---|
| ブロックタイヤ(ピレリ MT60 RS 前後) | 3.5〜5万円 |
| フルエキマフラー(JMCA認証品) | 5〜8万円 |
| エンジンガード(GIVI TN1199) | 約2.2万円 |
| ハンドルライザー | 1〜3.5万円 |
| アーマーハンドガード | 7,000〜1.5万円 |
| フェンダーレスキット | 5,000〜1.5万円 |
| ヘッドライトガード | 5,000〜1.5万円 |
部品代だけで合計すると、最低ラインで15万円前後、フルに揃えると25万円前後になります。これに加えてタイヤ交換工賃(バイクショップで1本あたり3,000〜8,000円程度)とマフラー交換工賃(5,000〜10,000円程度)がかかります。タイヤ交換工賃は意外に軽視できません。痛いですね。
しかし、ここで忘れてはいけない視点があります。CB125R自体の維持費の安さです。原付二種のため任意保険は年間1〜2万円程度(ファミリーバイク特約を利用する場合はさらに安い)、燃費は50〜60km/L前後と非常に優秀で、ガソリン代の負担も少ない。月に換算すると維持費は驚くほど低く、カスタムに投資した費用はライディングの充実度という形で十分に還元されます。
カスタムを検討する際は、まず「なぜスクランブラースタイルにしたいか」という目的を明確にしましょう。「見た目だけ変えたい」ならタイヤとヘッドライトガードで予算を大きく抑えられます。「実際に林道も走りたい」なら、エンジンガードとアンダー保護にも優先的に予算を割く必要があります。目的が条件です。
参考:カスタムバイクの保安基準と違法・合法ラインについての分かりやすい解説はこちら。
【違法?合法?】あなたの愛車は大丈夫?カスタムを楽しむための保安基準ガイド | Webike
CB125Rのスクランブラーカスタムを語る際に、検索上位の記事ではあまり触れられない視点があります。それは「旅バイクとしての最適化」という概念です。スクランブラースタイルは見た目のカテゴリーと思われがちですが、本来のスクランブラーとは「街道も悪路も軽快に走れる万能機」という哲学を持っています。CB125Rはこの思想と非常に相性が良いバイクです。
その理由は車体スペックにあります。CB125Rはタンク容量10L、燃費50〜60km/Lという組み合わせにより、理論上500〜600kmの航続距離を持っています。東京から大阪まで約500kmですが、給油なしで到達できる計算になります。原付二種としては破格の走行可能距離です。また、車重127kg(JC91型)という軽さは、取り回しの容易さに直結します。荷物を積んだ状態でも、砂利道でのバランス保持や方向転換が、重量級バイクとは比べものにならないほど楽です。
スクランブラー化した状態でロングツーリングを楽しむ際に追加で検討したい装備は、大きく2つです。まず「サイドバッグサポート」。ヘプコ&ベッカーやSW-MOTECHなどからCB125R専用品が出ており、サイドバッグが後輪に接触しないよう固定するパーツです。スクランブラースタイルと相性の良いレザー系・帆布系のサイドバッグを組み合わせることで、見た目と積載性を両立できます。ただし、フェンダーレスキットを取り付けている場合はサイドバッグサポートと干渉することがあるため、事前に装着順序を確認しておきましょう。
もうひとつが「ローダウンリンク」です。ブロックタイヤに換えると外径が変わり、シート高が実質的に数ミリ上がります。CB125Rの純正シート高は816mmとすでに高め設定なので、身長168cm以下のライダーには不安を感じる場面もあります。デイトナなどから出ているローダウンリンクで10〜20mm車高を下げると、足つきの安心感は大幅に改善されます。これは有効な対策です。
旅バイクとしてのCB125Rスクランブラーが真価を発揮するのは「下道旅」のシーンです。高速道路は原付二種の規制で走れないため、すべての旅は一般道・地方道・林道でのルートになります。これは制約ではなく、「急がない旅の哲学」に転換できます。地元のスタンドで給油し、目的地を決めずに走り始め、気になった砂利道に迷い込む。そのすべてが、スクランブラーカスタムを施したCB125Rの得意フィールドです。
CB125Rでの旅ツーリング実績として、岐阜から九州・長崎の生月島まで走り切ったオーナーも実在します。「125ccの小さなエンジンでもどこまでだって行ける」という体験は、このバイクの軽量さと航続距離が生み出す唯一無二の価値です。スクランブラー化は、CB125Rのそのポテンシャルをさらに引き出す、最も理にかなったカスタムの方向性と言えるでしょう。
参考:CB125Rを使ったツーリング事例と積載・尻痛対策の詳細情報はこちら。
CB125Rツーリングはきつい?積載と尻痛対策で快適な旅へ | デジタルバイクライブラリー

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