

デカールなしで仕上げたライダーは、全身黒一色になるとコンビニ強盗にしか見えません。
タミヤの1/12 オートバイシリーズには、ライダーフィギュアだけを単品で楽しめるキットが3種類あります。それが「レーシングライダー(No.14122)」「ストレートランライダー(No.14123)」「スターティングライダー(No.14124)」の3モデルです。いずれも2013年2月にリニューアル発売され、各660円(税込)という入手しやすい価格になっています。
3種類の違いは「ライダーの姿勢」です。
つまりポーズが命です。
1/12スケールはライダーフィギュアの全長が約14〜15cm程度(はがき縦幅くらい)になります。バイクモデルと並べると非常に迫力があり、飾り映えする大きさです。
特にバイクに乗っている方なら、ハングオン中の姿勢や体重移動の感覚を知っているぶん、レーシングライダーフィギュアのリアリティに思わず「あの感覚だ!」と感じるはずです。模型を通して自分がサーキットを走っているような感覚を味わえるのが、このキットの最大の魅力と言えます。
注意点として、これらのフィギュアキットにはデカールが一切付属していません。昔の旧版にはデカールがついていたようですが、商標上の問題もあり現行版では省かれています。つまり全塗装前提のキットであり、ここが最初の「関門」になります。
タミヤ公式の1/12 オートバイシリーズ全ラインナップはこちらで確認できます。
タミヤ 1/12 オートバイシリーズ 公式ラインナップ一覧|タミヤ公式サイト
レーシングライダーフィギュアは単独でも飾れますが、バイクモデルと組み合わせると完成度が一気に上がります。これが基本です。
ただし、どのバイクモデルとでも相性がいいわけではありません。タミヤの1/12スケールのグランプリレーサーとの組み合わせが基本ですが、ポーズ別に「自然に見えるバイクの種類」が変わってきます。
実際のモデラーの中には、コーナリングのヤマハというイメージからYZR-M1 '04とレーシングライダーを組み合わせる選択をしている方も多くいます。意外な発見として、ロードスポーツ系の市販バイクモデルとの組み合わせも「公式に推奨されている」という点があります。タミヤの製品説明には「1/12スケールのグランプリレーサーやロードスポーツバイクと組み合わせて、モデルの臨場感を高めます」と明記されています。
これは使えそうです。
つまり、自分が持っているCBR・YZF・GSX-Rといったスポーツバイクのプラモデルともライダーフィギュアを組み合わせてOKということです。バイク乗りなら自分が実際に乗っている車種のプラモと並べてみると、よりリアルな臨場感を楽しめます。
バイクモデル側のパーツ数は多いものでランナー10枚以上になりますが、ライダーフィギュア単体はランナー1枚のみ。まずライダーだけ先に作って塗装の練習をしてから、バイクモデルの製作に進む流れが初心者には取り組みやすいです。
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レーシングライダーフィギュアを「ただの黒い人形」で終わらせないためには、塗装の手順と色の使い方が重要になります。デカールが付属しないぶん、塗装の質が仕上がりの9割を決めると言っても過言ではありません。
塗装の基本手順は以下の順番で行います。
スミ入れが仕上がりの決め手です。
おすすめのタミヤカラーの組み合わせ例を挙げると、レーシングスーツの白部分にはTS-7「レーシングホワイト」(スプレー)またはXF-2(フラットホワイト)が使いやすく発色もよいです。黒部分はXF-1(フラットブラック)で艶消しに仕上げると、革のスーツらしいマットな質感が出ます。
ヘルメットのシールド部分には、キットに付属の0.2mm厚透明プラバン(抜き加工済み)を使えます。これを活用するだけでグッとリアリティが上がります。もしミラーシールドを再現したい場合は、ホームセンターで売っている窓用反射フィルムを小さくカットして貼る方法もモデラーの間で実践されており、低コストで銀色のシールドを再現できます。
塗り分けが難しそうに感じる方も多いですが、ライダーのスーツは実際のレーシングスーツを参考にするのがおすすめです。バイク乗りであればアルパインスターズやダイネーゼなど馴染みのあるメーカーのスーツカラーを再現するのも楽しみ方のひとつです。自分が着ているスーツと同じカラーリングで仕上げると、より強い愛着が生まれます。
タミヤのプラモデル入門ガイドには、ウェザリングや仕上げ技法も詳しく掲載されています。
タミヤ プラモデル入門ガイド|塗装の基本から仕上げまで詳しく解説されています
ライダーフィギュアとバイクモデルを組み合わせた先にある楽しみ方として、「情景モデル(ジオラマ)」への発展があります。これはバイク乗りが実際にサーキットで感じた雰囲気を、手のひらサイズで完全再現できる世界です。
情景モデルの基本は「地面を作ること」です。
市販のジオラマベースにアスファルト色の塗料を塗り、白線をマスキングテープで塗り分けるだけで、サーキットのコーナーを表現できます。コーナー立ち上がりの砂が飛んだような質感を加えたい場合は、タミヤのテクスチャーペイント(砂・砂利系)を薄く盛り付けるだけで本格的な仕上がりになります。
レーシングライダー(ハングオンポーズ)はコーナリング中の姿勢なので、アスファルトのコーナーシーンと最も相性がよいです。ストレートランライダーはストレート区間の演出に、スターティングライダーはグリッド上の演出に活用できます。ポーズに合わせた情景を作るのが原則です。
2025年末にはヤマハ発動機で開催されたバイクプラモデルの展示会でも、バイクとライダーフィギュアを組み合わせた情景モデルが多数展示され、大きな反響を呼んでいます。プロのモデラーたちは表情パーツを改造したり、ゼッケン番号のデカールを自作するなど、さらに深い方向へ仕上げています。
ただし、ここで注意が一つあります。情景モデルを作り始めると、材料や道具に思いがけず1万円以上かかるケースがあります。最初はジオラマベース(100円ショップの木製プレートで代用可)とアクリル絵の具(地面色)だけの「ミニマル情景」からスタートするのが賢明です。まずライダーとバイクを置いて、地面だけ色を塗る。それだけで完成度は段違いに上がります。
これはほかのプラモデルサイトにはない、バイク乗りだけが気づける視点です。タミヤのレーシングライダーフィギュアは、実際のライディングフォームの観点から見ると、「体の使い方」の再現精度が非常に高いことがわかります。
具体的に見てみると、ハングオンポーズのフィギュアは次の点をきちんと再現しています。
厳しいところですね。
実際にサーキット走行をしているライダーなら、このフィギュアを見るだけで「インへの体重移動のあの感覚」がよみがえるはずです。逆に言えば、このフィギュアを参考にしながら「自分のライディングフォームはどうだったか」と見直す材料にもなります。
1983年にケニー・ロバーツをモデルとして作られたこの人形が、40年以上にわたって現代のバイクプラモとペアで売られ続けている理由は、この「乗り方の普遍性」にあると言えます。当時のGP500もMotoGPも、ハングオンのコーナリングの基本は変わっていません。
バイクに乗っている方が模型を作ることで、自分のフォームや乗り方への理解をより深めるきっかけになる。このフィギュアはそういうユニークな価値を持っています。
なお、MotoGPやSBKの現代ライダーのフォームと1980年代スタイルのフィギュアを比べると、肘の下がり方やバンク角の表現が若干異なります。現代のライダーはより積極的に肘をアスファルトすれすれまで下げたり、肩を低く落とす傾向があります。より現代的なフォームを再現したい場合は、フィギュアの関節部分を少しヒートして角度を調整するモデラーもいます。改造のアイデアとして覚えておくと役立ちます。