

MotoGPマシンは公道用バイクより遅い場合がある
ロードレース世界選手権は1949年にヨーロッパで始まった二輪ロードレースの最高峰カテゴリーです。2001年までは「WGP(World Grand Prix)」や「世界GP」「世界グランプリ」という略称が一般的でした。
2002年に最高峰の500ccクラスがMotoGPクラスに改編されたのを機に、シリーズ全体の略称にもMotoGPが使われるようになりました。現在の正式名称は『FIM Grand Prix World Championship』です。2016年シーズンより「Road Racing」の表記が外されました。
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かつてのWGP時代を知るベテランライダーにとっては、名称変更には時代の移り変わりを感じるかもしれません。つまりMotoGPは歴史と革新が交差する競技ということですね。
現在のMotoGPクラスは1000ccの4ストロークエンジンが採用されています。しかし排気量は時代とともに何度も変更されてきました。
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990ccの4ストロークエンジンに移行したのは2002年で、2007年には800ccに縮小、2012年には再び1000ccに変更されました。2027年からは環境問題への対応を主な目的として、排気量が850ccに縮小されることが発表されています。
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同時にエンジン使用数も7基から6基へ削減され、燃料タンク容量は22リットルから20リットルへ変更されます。最低重量も157kgから153kgへ軽量化される予定です。
ボア(シリンダー内径)の最大値も81mmから75mmに縮小されます。これは800cc時代の失敗を繰り返さないための措置です。レギュレーション変更はライダーとメーカーに新たな挑戦を強いることになります。
日本人ライダーは長年にわたりMotoGPクラスで活躍してきました。1999年には岡田忠之がオランダ、チェコ、オーストラリアで優勝し、シーズンランキング3位を獲得しました。
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2000年には阿部典史が日本GPで勝利を収めています。2002年には宇川徹が南アフリカGPで優勝し、2位2回、3位6回を獲得してシーズンランキング3位で終えました。
参考)https://mcgp.info/motogpr.htm
2004年には玉田誠がリオと日本で優勝しました。2020年には中上貴晶がポールポジションを獲得し、2004年バレンシアGPの玉田誠以来16年ぶり、278戦ぶりの快挙となりました。
近年では小椋藍が注目されており、2025年初戦のタイで5位という好成績を収めました。日本人ライダーの伝統は今も脈々と受け継がれています。
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MotoGPマシンの最高速度は年々更新され続けています。2022年にはドゥカティがムジェロサーキットで363.6km/hを記録しました。
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マシンの出力は300psに迫る(クランク軸だと超えている可能性もある)パワーを発揮します。そのパワーは空力デバイスと電子制御、ライドハイトデバイスによって路面に伝えられています。
新幹線やF1マシンよりも40km/h以上速いスピードを、ライダーはヘルメット越しに身体で直接風を受けながら体験します。F1と比較するとRed Bullマシンが326.9km/hですから、MotoGPマシンの速さが際立ちます。
参考)MotoGPの史上最高速が記録されました - 株式会社インサ…
いつか時速400kmに到達する日が来るかもしれません。
これは想像を超える世界ですね。
MotoGPクラスには2016年からミシュランがワンメイクでタイヤを供給しており、2026年まで契約が延長されています。
それ以前はブリヂストンが供給していました。
参考)予想以上の混戦。その鍵となるタイヤに迫る!/ノブ青木の知って…
ブリヂストンはフロントタイヤの出来が素晴らしく、剛性が高いためガツンとブレーキングができ、マシンを勢いよく寝かせられる安心感がありました。ブリヂストンはトレッド(タイヤ表面)のコンパウンド開発に重きを置いていました。
一方ミシュランはケース構造によるしなやかさでグリップを生み出す方式です。タイヤメーカー変更時には、リム径も16.5インチから17インチに変更されました。
ミシュランに切り替わってから、フロント頼りの走りに慣れていたライダーによるフロント転倒が多く見受けられます。タイヤの違いは走り方そのものを変える要素です。
MotoGPは年間19〜20戦が世界各国のサーキットで開催されます。2025年の開催地にはルサイル・インターナショナルサーキット(カタール)、ポルティマオサーキット(ポルトガル)、ヘレス(スペイン)、ル・マン(フランス)、ムジェロ(イタリア)、カタルーニャ(スペイン)、アッセン(オランダ)、ザクセンリンク(ドイツ)などが含まれます。
参考)MotoGPが開催されるサーキットの一覧とは (モトジーピー…
日本ではもてぎサーキットで開催されることが多く、以前は鈴鹿サーキットでも行われていました。レッドブル・リンクやシルバーストンなど、F1とも共通するサーキットもあります。
参考)F1とMotoGPの開催サーキットを比較してみた|Shior…
観戦チケットの価格は会場によって異なりますが、例えばサンマリノGPでは2日通し券が約34,000円から47,000円程度です。もてぎでは自由観戦エリアの3日通し券が販売されています。
参考)モトGPサンマリノグランプリ観戦チケット購入|MotoGPサ…
生で見るマシンの轟音とスピード感は、映像では味わえない迫力です。
一度は現地観戦してみる価値がありますね。
MotoGPクラスの決勝レースでは、1位に25ポイント、2位に20ポイント、3位に16ポイントが与えられます。以降は4位13ポイント、5位11ポイント、6位10ポイント、7位9ポイント、8位8ポイントと続きます。
9位は7ポイント、10位は6ポイント、11位は5ポイント、12位は4ポイント、13位は3ポイント、14位は2ポイント、15位は1ポイントです。つまり15位までに入ればポイントが獲得できるということですね。
年間を通じてこれらのポイントを積み重ね、シーズン終了時に最も多くのポイントを獲得したライダーがワールドチャンピオンとなります。コンスタントに上位入賞を続けることが重要です。
下位チームのライダーにとっては、1ポイントでも獲得することがチーム存続に関わる場合があります。ポイントの重みはライダーによって異なるわけです。
2025年第2戦アルゼンチンGPでは、小椋藍が8位でフィニッシュしたにもかかわらず、ECUに未承認のソフトウェアがインストールされていたことを理由に失格となりました。予選での転倒後の修復に使用された予備ECUが、プレシーズンテスト用の非公認バージョンだったためです。
参考)MotoGP2025 アルゼンチン・小椋藍はなぜ失格になった…
チームは「トラック上での藍のパフォーマンス上の利点を与えるものではなかった」と説明しましたが、規則違反は失格という厳格な判断が下されました。技術的な過誤により間違ったECUが搭載されたケースです。
MotoGPのレギュレーションは極めて厳格で、意図しない違反でもペナルティの対象となります。観戦時にはこうした技術規則の厳しさも理解しておくと、レース展開がより深く楽しめます。
結果だけでなく、裏側のドラマにも注目すると面白いですよ。ホンダやヤマハなど、日本メーカーの技術力がどう発揮されているかにも目を向けてみましょう。
MotoGP公式カレンダーでは、最新のレーススケジュールと開催サーキット情報が確認できます。

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