

減ってからもグリップ感が続くと思いがちですが、実はANGEL GTは摩耗が進むとタイヤ剛性が極端に低下します。
ANGEL GTはピレリが2014年に発売したスポーツツーリング向けタイヤです。ウェット性能、安定性、マイレージ(長寿命)を重視し、サイドパニアとパッセンジャーを乗せた長距離ツーリングに理想的な設計となっています。
タイヤの特徴は絶大な安定感にあります。操作に対する反応がしっとり穏やかで、外乱にすこぶる強く、車体からビシッと一本筋が通ったような手応えが得られるため、長距離走行でも疲れにくい特性を持っています。
参考)ピレリのツーリングタイヤ『エンジェル』を履き比べ!ANGEL…
グリップ力は高く、交換直後からグリップ感が得られるのも特徴です。他のツーリングタイヤと異なり、慣らし期間をほとんど必要としません。ただし、タイヤのサイドウォール剛性が高く感じられ、走行初期はゴツゴツとした乗り心地になることもあります。
参考)ピレリ ANGEL GTで走った感想 - 自分だけのカタナを…
安定感が魅力ということですね。
実際の使用例では13000~15000kmで寿命を迎えたケースが多く報告されています。NC750X typeLDでの使用例では14000kmの走行寿命が記録され、純正タイヤ(フロント8357km、リア9658km)と比較して1.5倍以上長持ちしました。
参考)『PIRELLI Angel GT』を寿命まで使ったのでレビ…
リアタイヤは13000km時点でスリップサインが出現します。タイヤ両端には溝が残っていても、中央部分が摩耗してスリップサインが現れるパターンが一般的です。フロントタイヤはリアよりも摩耗が遅く、スリップサインが出るまであと1000kmほど余裕がある状態でも、前後同時交換が推奨されます。
つまり1万キロ以上です。
摩耗が進んだ段階で注意すべき点があります。スリップサインまで寿命があっても、タイヤが空気圧不足のような挙動を示すことがあります。これはタイヤ内部のワイヤーが他メーカーのタイヤと比べて少なく、減ってくるとタイヤがペコペコになるためです。タイヤを外してみると自転車タイヤのように柔らかくなり、これがフィーリング悪化の原因となります。
参考)https://ameblo.jp/hccr1/entry-12852689323.html
スリップサインの確認方法と交換時期の判断基準(タイヤワールド館ベスト)
スリップサインが現れる仕組みとタイヤ交換の法的義務について詳しく解説されています。
ANGEL GT IIの販売価格は16900円~30600円の範囲です。サイズや購入店舗によって価格は変動しますが、ツーリングタイヤとしては中価格帯に位置します。
参考)http://speedstar.jp/products/detail.php?product_id=868
1万キロ以上のライフを考慮すると、1kmあたりのコストは約1.2~2.2円程度です。純正タイヤの寿命が8000~10000km程度であることを考えると、交換頻度が減る分メンテナンスコストを抑えられます。長距離ツーリング派にとっては、タイヤ交換の手間と工賃を減らせるメリットがあります。
参考)リピート確定!ロングライフでグリップ感も◎「ピレリ エンジェ…
コスパは良好ということですね。
ただし、コストパフォーマンスを最大化するには空気圧管理が不可欠です。タイヤ内部構造の特性上、空気圧を適切に保たないと、寿命末期に挙動が不安定になります。200km走行や峠でのハードな走行でも問題なく使えますが、空気圧チェックを怠ると本来の性能を発揮できません。
ANGEL GTとGT IIは、似て非なるタイヤです。初代GTが安定感を重視した設計なのに対し、GT IIは軽快感と機敏な反応を追求しています。
GT IIの特徴はレーシングレイン技術の採用です。中央部に配置された2本の縦溝は、スーパーバイク世界選手権で使用されるレイン/インターミディエイトタイヤの技術を転用しており、排水性能だけでなく操安性の構築にも貢献しています。
参考)溝面積の拡大で環境適応力を高めつつ抜群の軽快感を獲得 PIR…
トレッドパターンも大きく異なります。初代GTはトレッド面の不要なたわみを抑える設計ですが、GT IIは適度なたわみを有効活用する設計です。この違いにより、GT IIは操作に対する反応が機敏で、車体をバンクさせる際の動きも軽やかになっています。
違いは明確ということですね。
環境変化への対応力はGT IIが優れています。ドライ路面とウェット路面、冷間時と温間時のフィーリングに大きな差がなく、舗装状況が芳しくない道路でも車体姿勢の乱れをほとんど感じません。コーナー前半では車体の向きがすぐに変わり、立ち上がりでアクセルを開ければ濃厚なトラクションが味わえます。
ピレリのツーリングタイヤ『エンジェル』を履き比べ(Webike)
初代GTとGT IIを同時試乗した詳細なインプレッション記事で、両タイヤの性格の違いが分かります。
バイクの車体重量によってタイヤの摩耗パターンが変わります。車体重量260kgの大型バイクでは、前輪の摩耗が圧倒的に早くなる現象が報告されています。この場合、次回交換時に前輪だけミシュランのロード5GT(重量車用)を選び、後輪はANGEL GTを継続使用する組み合わせも検討できます。
参考)車体重量260kgの大型バイクにエンジェルGTを装着してます…
タイヤ交換の作業性も重要です。ANGEL GTはサイドウォールやビートが柔らかく、非常に交換しやすいタイヤです。純正採用されているブリジストンのT32よりも装着が楽で、自分でタイヤ交換する人にとっては大きなメリットとなります。
参考)https://ameblo.jp/hccr1/entry-12837296446.html
意外なのは冬季のグリップ性能です。ANGEL GTは寒い時期でもグリップ力が高く、「冬のハイグリップタイヤ」として評価されています。台形っぽいプロファイルですが、寒くても凄くグリップし、よく曲がる特性を持っています。
参考)ピレリ エンジェルGTは「冬のハイグリップタイヤ」だ!
冬も使えるということですね。
タイヤが温まりにくい特性には注意が必要です。これはゴムの硬さでタイヤ剛性を誤魔化しているためと考えられ、シリカ100%という謳い文句に対して疑問が残ります。峠でのハードな走行を頻繁に行う場合は、タイヤが十分に温まるまで慎重な操作が求められます。
摩耗パターンの確認は寿命判断に役立ちます。右側の方が減りが早い場合は、乗り方に偏りがある可能性があります。定期的にタイヤ全体をチェックし、異常摩耗がないか確認することで、次回のタイヤ選びやバイクのセッティング見直しに活かせます。