

新品タイヤに交換した直後の100kmは、グリップが落ちて転倒リスクが高く、慣らし走行を怠ると普段より滑りやすい状態で公道を走ることになります。
「IRC」という名前を見て「聞いたことはあるけど、なんとなく安いイメージ…」と感じたことはないでしょうか。実はこの印象、かなりもったいない誤解です。
IRCはアイ・アール・シー(井上ゴム工業株式会社)の略で、愛知県名古屋市に本社を置く日本のタイヤメーカーです。創業はなんと1926年(大正15年)。日本を代表するブリヂストン(1931年創業)より5年も古い、れっきとした老舗メーカーなのです。意外ですね。
「CMをほとんど見かけない」「地味な印象」という声は確かに多くあります。しかし、価格.comや各バイクコミュニティでの評価を見ると、「IRCはかなりいいよ。ブリやダン、ミシより減りにくい、グリップもいい、安い」(価格.comユーザー)という声が多数見受けられます。プロモーションに注力しないぶん、製品の品質と価格に集中している——それがIRCの評判の本質です。
IRCはバイク・スクーター向けタイヤの純正OEM採用実績も豊富で、ホンダPCXやヤマハのスクーターなど多くの車両に純正採用されてきました。バイクメーカーが品質を認めて採用しているという事実は、ユーザー評価とともにIRCの信頼性を支える大きな根拠になっています。
また、IRCの生産拠点はタイ(IRCT)やベトナム(IRV)、岐阜(BIMC社)など複数あり、グローバルな供給体制を持つ本格的なメーカーでもあります。「安かろう悪かろう」のイメージとは全くかけ離れた企業規模と技術力を持っています。つまり「老舗・純正採用・グローバル展開」が条件です。
気になる方は公式サイトの歴史ページも参考になります。
IRCの中でもバイクタイヤとして特に評判が高いのが「TOURING RADIAL RMC810」です。小排気量〜250ccクラスを中心に圧倒的なシェアを誇るIRCが投入したツーリングラジアルタイヤで、数々のユーザーレビューで高いコスパが指摘されています。
価格は前後セットで概ね3万3,000円前後(フロント約13,000円、リア約19,000円)と、ブリヂストンのハイエンドモデルと比べて2万円近く安い水準です。それでいて走行距離はリア14,000km前後という報告も見られます。
特徴として挙げられるのが「乗り心地のソフトさ」と「ハンドリングの穏やかさ」。バイア構造を得意とするIRCならではの路面追従性が活きており、荒れた路面のギャップをしっかり吸収します。ロングツーリングで疲れにくいと感じるのは、この特性があるためです。これは使えそうです。
Webikeのインプレッションでは「高速走行しても全く不安がなく軽量でコストパフォーマンスが高い」という評価が複数あります。ただし、サーキット走行やワインディングでのスポーツ走行向けには設計されていないため、「攻める走り」を楽しみたいライダーには物足りないかもしれません。用途が街乗り〜ツーリングならRMC810が条件です。
ウェットグリップについては、日常的な雨天走行なら問題ないという声が多数。排気量250ccクラスのスクーターやネイキッドバイクに乗っていて、コスパよく安全な走行を続けたい——という方に最も合うタイヤと言えます。
RMC810と並んで評判を集めるのが「PROTECH ROAD WINNER RX-02」と、すでに販売終了となった名作「GP-410」です。それぞれの評判を整理しておきましょう。
RX-02について
RX-02はスポーツバイアスタイヤに分類されます。Amazonのレビューでも「グリップが良い」「食いつきが良い」「コストパフォーマンスが高い」という評価が並びます。Yahoo!知恵袋でも「熱が入ったらしっかりグリップしてくれてライフも長め。街乗り・ちょっとしたワインディングに対応してくれる」というコメントが寄せられています。
注意点として、ライダーからは「硬めのタイヤ」「ラジアルに近いバイアスの感触」という評価があります。乗り心地のソフトさよりも、しっかりした安定感を求めるライダー向きです。街乗りとワインディングを両立したいなら有力候補になります。
GP-410について
GP-410はオンロード寄りのオンオフ兼用タイヤで、その完成度の高さから「名作」と呼ぶファンが多いモデルでした。価格は約1万円という手ごろさでありながら、平均で5,000〜6,000kmを走れる耐久性を持っていたとされます。
コスパ比較として参考になるのは、「他社の2万円クラスのタイヤが8,000〜1万km走るとして、GP-410の倍出して倍走るだけ」という実際のユーザー分析です。つまり1kmあたりのコストで考えると、GP-410は非常に優秀だった計算になります。残念ながら現在は販売終了となっており、後継モデルの登場を待望する声が根強くあります。GP-410の復活を願う声が多いのは、それほどバランスが良かった証拠です。
IRC GP-410のコスパ分析と思い出を語るユーザーレビュー記事(note)
IRCタイヤをブリヂストン・ダンロップ・ミシュランなどの主要メーカーと比較したとき、どのような違いがあるのかを整理します。
IRCタイヤのメリット🟢
- 価格が安い:ツーリングラジアルRMC810の前後セットが約3万3,000円に対し、ブリヂストンのハイグリップモデルは前後で5〜6万円になることもあります。差額は約2万円にもなります。
- 耐久性が高い(バイアスタイヤ):バイアスタイヤに関しては「ブリやダン、ミシより減りにくい」という具体的な声があり、走行距離あたりのコストが低い。
- 日本製・純正OEM品質:ホンダやヤマハの純正採用実績があり、品質水準はメーカー出荷品と同等です。
- 乗り心地がソフト:バイア構造の得意分野であるしなやかな路面追従性が、長距離ツーリングでの疲労軽減に直結します。
IRCタイヤのデメリット🔴
- ラジアルタイヤの評価はやや分かれる:「IRCのバイアスタイヤは好きだが、ラジアルは使う気になれない」というベテランユーザーの声もあります。
- スポーツ・サーキット走行向きではない:グリップ性能の限界値はハイグリップ専門タイヤに劣るため、サーキット走行会には向きません。
- 知名度・流通の問題:CMや広告投資が少ないため、バイク用品店での在庫が少なく、取り寄せになるケースもあります。
- 一部モデルが製造終了:GP-410のように人気モデルが突然終了するリスクがある。
総括すると、IRCタイヤは「街乗り〜ツーリング派のライダー」に最も向いているタイヤメーカーです。スポーツ走行中心の方はブリヂストンやミシュランの専用モデルを検討するのが現実的な選択です。
| 比較項目 | IRC | ブリヂストン | ダンロップ |
|---|---|---|---|
| 前後セット価格目安 | 約3.3万円〜 | 約3.7万〜5.6万円 | 約3.9万円〜 |
| バイアスの耐久性 | ◎ 長持ちと評判 | ○ 標準的 | ○ 標準的 |
| ツーリング適性 | ◎ 穏やかで疲れにくい | ○ バランス良好 | ○ バランス良好 |
| スポーツ走行 | △ 不向き | ◎ 最高レベル | ○ 高水準 |
| 知名度 | △ 低め | ◎ 高い | ◎ 高い |
タイヤを選ぶとき、多くのライダーは「どのモデルが良いか」ばかりを気にします。しかし本当に重要なのは「いつ交換するか」の判断です。どんな高品質タイヤも、交換タイミングを間違えると性能を発揮できません。
IRCタイヤを選んだ場合の交換目安は以下の通りです。
| タイプ | 走行距離の目安 | 経過年数の目安 |
|---|---|---|
| RMC810(ラジアル・ツーリング) | 10,000〜14,000km | 製造から3〜5年 |
| RX-02(スポーツバイアス) | 6,000〜10,000km | 製造から3〜5年 |
| スクーター向け(MB/MOBICITYシリーズ) | 8,000〜12,000km | 製造から3〜5年 |
ここで見落としがちなのが「製造年月日」の確認です。タイヤの側面には4桁の数字(例:2424=2024年第24週製造)が刻印されています。中古車で購入したバイクや、長期在庫品を購入した場合、溝が残っていても製造から3年以上経過しているタイヤはゴムの劣化が進んでいます。走行距離の目安だけで判断することは危険です。
タイヤ交換のコストを節約したいからとスリップサインギリギリまで使うのは避けたほうが無難です。スリップサインが出るのは溝の深さが1.6mmになった時点で、この状態では雨天時のウェットグリップが大幅に低下しています。1.6mmの溝は名刺の厚みが約0.2mmなので、8枚分の薄さしかありません。実際に手で触れてイメージすると、その心もとなさが分かります。
IRCタイヤの製造年はircmoto.jp(IRC公式モータースポーツサイト)でも確認方法が案内されています。ツーリング前の安全チェックの一環として確認することをお勧めします。
また、IRCタイヤの購入先として、Webike・Amazon・モノタロウなどの通販サイトでは定価より安く購入できるケースがほとんどです。バイク用品店より2,000〜5,000円安い場合もあるため、タイヤ代を節約したい場合は通販購入→取り付けのみショップに持ち込みという方法が効果的です。工賃は前輪1,500〜2,000円、後輪2,000〜2,500円程度が相場です。

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