

約35年前のバイクなのに、買取相場が10年で148%も上がり続けています。
GPX250R IIは、カワサキが1988年に発売したフルカウル・スポーツバイクです。前年の1987年に登場したGPX250Rのマイナーチェンジ版にあたり、フロントブレーキのシングルディスクをダブルディスクに強化するとともに、アンダーカウルのロゴを「GPX」から「Ninja」に変更しました。この変更によって、外見上は完全に大型Ninjaシリーズのファミリーに見えるようになり、販売面でさらに好評を博しました。
「X」という文字には「トータルバランスの優秀さ」という意味が込められており、GPXシリーズ全体のコンセプトは「尖った性能よりも快適性と扱いやすさ」にありました。しかしながら、GPX750R・GPX400Rはそれぞれ短命に終わりました。唯一GPX250Rだけが販売面で健闘したのです。
当時の250ccクラスはレーサーレプリカ全盛期であり、ホンダ・ヤマハ・スズキ各社はこぞって4気筒モデルを投入していました。その中でカワサキは「クォーターはツインエンジンがベスト」という方針を貫き、水冷DOHC並列2気筒(パラレルツイン)エンジンを搭載したGPX250Rを市場に送り出しました。結果は正解でした。
エンジンはGPZ250R(1985年)からの改良版で、2psアップして45psを達成しています。これは当時の国内250cc自主規制値の上限そのものです。つまり、2気筒ながら4気筒のライバルと同等の最高出力を誇っていたことになります。これは意外ですね。
| 項目 | GPX250R(1987年) | GPX250R II(1988年) |
|---|---|---|
| フロントブレーキ | シングルディスク | ダブルディスク |
| アンダーカウルロゴ | GPX | Ninja |
| 排気量表示 | 250の数字あり | 250の数字なし |
| 新車価格(税別) | 479,000円 | 489,000円 |
| 乾燥重量 | 138kg | 140kg |
GPX250R IIの登場によって、パッと見では完全に大型バイクにしか見えないスタイルが完成しました。「250の数字を消したのは意図的」という声もあり、実際にこの戦略は見事に成功しています。つまり、GPX250R IIはGPXシリーズの集大成です。
参考:GPX250Rのスペック詳細・型式情報(バイクブロス)
https://www.bikebros.co.jp/catalog/4/27_5/
GPX250R IIのエンジンは、水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・248ccです。最高出力は45ps(13,000rpm)、最大トルクは2.5kgf・m(11,000rpm)を誇ります。レッドゾーンは14,000rpmからと、250ccとしては非常に高回転型のセッティングです。
実際のインプレッションでは最高速160km/hをマークしたという記録があります。フルカウルが高速走行時にライダーを風圧から守るため、長距離高速移動でも体への負担が少ないという評価が多く見られます。
| スペック | 数値 |
|---|---|
| エンジン | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
| 排気量 | 248cc(ボア62mm×ストローク41.2mm) |
| 最高出力 | 45ps / 13,000rpm |
| 最大トルク | 2.5kgf・m / 11,000rpm |
| 変速機 | 6速リターン |
| 燃料タンク容量 | 18L |
| シート高 | 745mm |
| 乾燥重量 | 140kg |
| タイヤサイズ(前) | 100/80-16 |
| タイヤサイズ(後) | 130/80-16 |
注目すべきは燃費性能です。実際のオーナーレビューによると、街乗りで25〜27km/L、ツーリング時には27〜30km/Lを記録するケースが多く報告されています。タンク容量18Lと組み合わせると、単純計算でも満タンから約380〜450kmの航続距離が期待できます。これは東京から名古屋手前まで一気に走れる距離感です(約350km)。実燃費はカタログ値(定地48km/L)より低くなりますが、それでも同クラスの4気筒モデルと比べて燃費面での優位性は明らかです。
走行特性については「バランスド・クォーター」というキャッチフレーズが示すとおり、低回転から高回転まで扱いやすいトルク特性が特長です。街乗りでの使い勝手もよく、高速ツーリングでもフルカウルのおかげで疲れにくい設計になっています。オーナーの声を複数確認すると「日常の買い物から数百kmのツーリングまで何でもこなせる」という評価が共通して見られます。これは使えそうです。
車重は140kg(乾燥)と、見た目の重厚感に反してかなり軽量な部類に入ります。ハンドル位置が比較的高く切れ角も確保されているため、取り回しのしやすさも高評価です。シート高745mmはやや低めの設定ですが、シート幅が広いため足つきがよいとは言えない面もあります。実際に跨ってみると、小柄な方でもつま先立ちができる程度のシート高です。
参考:GPX250Rのインプレッション詳細(バイクパッション)
https://www.bike-passion.net/bikelife-impression-kawasaki-gpx250r.htm
GPX250R IIのエンジンが持つ最大の意義は、その後継者の多さにあります。GPZ250R(1985年)で新開発された水冷DOHC並列2気筒エンジンは、GPX250Rで改良されたのちに以下のモデルへと受け継がれていきました。
GPZ250Rで生まれたこのエンジンブロックは、約30年にわたって各世代のモデルで使われ続けたことになります。自動車でたとえるなら、1980年代のエンジン設計が2010年代の現行車に活きているようなイメージです。これが原則です。
このエンジン系譜の流れを知ると、GPX250R IIのパーツ維持という観点で重要な事実が見えてきます。エンジン内部の一部パーツはZZR250やNinja250Rと共通品が存在するため、エンジン系のレストアについては比較的選択肢が残っています。一方、樹脂製の外装カウルや専用外装パーツはすでに欠品していることが多く、割れや傷があっても純正品での交換は困難な状態です。
カワサキの250ccパラレルツインは、Z250FT(1979年)からスタートして現在のNinja 250まで、およそ45年以上にわたって続くカワサキの屋台骨です。GPX250R IIはその中間地点に位置する重要なモデルです。つまり、GPX250R IIはNinja系統の「源流のひとつ」と言えるわけです。
参考:カワサキ250cc並列2気筒の系譜(モーターサイクリスト)
https://mc-web.jp/archive/history/65279/
2026年2月時点での業者間取引データによると、GPX250R IIの買取査定相場は3.8〜13.5万円が平均となっており、上限は35.2万円(直近2年間)です。平均買取額は対10年前比で148%、対3年前比で56%の上昇を記録しています。これは旧車プレミアムが確実についてきている証拠です。
| 状態・条件 | 平均取引価格の目安 |
|---|---|
| 走行距離0〜4,999km(良好) | 平均13.5万円 / 最高34.5万円 |
| 走行距離1〜2万km | 平均9.0万円 |
| 走行距離2〜3万km | 平均11.3万円 |
| 事故・不動車 | 平均3.1万円 |
| 最高落札事例 | 34.7万円(走行4km・評価4.5点) |
色別では、黒が最も多く取引されているカラーですが、平均買取額が最も高いのは白/赤系(平均14.8万円)です。年式別では、2026年2月時点のデータで1987年式GPX250R(初期型)のほうが対10年前比で+124%とより高い上昇率を示していますが、取引台数の多さでは1988年式GPX250R II(81台)が1987年式(62台)を上回っています。
旧車プレミアムがつきやすいバイクの特徴として「製造台数が少ない」「年々個体数が減少する」「一定のファン層がいる」という3点がありますが、GPX250R IIはこれら全てに該当します。購入・売却を検討するなら、相場が上昇傾向にある今が判断のしどころです。
中古車を探す際には、走行距離だけでなく「外装の割れや欠けがないか」「キャブレターの状態は正常か」「アイドリングは安定しているか」という3点を実車確認で必ずチェックしてください。外装パーツは純正品がすでに欠品していることが多く、傷があっても純正に戻せない場合があります。アイドリング不調はこの世代のキャブ車に共通する持病のひとつです。調整で直ることも多いですが、程度のよい個体を選ぶのが条件です。
参考:GPX250R IIの最新買取相場・取引データ(バイクパッション)
https://www.bike-passion.net/market/kawasaki/250cc/gpx250r.htm
GPX250R IIは1988年発売のバイクであり、現時点(2026年)では製造から約38年が経過しています。旧車として維持するうえで、現行車とは異なる注意点があります。これが条件です。
キャブレターのコンディション管理
長期保管や季節変動によってキャブレターが詰まりやすく、アイドリング不調が発生しやすいのはこの世代のバイク全般に共通する課題です。オーナーレビューでも「アイドリング不調(調整で直った)」という声が複数確認されています。ガソリンを長期間入れたまま放置するとキャブ内部でガソリンが変質・詰まりを起こします。長期間乗らない場合はガソリンコックをOFFにして燃料を抜いておく、あるいはキャブクリーナーを定期的に使用するなどの対策が有効です。
外装パーツの入手困難
フルカウルを構成する樹脂製の外装パーツ(アッパーカウル・サイドカウル・アンダーカウルなど)は、カワサキの純正品がすでに廃番・欠品状態です。転倒などで割れた場合、純正パーツでの交換はほぼ不可能と考えておく必要があります。ヤフオクやフリマアプリでの中古品調達、またはFRP補修によるリペアが現実的な選択肢になります。痛いですね。
タンクの錆に注意
鉄タンクを採用しているため、長期保管中に内部が錆びるケースがあります。錆がキャブレターに流入すると詰まりの原因となるため、タンク内の錆状態の確認は購入時の必須チェックポイントです。タンク内部の錆取りにはPOR-15などの専用コーティング剤が広く使われており、一度しっかり処理してしまえば長期間安心して使えます。
エンジンパーツは比較的入手しやすい
一方で朗報もあります。ZZR250やNinja250Rとエンジン系パーツの一部を共有しているため、エンジン内部のパーツはある程度入手できるケースがあります。エンジン自体は「不気味なほど頑丈」というオーナー評価が多く、基本的な整備を続けていれば長く動き続けるポテンシャルがあります。
16インチタイヤという制約
前後ともに16インチタイヤを採用しており、現在の主流である17インチとは異なります。タイヤの選択肢は17インチに比べて少なく、銘柄によっては入手が面倒になる場合もあります。購入前にどのタイヤが装着可能か調べておくことをおすすめします。現在はブリヂストン・ミシュランなどが16インチサイズをラインナップしており、「タイヤが全く手に入らない」という状況にはなっていませんが、17インチほど豊富ではないという認識が必要です。
バイクショップでの整備を前提にするなら、旧車専門店または「カワサキ車を得意とする」ショップを選ぶことで、経験値の高いメカニックに見てもらいやすくなります。購入前の一括見積もりには「バイクパッション」などのサービスを活用して、複数業者の査定や相場感を把握しておくと判断がしやすくなります。
参考:カワサキGPX250R IIの系譜とZZR250への継承(モーターサイクリスト)
https://mc-web.jp/archive/history/67140/

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