オーバーステアとバイクの物理現象|コーナー立ち上がりと後輪スリップの原理

オーバーステアとバイクの物理現象|コーナー立ち上がりと後輪スリップの原理

オーバーステアとバイクの物理現象

バンク角が深いほどリアの接地面は増えてグリップが高まります。


この記事で分かる3つのポイント
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オーバーステアの発生メカニズム

後輪のスリップアングルが限界を超え、車体が内側に切れ込む物理現象の仕組み

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コーナーでの荷重移動と転倒リスク

加速やブレーキング時の荷重変化が後輪グリップに与える影響と危険性

オーバーステア防止の実践テクニック

アクセルワークとバンク角のコントロールで安全性を高める具体的方法

オーバーステアとは後輪が横滑りする物理現象


オーバーステアは、コーナリング中にハンドル角を一定に保っているにもかかわらず、スピードが上がるにつれて車体がコーナー内側へ切れ込んでいく現象です。これは後輪の接地摩擦力遠心力に負けてしまうことで起こり、結果的に横滑りが発生します。


参考)オ行のハーレー・カスタムバイク用語集 


具体的には、後輪に加えられる遠心力が接地力を超えたときにオーバーステアが発生します。バイクがコーナーを曲がる際、タイヤは進行方向に対して斜めに向いた状態で接地しており、この角度を「スリップアングル」と呼びます。スリップアングルとサイドウォールの変形を通じてコーナリングフォースが生まれますが、後輪のスリップアングルが前輪より大きくなるとオーバーステアが起こります。


参考)オーバーステア - ナムウィキ


つまり後輪優先で滑るわけです。


この現象が起きると、ライダーが想定した以上に車体が内側に向きを変えるため、転倒リスクが高まります。バイクの場合は車体がバンクしているため、オーバーステアが発生すると車体の向きが急激に変わり、リカバリーが非常に難しくなります。特に深いバンク角では、リアタイヤのスリップアングルが高まるため、オーバーステア特性が顕著になります。


参考)[Q]オーバーステア、アンダーステアとはどういうことですか?…


バイクのオーバーステアが発生する主な原因

コーナーで加速するタイミングが早すぎると、オーバーステアの原因になります。特にバンク中にアクセルを開け過ぎると、リアタイヤのグリップ力を超えた駆動力が伝わり、後輪が横滑りします。フルバンク時にアクセルを開け過ぎた場合やタイヤのグリップ不足が重なると、リアタイヤが滑りやすくなります。


荷重移動もオーバーステアに大きく影響します。コーナー途中で強くブレーキを踏むと、前荷重が強まりすぎて後輪のグリップが抜けやすくなり、オーバーステアを誘発します。減速が大きいとバイクの荷重が前にかかり、後輪が浮き気味になってグリップ力が低下し、オーバーステアが強調されることもあります。


参考)車のオーバーステアとは?事故を防ぐためのポイントと対策法


アクセルオンが原因です。


また、上りコーナーでは特殊な状況が生まれます。上りの加速では、重力による減速要因が加わるため、平地と同じ加速力を得ようとするとオーバーステアが出やすくなります。これは物理的ではなく精神的な問題が根底にあるとも指摘されており、ライダーが無意識に強めのアクセルワークをしてしまうケースがあります。


参考)【思案】上りコーナーでオーバーステアが出やすいと悩むあなたへ…


リアサスペンションの動きも無視できません。エンジンの駆動力が後輪に伝わるとき、チェーンの引っ張りでリアサスが縮む方向へ応力が加わると、リアが沈んで後輪は路面への面圧を失い滑ってしまいます。


参考)コーナーの加速でリヤが沈んで踏ん張ると感じていたら、曲がれる…


オーバーステアとスリップアングルの関係

スリップアングルは、タイヤの進行方向とタイヤが向いている方向の差を示す角度です。バイクがコーナーを曲がるとき、タイヤは必ずスリップアングルを持ちながら接地しており、この角度によってコーナリングフォース(旋回力)が生まれます。


コーナリングフォースはスリップアングルが10数度で頂点を迎え、徐々に旋回力は下降します。これはタイヤグリップの限界、接地面の変化、タイヤの変形限界という3つの要因が関係しています。スリップアングルが大きくなりすぎると、タイヤのグリップ力が限界に達し、横滑りが始まります。


前後のスリップアングルの比が車両の挙動を決定します。スリップアングルの前後比が1:1より小さければオーバーステアが生じ、1:1より大きければアンダーステアの傾向を示します。


バランスが鍵ということです。


バイクのコーナリングでは、前輪が進行方向をリードし、後輪が追従していく挙動が基本です。しかし、バンク角が深まるとリアタイヤのスリップアングルが高まり、旋回軌跡を外側に移すことが求められます。この状態でリアタイヤが外側にスリップすると、オーバーステア特性が顕著になります。


スリップアングルを適切な範囲内に保つためには、速度とバンク角、そしてアクセル開度のバランスが重要です。リアブレーキを使った微調整も有効で、厳密にはタイヤの接地点移動とスリップアングルから微少な変化が起こりますが、これによって挙動を安定させることができます。


コーナーでのアクセルワークとオーバーステアの防ぎ方

コーナーを安全に通過するには、「コーナー進入時の適度な減速」と「コーナー出口の加速」が欠かせません。タイヤのバンク力を保ったアクセルコントロールとブレーキコントロールができれば、バイクが持つセルフステアの特性に則った滑らかな旋回を実現しやすくなります。


アクセルを開けるタイミングは、セオリーではクリッピングポイント通過直後となります。クリッピングポイントとは、コーナーで最もイン側に寄る地点のことで、ハンドルが切り終わった地点です。この地点でブレーキングを終えてアクセルを開けるのが基本です。


参考)アクセルを開けるタイミング: GO!GO!マッドライダー


コーナーによっては例外もあります。


ただし、コーナーによってはエンジン回転数を下げて(ギアを1速上げて)ガバ開けした方が速い場合もあります。重要なのは、アクセルオンによってフロントがアンダーステア傾向になり、リアがオーバーステア傾向に陥っても、理想のコーナー脱出ライン上に留まってアクセル全開が可能だと判断されるタイミングです。


参考)コーナリングでどこからアクセルオンすべきなのか?|まえちゃん


加速時の荷重移動を理解しておく必要があります。スポーツバイクは、チェーン駆動だとスイングアームのピボットを高い位置にすることで、エンジンの駆動でチェーンが引っ張られるとタイヤを路面に押し付ける設定になっています。加速でリアが沈むと感じるのは、フロントフォークが伸びる動きを相対的にリアが沈んでいるように勘違いしているためです。


参考)タイヤを潰せば浅いバンク角で曲がれる【ライドナレッジ049】…


適切なアクセルワークでトラクションを活用すれば、後輪のタイヤを潰すほど曲がり方も安定性も強まります。これは一般道路でリスクを減らし、醍醐味も楽しめるテクニックです。


オーバーステア発生時の対処法とバイク特有のリスク

オーバーステアが発生したときの基本対処は、アクセルを緩めて減速させることです。ただし、減速が大きすぎると車体の荷重が前にかかり、後輪が浮き気味になってグリップ力の低下を招き、オーバーステアが強調されることもあります。


段階的な操作が必要です。


バイクのコーナリング中に無理なアクセルワークを行うと、さらに前輪が外側に膨らんで転倒のリスクが高まります。転倒にはいくつかのパターンがあり、進入時のリアタイヤの滑りは、ギアが合っていなくてエンジンブレーキが効きすぎる、リアブレーキを強く踏んでいる、フロントブレーキを強く握っているといった原因で発生します。


バイクの事故統計を見ると、2023年のバイク乗車中の致死率は1.65%で、自動車の0.39%に対して約4倍となっています。この高い死亡率の主な理由は、バイクが車体の小ささや露出度の高さから、事故時の衝撃を直接受けやすいためです。特に251cc以上の大型バイクは、高速走行時の単独事故やカーブでの転倒など、高速走行が関係する事故が多い傾向にあります。


オーバーステアを未然に防ぐには、減速はコーナー進入前に終わらせることが大切です。コーナー途中で強くブレーキを踏むと、前荷重が強まりすぎて後輪のグリップが抜けやすくなり、オーバーステアを誘発してしまいます。


ブレーキングのタイミングを調整する際は、アクセルを戻すのはブレーキング開始前にサスペンションがリセットできるタイミングで行います。サスペンションのリセットがブレーキング開始直前なら、バイクの姿勢が安定します。また、ブレーキングを多段階で行い、ハンドルを切るためにブレーキを少し戻す操作も有効です。


日常のメンテナンスも重要で、タイヤの摩耗や空気圧、サスペンションの劣化などをチェックし、機械的な不備があると、どんなに丁寧な運転をしていても安定性が損なわれるリスクがあります。





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