トレリス フレーム バイクの構造と剛性の魅力を知る

トレリス フレーム バイクの構造と剛性の魅力を知る

トレリスフレームのバイクが持つ剛性と構造の真実

トレリスフレームが採用されたバイクは「アルミより性能が低い古い技術だ」と思っているなら、それはあなたの損です。


📋 この記事でわかること
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トレリスフレームの構造と仕組み

「トレリス」「トラス」の違いや三角形パイプ構造の力学的な意味、アルミとの本質的な差を解説します。

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採用メーカーと代表車種

ドゥカティ・KTM・カワサキNinja ZX-25Rなど、国内外の採用例と「なぜそのメーカーが選んだか」の理由を紹介します。

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選び方・乗り方のポイント

公道での扱いやすさ、しなりが生む感覚、中古購入時の注意点まで、実際に役立つ知識をまとめました。


トレリスフレームとトラスフレームの違いをバイク視点で解説


「トレリスフレーム」と「トラスフレーム」、どちらの表記も見かけますが、実はこの2つには語源レベルで違いがあります。


「トレリス(trellis)」はイタリア語・英語で「格子」を意味し、パイプを格子状に組み合わせた外観そのものを指す言葉です。一方「トラス(truss)」は建築用語で、三角形を基本単位とした骨組み構造を指します。東京タワーや鉄橋がトラス構造の代表例として有名です。


ところが、バイクの世界では両者の境界線が曖昧なまま使われています。カワサキは公式に「トレリスフレーム」と表記し、ホンダスズキの一部モデルでは「トラスフレーム」と呼んでいます。厳密には、溶接接合されたバイクのフレームは力学的なトラス構造とは異なりますが、業界全体として「どちらの呼称も誤りではない」という見解が定着しています。


大事なのは呼び名よりも構造の本質です。細い鋼管パイプを三角形に組み合わせることで、大きな力を面として分散させる仕組みになっています。これはちょうど橋の骨組みが細い鉄骨だけで何十トンという重量を支えられるのと同じ原理で、一本あたりのパイプは細くても全体として非常に高い強度と剛性を実現できます。


つまり本質は三角形の積み重ねです。


なお、近年は国産メーカーでもカワサキがNinja ZX-25RやZ900RS、Ninja H2など幅広い車種にトレリスフレームを積極的に採用しており、「外車だけの技術」ではなくなっています。


参考:トレリスとトラスの違いを詳しく解説した専門記事
「トラス」と「トレリス」は同じ? 別モノ? バイクのフレーム構造に見られる呼び名の違いとは? – バイクのニュース


トレリスフレームのバイクが持つ剛性と「しなり」の本質

トレリスフレームを選ぶ最大の理由は、剛性だけではありません。


多くのライダーは「フレームは剛性が高いほど良い」と思いがちです。しかしカワサキNinja ZX-25Rの開発者・山東雅弥氏は、鋼管トレリスフレームを採用した理由としてこう語っています。「アルミ材は高速安定性に優れる一方で高周波を伝えやすく、それがライダーに違和感につながる。鋼管は"しなり"によって路面やマシンの状態をライダーに伝えやすい」という趣旨の発言を残しています。


これは重要なポイントです。アルミフレームは「変形しにくく、変形してもなかなか元に戻らない」という性質を持ちます。対して鉄(スチール)は「弾性が高く、力が加わると適度にたわみ、力が抜けると元の形に戻る」という特性があります。


この「しなり」が、路面状況のフィードバックをライダーに自然に伝える役割を果たすのです。アスファルトのわずかな凹凸、タイヤのグリップ限界が近づくときの感触、コーナリング中の荷重変化……これらを「体で感じられる」のがスチール製トレリスフレームの大きな強みです。


KTM 390エンデューロRの試乗記にも「KTMが得意とするスチール製トレリスフレームは、剛性を適度に抑えつつ、フロントからリヤまでの荷重移動をライダーに分かりやすく伝えてくれる」と評されています。これはまさにしなりの活用です。


高剛性アルミフレームはサーキットのような極限状況でのフィードバックに特化していますが、公道のように路面環境が変わり続ける場面では、鋼管トレリスが持つ適度なしなやかさのほうが「扱いやすい」と感じるライダーが多いのはこのためです。


アルミが優れてスチールが劣る、という考え方は古いということです。


参考:開発者インタビューでしなりの設計意図を解説


トレリスフレームを採用したバイクのメーカー・代表車種まとめ

トレリスフレームを採用しているのはどのバイクか、整理しておきましょう。


まず外車メーカーから見ると、最も知名度が高いのはドゥカティ(Ducati)です。1990年代の「モンスター」や「スーパースポーツ」シリーズを代表する赤いトレリスフレームは、バイク好きなら一度は目にしたことがあるでしょう。ただし2021年モデルのモンスターからはアルミフレームに変更され、「脱トレリス」という選択を行いました。現在もパニガーレシリーズなど一部モデルにはトレリスが残りますが、全体としては縮小傾向にあります。


KTMはトレリスフレームに最も積極的なメーカーのひとつです。125DUKE・390DUKE・690ENDURO・RC390など幅広いジャンルで採用しており、2024年モデルのKTM 390アドベンチャーでは新設計のスチール製トレリスフレームとアルミ製サブフレームを組み合わせることで、軽量化と剛性バランスを両立しています。2020年のMotoGPシーズンではトレリスフレームのKTMが3レースで優勝するなど、高い競争力を持つことも証明しています。


カワサキ(Kawasaki)は国産メーカーの中でトレリスフレームを最も積極的に使うメーカーです。スーパーチャージャー搭載の200馬力オーバーモデル「Ninja H2」でも鋼管トレリスを採用しており、「アルミフレームが最強」という常識を技術的に否定しています。Ninja ZX-25R・Ninja ZX-4R・Z900RS・Z650RSなど、スポーツ系からレトロ系まで幅広く採用しています。さらに2025年には国内初導入となる「Ninja ZX-25RR」が発売され、トレリスフレームの存在感はさらに高まっています。


国産の採用モデルをざっくり整理すると、ホンダのVTR系・スズキのSV650・ヤマハのSDRなどにもトラス構造が使われており、「トレリスは外車だけ」という認識は明確に間違いです。


🏍️ 主なトレリスフレーム採用バイク一覧


| メーカー | 代表車種 |
|------|------|
| Ducati | スーパースポーツ・パニガーレ(一部)・過去のモンスター |
| KTM | 125DUKE・390DUKE・690ENDURO・RC390 |
| Kawasaki | Ninja H2/H2R・Ninja ZX-25R/ZX-4R・Z900RS・Z650RS |
| Suzuki | SV650(2025年まで)・過去のTL1000S |
| Honda | VTR(1997〜2016年) |
| MV Agusta | ブルターレ・アゴスタなど |
| Bimota | DB1・KB998 Riminiなど |


なぜ国産バイクにトレリスフレームが少ないのか:製造の現実

「性能が高いなら、なぜ国産メーカーはもっと使わないの?」という疑問は自然なものです。これは製造上の理由によるものです。


トレリスフレームは、多数の短いパイプを正確な角度・位置で溶接して組み上げます。溶接箇所の数はアルミツインスパーフレームと比べて数倍にのぼることも珍しくありません。熟練した溶接工が一本ずつ手作業で仕上げていく工程は、生産性という観点では大きな弱点です。


アルミツインスパーフレームの場合、アルミ板を成形して溶接するか、押し出し材を使って組み上げるため、製造工程の自動化・標準化がしやすく、年間数万台規模の量産ラインに向いています。


これに対して、鋼管トレリスは量産に不向きです。カワサキがNinja ZX-25Rに鋼管トレリスを採用した際も、「設計の自由度が高く、並列4気筒エンジンの横幅が広くなる問題を解決できる」という技術的メリットを優先した結果であり、大量生産の難しさは承知の上でした。


製造コストについても誤解が多いところです。材料費だけで見ると鉄はアルミより安価ですが、溶接工数・検査工数・品質管理のコストを含めると、熟練工が必要なトレリスフレームの製造は決して安くないのです。


厳しいところですね。


ドゥカティやKTMが少量生産メーカーであることと、トレリスフレームへの積極採用は深い関係があります。一方、年間数十万台を国内外で生産するホンダやヤマハがトレリスを主力にしないのは「できないのではなく、量産体制と合わないから」という現実的な判断の結果です。


参考:フレーム形状ごとの製造特性とコストについての詳細な解説
フレーム形状ごとのメリットとデメリットとは? – Webikeプラス


トレリスフレームのバイクを選ぶ際に知っておきたい独自視点:「見える溶接」の確認が中古選びを左右する

トレリスフレームを採用したバイクを中古で選ぶとき、実は大きなアドバンテージがひとつあります。それは「フレームの状態が目で確認しやすい」という点です。


アルミツインスパーフレームは板状の部材で覆われていることが多く、内部の状態を外から見ることが難しいです。一方、トレリスフレームは基本的にパイプがむき出し、または最小限のカバーで覆われているだけです。溶接部・パイプの変形・サビ・クラックなどを視認しやすいのです。


ただし、これは同時に「確認しなければならない箇所が多い」ことも意味します。


中古購入時に確認すべきポイントを整理すると、溶接ビード(溶接の痕跡)に亀裂やひび割れがないか、パイプ全体に不自然な曲がりや歪みがないか、サビが溶接部の奥まで進んでいないかの3点が特に重要です。倒立したことがある車体では、フレームのヘッドパイプ付近やメインフレームの結合部分に目に見えない歪みが入っていることがあります。購入前には必ずショップで確認してもらうか、信頼できる整備士に相談するのが安全です。


修理コストの面でも注意が必要です。バイクのフレーム修正は400ccクラスのスポーツ車で54,000円〜、401cc以上では75,600円〜が相場とされており、フレームそのものの交換が必要になると工賃込みでさらに高額になります。外車系のトレリスフレームモデルは純正フレームの取り寄せに時間がかかるケースもあるため、事故歴のある車体選びには特に慎重さが求められます。


これは使えそうです。


逆に言えば、トレリスフレームは目視点検がしやすい分、状態のよい中古車を「自分の目で見て確かめてから選べる」という利点もあります。モデルの人気度や年式、フレームの状態をセットで確認しながら選ぶことで、コストパフォーマンスの高い選択ができます。


参考:バイクのフレームねじれ修正費用の目安と修理の流れ
【バイクのフレーム】ねじれ修正にかかる費用は? – バイク事故車を買取・処分




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