

WR450Fのタイヤ選びで、まず最初にこれを知ってください。
モトクロスタイヤを公道で使うと整備不良で違反になり、車検も通りません。
WR450Fの純正タイヤサイズは、フロントが80/100-21、リアが120/90-18です。これはDirt Bike Magazineのフルテストでも確認されているヤマハ公式スペックで、純正装着タイヤはDUNLOP MX3Xとなっています。
「80/100-21」という表記は、タイヤ幅80mm・扁平率100%・リム径21インチという意味です。ちょうどスケール感でいうと、80mmは大人の手のひらの横幅とほぼ同じくらいです。
まず純正サイズを把握するのが基本です。
オフロードバイクのタイヤ表記には「インチ表示」と「メトリック(ミリ)表示」が混在しており、これが初心者を悩ませます。たとえばフロントの「80/100-21」はメトリック表示ですが、リアを「4.60-18」のようにインチ表示するケースも存在します。4.60インチをミリ換算すると約116.8mmとなり、リアの120/90-18とほぼ同サイズとみなして差し支えありません。
タイヤを選ぶ際は、スイングアームのステッカーやパーツリストで純正サイズを確認するのが確実です。ブリヂストンやダンロップのメーカー公式サイトでも、車種から適合タイヤを検索できる機能が用意されています。
純正サイズが条件です。
ミシュラン公式:WR450F(2020年・449cc)対応タイヤ一覧 ── 車種適合タイヤの確認に活用できます。
IRC井上ゴム工業:ヤマハ車種別タイヤ適合表 ── WR450Fの適合サイズと推奨パターンが一覧で確認できます。
オフロードタイヤは大きく4種類に分類されます。まずこの分類を理解してから銘柄選びに入るのが、失敗しない選択への近道です。
| 種類 | 主な用途 | 公道走行 | 寿命目安 |
|---|---|---|---|
| 🏁 モトクロスタイヤ | 管理されたコース | ❌ 不可 | 3,000〜5,000km未満 |
| 🌲 エンデューロタイヤ | 自然地形・レース | ⚠️ 銘柄による | コース依存 |
| 🪨 トライアルタイヤ | 岩場・セクション走破 | ⚠️ 銘柄による | 用途依存 |
| 🛣️ トレールタイヤ | 林道+公道ツーリング | ✅ 可 | 5,000〜10,000km |
WR450Fはオフロード競技から林道ツーリングまで幅広く使われるバイクです。そのため、用途に応じてタイヤを使い分ける意識が重要になります。
たとえばモトクロスタイヤを公道で使用した場合、タイヤ側面に「NOT FOR HIGHWAY USE」と記載されている通り、公道走行は整備不良にあたり違反になります。見た目で分かりにくいのが注意ポイントです。
これは知らないと損する情報ですね。
エンデューロ・レース用途ならIRC VE-33S GEKKOTAが人気の定番銘柄です。30年以上の実績を持つVE-33をベースに柔らかく仕上げたコンパウンドで、ガレ場から腐葉土のような柔らかい路面までオールラウンドに対応します。ハードエンデューロからクロスカントリーまでシェアが高く、「まず迷ったらこれ」と言えるほど信頼性があります。ただし競技専用タイヤのため公道走行不可です。
モトクロスコースでのパフォーマンスを求めるならBRIDGESTONE BATTLECROSS X20が評価を集めています。近年のモトクロスシーンではソフト路面用タイヤで幅広いコンディションをカバーする傾向があり、X20はその代表格です。他メーカーより少し高めの価格帯ですが、性能はそれに見合っています。
林道ツーリングがメインならDUNLOP Buroro D605が多くのトレールバイクの純正タイヤとして採用されてきた実績を持ちます。オン/オフのバランスが取れており、林道も高速道路も対応できるオールラウンドな選択肢です。
岩場や木の根の多いルートにはIRC TR-011 TOURISTも独特の選択肢として挙げられます。トライアルタイヤでありながら公道走行可能という珍しい存在で、路面を「掘る」のではなく「掴む」グリップが特徴です。林道を荒らしにくいという副次的なメリットもあります。
これは使えそうです。
ダートバイクプラス:オフロードバイクのタイヤ選び解説(専門店) ── 種類ごとの特徴とおすすめ銘柄を専門家目線で詳しく解説しています。
WR450Fに限らず、オフロードバイクの空気圧設定はオンロードバイクとは全く異なる世界観があります。オンロードバイクが一般的に2.0〜2.5kg/cm²程度で管理するのに対し、オフロード走行では0.2kg/cm²まで落とすことも珍しくありません。
「低圧にすれば常にグリップが上がる」と思われがちですが、実際はそうではありません。低圧にすればするほどグリップは増す一方、タイヤの踏ん張りが効かなくなるという副作用が生じます。速度帯や路面状況に合わせた使い分けが原則です。
空気圧管理で重要なのは、低圧で発生するトラブルへの対策も同時に行うことです。具体的には「バルブもげ」と「リム打ちパンク」の2種類のリスクがあります。
バルブもげとは、低圧走行でタイヤが空回りし、チューブのバルブ部分が根元からもげてしまう現象です。釘を踏んだパンクと違ってパッチ修理はできず、チューブ丸ごと交換が必要になります。林道の奥でこれが起きると帰れなくなるリスクがあります。対策はバルブナットを締めすぎないこと、そしてビードストッパー(リムロック)を装着することです。空気圧を1.0kg/cm²以下にする場合は装着必須と考えてください。
リム打ちパンクは、岩への激しい着地などでタイヤが大きく変形したとき、リムとタイヤの間にチューブが挟まれて穴が開く現象です。対策はハードチューブ(通常の約2倍の厚み)への交換です。WR450Fのような競技寄りのバイクでは標準装備にしているライダーも多くいます。
低圧管理には専用エアゲージが必要です。一般的なゲージでは1.0kg/cm²以下の精度が出にくいため、DRCのG102のようなオフロード専用の低圧ゲージを使うことで正確な管理が可能になります。
低圧対策のセットが条件です。
ダートバイクプラス:オフロードバイクのタイヤ空気圧の詳細解説 ── バルブもげ・リム打ちパンクの原因と対策を写真付きで解説しています。
オフロードタイヤの交換時期は「走行距離では判断できない」という点が最大のポイントです。オンロードタイヤのように「1万km目安」といった基準が通用しません。
つまり目視での摩耗確認が基本です。
タイヤの種類によって交換の判断基準が変わります。トレールタイヤ(D605など)の場合、ブロックが摩耗してベースのタイヤと一体化しそうになった時点が交換のサインです。強いて走行距離の目安を言うなら、ブロックの鋭いオフ寄りパターンで3,000〜5,000km、オンロード寄りのパターンで10,000km前後というのが経験則として存在します。ただしWR450Fのような450ccクラスはエンジンパワーが高く、250ccクラスに比べてタイヤの消耗が明らかに早い傾向があります。
エンデューロタイヤやモトクロスタイヤの場合は、ブロックの「角の鋭さ」が性能に直結するため、角が丸くなり始めた段階で交換するライダーも多くいます。競技での勝敗に影響するシビアな世界です。
もう一つの交換指標が使用年数です。ゴムは紫外線や熱で劣化するため、装着から3〜5年経過したタイヤは摩耗が少なくても交換が推奨されます。5年を超えるとひび割れが発生し、ブロックが走行中に破断するリスクもあります。
厳しいところですね。
専門店での前後タイヤ交換の工賃相場は合計5,000円程度(税込)です。ビードストッパーの着脱が加わると追加費用が発生します。作業時間は60〜100分が目安です。一方でビードストッパーやチューブレスキットが装着されていると、一般的なカーショップやバイク量販店では作業を断られるケースがあるため、オフロード専門店への依頼が安心です。
自分でタイヤ交換を習得すれば工賃は毎回ゼロになります。必要工具はタイヤレバー3本・エアバルブコアドライバー・12〜14mmのレンチ・ビードホルダーで、合計1〜2万円もあれば揃います。林道でのパンクに自分で対処できるようになるという安心感も得られます。
ダートバイクプラス:オフロードバイクのタイヤ交換時期・工賃・DIY工具の解説 ── 交換の判断基準から自分で交換する手順まで専門店が詳しく解説しています。
一般的なオフロードライダーがあまり意識しないものの、WR450Fでハードなエンデューロやレース参戦を考えている場合に検討価値がある選択肢がタイヤムース(ビブムース)です。
タイヤムースとは、チューブの代わりにタイヤ内部に発泡ウレタン素材を充填するシステムです。空気を使わないため、原理的にパンクがゼロになります。岩場で何度タイヤが変形しても走り続けられる究極のパンク対策と言えます。
意外ですね。
実際、日本のエンデューロレースでは上位ライダーのWR450Fにムースが標準装備されているケースが少なくありません。チューブ+ビードストッパー+ハードチューブという複数の対策が1セットで不要になります。2019年のWR450Fフルテストでも、レース仕様のWRにはムース1セットが装着されていたことが確認されています。
ただしデメリットも存在します。まずコストは前後で2〜3万円程度かかり、チューブより大幅に高額です。またムースは使用とともに硬化が進み、おおよそ40〜60時間の走行で交換が必要になります。さらに装着には専用の組み付けグリスと慣れが必要で、DIY難易度はチューブより高いです。
重量増加も無視できません。タイヤのバネ下重量が増えると、バイクの応答性や旋回性能に影響します。これは林道ツーリングよりも、コンマ1秒を争うレースで顕著に感じられる差です。
つまり「走り切ること」を最優先にするレース環境では最適解ですが、林道ツーリングメインのライダーにはオーバースペックになることもあります。用途とコストを天秤にかけた判断が必要です。これだけ覚えておけばOKです。
WR450Fのポテンシャルを最大限に引き出すために、自分のライディングスタイルに合ったタイヤ選択が大切です。最終的にはコース・路面・走り方という3つの要素を軸にして、最適なタイヤシステムを選んでみてください。

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