

あなたが「スムーズで扱いやすい」と感じた瞬間、すでに200km/hを超えている。
ドゥカティの長年のアイデンティティだった「デスモドロミック」バルブ機構が、ハイパーモタード V2 SPではついに廃止された。代わりに採用されたのは、一般的なバルブスプリング方式だ。
長年のドゥカティファンにとっては驚きの判断だろう。デスモドロミックはバルブを機械的に強制閉鎖する構造で、高回転時のバルブフロートを防ぎエンジンの自由な個性を生み出してきた。ただし、定期的なバルブ調整費用が8〜10万円程度かかるなど、維持コストが高いのも事実だった。
新型エンジンはパニガーレV2と共通ベースの890cc、90度V型2気筒DOHC4バルブ。 IVT(可変吸気バルブタイミング)を搭載し、4,000rpm〜11,000rpmという広い回転域で最大トルクの約80%を常時発揮できる。 エンジン単体重量は54.5kgで、先代の937ccテスタストレッタより約9kgも軽い。つまり軽い。
最高出力は120.4HP(88.5kW)/10,750rpm、最大トルクは94Nm(9.6kgm)/8,250rpm。 これはハイパーモタードシリーズ史上最強の数字だ。スムーズな回転フィールになった分、スロットルを思わず開けすぎてしまう「隠れた怖さ」がある。
維持費の観点でいえば、デスモ廃止はオーナーにとって大きなメリットになる可能性が高い。バルブ調整の頻度や費用が大幅に下がることが期待されるからだ。これは使えそうです。
ハイパーモタード V2 SPで最も大きな設計変更のひとつが、フレーム構造の刷新だ。伝統的な鋼管トレリスフレームを廃止し、アルミ製モノコックフレームを採用している。
モノコックとは、外板自体が構造体を兼ねる設計方法のこと。わかりやすく言えば、卵の殻が単なる"飾り"ではなく、中身を守る構造そのものであるのと同じ原理だ。パニガーレ系ではすでに実績があり、その設計思想をモタードモデルへと移植した形である。
この変更によって得られた効果は「剛性と軽さの両立」だけではない。マスの集中化が大幅に進み、車体全体の一体感が格段に向上した。 試乗したジャーナリストたちが「視線を向けただけでフロントがインへ吸い込まれる」と表現するほど、入力への反応が鋭くなっている。
スイングアームも従来の片持ち式から両持ちのアルミタイプへ変更された。 両持ち式はトラクション性能と剛性バランスの最適化に優れるとされ、パニガーレV4や新型モンスターにも採用されている設計だ。SP仕様の車重は177kgで、これはちょうど400ccスポーツバイクに近い重さだ。ここが基本です。
ドゥカティ公式 ハイパーモタードV2 インサイト – フレームやシャシーの技術解説
「スライド・バイ・ブレーキ」は、ハイパーモタード V2 SPが搭載するモタード専用のABS機能だ。コーナー進入でリアブレーキを強く踏み込んだとき、ABSが介入しながらリアタイヤを滑らせ、コントロールされたドリフト状態へと導いてくれる。
これまでの一般的なABSは「スライドさせない」ことを目的としていた。スライド・バイ・ブレーキはその逆で、「積極的にスライドさせながら制御する」という発想だ。意外ですね。もともと2024年にデビューした「ハイパーモタード698モノ」に初搭載された技術で、V2ではさらに磨きをかけた形で採用されている。
実際の走行では、進入スピードと度胸次第でリアが「ヌルリ」から「大きくスライド」まで変化する。 プロライダーのテクニックを電子制御が下支えする仕組みだが、だからといって誰でも簡単にできるわけではない。相応の速度と判断力は依然として必要だ。ABSレベルは4段階から選択でき、レベル2以上でスライド機能が作動する。
このような機能はサーキットでの楽しさを大幅に引き上げるが、公道での使い方には十分な注意が必要だ。ABSの設定を変えれば動きも変わる。設定に注意すれば大丈夫です。
ハイパーモタード V2 SPには、6軸IMUを核とした充実の電子制御パッケージが搭載されている。 機能を整理しておくと、次のとおりだ。
5インチTFTディスプレイでこれらを管理し、ハンドルバー左のジョイスティックで操作する。 慣れるとサーキット走行中でも直感的に変更できるほど使いやすい設計だ。
SP仕様には標準仕様にはないアイテムがある。オーリンズ製フルアジャスタブルサスペンション(フロント:φ48mm NIX30倒立フォーク、リア:STX46)、鍛造アルミホイール(前後合計1.56kg軽量)、ブレンボ製M50フロントキャリパー+専用マスターシリンダー、リチウムバッテリー、ドゥカティ・パワー・ローンチ、ピットリミッターだ。 標準モデルのKYBサスとの差は、サーキット走行でとくに顕著になる。
| 装備 | 標準 V2 | SP |
|---|---|---|
| サスペンション | KYB製(前後フルアジャスタブル) | オーリンズ製(前後フルアジャスタブル) |
| フロントブレーキ | ブレンボ M4.32 | ブレンボ M50+専用マスター |
| ホイール | アルミキャスト | 鍛造アルミ(1.56kg軽量) |
| バッテリー | 鉛バッテリー | リチウムバッテリー |
| 車重 | 180kg | 177kg |
| 価格(日本) | 199万円 | 249万円 |
価格差は50万円。この差が惜しいか、価値があるかは走り方次第だ。
AutoBy ハイパーモタードV2詳細スペック – 標準とSPの装備差・価格情報
ハイパーモタード V2 SPのシート高は880mmだ。 これは日本人ライダーにとって正直ハードルが高い数字で、身長170cm台でも両足べったりは難しい場合がある。厳しいところですね。
ただし、対策手段はきちんと用意されている。メーカー純正でローシートオプション(865mm)が用意されており、さらにローサスペンションキットと組み合わせれば850mmまで下げることができる。 30mmの差は一見小さく見えるが、乗車時の安心感は大きく変わる。1cmの違いが体感的には「つま先2本分」の差になることもある。
シート幅も重要なポイントだ。V2 SPはシート前部がスリムに絞られており、実際のシート高より足つき感が改善されている設計になっている。 新型は従来の950と同じ880mmながら、形状改良によって足つき性は向上したと評価されている。これは意外な事実で、数字だけで諦めるのはもったいない。
なお、標準モデルのシート高は865mm(ローシート時)と若干低め設定だ。 足つきへの不安が大きい場合は、試乗前にシートの幅や形状も確認することを勧めたい。試乗できるディーラーを事前に探しておくと効率的だ。国内では2026年10月からデリバリー開始予定。 購入を検討しているなら今がちょうど予約検討のタイミングだ。
ドゥカティ浜松 ハイパーモタードV2発表レポート – シート高・ローシート対応・価格情報あり
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