

ノーマルのMT-01でも車検で音量が基準値を超えて不合格になることがあります。
ヤマハMT-01は、2005年から2009年にかけてヨーロッパ市場向けに生産された、極めて個性的なネイキッドバイクです。その最大の特徴は、排気量1,670ccという巨大な空冷OHV4バルブV型2気筒エンジンにあります。このエンジンはクルーザー系のXV1700ロードスターと同系列ながら、鍛造ピストンやセラミックメッキシリンダーといったスポーツパーツを多数投入し、完全に別物へと進化しています。
最高出力は90PS(4,750rpm)、最大トルクは150.3N・m(3,750rpm)と、現代の大排気量バイクと比べても見劣りしないスペックです。注目すべきはトルクの発生回転数で、わずか3,750rpmという極低回転域で最大トルクを叩き出します。これはマラソンランナーに例えると、スタートダッシュから全力疾走できるようなエンジン特性で、日常のライディングで常に力強さを感じられます。
つまり「高回転型ではなく鼓動重視」が基本です。
このエンジン特性を理解することが、MT-01カスタムの出発点になります。高回転でパワーを引き出すタイプのチューニングは特性に合わず、低回転域のトルク感を活かしたカスタムの方が、MT-01の個性を最大限に引き出せます。また、エンジン自体がアルミダイキャストフレームにリジッドマウントされており、車体剛性部材の一部を担うという独特の構造も、カスタム時に頭に入れておきたいポイントです。
車両重量は265kg(湿重量)と重厚感があります。東京タワーの鉄骨1本分ほどのイメージはないですが、同クラスのネイキッドと比較しても20〜30kg重い部類に入ります。足回りやハンドリングのカスタムが特に効果的な理由のひとつがここにあります。
ヤマハ MT-01の詳細スペック・仕様沿革(Wikipedia)
MT-01のカスタムといえば、まずマフラー交換を思い浮かべるライダーが多いでしょう。1670ccのビッグVツインから生まれるサウンドは、このバイクの大きな魅力のひとつだからです。ただし、ここには見落とされがちな重大な注意点があります。
MT-01はノーマルマフラーのままでも車検時の近接排気騒音が95dBに達し、不合格になるケースが実際に報告されています。これは驚くべき事実で、「純正マフラーなら絶対に大丈夫」という思い込みが危険であることを示しています。
車検に通るかが条件です。
バイクの近接排気騒音の基準値は年式によって異なります。MT-01が生産された2005〜2009年の車両は、おおよそ近接排気騒音94〜99dBが基準とされます。MT-01の場合、実走行で年数が経過するとエンジンや排気系のくたびれによってわずかに音量が増すことがあり、ギリギリのラインを超えることがあるのです。
対策として知られているのが、EXUP(排気音制御バルブ)のワイヤーを全閉状態に調整する方法です。実際にこれで95dBから92dBに下げて車検を通過したオーナーの事例があります。社外マフラーを選ぶ際は、JMCA(全国二輪車用品連合会)認証マークが付いた車検対応品を選ぶことが大前提です。認証マークなしの社外マフラーは、たとえ音量が基準値以内でも、専用の計測器がなければ個人レベルで合否を確認するのが難しくなります。
スリップオンタイプであれば3〜8万円程度から選べます。これは居酒屋での飲み会8〜20回分程度の出費です。フルエキゾーストタイプになると15〜30万円以上になるものもあります。MT-01向けのアクラポビッチ製マフラーは入手自体が困難なほど希少で、車検対応版が存在しないとも言われており、中古市場でも見つけるのが難しい状況です。費用と車検対応性のバランスを考えると、まずはJMCA認証のスリップオンから始めるのが現実的な選択です。
マフラーカスタム時の注意点(バイク館ブログ):音量規制・CO値・HC値など具体的な基準を解説
MT-01の足回りは、標準装備の段階ですでにスポーティーな構成です。フロントには径43mmの倒立テレスコピック式サスペンション、リヤには逆トラス形状のリヤアームを採用しており、同年代のネイキッドバイクの中でも上位クラスの仕様です。
それでも足回りカスタムが人気な理由は、265kgという重量とのマッチングにあります。標準サスペンションでは長距離ツーリングや峠走行でのセッティングが「硬すぎる」または「柔らかすぎる」と感じるオーナーも少なくありません。その解決策として定番なのがオーリンズ製リアショックへの換装です。オーリンズのリアショックは5〜15万円前後が相場で、車体の重量を受け止めながら路面追従性を高めてくれます。これは使えそうです。
フロントフォークのオーバーホールやスプリング交換も効果的な手段で、工賃込みで3〜5万円程度から対応できます。注意が必要なのは、MT-01のリヤホイールの構造が一般的なバイクと逆向き(右側にドリブンスプロケット、左側にブレーキディスク)になっている点です。汎用ホイールをポン付けしようとすると対応しないケースが出てきます。
ホイール交換は費用が大きい選択です。
OZレーシング製アルミホイールなどのビッグブランド品になると、前後セットで25万円以上になることが普通です。しかしホイール軽量化の恩恵は大きく、ばね下重量が軽くなることで加速・制動・コーナリングのすべてに良い影響を与えます。重量が数kgでも軽くなると、ライダーが感じる扱いやすさは体感できるレベルで変わります。ヤマハ純正のR1用ホイールを流用するカスタムも一部で行われており、コストを抑えつつ軽量化を実現する手法として知られています。
外装カスタムはMT-01の個性をさらに際立たせる方法として人気があります。比較的低予算から始められる入門的なカスタムも多く、初めてのカスタムとしても取り組みやすいカテゴリです。
まずエンジンスライダー(フレームスライダー)は、転倒時の車体ダメージを軽減するための保護パーツです。ベビーフェイス(BABYFACE)製のMT-01専用品が約2万円前後で流通しており、実際に転倒を経験したオーナーからも「スライダーのおかげでエンジンカバーへのダメージが最小限だった」という声があります。駐車場での立ちごけリスクを考えると、優先度の高いパーツのひとつです。重量265kgのMT-01が倒れたときの修理費は数十万円規模になる可能性があるので、2万円の投資は保険として非常に合理的です。
フェンダーレスキットは、テール周りをスッキリさせてスポーティーな印象にまとめる人気カスタムです。ただし保安基準上、泥除け(フェンダー)の完全撤去は違法になります。フェンダーレスキットはナンバー灯やリフレクターを適正な位置に移設しつつ、ノーマルの純正フェンダーをカットして短くするアプローチが多く取られています。純正品を加工するか、社外キット(5,000〜2万円程度)を利用するのが一般的です。
スクリーン(ビキニカウル)は、高速走行時の風圧を軽減しつつ見た目も引き締める効果があります。エルマックス(ermax)やRAID-ZEROなどのMT-01専用品が1〜3万円程度で入手できます。MT-01はハーフカウルなしのネイキッドスタイルが特徴的ですが、欧州仕様のコンセプトモデル「MT-0S」に着想を得たフェアリングキットをベースにしたフルカウル風カスタムも存在します。この「MT-0S フェアリングキット」は現在入手が極めて難しく、海外サイトを漁らないと手に入らないレアパーツです。
ハンドル周りのカスタムとして人気が高いのがリゾマ(rizoma)製品です。グリップ、ミラー、レバー、ハンドルクランプまでリゾマで統一したカスタム例もあり、イタリアブランドならではの質感が高く評価されています。なお、MT-01のノーマルハンドルはトップブリッジクランプ径25.4mm・グリップ部22.2mmのテーパーハンドルという仕様で、汎用の22.2mm単径ハンドルはそのままでは装着できません。交換時は専用クランプやアダプターが必要です。これだけ覚えておけばOKです。
MT-01のカスタムを語るとき、多くの記事はパーツの見た目や性能向上にフォーカスします。しかしMT-01本来のコンセプトである「鼓動(KODO)」を最大限に体感するための「アコースティックチューニング」という視点は、あまり語られません。
MT-01の1670cc空冷Vツインは、エンジン自体がフレームに直結している構造のため、エンジンの爆発や振動がライダーに伝わりやすい設計になっています。これはスポーツバイクとして見ると短所にもなりえますが、「鼓動を楽しむ」という本来のコンセプトに基づけば、むしろ設計の意図通りです。この特性を殺さないカスタムが、MT-01らしさを長く楽しむうえで重要になります。
具体的には、ハンドルバーやステップにゴム系の振動吸収マウントを多用するカスタムは要注意です。振動が軽減される一方で、鼓動感も薄れてしまいます。逆に、バックステップを剛性の高いアルミCNC製品(ベビーフェイス製で10万円前後)に換装すると、ステップからの入力がダイレクトになってエンジンのフィールが変わります。厳しいところですね。
また、吸気系に着目したカスタムも面白いアプローチです。MT-01はφ40mmのダウンドラフト型インジェクションを採用しており、エアクリーナーの交換やインジェクションのセッティング変更で中低回転域のツキをより鋭くする試みが一部のオーナーで行われています。エンジン本体に手を加えるチューニングは費用が高くリスクもありますが、吸気系のセッティングであれば数万円の投資で体感できる変化が得られます。
結論は「MT-01の個性を活かすカスタムが最善」です。
最大トルクが出る3,750rpmという低回転域を乗り手が気持ちよく感じられるよう、サスペンションのセッティングを見直しながら、音と振動を「ちょうど良い塩梅」に整えていく作業こそ、MT-01カスタムの真髄かもしれません。外から見た印象を変えることも大切ですが、「乗ったときに体で感じるMT-01らしさ」を磨くカスタムは、コアなファンに根強く支持されています。
MT-01の空冷OHVエンジンと車体構造の詳細解説(RIDE HI):リジッドマウント構造など設計の意図を詳しく解説
カスタムを始める前に、全体像をつかんでおくことは重要です。MT-01のカスタムは「少額から始められるものから数十万円規模まで」幅が非常に広いのが特徴です。以下に主要カスタムの費用感をまとめます。
| カスタム項目 | 費用目安 | 車検影響 |
|---|---|---|
| エンジンスライダー(ベビーフェイス製) | 約2万円 | なし |
| スリップオンマフラー(JMCA対応) | 3〜8万円 | 要確認 |
| フェンダーレスキット | 0.5〜2万円 | 保安基準確認必須 |
| スクリーン(ビキニカウル) | 1〜3万円 | なし |
| ハンドル・リゾマ系パーツ | 2〜10万円 | なし |
| リアショック(オーリンズ等) | 5〜15万円 | なし |
| バックステップ(ベビーフェイス製) | 約10万円 | なし |
| フロントホイール(OZレーシング等) | 25万円〜 | JWLマーク確認 |
まず費用対効果が高いのはエンジンスライダーです。立ちごけひとつで発生しうる修理費を考えると、2万円の出費は最優先で検討できる投資です。次に視覚的・聴覚的に大きな変化が得られるスリップオンマフラーへの交換が多くのライダーに選ばれています。
ただし、MT-01のカスタムには「パーツの入手難」という現実的な課題があります。MT-01は2009年に生産終了しており、純正部品の流通が限られています。社外パーツも海外発注が必要なものがあり、入手に時間がかかるケースがあります。オーナーコミュニティやウェビックなどのバイクパーツ専門サイトを活用して情報収集することが、スムーズなカスタムの鍵になります。
カスタム前にパーツの在庫確認が条件です。
カスタムを重ねれば重ねるほどMT-01への愛着は深まりますが、維持費との兼ね合いを常に意識した計画的なカスタムが長くこのバイクを楽しむコツです。車検対応かどうかを最初に確認する習慣をつけておくと、後から余計な出費を防げます。
カスタムと保安基準の詳細ガイド(Webike NEWS):違法・合法の判断基準や車検対応の考え方を解説

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