アクラポビッチ スリップオンをバイクに装着する前に知るべきこと

アクラポビッチ スリップオンをバイクに装着する前に知るべきこと

アクラポビッチ スリップオンのバイクへの効果と選び方

Eマークがあるアクラポビッチでも、日本の車検に通らないケースが実は少なくありません。


この記事でわかること
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アクラポビッチ スリップオンの効果

軽量化・サウンド・見た目の変化など、実際に起きる変化を数字で解説。

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JMCA認証と車検の仕組み

EマークとJMCAの違い、公道走行できる製品の正しい選び方を徹底解説。

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取り付け・DIYの注意点

スリップオン交換の手順と、見落としがちな偽物対策まで網羅。


アクラポビッチ スリップオンとフルエキの違いと選び方



アクラポビッチの製品ラインナップを調べると、大きく「スリップオンライン(Slip-on Line)」と「レーシングライン(Racing Line / Evolution Line)」の2種類に分かれています。この区別を最初に理解しておかないと、高いお金を出して公道走行不可の製品を買ってしまうことになります。


スリップオンとは、エキゾーストパイプ(エキパイ)を純正のまま残し、マフラーサイレンサー部分だけを交換するタイプです。フルエキゾースト(フルエキ)はエンジン直後のエキパイからサイレンサーまで全部を交換するものです。つまり差し替え範囲が全然違います。


費用面の差も大きいです。アクラポビッチのスリップオンラインは車種にもよりますが、JMCA認証対応品で概ね8万〜20万円前後の価格帯です。一方でフルエキは35万〜60万円を超えることも珍しくありません。手軽にカスタムを始めたいなら、スリップオンが現実的です。


パワーアップを目的にするなら、スリップオンでは限界があることも知っておく必要があります。サイレンサー部だけを変えても、エキパイの排気効率はノーマルのままです。体感できる変化は音質の向上と軽量化によるフィーリング変化が中心になります。つまり「パワーより感性を磨くカスタム」と考えるのが正解です。


アクラポビッチのスリップオンラインには、サイレンサーの素材として「チタン」「カーボン」「ステンレス」の3種類が用意されています。チタンは軽量かつ高耐熱性、使い込むと美しい焼き色が出るのが特徴です。カーボンは綾織りの模様が映えてドレスアップ効果が高く、ステンレスは比較的価格が抑えられています。素材によって重量差や価格差が出るので、目的に合わせて選ぶのが基本です。






















タイプ 交換範囲 価格目安 主な効果
スリップオン サイレンサーのみ 8万〜20万円前後 音質改善・軽量化・見た目
フルエキ(レーシングライン) エキパイ〜サイレンサー全体 35万〜60万円超 パワーアップ・大幅軽量化


アクラポビッチ スリップオンの軽量化・音質・走行性能への効果

アクラポビッチのスリップオンに交換すると、実際に何が変わるのかを具体的な数字で見てみましょう。


重量変化から確認します。たとえばNinja400用のアクラポビッチ スリップオンライン チタン(品番:S-K4SO5-HRTJPP)の場合、純正重量4.1kgに対して交換後は2.8kgです。約1.3kgの軽量化になります。1.3kgといえば、500mlペットボトル2本半以上の重さです。バイクの後端に付いているマフラーが、これだけ軽くなると聞けばイメージが変わるはずです。


マフラーは車体の末端、つまり重心から最も遠い位置にあります。この部分が軽くなると「ヨー慣性モーメント」と呼ばれる回転方向の慣性が減り、S字コーナーでの切り返しが軽くなります。数字以上の体感があるのはこのためです。


CBR250RRのカーボンスリップオン(S-H2SO7-APCJPP)では、純正5.5kgに対して交換後1.9kgと、実に3.6kgもの大幅軽量化が実現しています。これはほぼ1リットルの水入りボトル4本分に相当します。走り始めた瞬間の軽快感は明らかに変わります。


音質の変化も大きなポイントです。JMCA対応のアクラポビッチ スリップオンは、車検に合格する近接排気騒音の範囲内でありながら、純正とは明らかに異なる音色を実現しています。低音がより引き締まり、アクセルを開けたときの音の抜け感が向上します。ただし「爆音になる」わけではなく、音質が洗練される感覚が近いです。これは使えそうです。


なお、スリップオン交換単体では馬力の数値が劇的に変わることはほとんどありません。排気効率の最適化にはエキパイの変更が大きく寄与するため、純正エキパイのままでは排気特性の変化は限定的です。「パワーが大きく上がった」と感じる場合は、軽量化によるトラクションの変化や音の変化による体感であることが多いです。軽量化効果が条件です。


アクラポビッチ スリップオンのJMCA認証と車検対応品の正しい選び方

バイクに乗るライダーが最も誤解しやすいのが、「アクラポビッチだから大丈夫だろう」という思い込みです。実際には、同じアクラポビッチでも公道走行できる製品と、サーキット専用の公道走行不可製品が混在しています。この区別を怠ると、装着した翌日から法的にアウトな状態で走り続けることになります。


日本国内でバイク用社外マフラーを公道使用するには、大きく分けて2つの方法があります。1つ目はJMCA(全国二輪車用品連合会)の政府認証マフラーであること。サイレンサーにリベット留めされたJMCAプレートが付いており、近接排気騒音・加速走行騒音・排出ガスの3項目で日本の基準を満たした証明になります。これが最も確実です。


2つ目はEマーク(またはeマーク)です。ヨーロッパの騒音・排ガス規制に適合していることを示すもので、日本の保安基準の「騒音防止装置の基準」に関しては条件付きで適合とみなされます。しかし「Eマークがあれば無条件に車検OK」ではありません。車検証に記載の車種型式・原動機型式がマフラーメーカーの適合表と完全に一致していること、並行輸入品でなく正規ルートの製品であることなど、複数の条件が揃って初めて問題なく通る可能性が高まります。


アクラポビッチの正規輸入元・株式会社プロトが提供するJMCA認証マフラーは、本国アクラポビッチ社と共同開発されており、「近接排気騒音規制」「加速騒音規制」「排出ガス濃度(CO・HC・NOx・NMHC)」の全項目で日本の厳しい基準をクリアしています。公道を安心して走るための証明として、JMCAプレートの有無は購入前に必ず確認すべき項目です。


また、年式による型式の違いにも注意が必要です。同じNinja ZX-6Rでも「2BL-ZX636G」と「8BL-ZX636J」では適合品番が異なります。旧年式用のJMCA認証品を新年式に装着しても、型式が一致しないために車検で不適合になるリスクがあります。購入前には自分の車検証を手元に確認し、メーカー適合表と型式が完全に一致しているかを指差し確認することが鉄則です。


JMCA認証マフラーの情報は、正規代理店のプロトが提供するページで確認できます。対応車種や品番の詳細は下記リンクから参照してください。


アクラポビッチ公式JMCA認証マフラーの詳細ラインナップはこちら。
JMCA政府認証マフラー ラインナップ|AKRAPOVIC×プロト公式


アクラポビッチ スリップオンの取り付け方法とDIY作業の注意点

スリップオンの取り付け作業は、バイクのメンテナンス経験があれば自分でできるケースが多いです。ただし、車種によって難易度や注意点が大きく異なります。安易に進めると純正パーツを傷めたり、排気漏れを起こしたりする可能性があるため、流れを事前に把握しておくことが重要です。


基本的な交換手順は以下の通りです。



  • ⚙️ エンジンを完全に冷やす…熱い状態での作業はヤケドと固着の原因になります。最低1〜2時間は冷まします。

  • ⚙️ カウルアンダーカバーを外す…車種によっては多数のクリップやネジが隠れています。プラスチックのツメは折れやすいので、養生テープで傷対策をしながら慎重に。

  • ⚙️ サイレンサーバンドとリンクパイプの接続部を緩めるスプリングフックや六角ボルトで固定されています。固着している場合はCRC(潤滑剤)を事前に染み込ませると外しやすくなります。

  • ⚙️ 純正サイレンサーを取り外し、新品に交換する…付属のガスケットは毎回新品に交換します。再使用は排気漏れの原因になります。

  • ⚙️ 各部のトルク管理と排気漏れ確認…エンジン始動後、接続部から白煙や排気音の漏れがないか確認します。


DIYで一番問題になるのは、カウルの脱着です。現代のスポーツバイクはカウルが複雑に組み合わさっており、隠しネジや爪の位置をサービスマニュアルで事前に確認しないと、無理に外そうとして数千円〜数万円のカウルを割ってしまうことがあります。初めての作業なら、まずサービスマニュアルを入手することを強く勧めます。


バイクショップに依頼する場合の工賃は、スリップオンであれば概ね6,000〜10,000円程度が目安です。1時間かからず完了するケースが多く、マフラーを購入した店舗ならそのまま依頼できることもあります。フルエキの場合は大幅に高額・長時間になるため、プロへの依頼が基本です。


排気デバイス可変バルブ)を持つバイクの場合は別途注意が必要です。CBR1000RR-Rなどは、マフラー交換時に排気デバイスのワイヤーを外すことになりますが、適切な処理をしないとECUがエラーを検知してFI警告灯が点灯します。「サーボキャンセラー」と呼ばれる電子パーツで対応できますが、購入前に対象マフラーに付属しているかどうかを確認しておきましょう。


アクラポビッチ スリップオンの偽物対策と正規品の見分け方

アクラポビッチは世界的に有名なブランドゆえ、AliExpressやメルカリ、Amazonのマーケットプレイスなどに偽物・コピー品が多数出回っています。本物と偽物の差は外見では判断しにくく、知識なく購入すると何万円もの損失につながります。


正規品の見分け方として、まず「スプリングクランプ」の品質に注目します。アクラポビッチの純正品は、精密に曲げ加工されたワイヤースプリングクランプを使用しており、手に持った瞬間に質感が高いと感じます。偽物は安価な板バネや、金属製のブランドロゴシールが粘着テープで貼り付けてあるだけのものが多いです。


溶接部分も重要なチェックポイントです。本物のアクラポビッチはパイプの溶接ビードが非常に均一で滑らかです。偽物は溶接が荒く、継ぎ目が不均等に盛り上がっていることが多いです。


カーボン素材に関しては、本物は本物のカーボンファイバーを使用しています。偽物はハイドロディップ(水圧転写)でカーボン柄に見せているだけのものや、カーボン調シートを貼ったものです。側面や内側をよく見ると素材の質感の違いがわかります。


Amazonや楽天では、「アクラポビッチ」の名称でも並行輸入品や偽物が混在していることがあります。購入は正規代理店(プロト社公式・モトパーツ・ラフ&ロード等の正規販売店)からが基本原則です。JMCAプレートが付いている製品は偽物では製造できないため、JMCA認証品を正規ルートで購入することが最大の偽物対策になります。



  • JMCAプレートの有無…サイレンサーにリベット留めされている金属プレート。偽物には付きません。

  • 溶接ビードの均一さ…パイプの接合部が滑らかかどうか目視確認。

  • スプリングクランプの質感…精密に曲げ加工された本物は手触りが明らかに異なります。

  • カーボン素材の本物感…ハイドロディップ柄か本物のカーボンかを確認。断面や内側で判断しやすいです。

  • 正規販売店からの購入…安い並行輸入品には手を出さず、正規代理店を利用するのが最善です。


中古品を購入する際は特にリスクが高くなります。「本物」と記載されていても確認が難しく、JMCA認証品は中古では認証の有効性を確認しにくいケースもあります。特に車検を意識するなら、新品の正規品を強く勧めます。


偽物に関する詳細な見分け方や注意事項は、コミュニティの情報も参考になります。


【参考】Reddit:本物か偽物かアクラポビッチ スリップオンの見極め方(英語/日本語翻訳あり)




アクラポビッチ(AKRAPOVIC) スリップオンマフラー ブラックチタン EURO5 X-ADV S-H7SO4-HRTBL