

65馬力のバイクでも、3,800rpmでトルクが最大になるため街中でほぼアクセル全開にしなくて済みます。
ストリートツインは2016年にデビューし、2019年に大幅なアップデートを受けています。年式によってスペックが大きく変わるため、中古車を検討する場合はとくに注意が必要です。
2016〜2018年モデル(前期型)の最高出力は55PS、2019年以降(後期型)は65PSと約18%向上しています。単純に数字だけ見れば10馬力の差ですが、実走行での体感は数値以上に大きく、高回転域での伸び感がまるで別のバイクのように変わります。前期型は低中速のトルク感こそ魅力ですが、高速道路での追い越しや山道でのスポーツ走行では物足りなさを覚えるオーナーも多いようです。
以下に主要スペックをまとめます。
| 項目 | 2016〜2018年(前期型) | 2019年〜(後期型) |
|---|---|---|
| 排気量 | 900cc | 900cc |
| エンジン形式 | 水冷SOHC並列2気筒 270°クランク | 水冷SOHC並列2気筒 270°クランク |
| 最高出力 | 55PS / 5,900rpm | 65PS / 7,500rpm |
| 最大トルク | 80Nm / 3,230rpm | 80Nm / 3,800rpm |
| シート高 | 750〜760mm | 760〜765mm |
| 乾燥重量 | 198kg | 198kg(装備重量約216kg) |
| 燃料タンク容量 | 12L | 12L |
| トランスミッション | 5速 | 5速 |
| フロントブレーキ | Nissin製2ピストン | Brembo製4ピストン |
| フロントタイヤ | 100/90-18 | 100/90-18 |
| リアタイヤ | 150/70R17 | 150/70R17 |
2019年以降のモデルはブレーキも刷新されました。前期型のNissin製2ピストンキャリパーから、後期型ではBrembo製4ピストンキャリパーへ。制動力だけでなく、レバーを握ったときのリニアな応答感が大きく向上しています。ブレーキは安全に直結するパーツなので、中古車を選ぶなら2019年以降が推奨です。
フロントサスペンションはKYB製41mm径カートリッジフォーク(ストローク120mm)、リアはKYB製ツインショック(プリロード調整可)。純正サスペンションはダンピング調整機能を持たないためワインディングを積極的に攻めたいライダーには物足りなさもありますが、街乗りやゆったりしたツーリングでは十分な性能です。
つまり、2019年モデル以降が基本です。
バージントライアンフ:ストリートツイン(2019-)スペック詳細 ― 価格・主要諸元・装備一覧を確認できる
ストリートツインの心臓部として語られることが多いのが「270度クランク」です。これはどういう仕組みなのでしょうか。
並列2気筒エンジンのクランク角には主に360度(同時爆発)・180度(交互爆発)・270度(不等間隔爆発)の3パターンがあります。360度クランクは穏やかで規則的なリズムを生み出しますが、鼓動感はやや希薄です。一方270度クランクは、爆発間隔に「短い間隔」と「長い間隔」が生まれるため、まるでVツインエンジンのような不規則なリズムとなり、ライダーが感じる鼓動感がグッと増します。
旧世代のトライアンフ空冷エンジンは360度クランクを採用していたため、「鼓動感が物足りない」という声があったのも事実です。それが2016年モデルから現行の水冷エンジン+270度クランクへ移行したことで、独特の「ドコドコ感」が大きく強化されました。国内外の試乗インプレッションでも「Vツインに近い乗り心地」という表現が多く見られます。
さらに最大トルク80Nmを3,800rpm付近で発生するという特性上、低回転からトルクが豊富です。信号からの発進時にガバッとアクセルを開けなくてもスーッと加速できる。これはAT免許からのステップアップ組や女性ライダーからも高く評価されているポイントです。
100km/h巡航時のエンジン回転数は約3,800rpm前後。これはかえってトルクピーク付近での走行になるため、高速道路でもエンジンにストレスをかけずに走れる反面、5速ミッションゆえにもう一段ギアが欲しいと感じる場面も出てきます。これは使いやすさと快適性のトレードオフと言えます。
バージントライアンフ:ストリートツイン長期インプレvol.03(ライディング編) ― 360度クランクとの乗り味の違いを丁寧に解説している
「大型バイクは足が届かないのでは?」という不安は、大型免許を取得した初期段階のライダーが必ず持つ心配です。ストリートツインはその不安を解消できる数少ない大型モデルの一つです。
シート高は760〜765mm(年式によって数mm差あり)。一般的な大型ネイキッドと比べて低い部類で、身長165cm前後でも両かかとがしっかり接地できるライダーが多いです。さらにタンクが細身に設計されているため、足を大きく開かずに車体をはさみ込めます。見た目に反して「意外とスリム」という声が多いのも、このタンク形状の恩恵です。
乾燥重量は198kg(装備重量では約216kg)。数字だけ見ると重く感じるかもしれませんが、低重心設計のため実際に取り回すと数値より軽く感じます。ただし停車時に完全に腕だけで支えようとすると辛いのは事実で、腰を使って体で支えるクセをつけることをすすめます。
以下に、足つきに関係するデータをまとめます。
市街地での取り回しも比較的楽です。ハンドルの切れ角が十分に確保されているため、Uターンや狭い路地でも扱いやすい。バンク角がやや浅めで、積極的なスポーツ走行をするとステップを擦りやすいという指摘もありますが、ツーリングや街乗りの範囲では問題になりません。
足つきが条件です。
ストリートツインを検討すると、必ずといっていいほど比較対象に挙がるのがボンネビルT100です。同じ900cc水冷バーチカルツインエンジンを積む兄弟モデルですが、両者には明確な違いがあります。
まずエンジンスペックはほぼ同等です。最高出力65PS、最大トルク80Nmと数値は揃っています。ただし最大トルク発生回転数にわずかな差があり(ストリートツインが3,800rpm、T100が3,750rpm)、体感上の差はほぼありません。
大きく異なるのはフロントタイヤのサイズです。
この1インチの差がハンドリングに影響します。ストリートツインはフォークが若干立てられた設定(キャスター25.1°)で、T100(25.5°)に比べてクイックなハンドリングに仕上がっています。街中での小回りや軽快さを重視するならストリートツイン、直進安定性を重視する長距離ツーリングにはT100がやや向いています。
装備面ではT100のほうが上質です。スポークホイール、2連のスピード・タコメーター、フロントマッドガードのロゴ入りメタルブラケットなど、クラシックの雰囲気を高める装飾が充実しています。ストリートツインはシングルメーターでシンプルにまとめており、その分価格がやや安く設定されています。これは好みの分かれるポイントです。
価格差はおよそ10〜15万円程度(年式・カラーによる)。スポーク vs キャストホイールの好みや、クラシックの質感へのこだわりで選ぶのが現実的な判断基準になります。
ぴきちブログ:2021年版ボンネビルT100とストリートツインの比較記事 ― スペック・装備・価格の違いを詳しくまとめている
ストリートツインの魅力はすでに語りましたが、正直なデメリットも把握しておくことが大切です。知っておけばデメリットを回避できる場合がほとんどです。
まず維持費についてです。輸入車であるトライアンフは、国産車と比べて部品の調達に時間がかかる場合があります。修理が必要になったとき、場合によっては部品がイギリス本国からの取り寄せになり、1〜2か月バイクに乗れないケースも報告されています。年間維持費は国産大型の約1.5倍を想定しておくと安心です。正規ディーラーでの車検整備(海外メーカーの場合、工賃や基本点検料が若干高め)も考慮してください。
次に5速ミッションの点です。現行の大型バイクは6速が主流の中、ストリートツインは2026年現在も5速を採用しています。100〜120km/hの高速巡航時にエンジン回転数が3,800〜4,500rpm付近になるため、長距離高速走行では微振動や疲労感を感じやすくなります。「もう一段ギアが欲しい」という声はオーナーの間で共通しています。
夏場の熱問題も見逃せません。水冷エンジンとはいえ、渋滞中にラジエーターファンが作動すると熱風がライダーの右足に当たりやすい構造です。真夏の都市部走行ではデニム越しでも熱さを感じることがあります。
一方で、スペックという観点で見れば、これらは把握した上で対処できる課題ばかりです。
なお、2016〜2018年の前期型にはワイヤーハーネスの干渉断線やシフトリンケージ脱落のリコール事例が報告されています。中古車購入の際は、リコール対応済みかどうかをVINナンバーで確認することを強くすすめます。
痛いですね。しかしその多くは対策できます。
BikerbikeST:ストリートツインの欠点を徹底検証 ― 5速ミッション、排熱、タンク容量の課題と対策まで詳しく解説