

ビームスマフラーが「車検対応品」と書いてあっても、取付け後に音量超過で車検落ちするケースが年間数百件以上報告されています。
ビームスは大阪府東大阪市に本社を置く、国内でも屈指の歴史を持つバイク用マフラーメーカーです。1967年創業から50年以上にわたって日本のバイクカルチャーを支えてきた老舗ブランドで、国内製造にこだわったクオリティが多くのライダーに支持されています。
製品ラインナップは大きく「スリップオン」と「フルエキゾースト(フルエキ)」の2種類に分かれています。スリップオンはエキゾーストパイプをそのまま流用し、サイレンサー部分だけを交換するタイプです。取付けが比較的容易で価格も抑えられるため、初めてマフラーを交換するライダーに人気があります。一方のフルエキは、エキゾーストパイプからサイレンサーまですべてを交換するフルシステムです。パワー特性の大幅な改善が期待できますが、費用と手間はスリップオンの2〜3倍かかる場合が一般的です。
素材のラインナップも豊富です。
チタン製は純正比で約30〜40%の軽量化が可能なケースもあります。たとえば純正サイレンサーが3.5kgとすると、チタン製では2kg前後まで落とせる計算です。車体後部が軽くなることでハンドリングの変化を体感するライダーも少なくありません。それだけ違いが出ます。
ビームスの製品はすべて品番・適合表が公式サイトで公開されており、自分のバイクの型式と年式を照合して選ぶことができます。適合情報は「BEAMS公式サイト(品番・適合検索)」で確認するのが最も確実です。
「車検対応品」と記載された製品を購入しても、取付け状態や経年劣化によって実際の車検で落ちてしまうケースがあります。これが多くのライダーが見落としがちな盲点です。
車検における排気音の基準は「近接排気騒音」で測定されます。現行の規制では、2016年以降に製造された車両は基本的に「加速走行騒音」と「定常走行騒音」の両方が評価対象になっています。ただし車検場での実測は近接騒音計で行われ、排気口から0.5mの距離・45度の角度で計測します。
排気音の上限値は排気量・製造年によって異なりますが、代表的なケースは以下のとおりです。
| 車両区分 | 製造年 | 近接排気騒音の上限 |
|---|---|---|
| 二輪車(125cc超) | 1998年以降 | 94dB |
| 二輪車(125cc超) | 2001年以降 | 94dB |
| 二輪車(125cc以下) | 1998年以降 | 90dB |
車検対応品がなぜ落ちることがあるのか。理由のひとつはバッフル(消音部品)の状態です。新品時は94dB以下でも、バッフルが劣化・脱落すると音量が大幅に上昇します。また、社外マフラーは純正より排気効率が高いため、エンジン本体のコンディションが悪い車両では想定外の音量になるケースもあります。車検前の確認が必須です。
ビームスが販売する車検対応品の多くは「JMCAプレート」が付属しています。JMCAとは日本自動車用品・部品アクセス協会が認定する騒音測定機関で、このプレートが付いていれば書類審査上は「適合品」として扱われます。ただし、プレートがあっても実測値が超えれば車検は通りません。これだけは覚えておけばOKです。
バッフルの状態を定期的に点検し、脱落や破損があれば交換することが基本的なメンテナンスとして推奨されています。ビームス純正バッフルは2,000〜4,000円程度で部品注文が可能です。
JMCA(日本自動車用品・部品アクセス協会)騒音測定・認証制度の説明ページ
スリップオンタイプの取付けは、基本的な工具があれば1〜2時間で完了するケースが多いです。ただし、初めて交換する場合はいくつかの落とし穴があります。
取付けに必要な一般的な工具は以下のとおりです。
取付けの手順は大きく「純正マフラーの取外し→フランジ部の清掃→新マフラーの仮組→トルク管理での本締め→暖機運転での確認」という流れになります。トルク管理が大切です。
注意点として特に重要なのが、フランジ部のガスケット交換です。純正マフラーを外す際に古いガスケットが張り付いている場合があります。このガスケットを再利用すると排気漏れの原因になり、異音やパワーロスにつながります。ガスケットは1枚200〜500円程度ですので、必ず新品に交換することを強くすすめます。
もうひとつ見落としやすいのが「排気フランジボルトの焼き付き」です。長期間使用した車両では、フランジボルトが熱で固着していることがあります。無理に回そうとするとボルトが折れてしまい、修理費が1万円以上かかるケースも珍しくありません。浸透潤滑剤(CRC5-56など)を前日から吹いておくと、かなり外しやすくなります。これは使えそうです。
取付け後は必ず暖機運転を行い、排気漏れ(フランジ部からの黒ずみや異音)がないかを確認してください。その後、走行50km程度でボルトの増し締めを行うことで、熱による緩みを防げます。
ビームスは対応車種が国内屈指の広さを誇り、原付二種から大型車まで幅広いラインナップを展開しています。特に人気が高いのは以下の車種です。
適合選びで最も重要なのは「型式」と「年式」の確認です。同じ車種名でも年式によってエキパイ径やフランジ形状が異なるケースが多く、1年違いで適合しないこともあります。車検証に記載された「型式」欄を必ず確認してからビームス公式の適合表と照合しましょう。
価格帯は車種や素材によって大きく異なります。スリップオン・ステンレス製であれば2万円台から購入できるものもありますが、フルエキ・チタン製になると10万円超えの製品も存在します。購入前に「価格+取付け工賃」の合計を計算しておくと予算計画が立てやすいです。
ネット通販で購入する場合、最安値と定価の差が2〜3万円になるケースもあります。ただし、正規品でないと保証が受けられない場合がありますので、購入先は信頼できるショップを選ぶことが原則です。
マフラー交換で多くのライダーが期待するのは「音質の変化」と「パワーアップ」です。ビームスマフラーは国内メーカーらしい「抜けが良くて過激になりすぎない」サウンドチューニングが評価されています。
ただし、パワーへの影響については注意が必要です。スリップオンに交換しただけではパワーが上がるケースは少なく、場合によっては中低速トルクが若干落ちることもあります。これは排気効率が変わることで空燃比(エアとガソリンの混合比)がずれるためです。インジェクション車両では、マフラー交換後にサブコン(燃調コントローラー)での調整を行うことで、本来のパフォーマンスを発揮しやすくなります。サブコンの費用は2〜5万円程度が目安です。
見落とされがちなリスクとして「熱害」があります。社外マフラーはサイレンサー本体や遮熱板の形状が純正と異なるため、純正では問題なかった場所に熱が集中することがあります。特にリアシート下やシート側面への熱伝わりに注意が必要で、熱対策を怠ると樹脂パーツや配線の溶損につながります。取付け後の初走行では、熱が集中していないかを必ず触診(エンジン停止後、十分冷却してから)で確認してください。
また、音に関してもう一点触れておきます。住宅街での早朝・深夜走行は、法的に問題がなくてもご近所トラブルに発展するケースがあります。近接騒音94dBは「地下鉄の車内騒音と同等」とされています。たとえるなら電車の中でずっと大声で話しているような音量です。これは厳しいところですね。節度ある走り方がライダー全体のイメージ向上にもつながります。
購入を迷っているライダーが最終的に後悔しないために、購入前に確認すべきポイントをまとめます。
まず確認すべきは「保安基準適合品かどうか」です。公道走行を前提とする場合、JMCAプレート付きの車検対応品を選ぶことが大前提になります。「レース専用品」や「競技専用品」と書かれた製品は公道使用が禁止されており、装着して公道を走ると整備不良として取り締まりを受ける可能性があります。違反点数は2点で、反則金は1万8,000円(普通二輪の場合)です。
次に確認するのは「適合情報」です。前述のとおり、型式・年式が一致していることを必ず確認してください。確認方法は「ビームス公式サイトの適合表」か「購入予定ショップへの問合せ」が確実です。
購入チャネルについても一言触れておきます。
メンテナンス用品として、ステンレス製マフラーには「金属磨き(ピカール等)」、チタン製には「チタン専用クリーナー」が適しています。チタンは熱変色が起きやすく、走行後に独特の青紫〜金色に変化しますが、これは品質の問題ではなく素材の特性です。美観を保ちたい場合はコーティング剤(耐熱タイプ)を使うと変色を抑えられます。コーティング剤は1,500〜3,000円程度で市販されています。
結論として、ビームスマフラーは「国内製造・豊富な適合・車検対応品が充実」という三拍子が揃った選択肢として、初めてマフラー交換をするライダーにもベテランにも対応できるブランドです。購入前に型式と音量規制をしっかり確認すれば、後悔のない選択ができます。適合確認さえすれば問題ありません。

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