

マフラー交換だけでもセッティングは必要です。

「インジェクション車のマフラーを交換しても最新のバイクはECUが自動で修正してくれるから大丈夫」という話は完全に都市伝説です。この誤解は非常に多くのライダーに広がっており、実際には自動調整機能はバイクにはありません。一部の外車と最新モデルには存在しますが、そこで調整されるターゲット空燃比は15:1であり、ベストセッティングの13:1ではないのです。
つまり自動補正は期待できません。
マフラーを交換するとエンジンが吸い込める空気の量が変化します。バッサーニのフルエキを取り付けたハーレーの事例では、気筒内圧力が大きく下がった分、たくさん空気を吸い込めるようになったと報告されています。エアクリーナーは同じ状態でも、空気を吸う量が変化し、ガソリンの噴射量はそのままなので、空気とガソリンの比率が変化してしまうわけです。
関連)https://ameblo.jp/zakkmotorcycles/entry-11956846538.html
パワーダウン、スムーズに走らない、ギクシャクする、エンジンが熱いという症状が出たら、空燃比のずれが原因と考えられます。マフラーによっては空燃比が濃くなる場合もあるので、必ずしも薄くなるとは限りません。この状況を放置するとエンジンに負担がかかり続けます。
関連)https://ameblo.jp/zakkmotorcycles/entry-11956846538.html
対策として、空燃比を正確に計測できるシャーシダイナモが設置されているバイクショップで測定するのが確実です。
インジェクションセッティングには大きく分けて3つの方法があります。それぞれ難易度とコストが異なるため、自分のスキルと予算に合わせて選択することが大切です。
簡易的なサブコンは、回転数の範囲を全体的に薄くしたり濃くしたりと12段階調整できるタイプです。i-con miniなどがこれに該当します。ダイヤルを回すだけで調整できるので、初心者でも扱いやすいのが特徴です。最近のモデルは排気ガス規制のため燃料を絞り気味になっているので、メモリ5の位置でいい感じになるケースが多いと報告されています。
調整は簡単ですね。
高度なサブコンは、横軸に回転数、縦軸にスロットル開度で3Dフューエルマップを作製でき、3パターンのマップをメモリーできるタイプです。i-conⅢなどがこれに相当し、より細かい調整が可能になります。点火信号マップは市販の燃料とSTDエンジンがほとんどなのでリスク回避のため採用していないモデルもあります。
フルコンは最も高度な方法で、あらゆる走行シーンに対応した細かい調整が可能です。コンピューター書き換え方式よりも、燃料噴射のパルスを直接変更する方式のほうが、おおまかに濃くする、薄くするといった調整がしやすいメリットがあります。
関連)https://www.hd-parts.jp/custom_guide/tools/injection-tools/injection04/
調整の自由度を求めるなら、より高度な方法を選ぶことになります。ただし費用も高くなるので、まずは簡易的なサブコンから始めるのが現実的でしょう。
ボアアップしたアドレスV125の事例では、DIYでインジェクションセッティングを行い、ちゃんと走らせることに成功しています。センサーや出力の配線に割り込ませるコントローラーの仕組みを理解すれば、センサーを少しいじるだけでインジェクションはコントロール可能なのです。
関連)https://outofnikuyoku.hatenablog.com/entry/2018/10/08/222507
具体的な調整箇所は3つあります。
関連)https://outofnikuyoku.hatenablog.com/entry/2018/10/08/222507
まずスロットルポジションセンサーは、2本の+ネジを緩めてクリーナー側に倒せば薄く、逆に倒せば濃くなります。これはキャブで言うアイドリングアジャストスクリューで、締めこむとスロットルが少し引かれた状態に、緩めれば引いていない状態にできます。
関連)https://outofnikuyoku.hatenablog.com/entry/2018/10/08/222507
次に吸気温センサーへの調整です。温度が低ければその分送られる燃料は増えますから、直列で抵抗をかませてあげれば燃料の増量ができます。逆に温度センサを取り外して300Ω程度の抵抗をかませてあげれば燃料を薄くすることもできます。
関連)https://outofnikuyoku.hatenablog.com/entry/2018/10/08/222507
エンジン温度センサーも同様です。
アドレスV125の実際の設定例では、スロポジをエンジン側(濃い方)に0.5ミリ倒し、吸気温センサーに1.2kΩの抵抗を直列でかませ、エンジン温度センサーはセンサを外して17kΩの抵抗をかませ、アジャストスクリューは一番下がった所から0.5回転締めるという調整でした。元の位置をしっかり記録しておくことが重要で、初期位置が分からなくなるとドツボにはまります。
関連)https://outofnikuyoku.hatenablog.com/entry/2018/10/08/222507
DIY調整には抵抗器とテスターがあれば対応できます。電子パーツ店で数百円程度で入手可能な部品で調整できるため、コストを抑えたい方には有効な方法です。
インジェクションコントローラーの取り付けは、配線の知識があれば自分でも可能です。コマジェ(マジェスティ125)の事例を参考に手順を見ていきましょう。
関連)https://ameblo.jp/harikiplanning/entry-12377709270.html
まずサイドカバーを外します。ステップを10mmで、タンデムバーも10mmで外し、工具は10mmと+だけで作業できます。エアクリーナーに付いているO2センサーから出ている2本の線のうち、どちらか一本を真ん中で切断します。
関連)https://ameblo.jp/harikiplanning/entry-12377709270.html
切断した配線にギボシ端子を取り付けます。一方にオスを、もう一方にメスをかしめることで、コントローラーを外したとしても元に戻せるようにしておくのがポイントです。コントローラーは雨に濡れないように、シート内に取り付けるのが安全です。
関連)https://ameblo.jp/harikiplanning/entry-12377709270.html
配線処理も重要ですね。
コントローラー側の配線にもギボシ端子を取り付け、オス・メスそれぞれを繋げます。さらに防水のチューブを被せ、上からビニールテープを巻いて保護していきます。バッテリーを戻し、正常にエンジンが掛かるかを確認してから、初期設定として「ステージ1・レベル6」などノーマルよりやや濃い目に設定するのが一般的です。
関連)https://ameblo.jp/harikiplanning/entry-12377709270.html
取り付け後は必ず始動チェックを行い、アイドリングが安定しているか、エンストしないかを確認します。調整しやすく便利で、車検のときはすぐに戻せるのがメリットです。
関連)https://www.youtube.com/watch?v=jTn-Rhzl25Y
インジェクターのカプラーを外して割り込ませる配線を探す際は、マニュアルも見て確認するとミスを防げます。
関連)https://ameblo.jp/yellow-blue-bird/entry-12863033185.html
プロのセッティングは、シャーシダイナモを使用して空燃比を実測しながら調整していきます。手順は非常に細かく、15ステップ以上の工程を踏みます。
関連)https://www.lightcycle.jp/old/blog/2009/1211-2252.php
まず過去のチューニングデータの中で、最も仕様の近いデータをECM(バイクのコンピューター)に入れます。ない場合は、最も近いメーカー提供のベースデータを入れ、このときお客様の希望するアイドリング回転数の設定も行います。
関連)https://www.lightcycle.jp/old/blog/2009/1211-2252.php
実際にバイクをシャシダイナモ上で走らせ、空燃比がずれているアクセル開度、マニホールドの負圧、エンジン回転を特定します。調整がずれている箇所が特定できたら、このあたりを中心に実際にチューニングしていき、様々なアクセルの開度とエンジン回転数、それぞれのギアで燃料噴射を測定・調整していきます。
関連)https://www.lightcycle.jp/old/blog/2009/1211-2252.php
ターゲット空燃比に近づけます。
ターゲットとする空燃比に実際のエンジン内の空燃比が近づいてきたら、パソコン上で調整した箇所を上書きし、更新したデータをECMに入れなおします。そして、またシャシダイナモで走らせ測定し、まだ微妙にずれている箇所を特定する作業を、ずれている箇所がなくなるまでひたすら繰り返します。
関連)https://www.lightcycle.jp/old/blog/2009/1211-2252.php
さらにエンジンに負担がかからない一部の領域は、酸素センサー制御を利用して燃費向上をはかり、アクセルを急激に開いた時の増量調整(キャブで言うと加速ポンプ調整)や、逆に急激にアクセルを閉じた時の燃料減量値を調整します。暖機運転からアイドリングが下がりきるまでの領域を調整し、アフターファイアー(バックファイアー)が出やすいマフラーは走りのセッティングを損なわない範囲で、それを少なくするよう調整します。
関連)https://www.lightcycle.jp/old/blog/2009/1211-2252.php
この時点で馬力・トルクの測定を行い、点火時期を調整します。シャシダイの電気負荷装置を使い、ノッキングが出る領域は点火時期を少しづつ遅らせて対策していき、再度馬力・トルク測定を行い結果を確認します。全体の空燃比が狙ったとおりの数値に確実になっているか最終確認したら、いったんエンジンを冷やし、暖機運転をはじめて、実際に路上をテスト走行し体感的に問題がないかを確認します。
関連)https://www.lightcycle.jp/old/blog/2009/1211-2252.php
プロのセッティングは費用がかかりますが、エンジンを壊さず愛車と長いお付き合いをするためには最も確実な方法と言えます。
あなたの厚塗りで半日やり直すことがあります。
バイクでいうガスケットは、エンジンや排気系の接合部のわずかな隙間を埋めて、排気ガスや油、水の漏れを防ぐためのシール材です。
関連)https://ja.nc-net.or.jp/company/92259/product/detail/260401/
ここで混同しやすいのが、板状のガスケットと、チューブから塗る液状ガスケットです。
関連)https://ja.nc-net.or.jp/company/92259/product/detail/260401/
つまり別物です。
板状は挟んで使い、液状は面に塗って薄い皮膜を作るタイプで、役割が似ていても使い方はかなり違います。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
液状ガスケットは、接合面に塗ると乾燥または均一化して弾性皮膜を作り、油密・水密・気密を保つ材料です。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
一方で、スリーボンドも「媒体ごとに適した品番選定が必要」と案内しており、エンジンオイル向けと冷却水向けを雑に兼用する考え方は危険です。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
品番選びが条件です。
バイク乗りが「液ガスなら何でも同じ」と考えると、組んだ直後は平気でも後でにじみやすくなります。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
検索上位の記事では、ガスケットの役目や交換の話が中心ですが、実際の作業で差が出るのは、塗る前の面の状態、塗る量、締めるまでの時間です。
関連)http://www.nihon-hermetics.co.jp/product/singlepage/hermeseal201.html
ここを外すと、せっかくカバーを開けたのにまた開け直しになります。
結論は下準備です。
特にツーリング前の短時間整備では、作業時間を詰めすぎる人ほど失敗しやすいので、使い方の基本を先に押さえたほうが結果的に早いです。
関連)http://www.nihon-hermetics.co.jp/product/singlepage/hermeseal201.html
液状ガスケットは、多く塗るほど安心と思われがちです。
ですが、メーカー系の解説では少量で効果を発揮することが前提で、塗布量が多すぎる発想とは逆です。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
厚塗りはダメです。
余った分は締め付け時に内側へ押し出され、通路の近くではトラブルの種になります。これはバイクのエンジンカバー周りでも軽視できません。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
PAMSのヘッドガスケット解説では、基本的に液体ガスケットは不要で、使うとしても爪や爪楊枝が引っかかる程度の深い傷を埋める場面に、ごく僅か、可能な限り薄く塗るとしています。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
つまり「全面にたっぷり」ではなく、「必要な傷にだけ薄く」が正解です。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
薄塗りが原則です。
とくに熱を受ける部分では、不要な液体ガスケットが放熱を阻害するという指摘もあり、盛れば盛るほど得する部品ではありません。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
ここでのデメリットは時間です。
漏れ確認で再分解になると、30分のつもりが半日仕事になります。
痛いですね。
オイルライン付近が気になる場面では、まずサービスマニュアルの指定有無を確認し、そのうえで傷だけを狙う使い方にすると、余計なやり直しを避けやすいです。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
液状ガスケットは、塗る前の面が汚れていると性能が落ちます。
スリーボンドも、フランジ表面の油・水分・ゴミ付着の有無で耐圧性が変わると明記しています。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
脱脂が基本です。
古い液ガスの残り、指の皮脂、冷却水のにじみが少し残るだけでも、きれいに密着しにくくなります。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
日本ヘルメチックスの使用法では、接合面の油分、水分、じんあいを除去し、0.1〜0.2mmほどの厚さで両面に塗布、2〜4分ほど乾燥してから接合、理想は4〜6時間以上乾燥後に使用とされています。
関連)http://www.nihon-hermetics.co.jp/product/singlepage/hermeseal201.html
0.1〜0.2mmは、紙を何枚か重ねた程度のかなり薄い膜のイメージです。
関連)http://www.nihon-hermetics.co.jp/product/singlepage/hermeseal201.html
意外ですね。
塗ってすぐ全開走行という雑な流れは、製品の前提から外れている可能性があります。
関連)http://www.nihon-hermetics.co.jp/product/singlepage/hermeseal201.html
時間がない日に作業するなら、ここを短縮しない工夫が有効です。
たとえば、夜に下処理と塗布まで終え、翌朝に本締め後の確認をする流れなら、養生時間を取りやすいです。
待てるなら問題ありません。
急ぎの漏れ止め対策では、どの場面の対策かを先に切り分け、応急か本修理かをメモしてから作業すると、無理な即日復旧で失敗しにくくなります。
下処理と硬化条件の考え方はメーカー解説が参考になります。
スリーボンド:液状ガスケットについて
バイクの排気側ガスケットは、外しても見た目が無事なら再利用したくなります。
ただ、グーバイクマガジンでは、一度使用したガスケットを再利用するとパッキン効果が薄れる場合があり、取り外した際は新品交換して密閉性を高く保つよう勧めています。
関連)https://ja.nc-net.or.jp/company/92259/product/detail/260401/
再利用は危ないです。
見た目より、つぶれ具合や硬化のほうが効いてくるからです。
関連)https://ja.nc-net.or.jp/company/92259/product/detail/260401/
とくにマフラーや排気パイプの接合部は、熱、振動、締め付け荷重が重なります。
ここで再利用すると、走り出してから排気漏れ音が出る、周辺に煤が付く、といった面倒が起きやすくなります。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/122/
新品交換が基本です。
部品代は比較的安価でも、やり直しの手間は高くつきます。
関連)https://ja.nc-net.or.jp/company/92259/product/detail/260401/
液状ガスケットでごまかせばいい、と考える人もいます。
ですが、もともと板状ガスケットで設計されている部位は、その構造前提を崩さないほうが安全です。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
そこが分かれ目です。
交換部品を買う場面では、車種適合を確認し、排気側なら予備を1個持っておく、という1アクションだけでも旅先の復旧がかなり楽になります。
関連)https://ja.nc-net.or.jp/company/92259/product/detail/260401/
交換タイミングの基本を確認したいなら、この解説が分かりやすいです。
グーバイクマガジン:バイクのガスケットの役割や取り付け方法
あまり語られませんが、液状ガスケットは「漏れを止める道具」である前に、「合わせ面の精度不足をどこまで補助できるか」という道具でもあります。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
だからこそ、面が荒れている、傷が深い、クリアランスが大きい、という条件では限界があります。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
万能ではないですね。
塗れば面精度の問題まで消えるわけではありません。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
さらに、スリーボンドは大きなクリアランスを持つフランジにはあまり適さないと案内しています。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
この点は、古いバイクのエンジンカバーや社外部品の合わせ面で見落とされがちです。
関連)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/42/
つまり面次第です。
液ガスの選定より先に、反りや傷を見たほうが早いケースがあります。
関連)https://www.pams-japan.com/diary/?p=11210
ここでのメリットは、お金と時間の節約です。
原因が面の歪みなのにシール材ばかり替えると、チューブを何本使っても解決しません。
原因確認だけ覚えておけばOKです。
疑わしい場面では、ストレートエッジで面を見る、深い傷だけ位置を記録する、適合品番を確認する、この3つに絞ると無駄買いを減らせます。