

3年使ったヘルメットはすでに衝撃を吸収できない状態になっていて、次の転倒で頭を守れない可能性があります。
OGKカブト(OGK KABUTO)は大阪を拠点とする日本のヘルメットメーカーで、バイク用・自転車用の両分野でラインナップを展開しています。AEROBLADEシリーズはその中でも「軽量」「コンパクト」「優れた空力性能」を3本柱に据えた、公道スポーツ向けフルフェイスの主力モデルです。
シリーズは世代を重ねてきており、現行のAEROBLADE-6(エアロブレード・6)は2022年秋に登場しました。前世代のAEROBLADE-5から帽体設計・シールドシステム・通気構造を全面的に見直し、快適性をさらに高めた完成度の高いモデルです。特に好評だったAEROBLADE-5からのユーザーも「6になってより被り心地が洗練された」と評価するケースが多く見られます。
2025年秋には数量限定のカーボンモデル「AEROBLADE-6R」も登場。通常モデルよりさらなる軽量性と剛性を求めるライダーに向けた上位バージョンで、シェルにカーボンを採用することで一段上の軽さと剛性を実現しています。これが意外ですね。
現行ラインナップは価格帯で見ると以下の通りです。
| モデル名 | 特徴 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| AEROBLADE-6(ソリッド) | 単色・標準モデル | 約45,100円 |
| AEROBLADE-6(グラフィック) | グラフィックカラー各種 | 約46,200〜47,300円 |
| AEROBLADE-6R(カーボン) | 数量限定・カーボンシェル採用 | 約66,000円前後 |
カブトのラインナップの中で、AEROBLADEの上にはレーシング向けのF-17が位置します。つまりAEROBLADE-6は「公道向けの最高峰スポーツフルフェイス」という位置付けです。これは原点として覚えておけばOKです。
参考:カブト公式サイト AEROBLADE-6シリーズ製品特徴・仕様ページ(技術的な詳細と規格が確認できます)
OGK KABUTO AEROBLADE-6 TECHNOLOGY 公式ページ
AEROBLADE-6の最大の魅力は、フルフェイスとは思えない軽さにあります。Webikeの実測データによると、Lサイズ(フラットブラック)の重量は約1,393g。これはどのくらい軽いのかというと、同社のインナーバイザー付きジェットヘルメット「エクシード」の実測値1,562gよりも軽い数字です。
つまりフルフェイスでもジェットより軽いということですね。
重量が軽いと何が変わるのか、具体的に考えてみましょう。1kgのペットボトルを首に載せたまま5〜6時間走り続けると想像してください。ヘルメットが重いほど、走行風や加減速のたびに首・肩にその重さが集中してかかります。AEROBLADE-6の場合、重量を抑えることで走行中の首への負担が減り、高速道路での長距離ツーリングでも「後半になっても疲労感が少ない」という体感につながります。
さらに注目したいのが帽体のサイズ設計です。AEROBLADE-6はXS・S・M・L・XL・XXLの6サイズ展開に対して、帽体(シェル)を4サイズに分けて製作しています。
一般的なフルフェイスは2〜3サイズのシェルで全サイズをカバーする設計が多いため、XSなのに帽体は「Mと共通」という状態が起きやすく、実際の頭の大きさと帽体の外観サイズがズレてしまいます。AEROBLADE-6が4シェル設計にこだわっているのは、「頭のサイズに合った小さな帽体を使う」ことで余計な容積を持たず、よりコンパクトかつ空力的に有利なシルエットを実現するためです。これは使えそうです。
Mサイズで購入したライダーが「こんなにコンパクトなのにフルフェイス?」と驚くケースが多い背景には、この4シェル設計がある、というわけです。
AEROBLADEという名前が示す通り、このヘルメットは空力(エアロダイナミクス)を徹底的に追求して設計されています。その核心となるのが「ウェイクスタビライザー(PAT.)」と呼ばれるカブト独自の特許技術です。
ウェイクスタビライザーとは何か、シンプルに説明します。走行中のヘルメットには、後頭部を中心に「乱流(ウェイク)」と呼ばれる渦巻いた気流が発生します。この乱流が強くなると、風圧でヘルメットが横や後ろに引っ張られる力が生まれ、首で支えるのが大変になります。ウェイクスタビライザーは後頭部左右に配置された突起形状で、この乱流を整流して圧力を分散させる働きをします。
効果は数値でも裏付けられています。Webikeの実走インプレによれば、100km/h走行での直進安定性が顕著で「頭を左右に振っても首が持っていかれる感覚がない」という評価が得られています。高速道路での追い越し時や横風が強い海沿いの道でも、頭部が安定したままでいられるのは大きなメリットです。
CFD(コンピュータ流体力学)を使って極限まで絞り込んだ前面投影面積も見逃せないポイントです。前面投影面積が小さいというのは、簡単に言えば「ヘルメットが受ける風の抵抗面積が小さい」ということ。これが首への前後方向の負担軽減に直結します。高速道路を連続走行した翌日に肩こりが残る経験をしたことがあるライダーには、この違いが体感しやすいはずです。
AEROBLADE-6の空力設計のもう一つの特徴として、ウェイクスタビライザーが帽体と一体成形になっている点があります。前世代のAEROBLADE-5ではパーツとして別付けされていましたが、6では帽体と一体式になったことでよりスマートな外観になり、走行風への干渉も最適化されています。
空力性能が高いことは、静粛性にも貢献しています。乱流が整流されることでシールド周辺の密閉性が高まり、風切り音が抑えられるという効果も生まれます。前後の空力と静粛性が同時に改善される、これが条件です。
参考:カブトエアロブレード6のインプレ記事。Lサイズ実測重量や走行時の空力・静粛性について詳しくレビューされています。
Webike News「カブト エアロブレード6 インプレ」
AEROBLADE-6が他モデルと大きく差別化されているポイントの一つが、標準装備のシールドです。通常のフルフェイスには「DAF-1 クリアシールド」が付属するケースが多い中、AEROBLADE-6には帝人株式会社との共同開発による「UV&IRカットシールド(UICシールド)」が標準で付属します。
このシールドは紫外線(UV)を99%、赤外線(IR)を74%カットします。視界はクリアなままです。スモークシールドと何が違うのかというと、スモークシールドは「光の量を減らす」のに対し、UICシールドは「光量は変えずに熱の原因となる赤外線だけをカット」するという点が根本的に異なります。曇りの日でも視界を落とさずに使える点で、ツーリング中の天候変化にも対応しやすい設計です。
夏場のツーリングで顔に熱が当たる感覚が軽減されるのは、このIRカット機能のおかげです。Webikeのインプレでは「11月の晴れた強い日射しで試したところ、明らかに顔に当たる熱が和らいでいた」という評価が得られています。
ベンチレーションも見逃せないポイントです。前頭部の大型エアインレットから空気を取り込み、シェル内部のエアルートを通じて排気する仕組みで、走行速度が30km/hを超えると風の流れを感じ取れるほどの換気性能を発揮します。このベンチレーション機能がシールド内面の曇りを抑えることにもつながります。
シールドシステムには2軸構成の「DAF-Rラチェット」が採用されており、シールドの着脱と段階調整がスムーズに行えます。シールド下部には一体型のトリムラバーが装着されており、これが密閉性と静粛性の向上に貢献しています。インプレでも「風切り音や周囲のノイズが気にならない」という評価が一致しています。
別売りの「ピンロックシート(DAFタイプ)」を装着すれば、結露による曇りをほぼ完全に防止することができます。早朝発進の冷え込んだツーリングや秋冬シーズンに特に効果的です。ピンロックシートは必須です。
現代のバイクライダーにとって、ヘルメットにインカムが取り付けられるかどうかは選択の重要なポイントです。AEROBLADE-6はこの点に明確に対応した設計になっています。
チークパッド(頬パッド)のイヤーカップ部分が脱着式になっており、左右にインカムスピーカー専用の取り付けスペースが設けられています。スピーカーを収めるための「くぼみ」があらかじめ設計されているため、スピーカーが耳を圧迫して痛くなるという問題が起きにくい構造です。Webikeのインプレでも「インカムのスピーカーを取り付けても耳が痛くならなかった」と評価されています。
シグナスハウス(Sygn House)が公開しているB+COM SB6Xの取り付け手順では、AEROBLADE-6への装着方法が写真付きで説明されており、取り付け自体はステップに沿って行えば問題ありません。ただし、「一部特殊な形状のスピーカーは取付不可」とメーカーが明示していますので、インカムを先に購入している場合はスピーカーサイズの確認が先決です。これが条件です。
参考:B+COM SB6Xをカブト AEROBLADE-6に取り付ける手順を写真付きで解説したページです。
Sygn House: B+COM SB6X × AEROBLADE-6 取付方法
眼鏡ライダーへの配慮も施されています。チークパッドに眼鏡のテンプル(つる)を通しやすい形状の切り込みが入っており、フルフェイスでも眼鏡のかけ外しをスムーズに行えます。普段コンタクトを使わず眼鏡でツーリングに出るライダーにとっては、かなりありがたい仕様です。
また、内装(チークパッド・頭頂部パッド)はすべて取り外して洗濯が可能です。一部にはCOOLMAX®生地が使われており、汗をかいてもべたつきにくい素材です。夏場の長距離ツーリング後に帰宅してすぐ洗えるという清潔さは、毎日・頻繁に乗るライダーにとって大きなメリットです。いいことですね。
D-リング式のあごひもについても触れておきます。ワンタッチバックル式と異なり、D-リングはレースモデルにも採用されるスタンダードな留め具方式です。取り外しの慣れが必要ですが、振動による緩みが起きにくく走行中の安全性が高いとされています。
カブトAEROBLADEに限らず、すべてのバイク用ヘルメットには「使用期限」があります。この点を知らないまま何年も同じヘルメットを使い続けているライダーが実は少なくありません。
製品安全協会(SGマーク)とJHMA(日本ヘルメット工業会)は、ヘルメットの有効期間を「購入後3年間」と定めています。これはOGKカブト公式サイトでも明記されており、「有効期間を過ぎたヘルメットは、事故や転倒の際に十分な保護性能を発揮しないおそれがある」と警告しています。
なぜ3年なのかというと、日本特有の高温多湿な気候条件下において、帽体(シェル)と衝撃吸収ライナー(発泡スチロール状の内側)が性能を維持できる期間として算出された基準です。特に発泡スチロール状のEPS(発泡ポリスチレン)ライナーは、目に見えなくても経年で硬化・脆化が進み、衝撃を吸収する能力が低下します。外観がきれいでも内部は劣化していることがある、これが原則です。
さらに注意が必要なのは「一度でも強い衝撃を受けたヘルメット」です。落下や転倒でヘルメットに衝撃が加わった場合、外から見て傷がなくてもEPSライナーが内部で圧縮・変形している可能性があります。一度変形したEPSは元に戻らず、次の衝撃を吸収する能力が大幅に低下します。3年以内であっても、転倒や落下の後は即交換が必要です。
AEROBLADE-6は45,100円〜(税込)という価格帯ですが、ヘルメットは「命を守る消耗品」という認識が大切です。同じ予算感で、3年ごとに同グレードを購入し続けることが、長期的に見て安全かつコストパフォーマンスの高い選択につながります。
参考:OGKカブト公式サイトのヘルメット取り扱い説明ページ。使用期限・保管方法・清掃方法など安全使用のための必須情報が掲載されています。

OGK KABUTO(オージーケーカブト) バイクヘルメット フルフェイス AEROBLADE6 DYNA(ダイナ) フラットブラックブルー (サイズ:L)