プレッションでバイクのサスペンションを最適化する方法

プレッションでバイクのサスペンションを最適化する方法

プレッションとバイクのサスペンションを正しく理解して乗りこなす

プリロードを強くすると、サスペンションが「硬くなる」わけではありません。


この記事でわかること
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プレッション(プリロード)とは何か

サスペンションにあらかじめかける初期荷重のこと。スプリングのどの位置から動かすかを決める、セッティングの第一歩です。

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サグ出しの正しいやり方

ライダーが乗車した状態でサスが縮む量(サグ)を計測・調整する方法。ストローク量の1/3が目安の数値です。

社外サスペンションへの交換

オーリンズ・YSS・ナイトロンなど各メーカーの特徴と費用感。まずリアショックから交換するのが定番の流れです。


プレッションとはバイクのサスペンションにおける何者か



「プレッション(プリロード)」という言葉を耳にしたことがあっても、「なんとなく硬さを変えるやつでしょ?」と思っているライダーは少なくありません。ところが、その理解は実は少しズレています。


プリロードとは、サスペンションのスプリングに「あらかじめかけておく荷重」のことです。スプリングを最初から少し縮めた状態でセットし、どの位置から動き始めるかを決める仕組みです。つまり、スプリング自体の硬さ(レート)は一切変わらないのです。


感覚的には「硬くなった」と感じるかもしれませんが、それはスプリングの動き始めの位置が変わったためです。プリロードが決まれば、その後のダンパー(減衰力)調整の効果が最大限に活きます。


なぜこれほど重要かというと、バイクメーカーは出荷時に体重65〜75kg程度のライダーを基準としてセッティングしているからです。体重55kgのライダーが同じ設定で乗れば、サスペンションはほとんど動かない硬い状態になります。逆に体重90kgのライダーが同じ設定で乗れば、コーナーや段差でサスが底付きする危険があります。つまり、プリロードは「自分の体重に合わせた基準点を作る作業」だと考えると理解しやすいです。


サスペンションのセッティングには「プリロード → 伸側減衰 → 圧側減衰」という順番があります。プリロードが基本です。この順番を崩して、いきなり減衰から触ってしまうライダーも多いですが、それは土台なしの調整になります。
















プリロードを変えると サスペンションへの影響
🔼 強める(プリロードアップ) スプリング動き始め位置が上昇・圧側ストローク増加・乗り心地が硬く感じる・タンデムや荷物積載に有効
🔽 弱める(プリロードダウン) スプリングが伸びた位置からスタート・伸側ストローク増加・路面追従性向上・足つきが1〜2cm改善


プリロードを弱めると足つきが改善する、というのはよく知られていますが、実際の効果はせいぜい1〜2cm程度です。過度な期待は禁物です。


参考リンク:プリロード調整の仕組みとセッティングの基本を詳しく解説。体重別の調整目安や注意点が分かります。


バイクのサスペンション調整とは? 基本のキ! | Bike Life Lab


プレッションのサグ出し:バイクのサスペンションを数値で合わせる手順

「感覚で調整する」のが当たり前だと思っていませんか? 実は、プリロード調整には数値で確認できる基準があります。それが「サグ出し」です。


サグ(sag)とは、ライダーが乗車した状態でサスペンションが縮む量のことです。この量を計測して、ストローク全体の1/3になるようにプリロードを合わせていきます。オフロードバイクでは昔から常識とされていた方法ですが、オンロードでも同じように使えます。




サグ出しの手順(最低2人必要です)



  • 📌 ステップ1:タイヤを浮かせた状態でサス長を計測 センタースタンドやスタンドを使い、前後タイヤが浮いた状態でサスペンションの長さ(基準点間の距離)をメジャーで測る。フロントはトップブリッジ上端からフォークブーツ下端が測りやすいです。

  • 📌 ステップ2:ライダーが乗車した状態で再計測 ライダーが両足をステップに乗せた状態で同じ箇所を計測する。この時点で「もう1人支える人」がいると安心です。

  • 📌 ステップ3:差分を計算してプリロードを調整 「タイヤ浮き時の長さ」と「乗車時の長さ」の差がサグ量。これがストローク全体の1/3になるようプリロードを調整する。


例として、ストローク量が110mmのフロントフォークであれば、目標のサグ量は約37mm(はがき縦の約1/4弱)が目安になります。


この数値を基準にするメリットは、「感覚ではなくデータとして乗り心地を管理できる」点にあります。体重が増えた・タンデムが増えたなどの条件変化が生じたときも、数値に戻して再調整すれば安心です。




なお、不等ピッチスプリング(スプリングの巻き間隔が上下で違うタイプ)を使用している場合は、初期の沈み込みが多いため、1/3ではなく2/5程度を目安にする場合もあります。この点は純正マニュアルやスプリング仕様書で確認しておくとよいです。


一人では測りにくい場合は、バイク仲間と互いのバイクを計測し合うのが現実的な方法です。そういった機会は難しいという場合、最近は「Slacker V4」のようなスマートフォン連携のサグ測定ツールも登場しており、工夫次第で一人でも計測できます。


参考リンク:サグ出しのやり方をプロに教えてもらった実践レポート。具体的な数値と計算方法が分かりやすいです。


サス調整の基本はサグ出し。バネ荷重を体重に合わせてサスを活かすのだ | Webike


バイクのサスペンションに使うダンパー調整(減衰力)の基本

プリロードでスプリングの動き始めを整えたら、次に「減衰力(ダンパー調整)」に目を向けます。これがサスペンションの「もう半分」です。


スプリングは縮んで伸びようとする性質上、何も制御しなければ路面の凸凹でポンポンと跳ね続けます。その「跳ね返り」をコントロールするのが減衰力の役割です。


減衰力には2種類あります。



  • 🔵 圧側(コンプレッション)減衰:サスペンションが縮む時のスピードを制御する。路面の凸部でサスが沈む動きを遅らせる(強くする)か素早くさせる(弱くする)かを調整します。

  • 🔴 伸側(リバウンド)減衰:サスペンションが伸びる時のスピードを制御する。コーナーの切り返しや、ブレーキ後にリアが浮き上がるのを抑える役割があります。


基本的な方向性は、プリロードに合わせて調整するのが原則です。プリロードを強めた(重い体重・タンデム)なら減衰も強め、プリロードを弱めた(軽い体重・街乗り中心)なら減衰も弱めます。これがセッティングの基本です。


初めて減衰調整に触れる場合、まず「伸側減衰から触ること」が推奨されています。レーシングライダーの高田速人氏によれば「フロントが暴れると怖い。フロントの伸側が決まれば安心感が高まり、色々なトライができる」とのことです。


一方で、減衰を強くしすぎた場合のデメリットは見落とされがちです。伸側減衰を強くしすぎると、サスペンションが伸びきれずに「へたり込んだ状態」で走ることになり、連続したギャップで衝撃を吸収しきれなくなります。強くするほど良いわけではありません。


調整の単位は「クリック数」で管理します。1クリックずつ変えて乗り比べ、変化を感じたらそこを基準にさらに詰めていく流れです。


参考リンク:サスセッティングの理論と実践例を詳解。プロライダーによるフェーズ別セッティングデータも公開されています。


今年こそ! サスペンションセッティングに取り組んでみよう! | Riders Club


プレッションを正しく設定すれば見落としがちなバイクのフロントサスペンションも変わる

「リアサスだけ調整すればいい」——そう思い込んでいるライダーは多いですが、フロントフォークのプリロード調整も重要な役割を持っています。


実際、大型車スーパースポーツ系では、フロントフォークにもプリロード調整機構が備わっています。体重が重いライダーがリアのプリロードを強めた場合、フロントもセットで強めないと「リアだけ高い後ろ上がりな車体姿勢」になり、ハンドリングが軽くなりすぎて不安定になります。これが意外なポイントです。


バイクの車体姿勢は、フロントとリアのバランスで決まります。リアのプリロードを1段強めると、リア車高が約20mm上がる場合があります(BMW RnineTでの実測値)。これはバイクのキャスター角トレールに直接影響するため、コーナリング特性が変わります。



  • 🟠 リアプリロードを強める → リア車高アップ → 前下がり姿勢になる → ハンドリングが軽くなる傾向

  • 🟢 リアプリロードを弱める → リア車高ダウン → 前上がり姿勢になる → 安定寄りのハンドリングになる傾向


つまり、リアを触ったらフロントも確認する、という習慣が必要です。


また、フロントフォークに調整機構がない小〜中排気量モデルも多いです。そのような場合は、フォークオイルの粘度変更や、内部のスプリング交換という手段で対応することになります。「調整ダイヤルがないから諦めた」という状況でも選択肢はあります。


なお、中古バイクを購入した場合は必ず注意が必要です。前オーナーがすでに調整していた可能性があるため、まず標準設定に戻すことが第一歩になります。標準値は車種ごとのハンドブックに記載されており、不明な場合はメーカーのお客様相談室に問い合わせる方法もあります。


参考リンク:フロントフォークとリアサスの連動したプリロード調整について、実車を使った調整例をもとに詳しく解説されています。


ライテクをマナボウ 34 サスペンションの調整はプリロードから | KUSHITANI


バイクのサスペンションを社外品に交換する費用と各メーカーの選び方

純正サスペンションでの調整には限界があります。そのボトルネックに気づいたとき、次の選択肢が「社外サスペンションへの交換」です。


これは使えそうです。社外サスに交換することで、調整範囲が大幅に広がり、スプリングレートやダンパー特性を自分の体格・走り方・使用シーンに合わせて細かく設定できるようになります。


費用の目安として、まずリアショックの交換工賃はモノショックで5,000〜8,000円程度、ツインショックで8,000円前後が相場です(持ち込み交換の場合)。これにパーツ代が加わります。


主要サスペンションメーカーの特徴と価格帯





























メーカー 特徴 リアショック価格目安
🏆 オーリンズ(OHLINS) MotoGP実績あり。国内取扱店が多くオーバーホール依頼がしやすい。ツーリングからサーキットまで対応 約15万円前後
🇬🇧 ナイトロン(Nitron) イギリス製パーツを国内で組み立て。日本の道路事情に合わせた日本スペシャル仕様。注文時にバネレートや内部設定の指定も可能 オーリンズと近い水準
🇳🇱 ハイパープロ(HYPERPRO) オランダ発。「コンスタントライジングレート」の不等ピッチスプリングが公道で優秀。装備込み70kgが基準値 フォークスプリングキットから対応可
🇹🇭 YSS タイ発祥。1983年創業。7年・3万5,000km走行テストでの耐久実績あり。コストパフォーマンスが高く初めての社外サスにも最適 3〜5万円台から


予算を抑えつつ体感効果を得たい場合は、まずリアショックをYSSで交換するという方法が現実的です。フロントフォーク側は、後から不満が出てきたタイミングでスプリングキット(ハイパープロなど)に交換するという流れが、コストを段階的にかけられるため人気があります。


いきなり前後を一気に交換しようとすると費用が20万円以上になることも珍しくありません。まずリアから、が原則です。


社外サスに交換後は、必ず「サグ出し」を実施してください。社外品は純正と異なるスプリングレートが設定されているケースが多く、プリロードの基準値がまるで変わります。交換しただけで走ると、前後のバランスが崩れた状態になる可能性があります。交換後のサグ出しは必須です。


参考リンク:オーリンズ・ナイトロン・ハイパープロ各メーカーの特徴と選び方を実際の取扱店が解説しています。


参考リンク:HYPERPRO製品のセッティング方法と調整機能の詳細が公式サイトで解説されています。


サスペンションセッティングについて | HYPERPRO




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