

ヤマハDT230 LANZA(ランツァ)は1997年1月10日に発売された排気量224ccの水冷2ストローク単気筒エンジンを搭載したオフロードトレールバイクです。ほぼ同時期にホンダからCRM250ARが発売されましたが、国内向けとしては最後の2ストロークオフロードモデルとなりました。
参考)https://www.goobike.com/maker-yamaha/car-lanza/index.html
エンジンスペックは最高出力40PS/8500rpm、最大トルク3.7kgf·m/7500rpmを発揮し、乾燥重量はわずか114kg、車両重量も130kgという軽量設計です。これは125ccクラスの車格に250ccクラスのパワーを搭載したようなバランスで、ベテランライダーが林道で遊ぶのにも最適な設定でした。
シート高は865mmと比較的低めに設定されており、「2スト版セロー」とも呼ばれました。セルスターター標準装備という点も大きな特徴で、CRM・RMX・KDXでは敷居が高く感じた初心者や女性ライダーでも気負わずに乗れるモデルとして価値ある存在となっています。
1998年にはマイナーチェンジが行われ、排気ガスの白煙を低減するためにYCLS(ヤマハ・コンピュータライズド・リュブリケーション・システム)を採用しました。エンジン回転数を検知して最適なオイル吐出量を供給することで、エンジンオイルの消費量を低減させる工夫が施されています。
つまり初心者にも優しい設計です。
同じヤマハのWR250Rと比較すると、ランツァの性能の高さが際立ちます。WR250Rは排気量249ccで最大トルク24N·m、最大馬力31PS、乾燥重量121kgに対し、ランツァは排気量が25cc少ないにもかかわらず最大トルク36.3N·m、最大馬力40PS、乾燥重量114kgと全ての数値で圧勝しています。
参考)【考察】ヤマハ最強のオフはWR250Rかランツァか乗って比較…
パワーウェイトレシオを見ると、WR250Rが3.9kg/PSに対してランツァは2.9kg/PSです。これは加速性能に直結する数値で、ランツァの方が約26%優れた値を示しています。つまり同じアクセル操作でもランツァの方が明らかに速く加速するということですね。
2ストロークエンジン特有のトルクフルな特性により、オフロードやスーパーモタードでの扱いやすさも高く評価されています。4ストロークのWR250Rが高回転型のエンジン特性を持つのに対し、ランツァは低中回転域から太いトルクを発生させるため、林道や悪路でのトラクションコントロールがしやすいのです。
燃費性能は60km/h定地走行で40.0km/Lとされており、燃料タンク容量11Lで満タン時の航続距離は約440kmと計算されます。2ストロークとしては優れた燃費性能を実現しています。
参考)ヤマハ DT230 ランツァのスペックと維持費 [1998年…
結論は圧倒的パワーです。
ランツァには2ストロークエンジンならではの独自機構が多数搭載されています。その中でも特徴的なのがYPVS(Yamaha Power Valve System)と呼ばれる可変排気システムです。これはエンジン回転数に応じて排気ポートの開口面積を自動調整し、低回転域のトルクと高回転域の出力を両立させる機構です。
前後ブレーキは油圧式ディスクを採用しており、オフロード走行時の制動力を確保しています。フロントサスペンションは正立テレスコピックフォークで260mmのストローク、リアはスイングアーム式で250mmのストロークを持ち、悪路での追従性を高めています。
タイヤサイズはフロントが3.00-21、リアが4.60-18のバイアスチューブタイヤです。フロント21インチの大径タイヤは路面の凹凸に強く、オフロード走行時の安定性に寄与します。キャスター角27度、トレール量114mmという設計は直進安定性とハンドリングのバランスを考慮したものです。
点火装置はC.D.I.式で、点火プラグはBR9ESを1本使用します。バッテリーはGT6B-3(12V-6.0Ah)を搭載し、セルスターター始動を可能にしています。
バランスが取れた設計です。
2ストロークエンジンは4ストロークと比べてメンテナンス頻度が高くなります。特にプラグ交換はバイクメーカー推奨が3,000km〜5,000kmですが、2ストの場合はさらに短いサイクルでの交換が必要です。実際のオーナーの声では、調子が悪くなるとすぐに交換しており、場合によっては50kmおきに交換していたという極端な例も報告されています。
プラグかぶり(燃焼室内に燃えきらないオイルや燃料が溜まる現象)が発生しやすく、納車当日にプラグを被らせてバイク屋に電話したという初心者オーナーの体験談もあります。これは2ストロークエンジンの特性上、完全燃焼しなかったオイルがプラグに付着しやすいためです。
YPVSのメンテナンスも重要で、オイル漏れが発生すると走行性能に影響します。YPVSは高温高圧の排気ガスに常にさらされる部品のため、定期的な分解清掃と部品交換が必要になります。2ストロークエンジン特有の凄まじい汚れが蓄積するため、専用の洗浄剤を使った清掃作業が欠かせません。
リードバルブの劣化もトラブルの原因となり、プラグが頻繁に被る場合はリードバルブ交換で症状が改善することがあります。
つまり手間がかかります。
ランツァで頻発する電装系トラブルとして、バッテリー上がりとヘッドライト不点灯があります。走行中にバッテリーが上がる症状では、レギュレーターの故障が原因となるケースが多く報告されています。レギュレーターは発電機からの電力を安定させる役割を持ち、これが故障すると充電不良やバッテリーの過充電が発生します。
参考)YAMAHA LANZA バッテリーあがり修理のつづき
バッテリー電圧が1Vまで低下していた事例では、壊れたバッテリー自体が電装系全体の故障の原因となっていました。ギヤを入れるとエンジンがストップする症状も、実はバッテリーの完全放電が引き起こしていたのです。バッテリーを正規容量のものに交換することで全ての症状が改善しました。
参考)https://ameblo.jp/genn2/entry-12706708797.html
ヘッドライトが点灯しない場合は、ヘッドライトリレーの故障が疑われます。ランツァはイグニッションONだけではヘッドライトが点かず、エンジン始動後にリレーに電気が流れて点灯する仕組みになっています。リレーが壊れている場合、テスターでチェックすると動作していないことが確認できます。
参考)ランツァのヘッドライトリレー - noxovy’s diar…
応急処置として、車体側カプラの茶色線をショートさせることで強制常時点灯にすることが可能です。ただしこれは一時的な対処法で、根本的にはリレーの交換が必要になります。
定期点検が不可欠ですね。
2026年1月時点の業者間オークション市場データによると、直近12ヶ月間で43台が取引されたランツァの買取査定相場は平均23.9〜34.4万円、上限は53.7万円となっています。走行距離別に見ると、0〜5000km未満の極上車は平均58.1万円(最高63.5万円)、1〜2万kmは平均34.9万円、5万km以上でも平均28.9万円と、2スト旧車としては高値を維持しています。
参考)ランツァ (DT230 LANZA)【1997~98年】を売…
Yahoo!オークションの過去180日間の落札データでは、22件の平均落札価格が388,363円(最安151,000円、最高800,000円)でした。走行距離5,218kmで評価点3.8の1998年式が59.6万円で落札されるなど、程度の良い個体には高額な値が付く傾向があります。
参考)Yahoo!オークション -「dt230 ランツァ」(オート…
購入時の注意点として、走行距離5万7900kmの個体でも適切にメンテナンスされていれば問題なく走行できるという報告があります。一般的に2ストロークは過走行だと敬遠されますが、ランツァは定期的なエンジンオーバーホールと部品交換を行えば長く乗り続けることができます。
参考)買っときゃよかった、この1台……セロー250 vs DT23…
ただしフロントスプロケットナット脱落などの事例もあり、購入前には各部の締め付けトルクを確認することが重要です。高速走行中に急に駆動力がなくなり、どのギアに入れても前に進まない状態になったというトラブル報告もあります。
状態確認が何より重要です。
ランツァの年間維持費は、2ストロークエンジン特有の消耗品費が大きな割合を占めます。エンジンオイル(2ストオイル)は分離給油式でオイルタンク容量1.3Lです。走行距離にもよりますが、年間1万km走行すると仮定した場合、2ストオイルの消費は約3〜4L程度になり、オイル代として年間5,000円〜10,000円が目安です。
プラグ交換は通常3,000km〜5,000kmごとが推奨されますが、2ストの場合はより頻繁な交換が現実的です。年間2〜3回の交換として、プラグ代(BR9ES)は1本あたり500円程度なので年間1,500円〜2,000円程度です。ただし調子が悪い場合はもっと頻繁な交換が必要になります。
参考)https://www.yes-i-do.co.jp/column44.html
バッテリーは12V-6.0Ahで、2〜3年ごとの交換が目安です。リチウム電池への交換も選択肢で、初期コストは高いですが軽量化と長寿命化が期待できます。年間換算で3,000円〜5,000円程度の予算を見ておくと良いでしょう。
参考)現行バイク:1998年式ランツァ(DT230)の故障修理実績…
任意保険料は年齢や等級によりますが、排気量230ccクラスで年間3〜5万円程度が一般的です。自賠責保険料(1年契約)は約7,000円です。年間1万km走行での燃料代は、燃費40km/Lとレギュラーガソリン@170円/Lで計算すると約42,500円となります。
全体で年間7〜10万円が目安です。
長期保有のためには、YPVS(パワーバルブシステム)の定期清掃が欠かせません。YPVSは2ストロークの燃えカスが堆積しやすい部位で、動きが悪くなると出力低下やエンジン不調の原因となります。シーズンごと、または5,000km走行ごとに分解清掃を行うのが理想的です。
リードバルブの点検も重要なメンテナンス項目です。リードバルブは吸気の逆流を防ぐ薄い金属弁で、ひび割れや変形があると混合気の吸入効率が低下します。プラグかぶりが頻発する場合は、リードバルブの劣化を疑い、新品部品に交換することで症状が改善することが多くあります。
電装系では、バッテリーの電圧チェックを月1回程度行うことをお勧めします。常時電圧が12V以上、充電電圧がピーク14V前後であれば正常です。セルスタート時に電圧が9V付近まで下がるのは正常範囲ですが、それ以下になる場合はバッテリーの劣化を疑います。
参考)EVOLVE−Rブログ THさん DT230ランツァエンジン…
クランクサイドベアリングの異音にも注意が必要で、焼き付き経験のある車両では破片がベアリングに傷を入れている可能性があります。異音が聞こえたら早めにエンジン分解点検を行うことで、重大な故障を防げます。
予防的メンテが鍵ですね。
ランツァとセロー250はどちらもヤマハのトレール系オフロードバイクですが、性格が大きく異なります。セロー250は排気量249ccの4ストローク空冷単気筒で、シート高830mm、車重133kgという扱いやすさが特徴です。サスペンションが柔らかく沈み込むため、数値以上に足つき性が良いのが魅力です。
セローは回転半径が小さく、狭いスペースでの取り回しがしやすいため、路地の多い都心エリアでも安心して移動できます。フロント21インチタイヤが路面の凹凸にハンドルを取られにくくし、地上高約30cm(オイルパンあたり)により悪路走破性も確保されています。街乗り最強クラスのバイクとして、125ccバイクのような気軽さで乗れる点が評価されています。
一方ランツァは40PSの高出力と114kgの軽量さにより、パワーウェイトレシオ2.9kg/PSという圧倒的な動力性能を持ちます。林道やスーパーモタードなど、よりスポーティな走りを楽しみたい人に向いています。ただし2ストロークならではのメンテナンス頻度の高さと、プラグかぶりのリスクを受け入れる必要があります。
初心者や街乗りメインならセロー、パワフルな走りを求めるベテランならランツァという選択が基本です。ただしセローは既に生産終了しており、中古市場でも価格が高騰している点には注意が必要でしょう。
用途に合わせた選択が重要です。

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