

S23はサーキットタイヤより長持ちするのに、エッジグリップはRS11(レーシングタイヤ)並みの性能を公道で発揮できます。
BATTLAX HYPERSPORT S23(バトラックス ハイパースポーツ S23)は、ブリヂストンが2024年2月1日に国内発売した二輪用スポーツタイヤです。先代の高評価モデルS22を5年ぶりにフルアップデートし、「全領域で性能を向上させる」という開発テーマのもと誕生しました。
カテゴリーポジションとして、よりスポーティなレーシングストリートタイヤ「RS11」と、ツーリング重視の「T32」のちょうど中間に位置します。つまり、サーキット走行もこなしながら長距離ツーリングでも使えるオールラウンド性を持っています。これは使いやすいポジションです。
| サイズ | 区分 | メーカー希望小売価格(税込) |
|---|---|---|
| 120/70ZR17 | フロント | 27,830円 |
| 160/60ZR17 | リア | 37,400円 |
| 180/55ZR17 | リア | 41,140円 |
| 190/50ZR17 | リア | 42,130円 |
| 190/55ZR17 | リア | 43,010円 |
| 200/55ZR17 | リア | 45,650円 |
前後セットで工賃込みの実際の交換費用は、ショップによって変わりますが60,000〜80,000円前後が目安となります。タイヤ代+工賃の合計で見積もっておくと安心です。
サイズラインナップは400cc以上のミドルクラスから大型バイクをターゲットにしており、250ccクラスへのラインナップ展開は現状ありません。もし250ccモデルに装着を考えている場合は、適合サイズの有無をショップで確認するのが基本です。
ブリヂストン公式のS23製品ページでは、適合車種も確認できるため、購入前にチェックしておくことをおすすめします。
参考リンク(ブリヂストン公式・S23製品情報・サイズ一覧・適合車種)。
BATTLAX HYPERSPORT S23 製品ページ|ブリヂストン公式
S23の評価で最も注目を集めているのが、エッジグリップの大幅な向上です。ブリヂストン社のテストによると、スペインのアンダルシアサーキットでのドライ比較テストでS22対比コーナリングスピード5%向上、ラップタイム1%向上という数字が出ています。
グリップが上がっているのに扱いやすさも向上しているというのが、このタイヤの最大の特徴です。通常、ハイグリップタイヤは「限界は高いがタイヤのスリップが始まると一気にグリップを失いやすい」という特性を持ちます。S23はグリップレベルがS22より高まりながらも、スライド開始の予兆をライダーにしっかり伝えてくれる設計になっています。つまり「安全に限界を使える」ということです。
テストライダーとしてブリヂストンと長年タッグを組んできた元MotoGPライダー・青木宣篤氏は、「S22を超えるタイヤはもう登場しないだろうと思っていた」と述べた上で、S23を試して「信じられないほど素晴らしい出来栄えだった」と評価しています。特にリアタイヤのエッジからトラクションエリアにかけてのグリップ向上が著しく、「上位モデルのRS11を超えてしまいそうな勢い」とまで言わしめています。これは驚きの評価です。
技術的な背景としては、フロントのショルダー部とリアのエッジ部に新開発コンパウンドを採用し、新グリップ向上剤の配合と、カーボンでポリマーを補強する技術で路面追従性を高めています。またブリヂストン独自の解析技術「ULTIMAT EYE™」を活用し、接地時の滑り挙動を微細に把握・最適化しています。
参考リンク(元MotoGPライダー青木宣篤氏によるS23の詳細インプレ)。
安心して楽しめる高性能|ブリヂストン バトラックスハイパースポーツS23試乗インプレ|Riders Club
S23のもうひとつの大きな進化点がウェット性能です。ブリヂストン社のテストコースでの計測では、S22比でウェット制動距離3%短縮・ウェットラップタイム4%向上という結果が出ています。スポーツタイヤでウェット性能まで上がるというのは、以前のスポーツタイヤの常識を覆す進化です。
この性能向上を支える技術が「パルスグルーブ」です。タイヤの溝に脈動型の形状を採用することで水流を均一化し、流速を高めて排水性を大幅に向上させています。このパルスグルーブはもともとツーリングタイヤ「Tシリーズ」で先行採用された技術で、スポーツタイヤへの転用がS23のウェット性能を底上げしています。
実際に1,600kmの九州ツーリングテストを行ったウェビックのスタッフレポートでは、雨天走行でも「もう少し大丈夫かな、もっとイケるかな…と負荷をかけてみても、このタイヤから"いやいや、もっとイケるよ"と聞こえてきそう」という表現が出るほど、濡れた路面での余裕を実感しています。
摩耗ライフについては、S22比8%向上とブリヂストンは公表しています。同じ1,600kmのツーリングテストでは、リアタイヤの走行後の溝深さを実測した結果、計算上のライフ約9,920kmという数字が得られました。スポーツタイヤとしてはかなり良好な数字です。一般的なスポーツタイヤのリアライフが5,000〜8,000km程度とされる中、約10,000kmというのは財布に優しい部分です。実際のライフは走行スタイルや路面環境によって変わるため、あくまで参考値として見てください。
参考リンク(公道1,600kmテスト・摩耗実測レポート)。
【タイヤインプレ】BATTLAX HYPERSPORT S23公道インプレッション|ウェビックバイクニュース
「サーキット向けハイグリップタイヤ」というイメージが先行しがちなS23ですが、むしろ公道でこそその真価を発揮します。実走インプレ複数件の共通評価として挙がるのが「市街地での軽快なハンドリング」です。バイクがひとまわりコンパクトになったような感覚で、ストップ&ゴーの多い街中でもステアリングが軽く扱いやすいという声が多く聞かれます。
ワインディングでは「ヒラヒラとした軽快感」より「どんな速度域でも一定のグリップ感がある安心感と自由度の高さ」が特徴として出てきます。S22は速度域によってタイヤの主張が変わるキャラクターでしたが、S23は操作に対する反応が速度を問わず安定しており、フルバンク中は「地面に根っこが生えているかのような安心感」という表現が複数のインプレで使われています。安心感があるのは強みです。
高速道路での安定性も高く、レーンチェンジ時の軽快さと直進安定性が両立しています。ギャップや継ぎ目の吸収も良好で、長距離移動での疲れにくさも評価されています。スポーツタイヤとしては珍しく、乗り心地のよさに「オヤッ?」と感じるライダーが多いのが特徴的です。
冷間時・低温時についても、S23の温度依存性は旧来のスポーツ系タイヤと比べて格段に低くなっており、路面温度が低い朝一番の走り出しでも適度なグリップを維持します。そのため街乗りメインでも安心して使えます。
参考リンク(公道ワインディング・高速・雨天・市街地の多角的インプレ)。
RS11に匹敵するグリップ力とT32に通じる快適性を獲得したS23|ヤングマシン
S23はリッタークラスで試乗会が行われていた経緯から「大型ハイパワー車向け」と思われがちです。しかし実際には、足まわりにコストをかけにくいミドルクラス(400〜600cc程度)でこそ、タイヤの美点がよりわかりやすく出るという意見がプロテスターからも上がっています。そのクラスのライダーにとっては、特に費用対効果が高い選択肢と言えます。
利用シーン別の向き・不向きを整理すると次のようになります。
タイヤを選ぶ際、悩んだときはWebike・ナップス・2りんかんなどの大手バイク用品店のスタッフへ実際の使い方を相談すると、適合サイズと合わせてアドバイスをもらえます。自分のバイクと走り方に合ったタイヤを選ぶことが大切です。また、S23は発売後に供給が追いつかなくなるほどの人気を誇ったため、タイミングによっては在庫確認が必要なことも覚えておきましょう。
参考リンク(S23の特性解説と選び方のポイント・ナップス公式)。

BATTLAX HYPERSPORT S23 (バトラックス S23) バイクタイヤ前後セット, 120/70ZR17・200/55ZR17