ブレーキング性能とバイクのタイヤ選び方と温度管理

ブレーキング性能とバイクのタイヤ選び方と温度管理

ブレーキング性能とバイクのタイヤ

冬場のタイヤは36℃以下だとグリップ力が8割減ります。


この記事のポイント
🔧
タイヤ構造とブレーキング

ラジアルとバイアスで制動特性が異なる

🌡️
温度管理の重要性

適正温度でないとグリップ力が激減

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空気圧と制動距離

適正値から外れると制動距離が伸びる

ブレーキング性能を決めるバイクのタイヤ構造


バイクのタイヤには「バイアス構造」と「ラジアル構造」の2種類があり、ブレーキング性能に大きな違いをもたらします。バイアス構造はタイヤ内部の繊維が斜めに配置され、柔軟性が高いのが特徴です。タイヤ全体がたわむことで衝撃を吸収し、乗り心地に優れています。


参考)https://www.naps-jp.com/Page/Feature/FeaturePage032.aspx


一方のラジアル構造は、繊維が放射状に配置され、ベルトで締め付けられています。変形が少ないため転がり抵抗が低く、燃費性能や耐摩耗性に優れます。


参考)バイアス・ラジアルタイヤってなに?それぞれの特徴【バイク】


バイアスタイヤキャンバースラスト(バイクを傾けるだけで曲がる力)に依存しますが、ラジアルタイヤはこの効果が弱いという特性があります。つまり、ラジアルタイヤは傾けただけでは曲がりにくいということです。高速走行時の直進安定性やコーナリングフォースではラジアルが優位です。


ブレーキング時には、フロントタイヤに大きな荷重がかかります。ラジアルタイヤは剛性が高いため、200km/h超の高速からのブレーキングでも変形に耐えられる設計になっています。急ブレーキをかけるとタイヤの摩耗が促進されるだけでなく、スリップや転倒のリスクも高まります。


結論はタイヤ構造で制動特性が変わるということです。


バイクのタイヤ温度とグリップ力の関係

タイヤ温度はブレーキング性能に直結する重要な要素です。ハイグリップタイヤは最低でも30℃以上、できれば36℃以上必要とされています。ツーリングタイヤなら20℃でもグリップしますが、スポーツタイヤは25℃程度が目安です。


冬場の街乗りでは、タイヤ温度が人肌(36℃程度)に達していないケースが多く見られます。この状態ではゴムが弾性を失い、ブレーキングポイントと呼ばれる損傷が発生しやすくなります。


つまり低温状態でのブレーキングは危険です。



実際の走行中、タイヤ表面温度は瞬間的に100℃を超えることもあります。路温10℃程度の冬場でも、ジムカーナのような激しい走行では平均温度が40℃近くまで上昇します。


参考)Øutlaw Motorsport: ドリフトとグリップのタ…


温度管理のために、走行前にタイヤを手で触って温度を確認する習慣をつけましょう。人肌程度になっていれば、街乗り用タイヤなら十分なグリップ力を発揮できる状態です。冬場の朝一番や、長時間駐車後の発進時は特に注意が必要になります。


ブレーキング時のタイヤ接地面積と摩擦力

バイクのタイヤが路面と接触している面積は、わずか名刺一枚分程度しかありません。この小さな接地面で、加速・減速・旋回のすべてを担っています。ブレーキング性能は、この接地面の摩擦力によって決まります。


摩擦力の公式は「摩擦力F=垂直抗力N×摩擦係数μ」です。摩擦係数μはタイヤと路面の組み合わせで決まる数値で、これがバイクの限界性能を左右します。車重が重いほど摩擦力は大きくなりますが、同時に止めるために必要な力も増えるため、結局は摩擦係数が最重要となります。


ブレーキをかけるとタイヤが変形し、接地面積が増えます。この弾性変形が駆動力や制動力に重要な役割を果たしています。制動力が最大になるのは、タイヤがロックする寸前の状態です。ロックさせてしまうと滑るだけで、かえって制動力は低下します。


雨で濡れた道路、マンホール、白線、グレーチングなどでは摩擦係数が下がり、少しのブレーキ操作でもロックしやすくなります。これらの場所では特に慎重なブレーキ操作が必要です。


摩擦係数がすべてを決めるということですね。


バイクのタイヤ空気圧と制動距離の影響

空気圧は制動距離に直接影響する要素です。適正空気圧から外れると、上げても下げても制動距離は伸びます。これはタイヤの設計性能が生かせないためです。


空気圧が高すぎる場合、トレッド面の変形が少なくなり、ブレーキをかけた際にタイヤが潰れません。接地面積が増えないため制動距離が長くなり、早期にロックしてABSが作動することもあります。タイヤが潰れず接地面積自体が減少するため、グリップ力も低下します。
逆に空気圧が低すぎると、接地面積は増えますが単位面積あたりの荷重が低下します。


これもグリップ力の低下につながります。


タイヤの変形が大きすぎて、適切な制動力を路面に伝えられなくなるわけです。
メーカー指定空気圧がベストです。


空気圧の管理には、定期的な点検が欠かせません。月に一度はエアゲージで測定し、指定値に調整しましょう。チェーン店のバイク用品店や、ガソリンスタンドに設置されているエアコンプレッサーを活用すると便利です。デジタルエアゲージを携行しておけば、ツーリング先でも確認できます。


制動距離の計算とブレーキング操作

制動距離とは、ブレーキが効き始めてからバイクが停止するまでの距離です。一般的に50km/hで走行時には約18m、100km/hで走行時には約84mの制動距離が必要とされています。速度が倍になると、制動距離は4倍近くまで伸びます。


これに加えて空走距離(危険を認知してブレーキをかけ始めるまでの距離)も考慮する必要があります。時速20km/hで走行している場合、空走距離だけで約6mです。制動距離と合わせると、最低でも5~6m程度は必要になります。


前後のブレーキをバランスよく使うことが鉄則です。フロントブレーキのみを強く掛けると前輪がロックして転倒する恐れがあり、リアブレーキのみを強く掛けると後輪がロックして滑ります。


ブレーキングの基本は、最初期に最も強く掛けることです。バイクが直立に近い状態の方が、安全に強く減速できるからです。その後、徐々にブレーキを緩めていき、タイヤのグリップをコーナリング方向へと移行させます。


急ブレーキを避けることが最優先です。


ブレーキング操作を改善するには、サーキットやライディングスクールでの練習が効果的です。JAF(日本自動車連盟)やバイクメーカーが開催する安全講習会では、プロのインストラクターから直接指導を受けられます。こうした機会を活用して、安全なブレーキング技術を身につけましょう。


JAF バイクの安全運転講習
バイクの安全運転技術を学べる講習会の情報が掲載されています。ブレーキング操作の基礎から応用まで、実践的な指導が受けられます。


タイヤのコンパウンドとブレーキング特性

タイヤのゴム部分(コンパウンド)の硬さは、ブレーキング性能に大きく影響します。硬めのコンパウンドは転がり抵抗がグリップ力を上回り、柔らかいコンパウンドはグリップ力が転がり抵抗を上回ります。


レースタイヤは、サーキットでの高いブレーキング性能を実現するため、非常にグリップ力の高い特殊なコンパウンドが使用されます。しかし、これらのタイヤは路面温度や走行条件が限定されるため、一般道での使用には適していません。


グリップ力を重点に置いたシングルコンパウンドは、耐摩耗性を維持しつつ限界までグリップ力を高めた設計です。一方、デュアルコンパウンドトリプルコンパウンドは、センター部分とサイド部分で異なる硬さのゴムを使い分けています。


コンパウンドの選択は、走行シーンによって判断すべきです。街乗り中心ならツーリングタイヤ、峠道を攻めるならスポーツタイヤというように、使い方に合わせて選びましょう。タイヤ専門店では、ライディングスタイルに応じたコンパウンド選びのアドバイスを受けられます。


タイヤ摩耗パターンから見るブレーキング癖

タイヤの摩耗パターンを観察すると、自分のブレーキング癖が分かります。フロントタイヤの摩耗は、急ブレーキや頻繁なブレーキ操作が多いと早く進みます。ブレーキング中はタイヤにかかる負荷が増して摩擦が強まるため、減りやすくなるのです。


参考)Bike de go タイヤから見る走り方診断


上級者はバンクさせながらフロントブレーキをかけています。特に速い人はフルバンクさせながらブレーキをかけ、フロントがスライドしてアウトへ逃げる感覚を感じながら操作しています。この走り方をすると、タイヤの摩耗パターンに特徴的な形が現れます。


コーナリング時のタイヤ摩耗は、体重移動や目線の使い方、バイクの傾け方など様々な要素を反映しています。摩耗パターンとコーナリングの癖には密接な関係があります。


タイヤの状態は定期的に確認する習慣をつけましょう。溝の深さが1.6mm以下になったら交換時期です。また、偏摩耗が見られる場合は、ライディングフォームやブレーキング操作の見直しが必要かもしれません。バイクショップで点検を受けると、プロの目線で摩耗状態を診断してもらえます。


摩耗パターンがライディングを映し出します。


濡れた路面でのブレーキング性能低下

雨天時のブレーキング性能は、乾燥路面に比べて大幅に低下します。タイヤと路面の摩擦力が下がるため、同じブレーキ操作でも制動距離が大きく伸びます。この状況では少しのブレーキ操作でもタイヤロックが起こりやすくなります。


特に注意が必要なのは、マンホール、白線、グレーチングといった場所です。これらは濡れると極端に摩擦係数が下がり、簡単にスリップします。これらの場所を避けてラインを取ることが、雨天時の安全走行につながります。


タイヤロックは、タイヤのグリップ力よりブレーキのタイヤを止めようとする力が上回ることによって起こります。ロックするとハンドルがコントロールを失い、最悪の場合は転倒や事故につながります。


雨天時には速度を落とし、ブレーキ操作を丁寧に行うことが基本です。


雨天対策として、レインタイヤやウェット性能の高いタイヤへの交換も検討できます。排水性能に優れた溝パターンを持つタイヤは、濡れた路面でのグリップ力を向上させます。また、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)搭載車両なら、急ブレーキ時のロックを自動的に防いでくれるため安心です。


NAPS バイクタイヤの選び方完全ガイド
タイヤの種類や選び方について詳しく解説されています。雨天性能に優れたタイヤの特徴も紹介されており、タイヤ選びの参考になります。




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